経済指標は軒並み「景気悪化」の兆候!「消費税10%」の是非判断が安倍政権の正念場になる
6月30日付けの本コラム(→こちら)で、消費の落ち込みがひどいと書いた。それは27日に公表された家計調査をそのまま読めばわかることなのだが、なぜか報道はほとんどなかった。
その理由は簡単で、27日には家計調査のほか、労働力調査、消費者物価指数調査が一緒に総務省から公表されていて、マスコミは見落としたのだろう。
労働力調査では、5月の完全失業率が前月に比べ0.1ポイント低下し、3.5%に。これは16年5カ月ぶりの低い数字だった。消費者物価指数調査では、5月の全国国消費者物価指数(生鮮食品を除くコア指数)は前年同月比3.4%。消費増税が物価に与える影響は2%程度なので、それを除くと、前年同月比1.4%。いずれも金融緩和によって雇用改善とデフレ脱却の道筋が見えてきている「いい数字」だ。そこだけを報道したのだ。
これらの統計数字は遅行指標であり、これまでの金融政策がよかったことを示している。一方、家計調査は一致指標であり、今と今後の経済動向を見るのに必要で、4月から実施された消費税増税の影響を示している。
本コラムの読者であれば、筆者が「十分な金融緩和をすれば、2年でインフレ目標2%の達成は容易であり、その結果雇用も改善する」と言ってきたことをご存じだろう。まさに、労働力調査と消費者物価指数調査は、それを裏付けている。同時に、消費税増税は本格的な景気回復の前では景気に冷や水をかけるので、スキップすべしと言ってきたこともご存じだろう。
消費に加えて民間設備投資、景気動向指数も悪化
家計調査の数字は、過去2回の消費税増税の時と比べてもたしかに悪かった(下図)が、ひょっとしたら外れ値かもしれない。
そうあってほしいが、他の統計も要注意である。GDPの概ねを占める民間消費が悪かったから、次に大きな要素である民間設備投資の動向が気になるところだ。これは10日に内閣府が発表した機械受注統計がポイントになるが、その数字もよくなかった。