単位変換(1)。の続き。
忙しくて間が空いてしまいました^^;
ということで、とりあえず前回の復習。
まず、単位には次のような原則がありました。
そして、重要なこととして、次のようなことがありました。
以上のことさえ押さえておけば、残るは単位変換式のみです。
まず、単位関係式というのを押さえておきましょう。
これが何なのかといえば簡単で、
1km=1000m
とか、
1h=60min
とか、単位の関係を表した式です。
単位変換式というのは、単位関係式から次のようにして作ります:
左辺(右辺)を右辺(左辺)の分母に持ってきます。
これだけです。
例えば、
1km=1000m
とかだったら、1km(左辺)を1000m(右辺)の分母に持ってきて、
1000[m/km]
とします。
この、1000[m/km]が、mとkmに関する単位変換式です。
これをどうやって使ったらいいのかというと、例えば3kmをmに直したかったら、[km]と[m/km]から[m]を作ればいいわけですから、
3[km]×1000[m/km]=3000[m]
となります。
逆に、2000mをkmに直したいとかだったら、[m]と[m/km]から[km]を作ればいいわけですから、
2000[m]÷1000[m/km]=2[km]
というふうにしてやります。
つまり、今ある単位と単位変換式の単位とを見比べて、掛け算をするか割り算をするかで、今ある単位を望む単位に変換するわけです。
もう少し複雑な例もやっておきましょう。
次の例は、時速を分速に変える例です。
まず、
1h=60min
だったので、hとminに関する単位変換式は、
60[min/h]
であることに注意しましょう。
今、12[km/h]を[m/min]に直すことを考えます。
手元にある道具は、12[km/h]、1000[m/km]、60[min/h]です。
単位に注目すれば、
[km/h]×[m/km]÷[min/h]=[m/min]
とすることで[m/min]を作れることが分かります。
したがって、
12[km/h]×1000[m/km]÷60[min/h]=200[m/min]
となります。
以上のように、単位変換式を使うことで、意味など考えずに機械的に単位が変換できることが出来ます。
さて、考え出した当時は、なんでこれで単位変換が上手くいくのかちゃんとした原理を説明できなかったのですが(というか、誰かに教えるわけでもなく、ただ自分が使っていただけなので、原理を説明する必要もなかった)、やはりその原理は気になるところです。
なんで上のような方法で単位変換式を作ってやると、うまくいくのでしょう・・・?
考えてみれば、実はけっこう単純な原理です。
単位関係式は、
1km=1000m
というふうに書かれます。
ここで、単位変換式を作るときには、左辺を右辺の分母に持ってくるということをしたわけですが、この意味を考えれば、それは両辺を左辺で割っているに他なりません。
すなわち、
1km÷1km=1000m÷1km
1=1000[m/km]
となります。
つまり、単位変換式は1と等価なんですね。
このことより、単位変換式を掛けても、単位変換式で割っても、式の本質は変化せず、ただ単位のみが変換できるわけです。
この単位に関する知識ですが、物理、特に力学の分野においては、かなり力を発揮します。
実際、自分がかなり助けられたのが、波に関するところ。
波の速さはv[m/s]、周期はT[s]、周波数はf[1/s]、波長はλ[m]となっているときに、
v=λf=λ/T
が成り立つ、というのがあるのですが、単位に注目すれば当然ですよね。
ただし、「意味」を考えた場合、実はちょっと気持ち悪いのです。
なぜって、長さに一秒あたりの個数を掛け算しているわけですから、長さと個数をかけたのって何になるのさ? という疑問が出てくるからです。
上のような気持ち悪さが起こる原因というのは、上の単位というのが厳密にいえば間違っていることによります。
実際には、周期はT[s/個]、周波数はf[個/s]、波長はλ[m/個]なんですね。
こうすると、一個あたりの長さに一秒当たり何個の波があるかを掛けたのだから、出てくるのは一秒あたりの波の長さ全体(つまり、波の速さ)となり、何の気持ち悪さも残りません。
物理の世界では、どうにも「個」という単位を省略する(1と同一視してしまう)風習があるようです。
しかし、この例からも分かるように、ちゃんとはっきりと書いた方が分かりやすいと思うんですけれどねぇ・・・
ちなみに、化学の世界でも、「個」は省略されます。
アボガドロ数6.0×10^23[1/mol]なんていうのは、単位変換式以外の何者でもないのですが、6.0×10^23[個/mol]と書いた方が、その意味も明確になりますよね。
1molの中には6.0×10^23個の分子が入ってるよ、というわけですから。
今までで、「=」に関しては特に反省することなく使ってきました。
しかし、よくよく考えてみると、問題があることに気がつくかもしれません。
例えば、2kmをmに直すときの様子を書いてみると、
2[km]=2[km]×1000[m/km]
=2000[m]
でしたが、数字の部分にだけ注目すると、
2=2×1000
=2000
となり、気持ち悪いものが残ります。
これを解決する方法は2つあります。
1つは、新しい記号を作ること。
もう1つは、単位の本質を掴むことです。
まず、1つ目から。
これは実際に自分がとった方法になりますが、=を使うことに抵抗があるのなら、他の記号を使ってしまえ、ということです。
具体的には、自分は←→(両端に矢がある矢印)を使っていました。
つまり、
= 数字に関して左辺と右辺が等しい(普通の等号)
←→ 単位まで含めて考えたときに左辺と右辺が等しい
というふうにしたわけです。
これに従うと、単位関係式は
1[km]←→1000[m]
とかかれ、単位変換式は
1←→1000[m/km]
と表現されます。
したがって、先ほどの例は、
2[km]←→2[km]×1000[m/km]
=2000[m]
となり、数字だけに注目しても、
2←→2×1000
=2000
となり、気持ち悪さがなくなります。
もう1つの解決方法について。
賢い人はとっくに気がついているかもしれませんが、単位に関する3つの原則を見て、何か気付かないでしょうか?
これって、文字式の扱いとまったく同じだったりします。
原則の1つ目が意味していることは、同類項でないと足し算/引き算ができないということですし、原則の2つ目が意味していることは、同類項の足し算/引き算をしても文字は変化をしないということに他なりません。
原則の3つ目も、文字式同士を掛け算した場合、文字も掛け算されるということを意味しています。
つまり、単位というのはaとかxとかと同じで、ただの文字なんです。
それに気付けば、例えばa=1000bであるときに、
2a=2×1000b
=2000b
としたときに、係数の部分だけに注目して、「2と2000が=でつながっているのはおかしい」と主張するのがどれだけおかしいかが分かるでしょう。
むしろ、ここから分かることは、普段単位を省略して書くわけですが、それは必要な文字を書かずに係数だけを書いているんだということです。
だから、先ほどの例に気持ち悪さを感じるのではなく、普段の単位の書かれていない式にこそ、本当は気持ち悪さを感じるべきなんですね。
さらにいうと、単位の本質が文字であることに気がつくと、単位変換にも新しい見方が出てきます。
2kmをmに直すというのは、
2km
1km=1000m
という2本の式から、kmを消去するということに他なりません。
1km=1000mという式から、km=1000mという式が出てきます。(kmを、文字と考えているわけです。)
これを2kmに代入すれば、
2km=2×1000m
=2000m
となり、kmが消去できます。
これが、単位を文字と見立てて、代入法によって単位変換する方法です。
いままで単位の種類に関しては触れてこなかったのですが、実は単位の中には、関係が比例関係でないものがあったりします。
具体的にいえば、「温度」です。
温度には「K(ケルビン)」「℃(摂氏)」「°F(華氏)」などがありますが、これらの関係式は、比例関係になっていません。
なので、単位変換式は使えなかったりします。(なんでかは、原理から考えてみてください。)
ただ、こういったものはそれほど多くないと思うので、対策は特に考えていません。
まぁ、単位関係式における「単位」を「文字」と思って、代入法で単位を消去・変換してあげれば問題ないでしょう。
忙しくて間が空いてしまいました^^;
ということで、とりあえず前回の復習。
まず、単位には次のような原則がありました。
1、足し算が出来るのは、足し合わせようとする項の単位が等しいときに限る。(引き算も同様)
2、足し算をしても単位は変化しない。(引き算も同様)
3、掛け算をすると、単位も掛け算される。(割り算も同様)
そして、重要なこととして、次のようなことがありました。
“1[○]あたりx[□]”(単位あたりの量)というのは、“x[□/○]”と表される。
以上のことさえ押さえておけば、残るは単位変換式のみです。
単位変換式
まず、単位関係式というのを押さえておきましょう。
これが何なのかといえば簡単で、
1km=1000m
とか、
1h=60min
とか、単位の関係を表した式です。
単位変換式というのは、単位関係式から次のようにして作ります:
左辺(右辺)を右辺(左辺)の分母に持ってきます。
これだけです。
例えば、
1km=1000m
とかだったら、1km(左辺)を1000m(右辺)の分母に持ってきて、
1000[m/km]
とします。
この、1000[m/km]が、mとkmに関する単位変換式です。
単位変換式の使い方
これをどうやって使ったらいいのかというと、例えば3kmをmに直したかったら、[km]と[m/km]から[m]を作ればいいわけですから、
3[km]×1000[m/km]=3000[m]
となります。
逆に、2000mをkmに直したいとかだったら、[m]と[m/km]から[km]を作ればいいわけですから、
2000[m]÷1000[m/km]=2[km]
というふうにしてやります。
つまり、今ある単位と単位変換式の単位とを見比べて、掛け算をするか割り算をするかで、今ある単位を望む単位に変換するわけです。
もう少し複雑な例もやっておきましょう。
次の例は、時速を分速に変える例です。
まず、
1h=60min
だったので、hとminに関する単位変換式は、
60[min/h]
であることに注意しましょう。
今、12[km/h]を[m/min]に直すことを考えます。
手元にある道具は、12[km/h]、1000[m/km]、60[min/h]です。
単位に注目すれば、
[km/h]×[m/km]÷[min/h]=[m/min]
とすることで[m/min]を作れることが分かります。
したがって、
12[km/h]×1000[m/km]÷60[min/h]=200[m/min]
となります。
以上のように、単位変換式を使うことで、意味など考えずに機械的に単位が変換できることが出来ます。
単位変換式の原理
さて、考え出した当時は、なんでこれで単位変換が上手くいくのかちゃんとした原理を説明できなかったのですが(というか、誰かに教えるわけでもなく、ただ自分が使っていただけなので、原理を説明する必要もなかった)、やはりその原理は気になるところです。
なんで上のような方法で単位変換式を作ってやると、うまくいくのでしょう・・・?
考えてみれば、実はけっこう単純な原理です。
単位関係式は、
1km=1000m
というふうに書かれます。
ここで、単位変換式を作るときには、左辺を右辺の分母に持ってくるということをしたわけですが、この意味を考えれば、それは両辺を左辺で割っているに他なりません。
すなわち、
1km÷1km=1000m÷1km
1=1000[m/km]
となります。
つまり、単位変換式は1と等価なんですね。
このことより、単位変換式を掛けても、単位変換式で割っても、式の本質は変化せず、ただ単位のみが変換できるわけです。
その他、単位の話
物理での有用性+α
この単位に関する知識ですが、物理、特に力学の分野においては、かなり力を発揮します。
実際、自分がかなり助けられたのが、波に関するところ。
波の速さはv[m/s]、周期はT[s]、周波数はf[1/s]、波長はλ[m]となっているときに、
v=λf=λ/T
が成り立つ、というのがあるのですが、単位に注目すれば当然ですよね。
ただし、「意味」を考えた場合、実はちょっと気持ち悪いのです。
なぜって、長さに一秒あたりの個数を掛け算しているわけですから、長さと個数をかけたのって何になるのさ? という疑問が出てくるからです。
上のような気持ち悪さが起こる原因というのは、上の単位というのが厳密にいえば間違っていることによります。
実際には、周期はT[s/個]、周波数はf[個/s]、波長はλ[m/個]なんですね。
こうすると、一個あたりの長さに一秒当たり何個の波があるかを掛けたのだから、出てくるのは一秒あたりの波の長さ全体(つまり、波の速さ)となり、何の気持ち悪さも残りません。
物理の世界では、どうにも「個」という単位を省略する(1と同一視してしまう)風習があるようです。
しかし、この例からも分かるように、ちゃんとはっきりと書いた方が分かりやすいと思うんですけれどねぇ・・・
ちなみに、化学の世界でも、「個」は省略されます。
アボガドロ数6.0×10^23[1/mol]なんていうのは、単位変換式以外の何者でもないのですが、6.0×10^23[個/mol]と書いた方が、その意味も明確になりますよね。
1molの中には6.0×10^23個の分子が入ってるよ、というわけですから。
「=」の用法に関して
今までで、「=」に関しては特に反省することなく使ってきました。
しかし、よくよく考えてみると、問題があることに気がつくかもしれません。
例えば、2kmをmに直すときの様子を書いてみると、
2[km]=2[km]×1000[m/km]
=2000[m]
でしたが、数字の部分にだけ注目すると、
2=2×1000
=2000
となり、気持ち悪いものが残ります。
これを解決する方法は2つあります。
1つは、新しい記号を作ること。
もう1つは、単位の本質を掴むことです。
まず、1つ目から。
これは実際に自分がとった方法になりますが、=を使うことに抵抗があるのなら、他の記号を使ってしまえ、ということです。
具体的には、自分は←→(両端に矢がある矢印)を使っていました。
つまり、
= 数字に関して左辺と右辺が等しい(普通の等号)
←→ 単位まで含めて考えたときに左辺と右辺が等しい
というふうにしたわけです。
これに従うと、単位関係式は
1[km]←→1000[m]
とかかれ、単位変換式は
1←→1000[m/km]
と表現されます。
したがって、先ほどの例は、
2[km]←→2[km]×1000[m/km]
=2000[m]
となり、数字だけに注目しても、
2←→2×1000
=2000
となり、気持ち悪さがなくなります。
もう1つの解決方法について。
賢い人はとっくに気がついているかもしれませんが、単位に関する3つの原則を見て、何か気付かないでしょうか?
これって、文字式の扱いとまったく同じだったりします。
原則の1つ目が意味していることは、同類項でないと足し算/引き算ができないということですし、原則の2つ目が意味していることは、同類項の足し算/引き算をしても文字は変化をしないということに他なりません。
原則の3つ目も、文字式同士を掛け算した場合、文字も掛け算されるということを意味しています。
つまり、単位というのはaとかxとかと同じで、ただの文字なんです。
それに気付けば、例えばa=1000bであるときに、
2a=2×1000b
=2000b
としたときに、係数の部分だけに注目して、「2と2000が=でつながっているのはおかしい」と主張するのがどれだけおかしいかが分かるでしょう。
むしろ、ここから分かることは、普段単位を省略して書くわけですが、それは必要な文字を書かずに係数だけを書いているんだということです。
だから、先ほどの例に気持ち悪さを感じるのではなく、普段の単位の書かれていない式にこそ、本当は気持ち悪さを感じるべきなんですね。
さらにいうと、単位の本質が文字であることに気がつくと、単位変換にも新しい見方が出てきます。
2kmをmに直すというのは、
2km
1km=1000m
という2本の式から、kmを消去するということに他なりません。
1km=1000mという式から、km=1000mという式が出てきます。(kmを、文字と考えているわけです。)
これを2kmに代入すれば、
2km=2×1000m
=2000m
となり、kmが消去できます。
これが、単位を文字と見立てて、代入法によって単位変換する方法です。
比例関係でない単位に関して
いままで単位の種類に関しては触れてこなかったのですが、実は単位の中には、関係が比例関係でないものがあったりします。
具体的にいえば、「温度」です。
温度には「K(ケルビン)」「℃(摂氏)」「°F(華氏)」などがありますが、これらの関係式は、比例関係になっていません。
なので、単位変換式は使えなかったりします。(なんでかは、原理から考えてみてください。)
ただ、こういったものはそれほど多くないと思うので、対策は特に考えていません。
まぁ、単位関係式における「単位」を「文字」と思って、代入法で単位を消去・変換してあげれば問題ないでしょう。