高校野球 京都国際が初優勝 関東第一との延長戦制す【詳しく】

夏の全国高校野球は23日に決勝が行われ、京都国際高校が東東京の関東第一高校に延長10回タイブレークのすえ、2対1で競り勝って春夏通じて初めての優勝を果たしました。

記事後半では、詳しい試合経過をお伝えしています。

京都国際 決勝史上初のタイブレーク制し初優勝

試合は京都国際の先発、中崎琉生投手と関東第一の先発、畠中鉄心投手がともに持ち味を生かして好投しました。両チームは守りでも好プレーを見せて無得点で5回を終えました。

6回以降は互いにチャンスを作りながらもあと1本が出ず、9回を終えて0対0のまま、夏の決勝では2006年以来18年ぶりに延長に入りました。

京都国際 2点目となる犠牲フライ

延長はノーアウト一塁・二塁から攻撃が始まるタイブレークで行われ、10回、京都国際はノーアウト満塁から押し出しのフォアボールで1点を先制したあと2番・三谷誠弥選手がライトへ犠牲フライを打ってこの回、2点を奪いました。

京都国際 2人目の西村一毅投手

そのウラ、京都国際は、この回から登板した2年生の西村一毅投手が内野ゴロで1点差に詰め寄られ、さらに1アウト満塁のピンチを背負いましたが、続くバッターをファーストゴロと空振り三振に抑えてふんばり切り抜けました。

京都国際が延長10回タイブレークのすえ、2対1で関東第一に競り勝って春夏通じて初めての優勝を果たしました。京都代表の優勝は、1956年の当時の平安高校以来68年ぶりです。

関東第一は、先発した畠中投手と2人目の坂井遼投手、それに3人目の大後武尊投手が好投し、守りでも再三の好プレーを見せて持ち味を発揮しましたが、打線がチャンスを生かせずあと一歩、及びませんでした。

《京都国際 監督・選手談話》

小牧憲継 監督「本当にすごい子どもたちだ」

小牧憲継監督は接戦を制した選手たちについて「甲子園の舞台に育ててもらってたくましくなった。本当にすごい子どもたちだとひたすら感心した」とねぎらいました。1点差に迫られた延長10回ウラについては「開き直るしかなかった。精神力、気持ちの部分だけは絶対に負けたらいけないと言い続けてきた。足が震えるような場面だったが全員で強い気持ちを持ってくれた結果だと思う」と振り返りました。
そのうえで「打てるチームではなく、とにかく守って耐えて粘ってのチームなので、1球に対する意識、質にこだわってやってきた。1日でも長く一緒に野球をやりたいと選手たちに伝えていたが、まさかここまでこられるとは思わなかった。こんなおじさんに素晴らしい夏休みをもらえて、ありがとうのひと言だ」と話していました。

また「最近は2回戦から登場する強豪のシード校が優勝するケースも多かったですが、1回戦から6試合、すべてを勝ち抜いて得た優勝はこのチームにとって本当に価値があると思う」と話しました。初優勝を果たした選手たちについて「とにかく練習と努力を重ねて、うちのチームの歴史を塗り替えてくれた子たちです。すごいと思いながらベンチから見ていました」と褒めていました。

藤本陽毅 主将「自分たちらしい野球ができた」

キャプテンの藤本陽毅選手は試合後のインタビューで「うれしい気持ちはもちろんですが、ここに立っているのが夢みたいで、ことばが出てこないです。優勝した瞬間には、これまでのつらいことがよみがえってきましたが、優勝して全部、報われました。束になって戦うという自分たちらしい野球ができたので本当によかったです。この優勝は自分たちだけで取ったものではなく、応援してくれた人たちのサポートのおかげなので、感謝したいです」と話していました。

タイブレークに入る前には「9回に自分がエラーをしてしまいましたが、チームの雰囲気も少し落ち着いたので、『最後は攻めよう』と仲間に言いました」と優勝に向けてチームを鼓舞した場面を振り返りました。高校野球の集大成として甲子園球場でプレーできたことについて「色々な人が甲子園は夢の聖地と言いますが、やっぱり特別な場所でした」とすがすがしい表情で話していました。

エース中崎琉生 投手「100点のピッチング」

9回無失点と好投したエースの中崎琉生投手は「準決勝でふがいないピッチングをしてしまいましたが、チームのみんなが助けてくれて決勝のマウンドに上がれました。恩返しの気持ちでマウンドに立とうと思っていました。低く丁寧に集められたので、100点のピッチングでした。相手は良い打者が多いので、きょうはコースを間違えないようにキャッチャーを信じて丁寧に投げました。これまで磨いてきたインコースのストレートが上手く投球できて良かったです」と話しました。
初優勝を成し遂げたことについて「つらいことも、しんどいことも報われた気がします。日本一のエースにしてくれた仲間に感謝しています」とうれしそうに話していました。

西村一毅投手「いいところをまねして甲子園に戻ってきたい」

延長10回からリリーフとしてマウンドにあがり最後は空振り三振を奪って優勝を決めた2年生、西村一毅投手は「ストレートで攻めていたので最後の一球は変化をつけようと思い、スライダーにしました。そのボールがキャッチャーミットに入った瞬間、頭が真っ白になりました」と振り返りました。
さらに登板前にエースの中崎琉生投手の代打で打席に入りヒットでつないだことについて「最初は送りバントをするつもりでしたが、相手の守りが前に出てきたので最後は強気に打ちにいきました」と、みずから勝負に出ていたことを話していました。
一緒にマウンドを守ってきた中崎投手について聞かれ「ピンチの時も強気で、目標にする先輩です。先輩方のいいところをまねして甲子園に戻ってきたいです」と早くも来年を目指して意気込みを話していました。

韓国 大統領がSNSで京都国際の優勝に祝意

京都韓国学園を前身とする京都国際が優勝したことを受けて、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領はSNSに投稿し「甲子園優勝おめでとうございます。奇跡のような快挙は、在日韓国人に誇りと勇気を与えました」と選手たちをたたえました。その上で「野球を通じて、韓日両国がもっと親しくなれたらいいです。やっぱり野球は偉大です。多くの感動を生み出しますから」と記しました。

〈豆知識〉京都国際 “史上64校目の初優勝”

大正時代の1915年に大阪の「豊中グラウンド」で行われた第1回大会、当時の全国中等学校野球は京都二中学、現在の鳥羽高校が最初の初優勝を果たしました。

100年前の1924年8月1日に甲子園球場が開場して最初の大会となった第10回大会は、広島商業が初優勝し歴代最多となる7回の優勝を誇る愛知の中京大中京高校に次ぐ6回の優勝を積み重ねてきました。

戦後は多くの高校が初優勝を果たし、大阪のPL学園は1978年の初優勝から、桑田真澄さんと清原和博さんの「K・Kコンビ」など多くの名選手を擁してわずか10年で4回の優勝を果たすなど黄金時代を築き上げました。

平成に入ってからも2004年に駒大苫小牧高校が北海道勢として、また2010年に興南高校が沖縄勢として、それぞれ初優勝しました。

去年までに63校が初優勝を経験し、直近では、おととし宮城の仙台育英高校が東北勢として悲願の初優勝を果たし、深紅の大優勝旗が初めて白河の関を越えて東北の地に持ち帰られました。

今大会は京都国際が史上64校目の初優勝校となり、8月、開場から100周年を迎えた甲子園球場での節目の大会で歴史の新たな1ページを刻みました。

《関東第一 監督・選手談話》

米澤貴光 監督「相手の力が上だった」

米澤貴光監督は「悔しい。あと一歩、届かなかった。簡単に打てないので、我慢してワンチャンスで1点か2点、取ることを思い描いていたが1本を出せなかった。相手の力が上だったと思う」とたたえていました。
夏、初めての準優勝については「選手たちもここまで来られると想像していなかったと思う。本当によくやってくれた。何が届かなかったかを課題にして、また戻ってきて挑戦できるようにしたい」と選手をねぎらうとともに前を見据えていました。

高橋徹平 主将「やり残すことなくできた」

キャプテンの高橋徹平選手は夏、初めての準優勝について「最高の仲間と優勝という結果で終わりたかったのですが、京都国際が1枚、うわてでした。ただ最後まで楽しく、やり残すことなくできたのかなと思います」とすがすがしい表情で振り返りました。
また甲子園の大声援に感謝を示し「関東第一の歴史を塗り替えることができたのも、忙しい中、球場に足を運んでくれて声援を送ってくれた方々のおかげだと思っています。しっかり感謝して『ありがとう』ということばを伝えたいです」と話していました。

畠中鉄心 投手「高校3年間の集大成になった」

先発して6回を0点に抑えた畠中鉄心投手は「初めての日本一がかかっていたので、やってやろうという気持ちでマウンドに上がりました。ピンチの場面もしっかりと切り抜けることができて、高校3年間の集大成になったと感じています。すごくよい経験になりました」と振り返りました。
夏では初の準優勝について「仲間とここまで来られて、すごく楽しい時間になりました。歴代の先輩を超えられたのは、すごくうれしいのですが、負けてしまったので、来年日本一を取ってもらいたいです」と後輩に託していました。

坂井遼 投手「期待に応えられず悔しい」

坂井遼投手は「先発の畠中がよく投げてくれていたのですが自分はチームの期待に応えることができなかったので、本当に悔しかったです。『ごめん』ということばしかないです」と話しました。
甲子園準優勝までの道のりを振り返って「米澤監督や母、いろんな人に支えられてここまで来たので、本当に感謝でいっぱいです」と話していました。

【解説】関東第一 “攻めの守り”存分に発揮

「ヒットが少なくても守備で守り抜けば決勝まで来られる」

持ち味の“攻めの守り”をいかんなく発揮した関東第一は、最後の決勝もノーエラーで締めくくり、初優勝を次の世代へ託しました。関東第一は夏の地方大会の前に守備のミスから点を奪われる試合が目立ったことから、選手たちはミスを恐れず、守備でも攻めの意識を持つことを徹底してきました。

甲子園の舞台では、その“攻めの守り”で、セカンドの小島想生選手、ショートの市川歩選手の二遊間を中心に、強烈な当たりやボテボテでヒットになりそうな打球も華麗なプレーでアウトにして勝ち上がってきました。

決勝、キャプテンでサードの高橋徹平選手は「守り負けないようにしたい」と臨みました。2回、センターに抜けそうな二遊間の鋭いゴロに勢いよく一歩目を切ったショートの市川選手が追いつき、軽快な動きで一回転し一塁に送球してアウトにしました。

3回のピンチでは内野安打になりそうな勢いのない打球を素早く前進して捕球し、アウトにしました。また、高橋選手は9回、2アウト一塁・三塁のピンチで三遊間への難しいゴロをうまく処理し、小島選手も2回の守備機会でミスはありませんでした。

敗れはしたもののエラーは「0」、決勝までの5試合でわずか「3」でした。市川選手は「みんなミスを恐れずボールにくらいついていって、大会を通して“攻めの守り”ができました。守備の面では自分たちの野球を出し切れました。『守りがいい関東第一』と言われてうれしかったです」と充実した様子で話していました。

高橋選手は「ノーエラーというのは自分たちが積み上げてきた結果だと思います。ヒットが少なくても守備で守り抜けば決勝まで来られるというところを全国に見せられたのでよかったです」と堂々と話していました。

“自分たちの野球はやり切った”

関東第一の選手たちは笑顔で甲子園を去りました。

夏の甲子園 過去10年の決勝成績

▽2015 東海大相模 10-6 仙台育英
▽2016 作新学院 7-1 北海
▽2017 花咲徳栄 14-4 広陵
▽2018 大阪桐蔭 13-2 金足農
▽2019 履正社 5-3 星稜

▽2020 ※※新型コロナウイルス禍で中止※※
▽2021 智弁和歌山 9-2 智弁学園
▽2022 仙台育英 8-1 下関国際
▽2023 慶応 8-2 仙台育英
▽2024 京都国際 2-1 関東第一

〈データ〉今大会HRは7本 金属バット導入後で最少に

反発力を抑えた新たな基準の金属バットが導入されたことしの夏の全国高校野球では、ホームランが7本にとどまり金属バットが使用できるようになった1974年以降で最も少なくなりました。

高校野球では、ピッチャーをけがから守ることを主な目的に、ことしから反発力を抑えた新たな基準の金属バットが導入されました。日本高校野球連盟の試験では、打球の初速と平均速度が3%以上遅くなるほか、打球の飛距離が似た性能のバットでは5、6メートル落ちるというデータもあり、選手たちの対応に注目が集まっていました。

今大会はなかなかホームランが出ず、大会6日目、19試合目に神奈川の東海大相模高校の柴田元気選手が打ったホームランが第1号となりました。
その後、智弁和歌山高校の花田悠月選手が木製バットで打った1本を含めて7本でした。

金属バットが使用できるようになった1974年(昭和49年)の大会以降で、これまでで最もホームランが少なかったのは1974年の11本で、最も少なくなりました。

ホームランはことしのセンバツでも金属バットが導入されてから最も少ない3本にとどまっていて、反発力を抑えた新たな基準の金属バットが導入されたことしは、春夏ともにこの50年での最少を更新する形になりました。

夏の全国高校野球では金属バットの導入でホームランが急増し、2017年(平成29年)には大会記録となる68本のホームランが出て、個人でも広島の広陵高校の中村奨成選手が6本のホームランを打って大会記録を更新するなど、近年もホームランが多い傾向が続いていました。

▽ラッキーゾーンが撤去されて最初の大会となった1992年(平成4年)は14本
▽金属バットの重さが900グラム以上に制限されたよくとしの2003年(平成15年)も13本と、これまでもルールの変更によってホームランの数が少なくなることはありました。ただ今回はそれらを大きく下回り、初めて一大会で1桁にとどまりました。

〈データ〉得点・打率も低い水準 投高打低の大会に

反発力を押さえた金属バットが導入されたことしの夏の全国高校野球は、ホームランの数が最も少なくなっただけでなく、得点や打率も近年では極めて低い水準となりました。

【1試合 平均得点】
「6.42」で、去年の「9.48」と比べて3点以上減少。
同じ水準だったのは、1992年までさかのぼり、両チームが3点前後のロースコアで争う試合が多かったことが伺えます。

【大会全体の打率】
2割5分3厘」で、去年の「2割8分6厘」から大幅低下。
打率は2017年に3割3厘を記録するなど近年は高い水準が続いていましたが、1992年以来、32年ぶりに2割6分を切りました。
【投手成績】
▽無失点勝利:「17」で去年の「7」からプラス10。
▽完投:「31」で去年の「14」から倍以上に。
▽防御率:「2.10」でおととしの「4.23」、去年の「3.56」と比べ良化。

「投高打低」が際立つ結果となりました。

今大会 勝ち上がり結果

==試合経過【詳しく】==

7:30ごろ

両チームが球場入り

◇関東第一

一塁側の関東第一の選手たちは、午前7時半ごろ米澤貴光監督を先頭に甲子園球場に入りました。このうち4番でキャプテンの高橋徹平選手はしっかりと前を向き、引き締まった表情で歩いていました。

米澤貴光 監督「全力で生徒たちと楽しみたい」

米澤貴光監督は試合前「選手たちは、けさも朝食をしっかり食べていたし、いつもどおりだ。目の前の試合を全力で生徒たちと楽しみたい。前半は我慢して先制点を与えないことが理想だ。終盤に何か1つのきっかけをつかめれば」と話していました。

高橋徹平 主将「守り負けない野球をやっていきたい」

キャプテン、高橋徹平選手は試合前「緊張していますが、この緊張を楽しみたいです。ロースコアの展開を予想しているので、守り負けない野球をやっていきたいです。相手投手を打ついいイメージはできています」と話していました。

◆京都国際

続いて三塁側の京都国際の選手たちが姿を見せ、小牧憲継監督を先頭にキャプテンの藤本陽毅選手やエースの中崎琉生投手などが落ち着いた表情で堂々とした様子で球場に入っていきました。

小牧憲継 監督「たくましく相手とぶつかってほしい」

小牧憲継監督は試合前「もともと力がなかった選手たちだったが、甲子園というすばらしい舞台で大観衆の前で試合をするたびに成長しているのを感じる。1年前の気弱な姿はもうない。たくましく相手とぶつかってほしい」と話していました。

藤本陽毅 主将「負ける気がしないという気持ち」

キャプテンの藤本陽毅選手は試合前「きのうの夜は優勝インタビューのことを考えてあまり寝られませんでした。それくらいどこの高校よりも負ける気がしないという気持ちを全員が持っています。決勝でもライト方向に低く強い打球を打つことを意識して、ふだんと変わらない野球をしたいです」と話していました。

《先発メンバー:成績は今大会(準決勝まで)》

◆先攻:京都国際(京都)

▽1(左)金本祐伍 .381 打点3
▽2(二)三谷誠弥 .381 打点0
▽3(中)澤田遥斗 .368 打点1
▽4(遊)藤本陽毅 .400 打点4
▽5(右)長谷川颯 .500 打点4
▽6(一)高岸栄太郎 .231 打点2
▽7(捕)奥井颯大 .286 打点2
▽8(三)清水詩太 .250 打点1
▽9(投)中崎琉生 .200 打点0

◇後攻:関東第一(東東京)

▽1(中)飛田優悟 .188 打点1
▽2(右)成井聡 .250 打点2
▽3(左)坂本慎太郎 .231 打点1
▽4(三)高橋徹平 .200 打点1 HR1
▽5(一)越後駿祐 .667 打点1
▽6(二)小島想生 .154 打点2
▽7(捕)熊谷俊乃介 .357 打点2
▽8(遊)市川歩 .071 打点1
▽9(投)畠中鉄心 .000 打点0

10:00すぎ

【試合開始】

午前10時すぎ、夏の全国高校野球の決勝、東東京の関東第一と京都国際の試合が始まりました。先攻は京都国際、後攻は関東第一で、ともに初優勝を目指します。開場から100周年を迎えた甲子園球場での節目の大会の決勝は、先制点が勝負の行方を大きく左右することになりそうです。

【1回表】京都国際 三者凡退

関東第一 畠中鉄心投手

▽1.金本 ショートライナー
▽2.三谷 ピッチャーゴロ
▽3.澤田 見逃し三振

【1回ウラ】関東第一も3人で攻撃終了

▽1.飛田 サードゴロ
▽2.成井 ピッチャーゴロ
▽3.坂本 ショートゴロ

【2回表】京都国際 好守に阻まれノーヒット

京都国際は相手のショートの好守備に阻まれ、ヒットが出ませんでした。

▽4.藤本 ショートゴロ
▽5.長谷川 レフトフライ
▽6.高岸 ショートゴロ

【2回ウラ】関東第一もノーヒット

京都国際 中崎琉生投手

関東第一は、京都国際の中崎投手のテンポのいいピッチングを前に、3人で攻撃を終えました。

▽4.高橋 ライトフライ
▽5.越後 空振り三振
▽6.小島 セカンドゴロ

【3回表】京都国際 両チーム通じ初安打も無得点

関東第一 畠中鉄心投手

京都国際は2アウトからこの試合、両チームを通じて初のヒットからの連打でチャンスを作りましたが得点にはつながりませんでした。

▽7.奥井 センターフライ
▽8.清水 ライトライナー
▽9.中崎 センター前ヒット
▽1.金本 センター前ヒット 2アウト一塁二塁
▽2.三谷 ショートゴロ

◆京都国際 約2800人がアルプス席に

中崎投手が小学生の時の野球チーム監督 藤川哲人さん

京都国際のアルプス席には在校生をはじめ保護者やOBなどこれまでで最も多いおよそ2800人が集まりエールを送っています。決勝が始まる1時間以上前からアルプス席に集まりはじめ、試合前に選手たちがグラウンドに登場すると歓声と拍手が沸き起こりました。

エースの中崎琉生投手が小学生の時に所属していた野球チームの監督、藤川哲人さんは「中学校と高校とたくさん努力して、今、エースとしてチームを引っ張っていると思うと感慨深い。持ち前の根性とやる気で優勝に導いてほしいと思う」と話しました。
また、小牧憲継監督の妻の姉、藤本絵里さんは「監督には幼い子どもがいますが、練習で帰りが遅いので私が一緒に妹の子育てを手伝ってチームを応援しています。自分のチームに誇りをもっていつも戦っている監督を尊敬しています。優勝を願っています」とエールを送っていました。

【3回ウラ】関東第一 ここまでランナー出せず

3回ウラ、関東第一は3人が続けて内野ゴロに打ち取られて攻撃を終えました。関東第一はここまでランナーを1人も出せていません。

▽7.熊谷 ショートゴロ
▽8.市川 サードゴロ
▽9.畠中 セカンドゴロ

◇関東第一もアルプス席に約2800人

関東第一 チアリーダー部の近藤永麻 部長

東東京の関東第一のアルプス席には、生徒や保護者などおよそ2800人が集まり、エールを送っています。吹奏楽部は現役部員と卒業生、およそ150人が高らかな音色を球場全体に響かせています。決勝にはチアリーダー部37人も応援に駆けつけました。大会に参加していたため準々決勝と準決勝は応援できませんでしたが、3試合ぶりに声援を送っています。

部長の近藤永麻さんは「大会前日に野球部が決勝進出を決めて、すごく元気をもらいました。大会に全力を出しきれたので、野球部のみんなが全力を出し切ってもらえるような応援をしていきたいです」と話しました。
初優勝に向けて後押ししようと野球部のOBも駆けつけています。米澤貴光監督と同学年で当時、キャプテンを務めていた井口浩伸さんは「当時から冷静なプレーが光っていたが、甲子園でも落ち着いた采配で頼もしい。持ち味の守りを中心とした野球で悔いなく楽しんでほしい」とエールを送っていました。
当時、ピッチャーだった大根原政人さんは「米澤監督は現役時代、東東京大会の決勝で最後のバッターだった。あの悔しさを大舞台で晴らし、野球人生最高の日にしてほしい」と話していました。

【4回表】京都国際 四球のランナー出すも無得点

京都国際 ランナー出すもけん制アウトに

京都国際はフォアボールでランナーを出しましたが、けん制球でアウトにされ、3人で攻撃を終えました。

▽3.澤田 ショートゴロ
▽4.藤本 フォアボール
▽5.長谷川 キャッチャーからのけん制球で一塁ランナーがアウトに。
      サードへのファールフライ

【4回ウラ】関東第一 チーム初安打も後が続かず

京都国際 中崎琉生投手

関東第一は2番・成井選手がチーム初ヒットで出塁しましたが、中軸にヒットが出ず、無得点でした。

▽1.飛田 セカンドゴロ
▽2.成井 ショートへの内野安打
▽3.坂本 レフトライナー
▽4.高橋 空振り三振

【5回表】京都国際 初の長打で三塁まで進むも先制ならず

京都国際は両チーム通じて初の長打となるツーベースヒットをきっかけにランナーを三塁まで進めましたが先制はできませんでした。

▽6.高岸 レフトフライ
▽7.奥井 左中間へのツーベースヒット 1アウト二塁
▽8.清水 レフトフライ 2アウト二塁
▽9.中崎 ショートへの内野安打 2アウト一塁三塁
▽1.金本 ショートゴロ

【5回ウラ】関東第一 この試合2本目の安打も無得点

関東第一 熊谷選手が二塁をねらうもアウトに

5回ウラ、関東第一は7番・熊谷選手が内野安打を打ち、ボールがそれた間に二塁をねらいましたがアウトとなって3人で攻撃を終えました。
5回終了でクーリングタイムに入っています。

▽5.越後 センターフライ
▽6.小島 見逃し三振
▽7.熊谷 セカンドへの内野安打→二塁ねらうもタッチアウト

〈豆知識〉クーリングタイム

▽暑さ対策として去年から導入
▽5回ウラ終了後 10分間
▽ベンチ裏のエアコン効いたスペースで体を冷却

【6回表】京都国際 二塁三塁の好機も得点ならず

ピンチを切り抜けた関東第一 畠中投手

京都国際は二塁三塁のチャンスをつくりましたが得点にはつなげられませんでした。

▽2.三谷 ショートへの内野安打
▽3.澤田 送りバントが内野安打に ノーアウト一塁二塁
▽4.藤本 送りバント成功 1アウト二塁三塁
▽5.長谷川 センターフライ 2アウト二塁三塁
▽6.高岸 空振り三振

【6回ウラ】関東第一 得点圏へ進むも無得点

関東第一は1番・飛田選手が内野安打で出塁し、盗塁で二塁まで進みましたが、続く2番・成井選手が打ち取られて無得点でした。

▽8.市川 見逃し三振
▽9.代打 滝川 見逃し三振
▽1.飛田 サードへの内野安打
▽2.成井 初球に盗塁でランナー二塁→ピッチャーゴロ

【7回表】京都国際 3人で攻撃終了

関東第一 2人目の坂井投手が登板

7回表、京都国際はこの回からマウンドに上がった相手のエース、坂井投手に打ち取られ3人で攻撃を終えました。

▽7.奥井 ファーストゴロ
▽8.清水 セカンドゴロ
▽9.中崎 センターフライ

【7回ウラ】関東第一 この回も得点圏に進むも先制ならず

7回ウラ、関東第一は4番・高橋選手がフォアボールで出塁し、その後、二塁まで進みましたが、チャンスを生かせず得点を奪えませんでした。

▽3.坂本 ファーストゴロ
▽4.高橋 フォアボール
▽5.越後 ファーストゴロ 2アウト二塁
▽6.小島 セカンドゴロ

【8回表】京都国際 この回も三者凡退

京都国際は7回に続いて相手の坂井投手に抑えられ、3人で攻撃を終えました。

▽1.金本 ファーストライナー
▽2.三谷 ライトフライ
▽3.澤田 空振り三振

【8回ウラ】関東第一 この回も得点圏に進むも無得点

関東第一は8番・市川選手がライト前ヒットで出塁し、送りバントで二塁まで進みました。しかし1番・飛田選手がサードライナーで得点はなりませんでした。

▽7.熊谷 ショートゴロ
▽8.市川 ライト前ヒット
▽9.坂井 送りバント 2アウト二塁
▽1.飛田 サードライナー

【9回表】京都国際 三塁まで進むも均衡破れず

京都国際は先頭バッターが三塁まで進みましたが、得点はできませんでした。京都国際はここまで3回、三塁にまでランナーを進めたもののホームにかえせていません。

▽4.藤本 センター前ヒット
▽5.長谷川 送りバント成功 1アウト二塁
▽6.代打・服部 ファーストへのファールフライ→ランナーはタッチアップで三塁へ 1アウト三塁
▽7.奥井 デッドボール 2アウト一塁三塁
▽8.清水 サードゴロ

【9回ウラ】関東第一 満塁のチャンス生かせず 延長へ

関東第一は先頭の2番・成井選手がデッドボールで出塁し、送りバントで1アウト二塁のチャンスを作りました。このあと相手のエラーなどで2アウト満塁としましたが、7番・熊谷選手がライトフライでサヨナラ勝ちのチャンスを生かせませんでした。試合はタイブレーク方式の延長に入りました。

▽2.成井 デッドボール
▽3.坂本 送りバント 1アウト二塁
▽4.高橋 センターフライ 2アウト二塁
▽5.越後 申告敬遠 2アウト一塁二塁
▽6.小島 ショートゴロエラー 2アウト満塁
▽7.熊谷 ライトフライ

決着は延長タイブレークに 決勝で春夏通じ初

関東第一と京都国際の決勝は、9回まで両チーム無得点で、延長10回からノーアウト一塁・二塁で攻撃を始めるタイブレークに入りました。

夏の甲子園で決勝が延長に入るのは、2006年に西東京の早稲田実業と北海道の駒大苫小牧高校の試合以来18年ぶりで、このときは延長15回、引き分け再試合となりました。
2018年にタイブレークが導入されてから、決勝で行われるのは春夏通じて初めてです。

【延長10回表】京都国際が2点を先制

京都国際 金本選手 先制点となる押し出しのフォアボール

京都国際の攻撃はタイブレークでノーアウト一塁二塁から始まりました。先頭バッター、代打・西村選手のヒットで満塁とすると、続くバッターがフォアボールを選び、押し出しで京都国際が先制しました。さらに3人目として登板した大後投手から犠牲フライで1点を追加し、2対0とリードしました。

▽9.代打・西村 レフト前ヒット ノーアウト満塁
▽1.金本 フォアボール 押し出しで先制 ノーアウト満塁
(関東第一0-1京都国際)
▽2.三谷 ライトフライ タッチアップから三塁ランナーがかえり追加点
 1アウト一塁二塁
(関東第一0-2京都国際)
▽3.澤田 センター前ヒット 1アウト満塁
▽4.藤本 セカンドゴロ ホームで1人アウト 2アウト満塁
▽5.長谷川 センターフライ

京都国際 犠牲フライで2点目

【延長10回ウラ】関東第一 1点返すも届かず 京都国際が初優勝

京都国際は好投のエース中崎投手に代わり、2人目の西村投手がマウンドに上がりました。関東第一はタイブレークの一塁二塁から、送りバント。これを相手がエラーしノーアウト満塁としました。そしてショートゴロで1点差とし、このあと再び満塁となりましたが追加点は奪えず、2対1でリードを守った京都国際が初優勝を果たしました。

▽8.市川 送りバント・ピッチャーのエラー ノーアウト満塁
▽9.代打 堀江 ショートゴロでランナー生還 1アウト一塁三塁
(関東第一 1-2 京都国際)
▽1.飛田 フォアボール 1アウト満塁
▽2.成井 ファーストゴロ 2アウト満塁
▽3.坂本 空振り三振
(試合終了)

《決勝の見どころ》

【関東第一】
最速150キロを超える力のあるストレートが持ち味の坂井遼投手と、鋭い変化球で緩急をつけたピッチングが特長の畠中鉄心投手の2人のエースが中心となって、ここまで4試合で失点は「5」です。安定した投手陣が中心となって、ここまで勝ち上がってきました。

守りも堅くセカンドの小島想生選手とショートの市川歩選手の二遊間が中心となり、ヒットになりそうな打球を何度もアウトにしてきました。さらに準決勝の鹿児島の神村学園との試合では1点リードの9回、2アウト一塁・二塁の場面で、センター前ヒットでホームをねらった二塁ランナーをセンターの飛田優悟選手が好返球でタッチアウトにして同点のピンチを切り抜け決勝進出を果たしました。

【京都国際】
エースの中崎琉生投手と2年生の西村一毅投手の2人の左腕の好投で勝利を重ねてきました。大きく曲がるスライダーが持ち味の中崎投手は、ここまで3試合で22イニングを投げ失点「5」で、防御率が2.05と安定しています。
落差のあるチェンジアップを駆使して緩急を生かす西村投手は、3試合で23イニングを投げて失点・自責点ともになく、防御率は0.00です。

打線は1番から5番までが打率3割5分以上をマークし、このうち準決勝の青森山田との試合で同点タイムリーヒットを打った5番の長谷川颯選手は打率5割と好調です。
ともに投手陣の抜群の安定感で勝ち上がってきた両チームの対戦で、先制点が初優勝の行方を大きく左右しそうです。

《両チームの今大会成績》

◇関東第一(東東京)/4試合

▽2回戦  :○ 7-1 北陸(福井)
▽3回戦  :○ 3-2 明徳義塾(高知)
▽準々決勝:○ 2-1 東海大相模(神奈川)
▽準決勝 :○ 2-1 神村学園(鹿児島)

▼得点(1試合平均):3.5
▼チーム打率:.258
▼ホームラン数:1
▼長打数:6
▼盗塁:2
▼犠打:12

▼失点:(1試合平均)1.25
▼チーム防御率:1.00
▼失策:3

◎個人投手成績

◇坂井遼(右)4試合 15回2/3
 ▼被安打10▼奪三振15▼与四死球2▼失点0
◇畠中鉄心(左)3試合 13回1/3
 ▼被安打13▼奪三振9▼与四死球3▼失点4
◇大後武尊(右)1試合 5回
 ▼被安打4▼奪三振0▼与四死球1▼失点1
◇坂本慎太郎(左)1試合 2回
 ▼被安打1▼奪三振2▼与四死球3▼失点0

◆京都国際(京都)/5試合

▽1回戦  :○ 7-3 札幌日大高(南北海道)
▽2回戦  :○ 4-0 新潟産大付(新潟)
▽3回戦  :○ 4-0 西日本短大付(福岡)
▽準々決勝:○ 4-0 智弁学園(奈良)
▽準決勝 :○ 3-2 青森山田(青森)
▼得点(1試合平均):4.4
▼チーム打率:.337
▼ホームラン数:0
▼長打数:9
▼盗塁:1
▼犠打:17

▼失点(1試合平均):1.00
▼チーム防御率:1.00
▼失策:5

◎個人投手成績

◇西村一毅(左)3試合 23回
 ▼被安打11▼奪三振13▼与四死球10▼失点0
◇中崎琉生(左)3試合 22回
 ▼被安打22▼奪三振28▼与四死球4▼失点5