脱・重いテント泊装備! 注目の軽量ギア
テント泊を楽しもうとなると、どうしても重くなりがちな登山の荷物。ウルトラライトなギアが注目される今、装備の軽量化を考えている人も多いのではないでしょうか。
とりわけ重量があるテントは負担になりやすいですが、ここ数年は各メーカーから軽量なテントが数多く輩出されています。今日は、そんな軽量テントの中から、編集部が注目している逸品をご紹介します。
ダブルウォールで960g! <HERITAGE>の超軽量テント“HI-REVO”
長野県安曇野市を拠点に、製品の企画開発から生産にいたるまで、自社で行う登山用品メーカー<HERITAGE(ヘリテイジ)>。山岳テントをはじめ、ゴアテックスのウエアやシュラフカバーなど、高性能な製品を生み出しています。
<ヘリテイジ>は社員全員が登山者であり、クラフトマン。知識や経験からくるユーザー目線のものづくりと、納得いくまで山でテストをし、改良を重ねて誕生した製品は、登山者の信頼と人気を集めています。
そんな<ヘリテイジ>から、2018年6月に発売されたのが、こちらのテント“HI-REVO(ハイレヴォ)”。
最大の特徴は、960gという軽量さ。ダブルウォールテントでありながら、本体・ポール・張網・スタッフバッグ合計で、ついに1㎏を切りました。ペグ8本を合わせても総重量1,010gと、一般的なダブルウォールテントよりもかなり軽量です。
編集部員が試し張り! この超軽量テント、実際どうなの!?
軽量なテントがほしいな~と思っていた編集部員。そんなときに出会ったのが、この<ヘリテイジ>の“ハイレヴォ”です。
ただ、軽量なテントって、軽量化を図るために何かを犠牲にしているイメージはありませんか? その点が気になったので、実際に山で張ってみることに。テント選びのポイントとなる『設営のしやすさ』『快適性』『携行性』を調査しました。
【1】設営のしやすさは?
まずは設営のしやすさを見てみましょう。本体を広げるとこのような感じです。
こちらがポール。結構細めです。
ポールを組み立て、ポールスリーブへ。
ポールを入れてみると、ポールスリーブの片側は行き止まりになっていました。これ、非常にありがたい機能! テントによっては、ポールエンドにあるグロメット(穴)にポールを固定しに行かなければなりませんが…
“ハイレヴォ”は、ポールエンドが袋状になっているので、ポールを入れてそのまま立ち上げることができました。たったひと手間ですが、このひと手間が意外と大きいもの。悪天候や寒い日など、素早く設営したいときに嬉しい機能です。
立ち上げてみると、入口の2か所にメッシュのベンチレーターがありました。入口の開閉用のジップの他に、ベンチレーター用のジップもついています。
ポール差し込み側のポールスリーブにある2か所のアジャスターでテントの張り具合を調整。
あっという間に本体の設営完了です。
横顔はこのような感じで、すっきりとシンプル。
後ろ側にも右下にベンチレーターがあります。
このベンチレーターは、内側から閉じることも可能です。
テント本体設営してみると、ポールスリーブにアーチ状の空間が数カ所ありました。独特な形状ですが、これはいったい何なのでしょうか。後ほど確認しましょう。
続いて、フライシートを本体にかぶせます。
そして、フライシートの四隅についているナスカンを、テント本体の赤いループに引っ掛けるだけ。
最後に張網をペグで地面に固定。三角形のロックで張り具合を調整して完了です。
手間だと感じるような工程が一切なく、面倒くさがりの編集部員Oでも楽に設営ができました。
設営のしやすさは文句なし。では居住空間はどうなのでしょうか。
【2】快適に過ごせる?
入口が大きいのは高ポイント! 出入りや荷物の出し入れがしやすそうです。前室は狭めですが、靴やちょっとしたギアを置くスペースは確保できます。
入口上部にあるベンチレーター。雨天時でも換気ができる仕様になっているのも良いですね。
フライシートの入口のジップの一番下には、裏側に面ファスナーが配されています。
フライシートの左側にも面ファスナーがついているので、簡単に入口を開放状態にできちゃいます。
テント本体の入口は、リボンテープで固定可能。テント内はどんな感じかというと…
ハイレヴォの内寸はこちら。
マットと寝袋を配置してみました。隣にザックを置くスペースもしっかり残っています。
しばらくテント内で過ごしてみましたが、1人用テントとして十分な居住空間です。
編集部員Oが気になったのは、ちょっと生地が薄いかなということ。地面の凹凸をダイレクトに感じてしまうので、テントマットや寝袋マットは必須な印象でした。
【3】携行性はどうなの?
“ハイレヴォ”の一番の強みともいえる「軽量さ」。編集部員Oがいつも使ってるテントの総重量が1,600g程度に対し、“ハイレヴォ”は1,010gなので、500mlのペットボトル1本分くらいの差があります。
実際に担いで山を歩いていても、“ハイレヴォ”は負担が少なく感じられました。収納サイズも非常にスリムでかさばらず、ザックに入れやすいのが良いですね。
“ハイレヴォ”の軽さの秘密は、使用している生地にあります。
テント本体を設営した時のアーチ状の空間(赤丸部分)を覚えていますか? 実はこれ、使用する生地を減らすことで軽量化しているんです。
撥水性・耐水性などの必要な機能や設営のしやすさ、居住性は保ちつつ、必要のない部分は削ぎ落とすという考え方です。
テント本体に対し、フライシートの丈が比較的短めになっているのも同様の考えから。
さらに、ポールやペグも超軽量。アルミ合金の中空ポールは直径7.5mmと、ボールペンよりやや太いくらいです。ペグもアルミ合金で1本わずか6g。軽くてコンパクト、携行性は申し分ないことが分かりました。
続いて、気になる耐久性を見てみましょう!
やはり気になる耐久性、知っておきたい“ハイレヴォ”のこと
『設営のしやすさ』『快適性』『携行性』は問題なさそうですが、テント泊時に悪天候の場合もありますし、夜を共にすることになるので『耐久性』もやはり気になりますよね。
<ヘリテイジ>のオフィシャルサイトに、下記の記載があります。
HI-REVOは軽量化を実現するために、補強材や補強縫製などを必要最小限としています。設営撤収などの際の取り扱いには十分にご注意ください。
より高度な耐久性・耐風性をお求めの方はエスパーステントをご検討ください。
テントのコンセプトは千差万別
<ヘリテイジ>には、ハイレヴォとは位置づけの異なるモデルが存在します。
■軽量山岳テント“ソロアルティメイト”(右)
あらゆる山岳環境に適応し、“エスパース“(※)のノウハウがつぎ込まれた、居住性の高いダブルウォール軽量山岳テント。
テントの居住性には及ばないが、テントより大幅に軽くツェルトよりも快適に使える軽量シェルター。
■軽量山岳テント“ハイレヴォ”(中央)
ソロアルティメイトより軽く、クロスオーバードームよりも居住性に優れるダブルウォール軽量山岳テント。
では、“ハイレヴォ”はどんな人におすすめ?
“ハイレヴォ”のユーザー評価が知りたい!
“ハイレヴォ”の実力はまだまだ未知数。発売当初に購入してハイレヴォ”を愛用している方に、使用感を聞いてみました。
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軽量・コンパクトで、私のような初心者でも簡単に設営できました。特に居住性は、高さ広さとも申し分ないです。
8月中旬に下界のオートキャンプ場で初めて使用した時は、翌朝室内が少し結露していました。「ダブルウォールなのになぜ?」という感じですが、フライシートの張り方が甘く、本体との隙間が十分でなかったのかなと思いました。
8月下旬に標高900mほどの山で再び設営。前回の反省を生かし、フライシートをしっかり張って、本体のメッシュベンチレーターと重なる部分のフライシートのファスナーを下げて通気を良くしてみましたので、結露はありませんでした。
雨の日や寒い季節の設営はまだですが、日本製の割りには良心価格で今のところとても満足しています。 by neco0318さん
発売したばかりでレビューがなく、購入時はとても悩みましたが、数あるテントの中からハイレヴォを選んで大正解でした!
なんといっても、ダブルウォールで1kgを切る軽さに助けられ、気づいたら山行中でもテント泊だということを忘れてしまうほど楽しんでいました。
テント内はザックを入れても広々と使えて、終始快適なテント泊でした。
天候にも恵まれたテント泊デビューだったので、1泊2日の予定を2泊3日に変更して、山を存分に楽しみました。
今後もハイレヴォを担いで、たくさんの山に登って、色んな景色を見に行きたいです! by ayn__sskさん
総評:世界最軽量クラスの“ハイレヴォ”は好感触!
テント選びは、そのテントのメリット・デメリットを理解した上で、自分の登山スタイルや使用シーンに合うかどうか、譲れない機能やポイントは何かで選ぶことが大切。人によって最適なテントは変わります。
編集部員の“ハイレヴォ”の総評は、まだ決め手に欠ける部分がありますが好感触。“ハイレヴォ”のコンセプトに「ビビビッ」ときた人は、テント選びの候補に入れてみてはいかがでしょう。
ヘリテイジ HI-REVO 1人用
重量 | 960g |
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サイズ | 203×93×100cm |
ヘリテイジ クロスオーバードーム f <2G>
重量 | 540g |
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サイズ | 200×75×95cm |