海陽町を低空飛行するジェット機=9日、同町鞆浦

海陽町を低空飛行するジェット機=9日、同町鞆浦

 米軍の飛行訓練ルート「オレンジルート」下の徳島県南部で2015年、米軍機とみられるジェット機の低空飛行が目撃された日数が、14年の倍以上の43日間に上ったことが県のまとめなどで分かった。冬場の1、2月と12月の合計日数が23日間と半数を占めた一方、ほとんどなかった時期もあった。県は24日、在日米軍に低空飛行訓練の中止を要請するよう中国四国防衛局(広島市)に要望する。

 県総務課によると、同じ方法で集計されている12年以降では15年の目撃日数が最多。次いで多いのは13年の34日間で、14年は19日間だった。

 15年を月別にみると、12月は23日の飛行も含めて8日間となり、2月と並んで最も多かった。次いで1月が7日間。その他の月は3日間以下で、6月はゼロだった。

 オレンジルートで訓練しているのは、神奈川県の横須賀基地を母港としている米空母の艦載機や岩国基地の所属機とみられているが、米軍は飛行が増えた理由などを明らかにしていない。

 米軍岩国基地(山口県岩国市)の増強に反対する市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の坂本千尋代表世話人(62)=広島県=は月ごとの飛行日数に偏りがあったことについて、横須賀基地を母港とする米空母が交代したことや、他エリアでの訓練に参加していたためとみている。

 坂本さんは「毎年冬は訓練が多い。クリスマス休暇が終わると、また増えるのでは」と話している。

 県南部の住民は危険極まりない飛行と轟音にうんざりした表情だ。海陽町小川の男性会社員(64)は「一つ間違えば落ちそうだし、騒音で耳を痛めるお年寄りもいる。なんとかやめさせることはできないのか」と顔をしかめる。

 24日には、県の仁木伸一総務課長らが防衛局を訪れ、訓練の中止を在日米軍に要請するよう求める。仁木課長は「住民の不安が募っていることを訴え、国に対応を促したい」と話している。

 ◎出羽島上空、1機が旋回

 23日午前10時ごろ、牟岐町の出羽島付近を米軍機とみられるジェット機1機が低空飛行しているのを住民が目撃した。

 目撃した住民によると、ジェット機は牟岐町沖を東から西へ飛行し、出羽島上空を1周した後、再び東へ飛び去った。

 その数分後には、同町内妻の上空で爆音が響いたが、雲に覆われていたため機体は確認できなかった。