リュウシュ・レイとユートン・ジャンのデュオが創造するシュシュ/トン(SHUSHU/TONG)は、上海有数のウィメンズウェアレーベルのひとつとして頭角を現している。成都出身の2人は、学生時代に上海で意気投合し、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのMAプログラムへの留学中にさらに絆を深めた。以来、彼らが生み出してきたデザインをBLACKPINKのジェニー、オリヴィア・ロドリゴ、そして直近ではシドニー・スウィーニーといったセレブたちが纏っている。「遊び心とセンシュアリティのタッチを持つ、超フェミニンなファッション」がブランドの真髄であると話すレイ。「私たちが思う『理想の女性』のための服、自分が女性だったら着るであろう服を作っているんです」
インスピレーションは日本のカルチャー
2014年、レイとジャンは上海でシュシュ/トンを設立。アーデム(ERDEM)、ミュウミュウ(MIU MIU)、シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)をはじめとするファッションハウスでのインターン経験などを生かし、90年代とY2Kの要素、フレッシュな反抗心、日本の漫画やコミック、ゲームカルチャーからの影響を魅惑的に融合させたデザインを展開している。共同でブランドを作り上げているものの役割は分担されていて、クリエイティブ・ディレクションはレイが率いり、ジャンはビジネス面の日々の業務を見ている。「私はスタジオでチームとデザインを、ユートンは会社のマーケティングやクライアントとのやりとりを担当していますが、常に協力し合っています。フィッティングがあれば、ユートンも立ち会って意見を出したり、ルックを試着したりします」
BLACKPINKのメンバーやロザリアなど、今をときめくスターをファンに持つシュシュ/トンは「ガーリーなものならシュシュ/トン」と言われるほど、ファッションシーンで確固たる地位を築いている。しかし、次は誰に着てもらいたいかと尋ねると、レイは話題のイットガールではなく、中国出身の香港のシンガーソングライター兼俳優、フェイ・ウォンの名前を挙げた。「みんなが私たちのブランドと結びつけるセレブクライアントとは少しタイプが違うかもしれないですが、幼い頃から彼女に憧れているので、彼女みたいな人に服を着てもらえれば、長年の夢が叶います」
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2人が手がけるブランドは、ロンドンのドーバー ストリート マーケットを含む世界的なリテーラーに取り扱われ、スポーツウェア大手のアシックス(ASICS)ともコラボレーションを果たした。それでもレイとジャンは、自分たちのルーツに忠実であり続け、大学時代を過ごした上海でコレクションを発表している。いつか4大ファッションウィークに参加する日は来るのだろうか?「機会があればもちろん。ロンドンとパリでキャンペーンの撮影はしているんです。でも私たちはどちらかというと、クライアントに語りかけるコレクションを作ることに専念しています」とレイ。「ファッションショー以外にも世界とつながる方法はありますし、今のところは順調です」
そして、現在開催中の上海ファッションウィークで披露する2024-25年秋冬コレクションはどんな仕上がりになっているのだろう。「1958年に公開された、ヴィンセント・ミネリ監督のミュージカル映画『恋の手ほどき』にインスパイアされています。ルックは洗練されていながら、私たちの若々しくガーリーなスピリットはそのままです」とレイは言う。来る3月31日が楽しみだ。
Text: Alex Kessler Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK