タイ ミャンマー国境付近で外国人が詐欺に加担させられる被害

東南アジアのタイとミャンマーとの国境近くで旅行者などの外国人がだまされて詐欺に加担させられるケースが相次いでいるとして、タイの警察は、関係国と連携し犯罪の監視や対策の強化に乗り出しています。

タイの警察によりますと、ミャンマーとの国境地帯では、中国人などによる特殊詐欺グループの活動が活発化していて、旅行者など外国人がだまされて詐欺に加担させられるケースが相次いでいるということです。

今月上旬には、タイに入国した中国人の俳優の男性がミャンマーと国境を接する町で行方が分からなくなり、その後、髪をそられた状態でミャンマー側で保護され、タイに引き渡されたとしています。

中国メディアによりますと男性は、犯罪グループの拠点に監禁され詐欺の訓練を受けるよう強制されていて「建物には少なくとも50人ほどがいた」と説明しているということです。

タイの市民団体などによりますと、タイや中国と国境を接するミャンマーでは特殊詐欺グループの拠点に多くの外国人が監禁されていて中には、日本人も含まれているという情報もあるということです。

これについて現地の日本大使館は「監禁の有無を含め事実関係を確認中だ」としています。

4年前のクーデター以降、情勢が不安定なミャンマーには特殊詐欺グループの拠点が複数あるとみられていて、タイの警察は、ミャンマーを含む関係国と連携し犯罪の監視や対策の強化に乗り出しています。

中国外相「関係国が強力な措置を」

中国でも特殊詐欺が社会的な問題となる中、俳優の男性がミャンマーに連れ去られて詐欺の訓練を強制されたという事件はSNSなどで注目を集めました。

中国の王毅外相は16日、ASEAN=東南アジア諸国連合の外交官らとの会談で今回の事件も念頭に「タイとミャンマーの国境地帯では最近、悪質な事件が相次いでいる」と指摘しました。

そして「関係国が責任を持って犯罪組織を決して許すことなく強力な措置をとることを望む」とした上で各国と連携して対策に当たる姿勢を強調しました。