[ドキュメント参院選 2022]突然の「選別」 地元混乱
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立憲民主党の参院選神奈川選挙区での内紛劇が、有権者を巻き込んだ混乱を生じさせている。
「とても元気なので、心配無用だ。昨日、一昨日から、より元気になっている。必ず当落線上を突破する」
7日夕、帰宅する学生らが行き交う横浜市港北区の東急東横線日吉駅前。マイクを握った立民の新人、寺崎雄介氏(50)は、ことさらに「元気」を強調した。陣営は、前日夜にツイッターで「諸事情により応援弁士が不足」と呼びかけ、立民の国会議員や都議が「友情応援」に加わった。
諸事情とは、同党本部が公然と候補者の「選別」に踏み切ったことだ。立民は、改選4議席に、非改選の欠員1も補う「合併選挙」の神奈川選挙区で、寺崎氏と、新人の水野素子氏(52)を公認した。だが、党本部は各種情勢調査などを踏まえ、「共倒れになりかねない」と判断。西村幹事長が4日に阿部知子県連代表らを呼び、「水野氏に応援を寄せる」と通告した。
阿部氏が5日、この事実を公表し、寺崎陣営が猛反発した。6日、寺崎氏と共に記者会見した選挙対策本部長の青柳陽一郎衆院議員は「事実上、一本化に見えるような誤解を生じることを公開するのは理解できない」と訴えた。支持者らから「撤退するのか」といった問い合わせが相次いだという。
寺崎陣営から抗議文を突きつけられた西村氏は「降りろと言っているわけではない」と釈明したが、方針撤回の気配はない。
7日、川崎市高津区のJR武蔵溝ノ口駅前で演説した水野氏のもとには、党役員室長の後藤祐一衆院議員が駆けつけた。後藤氏は、身内での票の分散を避けるように、力を込めた。「当落線上にいるのは水野なので、ぜひお願い申し上げる」
「選挙で様々な戦術があるのは当然」とする立民幹部と、「愚行中の愚行」と憤る寺崎陣営。審判役の有権者の受け止めは、間もなく判明する。