会長に古川貞二郎・元内閣官房副長官、最高顧問にも石原信雄・元内閣官房副長官―。歴代内閣を支えた元大物官僚2人を据えるNPO法人「日本防災士機構」(東京・千代田区)に批判が集まっている。
同機構は、'02年7月に内閣府からNPOの認証を得て、防災時に地域の核となる人材の育成を目指し、「防災士」の資格試験などを実施している。
同機構ホームページによると、03年に「防災士」第1号が誕生して以降、今年4月末までに3万9820人を認証。機構側も11年度中に5万人の大台をめざすというが、その資格保有者からは「国家資格になると思っていたが、一体いつになるのか」との声が上がっているのだ。
防災士の集まりである日本防災士会の定期総会でも、こうした質問が突きつけられ、執行部側は「(認証者が)5万人を超えると魅力ある資格になると思う」と答えながら、「今すぐに資格化されるかというと、現在は諸般の情勢からすぐには実現しない」と言葉を濁した。
設立当初の機構を紹介する新聞記事では「将来、国家資格をめざす」ともあり、資格保有者から「講習会や受験料のために6万円もかけたのに、相変わらず民間資格のままか」といった声も出ている。
日本防災士機構の玉田三郎専務理事はこうした声に対して、次のように答える。
「(新聞の記事について)めざすと言った役員がいたかもしれないが、私達は今まで一度も国家資格になると謳ったことも、そう言って勧誘したこともない。協定を結んだ41の自治体では、税金で資格取得の費用を補助するため、おカネをかけずに資格を取る方法もある。今後は、自治体との輪を広げるなど、公的な資格に近づくよう努力したい」
防災関連資格をめぐっては、消防庁OBの天下り先の公益法人が認定する「防災管理者」や「防災管理点検資格者」などの国家資格が乱立状態。新たな国家資格がまた一つ誕生すれば、それはもはや「防災利権」と言わざるを得ない。