2010年12月24日
アイデアよもやま話 No.1703 進化しているダンボール!
 11月25日(木)放送のカンブリア宮殿(テレビ東京)のテーマは「ダンボール革命!」で、ゲストは日本一のダンボールメーカー、レンゴー株式会社の大坪清社長でした。
ダンボールの驚くべき進化が取り上げられていたのでご紹介します。

まず、現在のダンボールの威力についてお伝えします。
・1.2トンの自動車を4つのダンボールで支えることが出来る
・優れた設計により1枚のダンボールが緩衝材としても機能し、落としても壊れないなど、商品を守ることが出来る
・リサイクル率 97.8%である (レンゴーの場合)

ちなみに、ダンボールの用途別割合では、加工食品 41%、青果物 13%でこれらだけで半分以上を占めます。
ですから、今や食生活とダンボールは切っても切れない関係にあり、ダンボールなしには食生活が成り立たない、と言ってもいいのです。
また、1人当りのダンボール年間使用量は約150個だそうです。

レンゴーの開発した最新のダンボールは、上から見ると八角形をした商品「オトール8」です。
従来のものより強度があり、増えた面で商品のPRも出来ます。
しかもダンボールのワンタッチだけで開封出来る設計になっています。

大坪社長は、番組の中で次のようにおっしゃっていました。
「絶えずイノベーション(革新)をやっていないといけない。」
「包装資材を出来るだけ少なくし、強くて運びやすい箱を作る、ということです。」
「そのために絶えず頭を使わないといけない。」

レンゴーが手掛けるのは、ダンボールだけではありません。
ペットボトルのラベルやお菓子のパッケージなど包むこと全般、更には商品デザインにまで手を広げています。
こうした分野の売り上げは全体の17%に上がっています。

レンゴーは今年派遣社員1000人を正社員化しました。
そして、正社員化することによりある派遣社員の年収は1.5倍になり、契約の切れる心配をせずに働けるようになりました。
1000人の正社員化により増えた人件費は年間5億円近くですが、従業員のモチベーションが上がり会社全体の収支はプラスだったと言います。
また、レンゴーには三人目以降の子供が生まれると100万円贈呈、という第三子祝い金制度もあります。
要するに、大坪社長の基本的な考えは、社員を大切にすれば生産性は向上する、ということなのです。

大坪社長は、正社員化について番組の中で次のようにおっしゃっていました。
「差別はいやです。」
「区別はいいが、差別になってはいけない。」
「経営で一番重要なのは現場だと思う。」
「だから、時間があれば工場回りをしている。」
「毎月、社長賞を渡しに行って帰りに従業員と一杯飲んで騒ぐ。」

今回の番組を通して、優れた商品開発の裏には優れた経営、および優れた人材の存在があると再認識しました。
逆に言えば、優れた経営、および優れた人材がいなければ、優れた商品を生み続けることは出来ないのです。

現在、多くの派遣社員など非正規社員の人たちは正社員との間で収入や福利厚生などの面で差別化されているのが当たり前の状況です。
このような状況はどう考えてもおかしいのです。
ですから、国には制度的にこのような状況を打破する仕組み作りが求められます。
そして、少しでも多くの世の経営者の皆様には、レンゴーの大坪社長を見習って社員を大切にすることによって生産性を向上させることにより、人件費を上回る会社の利益を得るような方向に向けて進んでいただきたいと思うのです。

 
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