「早稲田の先輩方のように、出会う人の心を温かくできる存在を目指したい」
早稲田大学 2年 黒見 明香(くろみ・はるか)
アイドルグループ「乃木坂46」の4期メンバーとして活躍する黒見明香さんは現役早大生。アイドル活動と学業を両立させています。ファンの存在が活動の支えになると話す黒見さんに、乃木坂46加入のきっかけとなったオーディションへ参加を決めた理由から、グループでの活動、大学での学びや今後の目標、そして早稲田への熱い思いについて聞きました。
――オーディションに参加したきっかけを教えてください。
「苦手なことも、武器になる」…当時の乃木坂46のキャプテン、秋元真夏さんの言葉を中学3年生のときに聞き、衝撃を受けたことがきっかけです。というのも、私は小さい頃からとても不器用で、何かをしようとすると、人の2、3倍時間がかかってしまうこともしばしば。例えば、自転車に乗れるようになったのも高校生のときでした。苦手なことやできないことがあると、恥ずかしくて隠してしまうことも多かったんです。
そんな中、通っていた中学校の合宿で、乃木坂46の楽曲である『制服のマネキン』を踊ったことがきっかけでファンに。「推し活」をする中で、キャプテンの言葉や、苦手なことにも立ち向かって成長するメンバーの姿を見て、勇気をもらえることを実感したんです。自分には苦手なこともたくさんあるけれど、「挑戦する姿も武器に」できる坂道シリーズで活動したいと強く思うようになりました。そして、14歳の夏、オーディションに挑戦しました。
オーディションを経て、最初は坂道研修生(※)として活動することに。なかなか先が見えず不安に感じたことも多かったのですが、毎日がむしゃらにレッスンに励みました。2020年2月に乃木坂46に配属が決定したときはうれしさと同じくらい、不安も大きくて。けれども、オーディションから研修生期間まで応援してくださったファンの皆さんに恩返しをしたいという気持ちが、一番大きかったです。
(※)2018年のオーディションの合格者は、すぐに各グループ(乃木坂46、欅坂46、けやき坂46)に配属が決定したメンバーと、坂道研修生としてレッスンを始めたメンバーに分けられた。
写真左:研修生になる前に、明治神宮野球場で開催された乃木坂46のコンサートに行ったときの写真
写真右:坂道研修生のときに参加した、東名坂Zeppツアーの様子©乃木坂46LLC
――乃木坂46に加入してから3年が過ぎました。日々の活動はいかがですか。
子どもから大人まで幅広い世代のファンの方と交流できる時間が何よりも楽しいです。実は、私が乃木坂46に加入した時期はパンデミックと重なってしまい、活動が制限される月日が続きました。それでも、ファンの皆さんがさまざまな方法で応援してくださり、本当に励みになりました。オンラインのイベントで家族のように悩みを相談してくれたり、海外の方が英語や中国語でファンレターを送ってくださったり…。コンサート会場に足を運べない方が、お花やメッセージを贈ってくださることもあります。「乃木坂46のおかげで救われたよ!」とか「活動してくれてありがとう!」と声を掛けていただき、喜んでくださる姿を見られることがやりがいになっています。乃木坂46を囲んでくださる皆さんと一緒に毎日笑ったり泣いたりしながら、一緒に過ごして成長していけることがとても幸せで、毎日胸がワクワクしています。
2023年8月に明治神宮野球場で行われた全国ツアーファイナルの様子©乃木坂46LLC
写真左:会場全体が乃木坂のカラーである紫色に染まった様子
写真右:公演内で行われた「乃木坂野球部」でのパフォーマンス写真。前列右端が黒見さん
――黒見さんは現在早稲田大学の2年生でもあります。早大生と乃木坂46での活動の両立は大変ですか。
楽屋で課題をこなすことは日常茶飯事で、全国ツアー中には、車内や駅にあるテレワークのブースでオンライン授業を受けることも。他にも大学生のメンバーがいるので、テスト期間になるとお互いに励まし合いながら、なんとか乗り切っています。レポートの提出が迫っているときには、集まって一緒に取り組むことも多いです。その姿は、キャンパスのラウンジに集まって課題に取り組む大学生そのもの(笑)。空き時間や隙間時間を有効活用できるよう必死な毎日です。
――大学での学びについて教えてください。
今は英語や中国語を中心に学んでいます。さらにこれからは、映画や演劇について深く学んでみたいと思っています。それらに興味を持ったのは、中学生の頃に「人工知能(AI)は感動するエンターテインメントを作れるのか」というテーマで研究発表をしたことがきっかけです。研究する中で、映画監督である是枝裕和教授(理工学術院)や、早稲田演劇教室の講師を務めていた平田オリザ先生にインタビューさせていただき、作品を作る現場にいる方々の生の声を聞くことができました。その後、高校生で乃木坂46に加入し、演者としてライブやステージに立つことも経験。自分の今までを振り返り、さまざまな視点から映画や演劇をより発展的に学び、乃木坂46での活動に広く還元できたらいいなと思っています。
――早稲田のどんなところが好きですか。
早稲田には留学生も多く、日本にいながら多様な文化を学び、交流できるところが一番の魅力だと思っています。学生それぞれがさまざまなバックグラウンドを持っているからこそ、授業のグループワークで意見交換をするだけでも自分の視野がどんどん広がる感覚を覚えます。
実は両親も早稲田大学出身。私は、重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行している中、2004年に香港で生まれたのですが、そのときに香港稲門会の皆さんが、貴重な日本食やマスクを分けてくださったおかげで今の私があるんです。「誰かが困っているときには、手を差し伸べ互いに助け合う」ことが、世界中にいる校友たちの間で当たり前に行われていることも早稲田の良さだと思いますし、そのときいただいた御恩には今でも深く感謝しています。
この経験から、私もいつか早稲田と世界をつなぐ一助になれるように、恩返しができるようになりたいと常に思っています。だからこそ早大生である今、多様な文化を早稲田の地で学べるという最大の利点を生かして、勉学にさらに励んでいきたいです。
――今後の目標を教えてください。
まずは、今いただいているお仕事をレベルアップしていきたい気持ちが大きいです。例えば、私は野球が大好きで、野球関連の番組にも現在出演しています。その中で、野球好きな方だけではなく、WBCで少し興味を持った方や海外の方など、より多くの方に野球の楽しさや面白さ、日本プロ野球やメジャーリーグの魅力を感じてもらえるきっかけを提供できるよう、活動していきたいです。
また、大好きな早稲田大学を盛り上げることにも心を引かれています。もともと野球が好きになったのは、小学生の頃から早慶戦や高校野球を観に行っていたから。『紺碧の空』が流れると胸がカーッと熱く燃えるようになりました(笑)。早稲田の校友(卒業生)、在学生が一丸となって応援をする早慶戦などのスポーツを、一緒に盛り上げられるような活動にも参加したいです。
第852回
取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
人間科学部 4年 佐藤 里咲
【プロフィール】
東京都出身。早稲田実業学校高等部卒業。2018年に坂道合同オーディションに参加し合格。坂道研修生としての活動を経て、2020年に乃木坂46に配属。趣味は野球観戦。野球ゲームも好きで、今はMLBの野球ゲームにハマっているそう。現在、ABEMA BASEBALL SPECIAL SUPPORTER、eBASEBALLプロスピAリーグ2023シーズンスペシャルサポーターを務める他、警察庁SOS47特別防犯支援官として特殊詐欺撲滅活動に取組んでいる。
- WEBザテレビジョン 乃木坂46黒見明香のMLB連載「9-6-3のファインプレー! 」
- 乃木坂46公式ブログ