アライア(ALAÏA)がニューヨークでショーを開催すると聞いたのは今年7月初旬。だが、会場がソロモン・R・グッゲンハイム美術館だと明かされたのはショーの前日だった。
9月6日(現地時間)の夜20時、会場の一階では、リンダ・エヴァンジェリスタ、ナオミ・キャンベル、アンバー・ヴァレッタ、ステファニー・シーモアといった90年代からアライアと親交の深いスーパーモデルたちや、マリオ・ソレンティ、イーサン・ジェームズ・グリーン、クレイグ・マクディーンなどのトップフォトグラファーらがゲストとして来場し、会う人たちとハグをし談笑を交えていた。
ゲスト全員が席に着き、30分ほどショーが始まるのを待っていたが、急に静かになった途端、出入口からリアーナが登場。ストラップレスの白いガウンを胸に抱え、足音を立てながら自分の席に着いた。
ブランドのクリエイティブ・ディレクターのピーター・ミュリエは、アライアの過去との結びつきを保ち続けている。ニューヨークはブランドの歴史において重要なキーワードで、その関係は40年に及ぶ。1980年代に最初の店を開いた場所であり、2000年には同美術館でアズディン・アライアの服がアンディ・ウォーホルの作品と共演する展覧会が開催された。
ちなみに、ゼンデイヤが着用した昨シーズンのスパイラル状のガウンを見たグッゲンハイムの関係者が、喜びの感想をアライア側に寄せたことから、今回ここでショーが開催される運びになったそうだ。
ミュリエにとってのニューヨークは、ラフ・シモンズのもとでカルバン クライン(CALVIN KLEIN)のデザインを統括するために3年間暮らした街であり、「今の自分があるのは、この街のおかげ」と語る彼のニューヨークへの愛がこのショーには込められていた。
ケンダル・ジェンナー着用のルックを含め、ジャージー素材を多用しながらも、アズディンがこだわっていた彫刻のような造形のドレープに落とし込むことで、アメリカのスポーツウェアへのオマージュを表現。また、アライアのベストセラーであるバレエシューズのメッシュをチュニックやパンツにアレンジし、軽やかを足す要素に。
デニムパンツなどコレクションの一部には「See Now, Buy Now」を取り入れ、ニューヨークのソーホーにある旗艦店でのみ入手可能なカプセルとして発売された。すべてのカプセルアイテムには、ショー開催日を記念した特別ラベルが貼られ、まさにコレクターズアイテムになりそうだ。
もちろん、同美術館の建築美も服に落とし込まれた。シルクで編んだボリューミーな起毛の素材でスパイラル上に身体を包み込まれたボリューミーなコートは、ホワイトとピンクの二色が登場。一見ファーコートのように見えるものは、無数のねじられたレザーコードをつなぎあわせたもので、このコレクションを象徴するキーピースとなった。
芸術、建築、ファッションを結びつけた崇高なショーに、ピーターがフィナーレにスロープから降りてくる間もその後も、ずっと拍手と喝采は鳴り止むことはなかった。
※ アライア2025年ウィンター・スプリングコレクションを全て見る。
Photos: Courtesy of ALAÏA Text: Maki Saijo