「牛川人骨」は1950年代に豊橋市牛川町で見つかった化石で、当初は中期更新世、今からおよそ10万年前のヒトの上腕骨と大たい骨とされ、“国内最古の化石人骨”として話題となり、一時は教科書でも紹介されました。
その後、1990年ごろから動物の骨ではないかという指摘が出ていたため、化石を所蔵する東京大学総合研究博物館の諏訪元 特任教授などで作る研究グループが改めて調査を行い、いずれの化石もクマの骨と特定したと論文で発表しました。
研究グループではCTで骨の内部の構造を撮影するなどして分析し、その結果、ヒトの上腕骨とされていた化石は「三角筋粗面」と呼ばれる骨の表面の平らな面の位置や、内部の空洞の広がり方などからクマの前腕、とう骨の一部と特定したということです。
また、ヒトの大たい骨の一部とされていた化石は、骨の表面にあるくぼみの深さや、骨の裏側に突起があることなどから、クマの大たい骨の一部と特定したということです。
いずれの骨も、発見された地層などから、2万年以上前の後期更新世のもので、ヒグマのものの可能性が高いということです。
諏訪 特任教授は「牛川人骨はヒトではないと言い切れない状況が続いていたので、今回あいまいな状況を解消できてよかった」とコメントしています。
“国内最古の化石人骨” 研究者が2万年以上前のクマの骨と特定
1950年代に愛知県豊橋市で発見され、“国内最古の化石人骨”とされた「牛川人骨」について、東京大学の研究者などでつくるグループは、2万年以上前のクマの骨と特定したと発表しました。