ARIA: combobox ロール

combobox は、名前付き入力フィールドと、その入力フィールドに使用可能な値を提供するポップアップを組み合わせた複合ウィジェットです。このウィジェットの目的は、ユーザーが完全な値を入力しなくても値を選択できるようにし、サポートされる値が制限されている場合は、無効または非対応の値をユーザーが入力することを防ぐことで、ユーザー体験を向上させることです。

combobox ロールは、編集可能な combobox の場合は input 要素に、選択のみの combobox の場合は button 要素に設定できます。この要素は、ユーザーが値を設定するのに役立つ動的にポップアップ表示される listbox や grid などの他の要素を制御します。

combobox ロールを持つ要素は、編集可能な単一行テキストフィールド（<datalist> を持つものと同様の <input> 要素を使用）または選択のみの要素（直接テキスト入力を許可せず、現在の値のみを表示する button 要素を使用）のいずれかです。

WAI-ARIA combobox に必要な属性は aria-expanded だけです。ただし、実装に応じて、通常は他のいくつかの属性が必要です：aria-haspopup、aria-controls、aria-activedescendant、aria-autocomplete。

通常、combobox の初期状態は折りたたまれており、aria-expanded="false" が設定されています。折りたたまれた状態では、combobox 要素と、オプションでポップアップを呼び出すための兄弟要素であるボタンのみが表示されます。折りたたまれているときは、aria-expanded を false の値に設定することが必須です。これは、ウィジェットが拡張可能であることを支援技術に示すためです。

combobox は、現在の値を示す combobox 要素と、それに紐づくポップアップ要素の両方が表示されている場合に、展開状態になります。展開時には、aria-expanded="true" を設定する必要があります。

combobox に紐づくポップアップ要素は、listbox、tree、grid、または dialog 要素のいずれかです。

combobox には listbox の暗黙的な aria-haspopup 値があるため、ポップアップが listbox の場合、この属性を含めることは任意です。combobox ポップアップ要素が tree、grid、または dialog（listbox 以外）の場合、aria-haspopup 属性が必要です。aria-haspopup の値は、tree、grid、dialog、または listbox ロールのいずれかでなければなりません。このプロパティについて、true は menu を意味するので、値がブール値ではなく、ポップアップのロールに対応することを確認してください。

combobox のポップアップが表示される際は、combobox 要素の aria-controls 属性が、ポップアップの listbox、tree、grid、または dialog 要素の id に設定されていることを確認してください。これは、combobox ロールを持つ要素と、それが制御するポップアップとの関係を示す方法です。（注：古い ARIA 仕様では、これは aria-controls ではなく aria-owns でした。そのため、古い combobox の実装では aria-owns が見られる場合があります。コード内の aria-owns は aria-controls に更新する必要があります！）

combobox UI に、ポインターやタッチイベントを介してポップアップの表示を制御できるアイコンなどの可視コントロールが含まれている場合、そのコントロールは <button>、type が button の <input>、または tabindex が -1 の button ロール要素であるべきです。これにより、ボタンはフォーカス可能になりますが、キーボードタブシーケンスには含まれません。これは、role が combobox の要素の子孫であってはなりません。

キーボードアクセシブルにするには、combobox 要素と、ポップアップの listbox、tree、grid、または dialog に含まれる要素との間でフォーカスを移動するためのキーボードサポートをプログラムする必要があります。一般的な慣例の一つは、Down Arrow が input からポップアップ要素の最初のフォーカス可能な子孫にフォーカスを移動することです。

aria-activedescendant プロパティは、DOM フォーカスが combobox に残る実装において、combobox ポップアップの現在アクティブな要素（例：ポップアップ listbox 内の option）を識別するために使用できます。ポップアップが呼び出された時に DOM フォーカスが combobox に残らず、代わりに DOM フォーカスがダイアログなどのポップアップ内に移動する場合、aria-activedescendant は必要ない場合があります。

combobox が編集可能な <input> 要素として実装されている場合、combobox の値は input の値です。button 要素で実装された選択のみの combobox の場合、値はポップアップ内の選択されたオプションから取得されます。

aria-autocomplete 属性は、テキスト入力をサポートする編集可能な combobox にのみ適用されます。これらの combobox については、提供される動作に対応する値に属性を設定します：inline、list、または both。この属性は、テキストを入力すると、ユーザーの意図する値の 1 つ以上の予測が表示され、これらの予測がどのように提示されるかを指定することを示します。button 要素を使用する選択のみの combobox では、テキスト入力が不可能であるため、aria-autocomplete は使用すべきではありません。

すべての combobox にはアクセシブル名が必要で、これは 3 つの方法のいずれかで提供できます：

1. <input> 要素の場合、関連付けられた <label> を使用する。
2. UI に可視ラベルが存在する場合、ラベル要素の id を参照する aria-labelledby を使用する。
3. 可視ラベルが存在しない場合、aria-label を使用する。

aria-expanded

必須。combobox が開いている（true）か閉じている（false）かを識別します。

aria-haspopup

暗黙的。省略された場合、デフォルトは listbox です。tree、grid、または dialog もサポートします。combobox にポップアップがあることを識別し、そのタイプを示します。

Down Arrow

閉じている場合はポップアップを開き、次のオプションにフォーカスを移動します。何も選択されていない場合は最初のオプションに移動します。

Alt + Down Arrow （任意）

ポップアップが利用可能だが表示されていない場合、フォーカスを移動せずにポップアップを表示します。

Up Arrow

閉じている場合はポップアップを開き、前のオプションにフォーカスを移動します。何も選択されていない場合は最後のオプションに移動します。

Alt + Up Arrow （任意）

ポップアップにフォーカスがある場合、combobox にフォーカスを戻します。そうでなければポップアップを閉じます。

Escape

開いている場合はポップアップを閉じます。ポップアップが既に閉じている場合、編集可能な combobox の値をクリアします。

編集可能な combobox のキーボードインタラクション

Enter

ポップアップで自動補完候補が選択されている場合、combobox の値を更新し、入力カーソルを末尾に移動することで候補を受け入れます。 デフォルトアクション（例：メッセージングアプリケーションで、受け入れた値を受信者リストに追加する）をトリガーする場合もあります。

Tab

現在の値を受け入れ、次のフォーカス可能要素にフォーカスを移動します。

選択のみの combobox のキーボードインタラクション

Enter または Space

ポップアップが閉じている場合、ポップアップを開きます。ポップアップが開いていてオプションが選択されている場合、選択されたオプションを combobox の値として受け入れ、ポップアップを閉じます。

Tab

現在の選択を受け入れ、次のフォーカス可能要素にフォーカスを移動します。

Home または End

ポップアップが開いている場合、それぞれ最初または最後のオプションにフォーカスを移動します。

• HTML <label> 要素
• HTML <select> 要素
• HTML <option> 要素
• HTML <input> 要素
• ARIA: listbox ロール
• ARIA: option ロール
• ARIA: list ロール
• ARIA: listitem ロール
• ARIA Best Practices – Combobox
• Accessible combobox module examples by Deque