<書評>『雑草ラジオ』瀬戸義章 著

2023年4月9日 07時00分 有料会員限定記事
0

記事をマイページに保存し、『あとで読む』ことができます。ご利用には会員登録が必要です。

◆災害放送局誕生の記録
[評]石井彰(放送作家)

 一九二五年三月二十二日、日本でラジオ放送が始まって、まもなく百年。同じ一九二五年にラジオ放送が始まったのが、当時オランダの植民地だったインドネシア。ともに島国で、地震や津波、火山噴火など自然災害の多い国だ。
 太平洋上に浮かぶ二つの国をつないで活躍しているのが、かばんやスーツケースに入る「バックパックラジオ」だ。簡単にいえば「持ち運べる災害ラジオ局」。スマホアプリと小型FM送信機、アンテナを組み合わせた、簡便で安価な物。本書は著者らのアイデアによって生まれ、インドネシアの火山地帯に配備されるまでになった「バックパックラジオ」誕生の記録だ。
 話はインドネシアの火山から始まる。度重なる火山の噴火とともに暮らす現地の人々に、いちはやく噴火の危険を知らせる道具として、二〇〇二年に小さな村にラジオ局が生まれた。やがてラジオは災害情報や音楽だけでなく、住民同士の対話の場となり、自治の手段に成長していった。
 日本では一九九五年の阪神・淡路大震災以後、多くコミュニティFMが誕生する。その先駆けとなった...

残り 472/944 文字

今なら最大2カ月無料
この記事は会員限定です。

有料会員に登録すると
会員向け記事が読み放題
記事にコメントが書ける
紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)

※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。

会員登録について詳しく見る

よくある質問はこちら

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

カテゴリーをフォローする

  • 『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。

コメントを書く

ユーザー
コメント機能利用規約

おすすめ情報