佐藤優のインテリジェンス・レポート---日本の防衛政策に無視できない影響を与える「日本・イスラエル共同声明」
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol036 インテリジェンス・レポートよりマスメディアではほとんど報道されませんでしたが、5月12日の「日本・イスラエル共同声明」は、日本の防衛政策に無視できない影響を与えます。特にサイバー兵器、UAV(無人航空機)に関して、イスラエルは高度の技術を持っていることから、この分野での日本とイスラエルの協力が急速に進展すると私は見ています。
ウクライナ情勢は悪化の一途をたどっています。今後も詳細な情報収集と的確な分析に努めます。(以下略)
分析メモ No.81「日本・イスラエル共同声明」
【事実関係】
5月12日、東京で安倍晋三首相とイスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相が「共同声明」に署名した。
【コメント】
1.
ネタニヤフ首相の訪日は6年振りで、今回は5月11日から14日まで滞在した。安倍首相とは、12日に会談を行った。今回、両首相が署名した「共同声明」は、日本とイスラエルの関係を飛躍的に発展させる画期的な内容を含んでいる。
2.―(1)
「共同声明」では、<双方は 、日本の国家安全保障局とイスラエルの国家安全保障会議間の意見交換の開始を歓迎し、イスラエルで次回会合を実施することを確認した。>と述べている。
日本政府の諸機関とイスラエルのモサド(諜報特務庁)、アマン(軍事情報部)との間には長年の交流があるが、今回の「共同声明」により、インテリジェンス面での協力が一層強化されることになる。
2.―(2)
「共同声明」では、<双方は、サイバーセキュリティに関する協力の必要性を確認し、両国の関係機関間で対話を行うことへの期待を表明した。>と述べている。
サイバー技術に関して、イスラエルは防御と攻撃の両面において、世界最先端の能力を有している。今後、日本の政府機関にイスラエルのサイバー技術を導入する可能性が生まれた。
2.―(3)
「共同声明」では、<双方は、両国の防衛協力の重要性を確認し、閣僚級を含む両国の防衛当局間の交流拡大で一致した。双方は、自衛隊幹部のイスラエル訪問で一致した。>と述べている。
具体的には、サイバー兵器、UAVなどで進んでいるイスラエルのノウハウを日本が導入する可能性がある。
3.
東アジア情勢について、「共同声明」では、<双方は、厳しさを増す東アジアの安全保障環境について意見交換を行い、アジア・太平洋地域の平和と安定を維持する重要性を確認した。特に双方は、核開発、ミサイル開発、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる諸懸案の早期解決への強い希望を表明した。>と述べている。・・・・・・(以下略)
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol036(2014年5月15日配信)より