いもあらい。

プログラミングや哲学などについてのメモ。

単位変換(2)。

2008-05-25 11:50:00 |  Study...
単位変換(1)。の続き。

忙しくて間が空いてしまいました^^;
ということで、とりあえず前回の復習。

まず、単位には次のような原則がありました。

1、足し算が出来るのは、足し合わせようとする項の単位が等しいときに限る。(引き算も同様)
2、足し算をしても単位は変化しない。(引き算も同様)
3、掛け算をすると、単位も掛け算される。(割り算も同様)



そして、重要なこととして、次のようなことがありました。

“1[○]あたりx[□]”(単位あたりの量)というのは、“x[□/○]”と表される。



以上のことさえ押さえておけば、残るは単位変換式のみです。

単位変換式



まず、単位関係式というのを押さえておきましょう。
これが何なのかといえば簡単で、
 1km=1000m
とか、
 1h=60min
とか、単位の関係を表した式です。

単位変換式というのは、単位関係式から次のようにして作ります:
左辺(右辺)を右辺(左辺)の分母に持ってきます。
これだけです。

例えば、
 1km=1000m
とかだったら、1km(左辺)を1000m(右辺)の分母に持ってきて、
 1000[m/km]
とします。
この、1000[m/km]が、mとkmに関する単位変換式です。

単位変換式の使い方



これをどうやって使ったらいいのかというと、例えば3kmをmに直したかったら、[km]と[m/km]から[m]を作ればいいわけですから、
 3[km]×1000[m/km]=3000[m]
となります。

逆に、2000mをkmに直したいとかだったら、[m]と[m/km]から[km]を作ればいいわけですから、
 2000[m]÷1000[m/km]=2[km]
というふうにしてやります。

つまり、今ある単位と単位変換式の単位とを見比べて、掛け算をするか割り算をするかで、今ある単位を望む単位に変換するわけです。

もう少し複雑な例もやっておきましょう。
次の例は、時速を分速に変える例です。

まず、
 1h=60min
だったので、hとminに関する単位変換式は、
 60[min/h]
であることに注意しましょう。

今、12[km/h]を[m/min]に直すことを考えます。
手元にある道具は、12[km/h]、1000[m/km]、60[min/h]です。
単位に注目すれば、
 [km/h]×[m/km]÷[min/h]=[m/min]
とすることで[m/min]を作れることが分かります。
したがって、
 12[km/h]×1000[m/km]÷60[min/h]=200[m/min]
となります。

以上のように、単位変換式を使うことで、意味など考えずに機械的に単位が変換できることが出来ます。

単位変換式の原理



さて、考え出した当時は、なんでこれで単位変換が上手くいくのかちゃんとした原理を説明できなかったのですが(というか、誰かに教えるわけでもなく、ただ自分が使っていただけなので、原理を説明する必要もなかった)、やはりその原理は気になるところです。
なんで上のような方法で単位変換式を作ってやると、うまくいくのでしょう・・・?

考えてみれば、実はけっこう単純な原理です。
単位関係式は、
 1km=1000m
というふうに書かれます。
ここで、単位変換式を作るときには、左辺を右辺の分母に持ってくるということをしたわけですが、この意味を考えれば、それは両辺を左辺で割っているに他なりません。
すなわち、
 1km÷1km=1000m÷1km
 1=1000[m/km]
となります。
つまり、単位変換式は1と等価なんですね。

このことより、単位変換式を掛けても、単位変換式で割っても、式の本質は変化せず、ただ単位のみが変換できるわけです。

その他、単位の話



物理での有用性+α


この単位に関する知識ですが、物理、特に力学の分野においては、かなり力を発揮します。

実際、自分がかなり助けられたのが、波に関するところ。
波の速さはv[m/s]、周期はT[s]、周波数はf[1/s]、波長はλ[m]となっているときに、
 v=λf=λ/T
が成り立つ、というのがあるのですが、単位に注目すれば当然ですよね。

ただし、「意味」を考えた場合、実はちょっと気持ち悪いのです。
なぜって、長さに一秒あたりの個数を掛け算しているわけですから、長さと個数をかけたのって何になるのさ? という疑問が出てくるからです。

上のような気持ち悪さが起こる原因というのは、上の単位というのが厳密にいえば間違っていることによります。
実際には、周期はT[s/個]、周波数はf[個/s]、波長はλ[m/個]なんですね。
こうすると、一個あたりの長さに一秒当たり何個の波があるかを掛けたのだから、出てくるのは一秒あたりの波の長さ全体(つまり、波の速さ)となり、何の気持ち悪さも残りません。

物理の世界では、どうにも「個」という単位を省略する(1と同一視してしまう)風習があるようです。
しかし、この例からも分かるように、ちゃんとはっきりと書いた方が分かりやすいと思うんですけれどねぇ・・・

ちなみに、化学の世界でも、「個」は省略されます。
アボガドロ数6.0×10^23[1/mol]なんていうのは、単位変換式以外の何者でもないのですが、6.0×10^23[個/mol]と書いた方が、その意味も明確になりますよね。
1molの中には6.0×10^23個の分子が入ってるよ、というわけですから。

「=」の用法に関して


今までで、「=」に関しては特に反省することなく使ってきました。
しかし、よくよく考えてみると、問題があることに気がつくかもしれません。

例えば、2kmをmに直すときの様子を書いてみると、
 2[km]=2[km]×1000[m/km]
    =2000[m]
でしたが、数字の部分にだけ注目すると、
 2=2×1000
  =2000
となり、気持ち悪いものが残ります。

これを解決する方法は2つあります。
1つは、新しい記号を作ること。
もう1つは、単位の本質を掴むことです。

まず、1つ目から。
これは実際に自分がとった方法になりますが、=を使うことに抵抗があるのなら、他の記号を使ってしまえ、ということです。
具体的には、自分は←→(両端に矢がある矢印)を使っていました。
つまり、
 =  数字に関して左辺と右辺が等しい(普通の等号)
 ←→ 単位まで含めて考えたときに左辺と右辺が等しい
というふうにしたわけです。

これに従うと、単位関係式は
 1[km]←→1000[m]
とかかれ、単位変換式は
 1←→1000[m/km]
と表現されます。

したがって、先ほどの例は、
 2[km]←→2[km]×1000[m/km]
    =2000[m]
となり、数字だけに注目しても、
 2←→2×1000
  =2000
となり、気持ち悪さがなくなります。

もう1つの解決方法について。
賢い人はとっくに気がついているかもしれませんが、単位に関する3つの原則を見て、何か気付かないでしょうか?
これって、文字式の扱いとまったく同じだったりします。

原則の1つ目が意味していることは、同類項でないと足し算/引き算ができないということですし、原則の2つ目が意味していることは、同類項の足し算/引き算をしても文字は変化をしないということに他なりません。
原則の3つ目も、文字式同士を掛け算した場合、文字も掛け算されるということを意味しています。
つまり、単位というのはaとかxとかと同じで、ただの文字なんです。

それに気付けば、例えばa=1000bであるときに、
 2a=2×1000b
   =2000b
としたときに、係数の部分だけに注目して、「2と2000が=でつながっているのはおかしい」と主張するのがどれだけおかしいかが分かるでしょう。
むしろ、ここから分かることは、普段単位を省略して書くわけですが、それは必要な文字を書かずに係数だけを書いているんだということです。
だから、先ほどの例に気持ち悪さを感じるのではなく、普段の単位の書かれていない式にこそ、本当は気持ち悪さを感じるべきなんですね。

さらにいうと、単位の本質が文字であることに気がつくと、単位変換にも新しい見方が出てきます。
2kmをmに直すというのは、
 2km
 1km=1000m
という2本の式から、kmを消去するということに他なりません。
1km=1000mという式から、km=1000mという式が出てきます。(kmを、文字と考えているわけです。)
これを2kmに代入すれば、
 2km=2×1000m
   =2000m
となり、kmが消去できます。
これが、単位を文字と見立てて、代入法によって単位変換する方法です。

比例関係でない単位に関して


いままで単位の種類に関しては触れてこなかったのですが、実は単位の中には、関係が比例関係でないものがあったりします。
具体的にいえば、「温度」です。

温度には「K(ケルビン)」「℃(摂氏)」「°F(華氏)」などがありますが、これらの関係式は、比例関係になっていません。
なので、単位変換式は使えなかったりします。(なんでかは、原理から考えてみてください。)

ただ、こういったものはそれほど多くないと思うので、対策は特に考えていません。
まぁ、単位関係式における「単位」を「文字」と思って、代入法で単位を消去・変換してあげれば問題ないでしょう。


単位変換(1)。

2008-05-04 18:00:00 |  Study...
単位の変換に関して、ちょっとしたテクニックの紹介。

はじめに



昨日(※4/26。下書きにしていたので。)ネットを見てたら、単位変換をどうやったらいいのか、みたいなのを見つけまして。(単位変換。。。
回答を眺めていたのですが、誰も機械的に単位を変換する方法については答えていないんですよね。

実は、単位変換って意味とか全然考えないで機械的に処理することが出来るんです。
自分はその方法に用いる式のことを「単位変換式」と呼んでいるのですが、その方法があまり知られていないようなので、ここではその「単位変換式」について紹介をしようかなぁ、と思います。

きっかけ



まず、なんで自分がこの方法を編み出したのかという話をしておけば、化学におけるcalとJの単位変換に非常に困ったからです。
calとJの関係は、
1cal = 4.2J
であることが知られています。
この関係を覚えることは必須なのですが、問題は、覚えたからといって単位をスラスラ変換できるとは限らない、ということです。

例えば、
(1)10calは何J?
(2)10Jは何cal?
といわれて、すぐに答えられるでしょうか?

(1)は、「1calが4.2Jなのだから、10calは4.2×10」というふうに、意味を考えればすぐに分かります。
しかし、(2)については、「1calが4.2Jなのだから、10Jの中に4.2Jが何個あればいいのかを考えればいいのだから、10÷4.2だ」と、ちょっとややこしい考えをしなければなりません。
これ一個ならまだいいですが、他にもたくさん出てきたときにはゴチャゴチャしてきますし、もっと機械的に×なのか÷なのかを決めたいのです。

あるいは、速さなんかも結構ややこしいときがあります。
km/h(時速キロメートル)をm/s(分速メートル)に直したいときに、どうすればいいのか、と言われて、ぱっと答えられるでしょうか?

そこで出てくるのが、「単位変換式」です。
これを用いることで、今までに述べてきたようなこと全てに答えることが出来ます。

ただし、その前に「単位」に関していくつか知っておくべきことがあるので、先にそのことにふれたいと思います。

単位の基本



まず、次のような問題を考えてみましょう。
「リンゴが2つ、リンゴジュースが1ℓあります。合わせていくつでしょう?」
――出来たでしょうか?
まぁ、答えを言ってしまえば、「足すことは出来ない(=計算できない)」というのが答えです。
ずるいですか?
しかし、それこそが答えであり、それに気付くことが大切なのです。

問題の本質はここからです。
では、なぜ足すことが出来ないのでしょうか?
答えは簡単で、「単位」が違うからです。
式で書けば、これは
 2[個]+1[ℓ]
というわけですが、単位が違うので足すことが出来ません。

逆にいうと、足し算が出来るのは単位が揃っているときに限るということです。
そして、出てきた答えの単位は元の単位と同じものになります。

以上から、次の原則が存在することが分かります。

1、足し算が出来るのは、足し合わせようとする項の単位が等しいときに限る。(引き算も同様)
2、足し算をしても単位は変化しない。(引き算も同様)



次に、次のような問題を考えます。
「縦10cm、横20cmの長方形の面積は? 単位まで考えて式に表現してみましょう。」
これは、
 10[cm]×20[cm]=200[cm^2]
となります。

ポイントは、cmとcmを掛けたらcm^2になっているということで、このことから掛け算をすると単位も掛け算されるということが分かります。
つまり、次の原則がいえるわけです。

3、掛け算をすると、単位も掛け算される。(割り算も同様)



最後に、次のような問題を考えてみます。
「1個10円のミカンを4個買い、60円のカゴに入れると、全部でいくらでしょう? 単位まで考えて式に表現してみましょう。」
ここで、
 10[円]×4[個]+60[円]=100[円]
としてしまっては、間違いです。
なぜって、10[円]×4[個]の答えは、原則から考えれば40[円・個]であり、これは[円]と単位が異なるので足し算が出来ません。
だからダメなのです。

正しくは、
 10[円/個]×4[個]+60[円]=100[円]
です。
そう、「1個あたり10円」というのが大切なのです。

単位の応用



今見てきた3つの原則を守ることで、実はいろんなことが見えてきます。

例えば、速さ。
よく「速さの3公式」として
 1、(距離)=(速さ)×(時間)
 2、(速さ)=(距離)÷(時間)
 3、(時間)=(距離)÷(速さ)
というのを使って計算しますが、コレ、単位の視点から見ればすごく当たり前なのです。
実際、上の3公式を単位で置き換えてやれば、
 1、[m]=[m/秒]×[秒]
 2、[m/秒]=[m]÷[秒]
 3、[秒]=[m]÷[m/秒]
となります。
ここでは例として秒速を扱いましたが、時速とかでも同じです。

そして、「速さの3公式」では見えてこないところも見えてきます。
何かというと、「なぜ単位をそろえないと計算できないのか?」というところです。

例えば、「時速4kmで30分歩くと何km進める?」という問題で、
 4×30
とやるのは間違いです。
しかし、上のように式を書いてしまえば4×30自体は計算できるので、間違いに気付くことが出来ません。
これを単位をつけて書いてあげると、
 4[km/時]×30[分]
となり、そもそも計算が出来ないことが分かります。(単位で約分が出来ないので、kmが出てこない!)

あるいは、次のようなよくある間違いを防ぐことも出来ます。
「分速30mで60分歩くと、何km進むでしょう?」という問題を考えましょう。
子どもたちを見ていると、
 30×60=1800
と計算して、問題を見ると「何km?」と聞かれているので1800kmと答えるような子が少なからずいるんですね。
時速1800kmって、どんだけだよ、と思ったりもするのですが、そういう出来ない子っていうのは算数の答えに対する「常識的判断」(あるいは想像力を働かせるということ)がないので、間違いに気付くこともありません。
こんなトンデモな間違いをするのは、単位に関する知識がないからに他ならず、上の式を単位をつけて書くようにすれば
 30[m/分]×60[分]=1800[m]
となり、間違いようがありません。
(もちろん、解答用紙に1800mと書いてしまっては間違いになってしまいますが、少なくとも上のような間違いは防ぐことが出来ます。)

速さの他にも、「単位量あたりの大きさ」なんていう分野にもこの単位の知識は役に立ちます。

例えば、次のような問題を考えましょう。
「あるお肉は、250gで500円です。1円あたり、何gですか?」
このような問題が出ると、大抵の子は
 500÷250
とするんですね。
なぜって、そうすれば割り切れるからです。
仮に割り切れない数字だとしても、大抵、(大きい数)÷(小さい数)をやろうとします。
普通の指導だと、
「例えば、100円で200gだったら、どうやる? 200÷100? そうだね、正解。今、重さを値段で割ったよね? だから、250÷500じゃない?」
とかするわけですが、どっちで割ったらいいのか判断に迷ったとき、大人ならそういった「簡単な例」がスラスラと出てきますが、子ども自身が自分でそういった例を考え出すことはかなり難しいです。

けれど、単位の視点から考えれば、この問題はすごく簡単なんですね。
「1個あたり10円」というのが10[円/個]だったのを思い出して下さい。
これと同様に考えれば、「1円当たり何グラムか?」というのは「g/円はどれくらいか?」というのを求めるのと同じだと気付くはずです。
それに気付きさえすれば、この問題の式は
 250[g]÷500[円]
であることがすぐに分かるでしょう。
意味とか、そんなの考える必要なんて全然ないんです。
単位に関する知識さえ持っていれば、機械的に式を立てることが出来ます。

ちなみに、上のように単位のみを見て式を立てるのは小学生には難しいので、小学生に教えるときにはその理論をバックグラウンドとして次のように教えています:
「1~あたり」とされている量を「基本となる量」と呼び、単位あたりの量(1~あたりいくらか、という量)を出したいときには、基本となる量の方で割る。
例えば、先ほどの例であれば「1円あたり」なので、「円」の方が基本となる量になるので、「円」の方で割る、すなわち
 250÷500
というふうに式が立ちます。

長くなったので、単位変換式については続きで。