“アコヤガイ 宮城県沖で初確認”と知事発表 真珠養殖を検討へ

宮城県の村井知事は23日の記者会見で、真珠の養殖に使われるアコヤガイが宮城県沖で初めて確認されたと発表しました。今後、県内での真珠養殖に活用できるか、検討したいとしています。

アコヤガイは真珠の養殖に使われる二枚貝で、海水温が12度前後に下がると死滅してしまうことから、生息の北限は太平洋側では千葉県とされてきました。

村井知事の23日の会見によりますと、ことし10月、石巻市の漁業者が沖合でアコヤガイとみられる貝を見つけ、県の依頼を受けた日本真珠振興会の研究室が分析したところ、DNAの配列からアコヤガイと確認されたということです。

県水産技術総合センターでは、これまでに見つかったアコヤガイ26枚を飼育しています。

海水温の上昇で宮城県沖では特産のホヤやカキなどの死滅が相次いでいて、県では真珠の養殖について調査を始めていたところで、見つかったアコヤガイの活用を検討したいとしています。

村井知事は「これから本格的な冬になるので、アコヤガイが生き残れるのかどうかや、病気に対する耐性などを研究していきたい」と述べました。

そのうえで「真珠はしっかりしたものができれば販売はそれほど難しくなく、しかも非常に付加価値が高い。将来的におもしろい産業に育つ可能性は十分ある」と述べ、今回見つかったアコヤガイ活用に期待を寄せました。

専門家「生息に適した環境になっていくかがポイント」

日本真珠振興会ミキモト分室の竹内猛主席研究員は、宮城県での真珠養殖の可能性について、「全国的に真珠の養殖は難しくなっている。新しい生息域として宮城県でも見つかったことは、アコヤガイの遺伝的多様性を維持するうえで大事になる可能性がある。たまたま2、3年、海水温が高くなっただけなのか、今後、生息に適した環境になっていくのかが大事なポイントになる」と話していました。

漁業者 “水揚げ時に違う貝があった”

石巻市荻浜の沖合でカキの養殖を行っている江刺寿宏さんは、11月13日に養殖用のいかだにアコヤガイが付いているのを見つけたということです。

江刺さんは、将来的にアコヤガイの養殖ができないかを調査するため、6月に三重県にある養殖場を視察していたことから、すぐにアコヤガイだと気付きました。

江刺さんが最初に見つけたものは、手のひらに収まるサイズで、その後も複数回見つけ、中には手のひらよりも大きいサイズもあったということです。

江刺さんは「カキの水揚げをしているときに、1つだけ違う貝があるのに気付き、よく見たらアコヤガイでした。近年の水温上昇で、養殖のカキが死滅して大きな影響を受けているので、もしかするとこのアコヤガイが、カキに代わる養殖になるのではないかと期待しています」と話していました。