非国民通信

ノーモア・コイズミ

NATOの真意と、どこまでもナイーブな日本

2023-09-24 22:08:01 | 政治・国際

ポーランド、ウクライナにこれ以上武器供与せず 首相(AFP BB)

【9月21日 AFP】ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は20日、自国の防衛に専念するため、ウクライナへの武器供与はこれ以上行わないと述べた。

 ポーランドはウクライナ産穀物の輸入をめぐって同国と対立し、この発表の数時間前にはウクライナ大使を呼び出していた。

 モラウィエツキ首相は、穀物輸入をめぐる不一致にもかかわらず、ウクライナを支援し続けるのかという記者の質問に対し、「わが国はウクライナにこれ以上武器を供与しない。ポーランドの武器の近代化を進めるからだ」と答えた。

 

ポーランド大統領、首相の「武器供与停止」発言打ち消し(AFP BB)

【9月22日 AFP】ポーランドのアンジェイ・ドゥダ(Andrzej Duda)大統領は22日、ウクライナへの武器供与をこれ以上行わないとする前日のマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相の発言について、誤って解釈されたと主張した。

(中略)

 だがドゥダ大統領は首相の発言について、「最悪の形で解釈された」「ポーランド軍を近代化するために現在購入している新しい兵器は、ウクライナに供与しないという趣旨だったのだろう」と民放テレビTVN24に語った。

 ポーランドは、米国や韓国をはじめとする国々との間で多数の複数の武器調達契約を結んでおり、韓国にはK2戦車やK9自走榴弾(りゅうだん)砲を発注している。

 ドゥダ大統領は「米国と韓国から新兵器を受け取れば、ポーランド軍が現在使用している兵器を放出することになる。おそらくウクライナに供与することになるだろう」と述べた。

 

 現代においてウクライナと呼ばれる地域には、かつてキエフ公国という「ルーシ(ロシアの古名)」の中核国家が存在しました。これがモンゴル(タタール)によって滅ぼされた後にモスクワを中心としてロシア国家が再興を果たすわけですが、タタールが衰退した後にキエフ周辺を支配するようになったのはロシアではなくポーランドでした。ウクライナが現在の西部国境を獲得するに至ったのは独ソ戦によるポーランド国家の消滅を経てのことで、歴史的には因縁浅からぬ間柄でもあります。今でこそロシア憎しで結びついている両国にも、そうした歴史はあるのですね。

 ウクライナからの農産物はアフリカではなく専ら欧州方面に輸出されています。その結果として東欧では農産物の価格が下落、自国産業の保護のためウクライナからの輸入に制限を課す国も出てきたところで、ポーランドもその一つに加わったわけです。結果としてウクライナとポーランドで非難の応酬が展開され、それが冒頭の首相発言につながり、反ロを重視する大統領が釈明する展開になったと言えます。

 まぁ落ち着いてみれば、どちらも同じようなことを述べているのかも知れません。結局のところ「最新鋭の兵器は送らない」「新兵器へのリプレイスで不要になった旧式の兵器を送る」という点では今まで通りのウクライナ支援が継続されるだけ、何も変わるものではないのでしょう。ただ暗黙裏の了解であったことが明言されるようになった、というのは新しいとも言えます。今までもこれからも、表向きはウクライナ支援に全力と見せかけつつ、その実は在庫処分品みたいな旧式兵器ばかりを送る、この構図を政府首脳が認めたわけですから。

 アメリカによる支援もまたゼレンスキーの望むがままではなく、射程の制限された兵器や一世代前の兵器に限定して送り込むなど、決して最新の兵器を最大量で支援してきたものではありません。表向きは紛争の激化を避けるためとされていますが、実際のところはウクライナ人の犠牲などアメリカにとってはどうでも良い、自国兵器の更新の妨げとなるような古い兵器を体よく処分して、そのついでにロシアを損耗させれば十分という判断の結果でしょう。アメリカもポーランドも他の国も、概ね似たようなものです。

 ゼレンスキーはイラン・イラク戦争当時のサダム・フセインと立場がよく似ています。しかしアメリカを後ろ盾としてきたサダム・フセインが最終的にはアメリカの敵となったように、ゼレンスキーの将来がどうなるかは誰にも分かりません。かつてアメリカはイスラム武装勢力に武器を供与し訓練を施し、アフガニスタンでソ連と戦わせてきました。このイスラム戦士の中からはアルカイダが生まれ、アメリカへのお礼参りに訪れたのはよく知られるところです。昔年のソ連はモンキーモデルと呼ばれる性能を落とした兵器を同盟国に配備していたと言われますが、現代のNATO諸国も当時のソ連政府と同じ心配を抱えているのでしょう。

 そもそもウクライナは2014年のクーデター以前は選挙によってロシアと協調姿勢の政権が成立していたわけで、決して反ロシア一辺倒の国ではありません。NATOの靴を舐める政権が有権者の怒りを買って、外交方針がひっくり返ることだってあり得ます。それ以前にウクライナは中国と関係が深い、ソ連製の空母を中国に売却するなどソ連時代の兵器開発技術を中国へと譲渡してきた実績が豊富です。加えて汚職も多く、今なお兵器の横流しで逮捕される政府や軍の関係者は後を絶ちませんが、発覚していないものだって多いことでしょう。

 加えて戦場では損傷した兵器がロシアによって鹵獲されることもあります。もしウクライナに最新鋭の兵器が送られたなら、NATO諸国は二重三重の技術流出のリスクに晒されることになるわけです。そうなると必然的にゼレンスキー陣営へ送られる兵器は限定されてくる、今さら中国やロシア、闇市場に流れたとしてもそこまで痛くはない旧式の兵器が専ら送られることになる、だからポーランドの首相と大統領が口を揃えるように「新しい兵器は送らない」「これまで使っていた古い兵器を送る」ことになると言えます。

 結局のところNATO諸国もゼレンスキー政権への支援には一線を引いているところがある、決して全力ではなく自国を優先する意識を残しているのが実態です。しかるに日本はどうでしょうか? 欧米の右派が自国第一主義の姿勢を強める中で、日本の右派は今なおアメリカ第一主義に止まっている、アメリカの覇権を守るため、アメリカ「陣営」の勝利のために自国の利益を蔑ろにしてはいないでしょうか? 日本の外交方針は左右どちらの観点からも間違っている、しかも間違った方向への誘導を大学教員が先頭に立っているところもある、経済だけではなく国際政治の面でも日本は立ち後れた国になってはいないかと危惧するばかりです。

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日本の未来を憂う

2023-09-20 21:35:31 | 政治・国際

突然の首脳宣言合意 日本政府関係者「聞いてない」「ふざけるな」(毎日新聞)

 10日閉幕した主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、採択が危ぶまれていた首脳宣言が初日の討議の途中に発表されるという異例の展開で、日本政府も対応に追われた。

(中略)

 モディ氏の発言の真偽を確かめると、会議室にいた外務省幹部は「発言を聞いていないので知らない。少なくとも、私がここに来るまではまとまっていなかった」と驚いた表情で話した。

 ホテルにいたある交渉関係者は、首脳宣言の案は見たというが「合意したなんて一切聞いていない。対外発信の前に我々には知らせてほしい」と話した。そして一言、「驚いた。ちょっとふざけるなという感じだ」とこぼした。

 

 さて先日はG20サミットが開催されたわけですが、首脳宣言が初日に発表されるなど異例の展開もありました。この首脳宣言、どうも政府関係者によると日本の与り知らぬところで決まったようです。まぁ日本政府に外交上の意思はない、アメリカの意向に沿うだけの国を相手に合意を取り付ける意味などないと判断されたのでしょう。アメリカがインドを友好国と見なせば日本もそれに倣うだけですから、日本を蔑ろにしたところで何かが変わるものでもありません。

 なお採択された首脳宣言では第8条に「ウクライナにおける戦争に関し(Concerning the war in Ukraine)」と記されています。日本のように一方の立場で参戦している国ですと「ロシアによるウクライナ侵略」みたいな表現になるのに対し、インドが議長国として採択した宣言は至って客観的な表現に収まっています。実際に私もブログ上では「ウクライナを舞台とした戦争」と可能な限り中立の表記に努めてきただけに、インド政府のバランス感覚にはうなずけるところです。

 現実問題として、2013年から2014年にかけてウクライナでは反ロシア派によるクーデターがあり、反クーデター勢力と西側諸国の承認を得たクーデター政権による内戦が続いていたわけです。この内戦にロシアが直接介入を開始したのが2022年で、あたかものそのときから戦争が始まったかのようなミスリーディングが日本国内では繰り返されて来ました。そしてNATO諸国はクーデター政権の2代目であるゼレンスキーへの大々的な支援によってロシアと戦う役割を担わせています。

 まず第一に反ロシア派のウクライナ人と親ロシア派のウクライナ人の戦いがあり、日本政府は前者を支援し行者に制裁措置を科してもいるところです。そして大きな枠組みとしてはウクライナを傭兵国家に仕立て上げるNATOとロシアの戦いがあります。これをロシアとウクライナの二国間の戦争であると見なすことは現在に至るまでの背景から目を背けることに他ならず、平和を希求すればこそ絶対にあってはならない振る舞いであると言えるでしょう。

 日本の報道を見る限り、キエフ政権の軍隊は太平洋戦争当時の日本軍のような勢いで着実な勝利を重ねているようです。ただ不思議なことに長期的なスパンで見ると膠着状態は続いたまま、戦局が大きく動く様子はありません。国内主要メディアの伝えるところが正しいのであればロシア軍は甚大な損失を被っており、NATOとキエフ政権の軍隊によって壊滅させられていてもおかしくないはずですが、なぜ事態には目立った進展が見られないのか、それは考えられる必要があります。

 これもやはり偏向報道のたまもので、ゼレンスキー陣営に関しては軍の被害が報道されない、あたかも民間施設だけが破壊されたかのように日本のメディアでは伝えられているところが大きいでしょう。逆にロシア側は軍の被害だけが尾ひれを付けて伝えられるわけです。現実には戦争である以上、お互いに無傷ではいられません。双方の軍に損耗が生じるのは当たり前のことなのですが、上記の偏向報道の結果としてロシア側だけが一方的に軍を失っているように見えてしまうと言えます。

 そうでなくとも日本は気持ちの上では戦争当事国、キエフ政権側に立った一方的なプロパガンダを垂れ流し続けてきました。報道当初は真偽のほどが分からないものも大半は実体を伴わないことが後に明らかになったわけですが、このデマを垂れ流してきたメディアや大学教授連中が糾弾を受けた事例を私は知りません。結局のところ、ロシア側を貶め、NATO陣営の士気を鼓舞するようなものになっていれば何でも受け入れられている、それが我が国の戦時報道の実態ではないでしょうか。

 現実に向き合う、というのは日本人の最も苦手とするものなのかも知れません。ウクライナを舞台にした戦争においては典型的で、ひたすらゼレンスキー陣営の大本営発表をそのままに喧伝することに努めてきたのが我々の社会であると言うことが出来ます。しかし日本が「国際社会」と呼び反ロシアで盛り上がっている白人サークルは世界における少数派に過ぎない、日本が「グローバルサウス」などとレッテルを貼っている国々こそが多数派として力を付けている中で、我が国の立ち位置はこれで良いのかと、大いに未来を憂うばかりです。

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男と女の深い溝

2023-09-17 22:04:23 | 社会

 先般は内閣改造で起用された5人の女性閣僚について「女性ならではの感性」云々と岸田首相が語ったそうで、なんとも時代錯誤の発言であると概ね批判的に捉えられています。こういう場面では男女の別をナンセンスなものと扱うのが政治的に正しい判断と思われますが、長らく男性が多数派を構成してきた世界で人為的に男女比を正そうとすると、得てして不自然な持ち上げ方も出てくるものなのでしょう。

 体格や筋力、生殖能力と言った肉体的なものはさておき、知性や精神面では男女は同等なものとする理解が望まれるところ、しかるに「男と女の考え方の違い」みたいなものを大仰に語る人は後を絶ちません。実際のところ我々の社会において男と女の隔たりは消えてなくならないわけで、内閣支持率なんかでも男女で結構な差が出たりもしています。男女の違いが受け入れられてしまうのか克服されるのか、未来は分かりません。

 浮気や不倫などの際に見せる反応も、男と女では違うとよく言われます。女性が浮気した場合、男性の怒りは不倫した女性の側に向かう、逆に男性が浮気した場合、女性の怒りは不倫相手の女性の方に向かう、なんてのは通説ですね。フィクションなんかでも当てはまるところは多く、例えば「カルメン」であれば別の男に走ったカルメン(女)をドン・ホセ(男)が最後は刺し殺すわけですが、反対に「ムツェンスク郡のマクベス夫人」であれば、主人公のカテリーナ(女)は愛人のセルゲイ(男)ではなく、セルゲイの浮気相手であるソネートカ(女)の方を殺します。

 

苦境に立つジャニーズ、悲しむファンの声「こんなのイジメ」「応援し続けるしかない」(ENCOUNT)

ジャニーズ事務所がジャニー喜多川元社長による性加害を認め、大手企業が続々と同事務所との広告契約見直しを発表している。事務所は13日、被害者救済委員会の設置、今後1年間は広告出演並びに番組出演などの出演料は全てタレント本人に支払うことなどを発表したが、強い逆風は止まらない。そして、多くのファンが「このまま推しがテレビに出られなくなるのでは」と心配している。やれることは推し(のタレント、グループ)がリリースした楽曲のCD購入、再生回数を上げること、広告見直しを発表した企業の商品を買わないことなどだという。彼女たちの思いを聞いた。

 

 このジャニーズの問題、1988年に出版された暴露本は35万本売れたそうで、それ以外にも普通に裁判でジャニー氏の性加害は認められているなど、知る気のある人には昔から知られた話でした。安倍(岸)家や自民党と統一教会の蜜月関係も然りで昔から長らく警鐘が鳴らされてきたことだったのですが、しかし世間が注目したのは山上容疑者が銃弾を放った後のことでした。既知のことでも世間が注目するとは限らない、世間の関心に火を付けるためには、いったい何が必要なのだろうと私は常々思います。

 それはさておきジャニーズ新社長である東山氏を始め、「ジャニー」の名を残したがっている人も少なくありません。上記の引用ではそんな「彼女たち」の声が紹介されているのですけれど、いかがなものでしょうか。今回は「権力者の男」が「少年」を性的に搾取していたパターンですが、登場人物の性別が異なれば世間の反応も異なったであろう気はします。「弱い男」が「少女」へ性的な危害を加えれば、それはもう誰一人として擁護なんてしないですから。

 女性アイドルと男性ファンの場合であれば、ファンはアイドルの交友関係に一種の欲望を抱きがちです。つまり女性アイドルに男性と「付き合わない」ことを期待する傾向が見られ、男性との関係は女性アイドルの価値を毀損するものとして扱われます。では男性アイドルに対する女性ファンの願望は、果たしてどういうものであったのか興味深いところです。自分の好きなアイドルが事務所の社長と性的な関係にあるというのはネガティブなイメージをもたらすのかどうか──取り敢えずジャニーズファンには、あまり気にならないのかも知れません。

 あるいは男性ファンは応援する対象を簡単に乗り換える、女性ファンは長く応援を続ける、なんてことも言われます(本当かどうかはさておくとして)。女性アイドルが自分の期待を裏切れば(つまり余所の男と付き合っていると知れば)男性ファンは別の女性アイドルに乗り換える、一方で男性アイドルが社長にレイプされていたとしても女性は気にせずファンを続ける、そんな図式も当てはまるところはありそうです。

 ただまぁ、「ジャニー」の名前を残そうとする感覚だけは流石に理解できません。ジャニーズ事務所に所属するタレントのファンであったならば、自分が応援しているアイドルを「汚した」ジャニー氏の名前は忌まわしく思えこそすれ、看板として掲げる気になどならないのが普通でしょう。それでも「ジャニーズ」の名前は残して欲しいと訴えるファンもまた後を絶たないのですから、なんとも埋めがたい溝を感じるばかりです。

 もっとも男女で共通しているものとして権力の側に自らを同一視し、「世の中をよくすることを許さない」感覚もあるような気がします。社会の問題を指摘する声に対して自己責任を振りかざして口を塞ごうとする人は多数派を構成していますし、運動部なんかでも下級生へのしごきの伝統を引き継ぎたがる子は多いわけです。事務所所属のタレントという「下から」の声で組織を壊されるなど我慢できない、経営者目線で組織を擁護するのが当たり前になっている、ここは男女で共通するところでしょう。

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自由律俳句9

2023-09-16 21:18:39 | 文芸欄

 

咳をしてもノーマスク

― 管 理人 ―

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謎の世論調査

2023-09-13 23:09:55 | 政治・国際

内閣支持率「38.7%」で“下げ止まり”の背景と、若い世代ほど岸田内閣に“厳しい”実像【JNN世論調査解説】(TBS NEWS DIG)

JNNの最新の世論調査で5月から3か月連続で下落していた岸田内閣の支持率が先月から1.6ポイント上昇し38.7%となった。なぜ上昇に転じたのか。TBS政治部・世論調査担当デスクが解説する。

 

 ……政治部の担当デスクが解説する云々との触れ込みなのですが、引用元を読んでも理解に苦しむところは多いです。まぁ国民の生活水準を低下させても支持を失うとは限らない、むしろ人気を博することも多いですので、内閣支持率の下げ止まりについては、それらしき理由を列挙されれば格好は付くでしょうか。しかるに以下の「性別・年代別」の支持率に関しては納得のいく説明は見当たりません。

 これを見ると30代女性が突出して高い支持率を記録しています。俄には信じがたいところもありますが30代女性の過半から支持を得ているのであれば、一概に若者世代の内閣支持率が低いとは言えないでしょう。もちろん「TBS政治部・世論調査担当デスク」からすれば「30代女性は若者じゃない」のだとは思います。ただ、20代までは男女ともに支持が低迷しているにも拘わらず、子育て世代でもある30代に入ると支持率が急上昇する、特に女性では支持率が一気に倍増しているわけです。この世論調査が本当に実態を反映しているのであれば、大いに注目されるべき結果と言えます。

 これが世論調査対象の偏りが生んだ一時的な事象なのか、それとも継続して見られるものなのかは大いに興味深いところ、今後の推移を見守るため、このブログに引用することで記録しておきたいと思います。もし他社の世論調査や次回以降の調査でも類似の結果が見られるようであれば、岸田内閣の評価についても少し再考しなくてはならないのかも知れません。

 なお、こちらの世論調査結果も面白いです。例によって引用元に納得できる説明は見られませんが、30代男性では62.5%もの賛同を得られているライドシェアが40代男性になると33.0%の賛同に止まるなど、急減を見せています。女性でも30台未満の間は53.8%と賛成が過半数を占めていますが、30台に入ると37.9%まで賛成意見が急降下するわけです。男性は39まで、女性は29までが怖いもの知らずで、それぞれ40代、30代に入ると急に警戒感が強まったりするのでしょうかね。

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その後の自由

2023-09-09 23:30:04 | 社会

我が国では言論の自由が保障されている
言論の後の自由に関しては、その限りではないが

 ……とはソヴィエト連邦時代のジョークとして知られるものです。私がこれを思い出したのは、夏休み明けの登校についての議論を見てのことでした。今も昔も学校が安全な場所とは限らない、学校に行けば危害を加えられることが確実な子供もいます。そんな子供(及びその親)に向けて「無理に学校に行かなくても良い」みたいなメッセージが発信させられることも多いわけです。

 まぁ、一理はあります。しかし、学校に行かなかった後はどうなのかと私は少し心配になりました。学校に行かないこと自体は特に問題ないですけれど、しかし学校に行かなかったという不登校の履歴が、その後の進学や就職に当たってどれだけ不利に扱われるかは分かったものではないはずです。結局、根本的な解決は加害者側の排除しかない、登校の回避は自身がリスクを負っての判断でしかないと言えます。

 ブラック企業勤めに疲弊する若者にも、会社を辞めて良いのだと説く人がいます。本人の心身の健康を考えればブラック企業を辞めるのは早ければ早いほど良いと言えるのですが、しかしその後の再就職を考えるとどうでしょう? 短期間で職を辞したという履歴は、就職活動においては前科のようなものです。ブラックだろうが何だろうが、すぐに会社を辞めた経歴があるのは求職活動において致命傷、それを鑑みればブラック勤めであろうと安易な離職は勧められないのが現状という気もします。

 安全ではない学校への登校を避ける自由はある、ブラック企業を辞める自由もある、そうした自由が保障されているところは確かです。ただ、その先の人生における自由はどうなっているのか、行使した自由の結果として負債を負わされることになっていないかは別の話で、我々の社会は未だ発展途上と感じるところでしょうか。

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第9波

2023-09-03 22:45:27 | 社会

 昨今は学級閉鎖になるところも増えているようですが、スポーツなんかでも感染症罹患で離脱する選手が定期的に出てきます。我々の社会では感染症対策を緩めることを「経済活動優先」と呼び習わしてきたものですけれど、その結果はどうなのでしょう。少なくとも感染症対策の基準を引き下げた結果として主力選手の病欠が相次ぐようなチームが勝利を優先しているとは思えませんし、看板スターのコロナ感染で興行を中止や延期している団体が利益を優先しているとも考えられません。

 日本社会が最後にコロナを恐れたのは、中国がゼロコロナ政策を終了した時でしょうか。その当時から日本人の移動はスルー、中国「以外」の国からの入国も実質ノーチェック、ただし中国人の入国にだけは厳格な検査体制を敷いていたわけです。差別を差別と思わない大半の日本人は当時のことなど覚えていないかも知れませんが、こうした対応があるからこそ今の意趣返しがあるとも言えます。処理水の海洋放出に対する中国政府の対応は、決して安全性の問題だけではない、そこに至るまでの対立ありきであることは意識されるべきです。

 HPVワクチンを巡る大規模な反動に代表されるように、日本は新型コロナウィルスが登場する前から世界に冠たるワクチン忌避大国でした。そんな我が国の地金が、新型コロナの5類感染症に移行によって政府の抑えが消えたことで今まさに露になっていると言えます。新型コロナの感染拡大当初に私は、感染症が収束するのではなく「社会」が免疫を付けてしまう方が先に来る可能性を予測しました。感染症の拡大という目下の危機を感じなくなってしまう、まさに今、3年前の予見が現実になっています。

 はしかや水疱瘡のように、1回の罹患で免疫が概ね永続するものもあるわけですが、新型コロナに関しては複数回の感染を繰り返す人も珍しくありません。最新の研究では、むしろ感染を繰り返すことによってリスクが蓄積され増大していくとも考えられているようです。例えば蜂に刺されると抗体が出来て、むしろ2回目以降に刺されたときの方が症状が重くなります。悪化のメカニズムは違っても構図は似たようなもの、新型コロナについては身体の免疫には期待すべきではない、むしろ一層の警戒が必要だと考えられるべきでしょう。

 一方で社会的には、コロナに感染しても平気な人がいます。それは症状が軽いから平気と言うことではなく、「本人にとって気にならないから」平気であるパターンですね。例えば自分が病気をもらって、そこから家族や同僚を感染させてしまったとしても「お互い様」ぐらいにしか思わず良心の呵責を覚えない人もいます。電車や狭い店舗の中でも人目を憚ることなくノーマスクで咳き込んでいる人には毎回遭遇するわけですが、こういうのは典型的なバターンですね。

 あるいは出社しても喫煙や雑談、間食で時間を潰してろくに仕事をしていない、でも通常勤務だけではなく飲み会や社内行事は皆勤して昇進を重ねているような人は皆様の勤務先にも多いことと思います。こうした人々は、コロナで仕事を休んでもノーダメージです。本当に忙しい人は病気療養で1週間も仕事に穴が空いたら大打撃ですが、オフィスの中で忙しいフリをしているだけの人にとっては痛くも痒くもないでしょう。むしろ、ちょっと症状のある段階で出社して、辛くても頑張る自分をアピールする好機ぐらいに考えているかも知れません。

 コロナの後遺症としては味覚異常などがよく挙げられますけれど、流行りものを持ち上げているだけで自分の舌では良し悪しを判断できない味音痴は少なくないわけです。いわゆる「情報を食っている」ような輩にとって味覚なんてあってもなくても同じ、コロナの後遺症など恐れるに足らず、というところでしょうか。また咳が続くなんてのも、元より咳を吐き散らすのが習慣みたいな人からすれば実質影響なし、ブレインフォグなんてのも頭など使ったことがなくコミュニケーション能力だけで押し通してきた類いの人にとってはノーダメージと言えます。

 なお新型コロナの罹患によって生殖能力が損なわれる可能性も示唆されています。この辺の認識が広まれば、今までコロナを恐れなくなっていた人にほど有効かも知れません。原発事故なんかの際も、「放射能で子供が産めなくなる」みたいなデマは幅広い層に受け入れられました。仕事に穴が空いても平気、味覚消失もブレインフォグも怖くない、そんな人ほど生殖能力の低下は気にすることでしょう。感染症について真っ当な理解を広めるのは難しいだけに、ある種の層が大いに気にするであろうリスクを前面に押し出していく、公衆衛生のためにはそういう方向性も必要になりそうです。

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