前回はKDDI(au)のWindows Phone端末「IS12T」の実機を用いて、Windows Phone 7.5の主な見どころを紹介した。今回は、スマートフォンで先行する2大勢力の一つiPhoneとWindows Phoneを比較し、IS12Tの魅力に迫っていきたい。
なお、Windows Phoneに関するブログを運営している筆者だが、これまでにiPod touch、iPhone 3GS、iPhone 4を使用してきたiPhoneユーザーでもある。現在もiPhone 4を日常的に使用している。
iPhoneよりモダンな操作画面
Windows PhoneはライバルであるiPhoneをよく研究して作られており、iPhoneユーザーにとって馴染み深い概念も少なくない。たとえば、iPhoneのホーム画面でアイコンを並べ替えたいとき、アイコンを長押しするという操作がある。Windows Phoneでタイルを並べ替えたいときも同じで、タイルを長押しすればよい。あるいは、iPhoneのアプリがiTunes App Storeからのみインストールできるのと同様に、Windows PhoneもまたインストールできるアプリはMarketplace経由に限定されている。
その一方で、実際の画面を比べてみると、その雰囲気は大きく異なっていることがわかるだろう。iPhoneは角丸でつやつやしたアイコンが並んでおり、各アイコンは立体的に表現されている(図1)。これに対してWindows Phoneのライブタイルは角が立っており、平面的だ(図2)。
それぞれの画面に設計思想があるので、どちらが優れているというつもりはない。だが筆者はWindows PhoneのMetroデザインのほうが、よりモダンであると思う。あるいはモダンすぎて、素っ気ないという意見もちらほら耳にする。ここでMetroデザインについて補足しておこう。
Metroデザインは「地下鉄や空港のように分かりやすいナビゲーション」を引き合いに出して語られることが多い。これらの交通機関で用いられる行き先案内や時刻表といった情報は、はっきりとした文字を中心にシンプルに表現されており、無駄な装飾が徹底的に省かれている(図3)。
iPhoneやAndroidがアイコンベースのデザインであるのに対し、Windows Phoneの画面ではタイポグラフィが重要な役割を果たしている。逆に、グラデーションやドロップシャドウ、立体的なエンボス表現などの装飾は禁止されている。その結果、ユーザーの視線は自ずとコンテンツに向かうようになる。このようにMetroデザインは、ビジュアルに禁欲的ともいえる制限をかけることで、「コンテンツが王様」(Content is King)という理念を実現しているのである。