FASHION / TREND & STORY

ハリウッドスターから絶大な支持。ファム エル エーがつくる、次世代ヴィーガン“イット・シューズ”【若手デザイナー連載】

シドニー・スウィーニーヘイリー・ビーバー、ロリ・ハーヴィーといったセレブたちがレッドカーペットでもオフでも愛用しているファム エル エー(FEMME LA)のヒール。ヴィーガン素材にこだわったタイムレスなデザインのシューズが、有名メゾンと肩を並べるまでの存在になった経緯を、ブランド創設者のジャニス・テージョが語る。

イギリスのアインホーパークのギャラリー、RHイングランドのオープニングに出席したシドニー・スウィーニーは、オールブラックコーデにシンプルなポインテッドトゥの一足を合わせた。

Photo: Dave Benett/Getty Images

今、レッドカーペットクリスチャン ルブタンCHRISTIAN LOUBOUTIN)やマノロ ブラニクMANOLO BLAHNIK)などの大御所ブランドをしのぐ勢いの若手シューズデザイナーがいる。その名もファム エル エー(FEMME LA)

ここ一年だけでも、ヘイリー・ビーバージェニファー・ロペスシドニー・スウィーニーをはじめとしたセレブがこぞって履いているそのヒールは、これまたハリウッドに根強いファンが多いジミー チュウJIMMY CHOO)のものよりも、どこか控えめでミニマル。そして、シックなだけでなく、すべてがクルエルティフリーでヴィーガン素材を使用している。

映画『バービー』のプレミアでガル・ガドットが披露したのは、クリアなストラップが印象的なスティレット。

Photo: Christopher Polk/WWD via Getty Images

ロリ・ハーヴィーは、ブランドの代名詞的なレースアップヒールでヴィクトリアズ・シークレットのティザーイベントに参加。

Photo: Taylor Hill/Getty Images

2018年の創設以来、セレブに最も愛用されている新進気鋭のシューズブランドのひとつとして、着実に地位を築いてきたファム エル エーは、今では一般客からも人気を集めていて、インスタグラムで約12万人のフォロワーを誇っている。もともとアパレルブランドとして創設されたが、当時から展開していたシンプルなシングルソールのヒールの需要が高まっているのを受けて、2019年にフットウェアブランドへと完全シフトした。「特にこうなることを期待していたわけではなかったです」と言う創設者のジャニス・テージョ。「ミニマルで、シーズンを超えて履けるヒールがなかったので、タイムレスなデザインを作りたかったんです」

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「ベアリーゼア」レースアップヒールや、ヘイリー・ビーバーも頻繁にコーデに取り入れているヒール付きの「シシリアン・スリッパ」ミュールなど、現在はセクシーかつ削ぎ落とされたスティレットをコレクションの中心にしているファム エル エー。「ミニマルなレースアップスタイルは、私たちの主軸です。すべてのカラーで展開してきました。『ルーチェ』ストラップヒールは創設当初からあるデザインで、今でもよく買われる、スタイリストに引っ張りだこな人気のスタイルのひとつです」

ブランドのもうひとつの大きな特徴は、すべてのシューズにヴィーガンレザーを使用していることだ。「ヴィーガンブランドでもレッドカーペットに見合うし、一足700ドルという価格帯である必要はないということを証明したかったんです」と語るテージョは、誰もが手の届く価格のヴィーガンシューズを作りたかったと言う。その言葉通り、彼女が手がけるシューズのほとんどは、200ドル以下で購入できる。

ロリ・ハーヴィーも履いていたレースアップヒールは、ヘイリー・ビーバーもお気に入りのよう。

Photo: Marc Piasecki/GC Images/Getty Images

手の届きやすい価格帯である一方で、ファム エル エーのヒールが“イット・シューズ”にまで上り詰められたのは、セレブに支持されてきたことが大きい。テージョはその支持を獲得できたことも、すべてブランドの広報担当のぺグー・パッナのおかげだと話している。「始めはほぼ無償で協力してくれて、最初の1週間でカイリー・ジェンナーが私たちのシューズを履いてくれるよう話をつけてきてくれたんです」。以来、ともにセレブ・スタイリストとの関係を築くことに注力してきた二人は、今ではロリ・ハーヴィー、トレイシー・エリス・ロスガル・ガドットなどをリピーターに獲得している。

「シューズを使ってくれたスタイリストや着用したインフルエンサーに、謝礼のような報酬を支払うことはありません。それでもスタイリストからシューズの提供を依頼されます。その代わり、必要としているものはなんでも用意しますし、要望に応じます」

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比較的新しいシューズブランドが、今や世界のジャンヴィト ロッシGIANVITO ROSSI)、ルブタン、マノロの競合のうちに入ることはかなりのことだ。「モダンでミニマルで、セクシー。足もきれいに見えて、コーデの邪魔をしない」とテージョ自身が評するデザインは、やはりどこか違う。

すでに誰もが羨むほどの豪華な顔ぶれが愛用者に名を連ねているテージョのシューズだが、それでも憧れのクライアントはまだまだいるそう。「ゼンデイヤ。彼女と彼女のスタイルが大好きなんです。あと、もちろんリアーナも。とりあえずここで言っておきます。引き寄せの法則ってありますからね」

Text: Christian Allaire Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.COM