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スキニー体型信仰の終焉。ダイエットをやめて“ありのまま”に戻るセレブたち【セレブ美容探偵】

グウィネス・パルトロウ、リアーナなど、美のインフルエンサーたちが過剰なダイエットを止め「ありのまま」のボディを受け入れ謳歌している。その背景にあるものとは? セレブウォッチャーさかいもゆるが、2024年を見据えたハリウッドセレブたちのトレンドを振り返る。

ツアー「ザ・エラス・ツアー」でテイラー・スウィフトがレオタード姿を披露。Photo: Buda Mendes/TAS23/Getty Images for TAS Rights Management

Buda Mendes/TAS23

実は今まで、“ボディポジティブ”っていうワードがいまいちピンと来なかった。もちろん、それが意味する「どんな体型も美しい、自分のボディを愛して他者のボディも受け入れよう」という概念はわかるし、その大切さも理解できる。だけどファッション業界がいわゆる“ポリティカリー・コレクト”のために、体面を気にして掲げているだけ、という印象がどうも強かったのだ。それが2023年は、セレブたちがそれを謳うだけでなく、実践を開始した。建前だけでなく、真の意味でボディポジティブを表現し始めたのだ。そのわかりやすい例が、グウィネス・パルトロウテイラー・スウィフト
※グウィネスが食事制限をやめた理由の記事はこちら。

年々ヘルシーな印象になっていくグウィネス。Photo: Stefanie Keenan/Getty Images for goop

Stefanie Keenan

ふたりとも、一時は過剰でストイックなダイエットに走り、スキニーな体型にこだわっていた時期がある。グウィネスに至っては過去にエクストリームすぎるヴィーガン生活を送ったせいで、骨粗鬆症になってしまったことは有名だし、トレイナーのトレイシー・アンダーソンと組んでジムを経営するほどのワークアウト・マニアでもある。一方、テイラーはNetflixドキュメンタリー番組『ミス・アメリカーナ』で、見た目を気にして摂食障害を患っていたことを告白している。
※テイラーが摂食障害に苦しんだ過去の告白記事はこちら。

ヴィクトリアズ・シークレットのランウェイに登場したテイラー。隣はカーリー・クロス。Photo: Rune Hellestad/Corbis via Getty Images

Rune Hellestad - Corbis

2014年にヴィクシーのファッションショーにゲスト出演した際には、ヴィクシーモデルと変わらないくらいの細さでステージに立っていたテイラー。それが今年の「ザ・エラス・ツアー」でレオタード姿で登場した彼女は、健康的な太ももでレオタードを着こなし、堂々と振る舞っていた。『ミス・アメリカーナ』で「ライブの後や最中には、気を失いそうになるのが普通のことだと思っていた。でも今は、ちゃんと食べればエネルギーが生まれてパワーが漲り、すべてのステージをこなしても倒れそうになったりしないのだと知った」と語っていたテイラー。今の彼女は、人からどう見られるかを心配することなく、自分の健康のためにベストなボディを維持することに向き合えるようになったのだろう。

大幅なボディラインは変わらないが、ちょっとした肉付きで健康的になることがわかる。Photo: Stefanie Keenan/Getty Images for Daily Front Row

Stefanie Keenan

グウィネスもそう。最近の彼女は少しふっくらして、それは2021年に新型コロナウイルスのパンデミックでステイホーム生活を送った際に「メンタルの平和の維持」のために、乳製品や炭水化物などを解禁し、体調不良を経験した上で、グウィネスが自分の心と身体のちょうどいいバランスを取るための食生活に落ち着いたからなのではないかと推察する。

妊娠中、圧巻のパフォーマンスを披露。スーパーボウルのハーフタイムショーのリアーナ。Photo: Kevin Mazur/Getty Images for Roc Nation

Kevin Mazur

2023年8月にエイサップ・ロッキーとの第2子を出産し、マタニティ期間中も大きなお腹でセクシーなワードローブを着こなしていたリアーナも、また然り。持病の治療薬の副作用で体重増加したことをヘイターたちから体型批判され続けてきたセレーナ・ゴメスが、10代のときの体型とは変わってしまったことを受け入れ、9月のMTVビデオ・ミュージック・アワードでバストを露わにしたセクシーなドレスで登場したことも、セレブたちの真の“ボディポジティブ”ムーブメントの瞬間だった。
※リアーナのマタニティファッションの記事はこちら。

ボディラインに変化が見られたセレーナ・ゴメス。Photo: Theo Wargo/Getty Images for MTV

Theo Wargo

今まで「痩せていることが正義」とされて来た、ハリウッドの画一的な美のスタンダード。それを口先だけでなく、インフルエンサーである彼女たちが打ち破って見せた。そしてどうだろう。彼女たちは痩せていようと太っていようと、体型に関わらず相変わらずかっこいいのだ。その事実は、体型に思い悩むすべての人々の希望になるはず。そしてもちろん、かたやヴィクトリア・ベッカムのように、49歳になっても元サッカープレイヤーの夫デヴィッドと共に、アスリート並みのワークアウトに励み、20代のときと変わらないスキニー体型を死守するセレブも存在する。それでいいのだ、と思う。
※ヴィクトリアのワークアウト記事はこちら。

夫、デビッドと仲睦まじいヴィクトリアの変わらぬ体型。Photo by Mike Marsland/WireImage

Mike Marsland

どんな自分であることが心地いいのか。ひとりひとりがそれをわかった上で、健康を害さない範囲で気分良く過ごす。誰かの作った物差しを押し付けられることも、押し付けることもしない。それがボディポジティブの意味なんだと、改めて思わされた次第だ。

Text: Moyuru Sakai Editor: Toru Mitani