インク API
Limited availability
This feature is not Baseline because it does not work in some of the most widely-used browsers.
Experimental: これは実験的な機能です。
本番で使用する前にブラウザー互換性一覧表をチェックしてください。
インク API を使用すると、ブラウザーは、インクアプリ機能でペンのストロークを描画する際に、利用可能な OS レベルのコンポジターを直接使用することができるため、応答遅延が短縮され、パフォーマンスが向上します。
概要と使用法
ウェブ上のインクは、ポインターイベントを使用して滑らかなペンのストロークを描画するアプリ機能(例えば、描画アプリや文書への署名機能)を指します。
ポインターイベントは通常、最初にブラウザープロセスに送信され、ブラウザープロセスはこれらのイベントを JavaScript イベントループに転送して、関連付けられたハンドラー関数を実行し、結果をアプリにレンダリングします。このプロセスの開始と終了の間にかなりの時間差が生じ、ユーザーが描画を開始(例えば、スタイラスやマウスを使用)してから、ストロークが画面に表示されるまでに遅延が生じる場合があります。
インク API は、ブラウザーが JavaScript イベントループを完全にバイパスできるようにすることで、この遅延を大幅に削減します。可能であれば、ブラウザーはこのような描画指示を OS レベルのコンポジターに直接渡します。基盤となるオペレーティングシステムに、この目的のために使用する専用の OS レベルのコンポジターがない場合、ブラウザーは自分自身で最適化された描画コードを使用します。これはコンポジターほど強力ではありませんが、それでもいくらかの改善が見られます。
メモ: コンポジターは、ブラウザーやオペレーティングシステムで UI を画面に描画するレンダリング機構の 1 つです。ウェブブラウザー内でコンポジターがどのように機能するかについて、興味深い解説は Inside look at modern web browser (part 3) をご覧ください。
エントリーポイントは Navigator.ink
プロパティで、これは現在の文書に対する Ink
オブジェクトを返します。Ink.requestPresenter()
メソッドは、DelegatedInkTrailPresenter
オブジェクトインスタンスで履行されるプロミス (Promise
) を返します。これにより、OS レベルのコンポジターは、それぞれのケースで、次に利用できるフレームでポインターイベントの配信の間にインク軌跡を描画するよう指示されます。
インターフェイス
Ink
Experimental-
アプリケーションが軌跡をレンダリングするために使用する
DelegatedInkTrailPresenter
オブジェクトへのアクセスを提供します。 DelegatedInkTrailPresenter
Experimental-
OS レベルのコンポジターに、ポインターイベントの配信の間にインクキセキを描画するように指示します。
その他のインターフェイスへの拡張
-
現在の文書の
Ink
オブジェクトを返します。
例
インクの軌跡の描画
この例では、2D キャンバスに軌跡を描きます。コードの先頭近くで、Ink.requestPresenter()
を呼び出し、その処理対象となるキャンバスをプレゼンテーション領域として渡し、返されるプロミスを presenter
変数に格納します。
その後、pointermove
イベントリスナーで、イベントが発生するたびに、軌跡の始点の新しい位置がキャンバスに描画されます。さらに、presenter
プロミスが履行されたときに返される DelegatedInkTrailPresenter
オブジェクトは、その updateInkTrailStartPoint()
メソッドを呼び出します。これは、次のように渡されます。
- 現在のフレームのレンダリング点を表す最後の信頼済みポインターイベント。
- 色と直径の設定を含む
style
オブジェクト。
その結果、次の pointermove
イベントを受信するまで、指定したスタイルで、アプリに代わって、ブラウザーの既定のレンダリングの前に、代理インクの軌跡が描画されます。
HTML
<canvas id="canvas"></canvas>
<div id="div">代理インクの軌跡は、この div の色と一致します。</div>
CSS
div {
background-color: rgb(0 255 0 / 100%);
position: fixed;
top: 1rem;
left: 1rem;
}
JavaScript
const ctx = canvas.getContext("2d");
const presenter = navigator.ink.requestPresenter({ presentationArea: canvas });
let move_cnt = 0;
let style = { color: "rgb(0 255 0 / 100%)", diameter: 10 };
function getRandomInt(min, max) {
min = Math.ceil(min);
max = Math.floor(max);
return Math.floor(Math.random() * (max - min + 1)) + min;
}
canvas.addEventListener("pointermove", async (evt) => {
const pointSize = 10;
ctx.fillStyle = style.color;
ctx.fillRect(evt.pageX, evt.pageY, pointSize, pointSize);
if (move_cnt === 20) {
const r = getRandomInt(0, 255);
const g = getRandomInt(0, 255);
const b = getRandomInt(0, 255);
style = { color: `rgb(${r} ${g} ${b} / 100%)`, diameter: 10 };
move_cnt = 0;
document.getElementById("div").style.backgroundColor =
`rgb(${r} ${g} ${b} / 60%)`;
}
move_cnt += 1;
(await presenter).updateInkTrailStartPoint(evt, style);
});
window.addEventListener("pointerdown", () => {
ctx.clearRect(0, 0, ctx.canvas.width, ctx.canvas.height);
});
canvas.width = window.innerWidth;
canvas.height = window.innerHeight;
結果
仕様書
Specification |
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Ink API # ink-interface |