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2013年12月4日水曜日

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡


セブンイレブン(7-11)が日本で誕生して2013年11月で40年(!)になりましたが、日本でこの業態を切り開いた最大手のセブンイレブンとはまったく真逆の組織戦略で作り直されたのが二番手のローソン。

そのローソンを「自律分散型組織」として再生させたのが新浪剛史氏です。「万年2位」に甘んじていた従業員の意識をいかに変革したか、この本でその10年間の取り組みを時系列と機能ごとの変革を概観することができます。

セブンイレブンが鈴木敏文会長を中枢頭脳とする「中央集権型」とすれば、ヒト・モノ・カネの経営資源では劣るローソンは苦肉の策として「自律分散型組織」で社員や加盟店オーナーのやる気を引き出す方向しかなかったわけです。

つまり限られたリソース(=経営資源)をいかに巧みに組み換え、「勝つべき地点」を設定しるといいう戦略とその実行が「自律分散型組織」であったわけです。

具体的な経営施策は以下のとおりです。

まずは変革の起爆剤として「成功体験」を作り、人材面では「ダイバーシティ(=多様性)と分権」を導入し、パートナーとしてのフランチャイズオーナーの地位を上げ、、「マネジメント・オーナー」制度を導入してやる気のある加盟店オーナーを育て、脱POSシステムの観点から「個」としての消費者動向をつかむためメンバーカードをベースにした「CRM」に挑戦し、新規分野にヒトを回すため業務改善の「BPR」に取り組む。

いずれも小売業とコンビニの常識に大胆に挑戦したものです。

そして仕上げとしては、ガバナンスのための集団経営体制にむけて、カリスマ経営に頼らない体制をつくる。

ローソンの組織変革の中核にあるものは「自律分散型組織」ですが、これはできるだけ現場に近い部署に権限を委譲し、現場の創意工夫を引き出す経営スタイルのことです。「自律分散型組織」は「自律型人材」を必要とします。

そしてまた、「自律型人材」になればなるほど遠心力が働きますので、一方では人材を組織人としてまとめていくための求心力が必要になります。それが経営理念です。

「自律分散型」か「中央集権型」は二者択一ではありません。企業が置かれている状況によって異なる選択肢です。

ベンチャー立ち上げから初期段階では当然のことながら強いリーダーによる中央集権型組織で一点集中突破、しかしつぎの段階以降では自律型組織に転換していくのが望ましいでしょう。

企業組織の内部で「個と組織」をどうバランスさせるか、そして基本的に「個」である消費者の心をどうつかむか、これは永遠のテーマであります。キーワードは「個」にあるのです。




目 次

はじめに
第1章 試された「分権経営」-ドキュメント・東日本大震災
第2章 迷走する経営と上場の「傷跡」-社長就任前夜
第3章 一番うまいおにぎりを作ろう-「成功体験」を作る
第4章 「田舎コンビニ」を強みに転じる- 「ダイバーシティーと分権」の導入
第5章 オーナーの地位を上げましょう-「ミステリーショッパー」の導入
第6章 加盟店オーナーにも「分権」-「マネジメント・オーナー」の誕生
第7章 「個」に解きほぐされた消費をつかむ-「CRM」への挑戦
第8章 「強さ」のために組み替える-「BPR」の取り組み
第9章 僕が独裁者にならないために-集団経営体制と新規事業
第10章 人間・新浪剛史-その半生
【インタビュー】スクウェア・エニックス 和田 洋一社長 「起業家ではない経営者」という同類から

著者プロフィール

池田信太朗(いけだ・しんたろう)
『日経ビジネス』記者。ビジネス情報誌『日経ネットブレーン』、中小企業向けIT情報誌『日経IT21』、『日経アドバンテージ』、定年退職者向けライフスタイル誌『日経マスターズ』の編集・記者などを経て、2006年から『日経ビジネス』で小売り業界を中心に取材、執筆。2011年12月に『日経ビジネスDigital』の立ち上げを担当し、2012年1月から編集長。2012年9月から香港支局特派員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか
・・星野社長は慶応義塾大学アイスホッケー部出身

書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)-日本の経営学を世界レベルにした経営学者・野中郁次郎の知られざるロングセラーの名著
・・「知的体育会系」というのは野中教授のネーミング

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる
・・「(フラットな組織である)オーケストラにおいては、個々の演奏者が、いかに他の演奏者とのハーモニーをつくり出すことができるかということであり、別の表現をつかえば、いかにチームワークを作りあげるかということになる。「もともと日本には、教会の響きのなかで賛美歌を歌いながらハーモニー(調和・和声)を創っていくという習慣がない。そのため、お互いの音を聴き合ってハーモニーを創っていくという意識が、どうしても低くなっているようにみえる」(P.157~158)」 日本と西欧との大きな違い。

「やってみなはれ」 と 「みとくんなはれ」 -いまの日本人に必要なのはこの精神なのとちゃうか?
・・2014年にサントリーの次期社長にローソン会長の新浪氏がスカウトされ内定。「やってみなはれ」精神の持ち主と評価されてのことだという

(2014年3月19日、7月3日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)





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2013年11月24日日曜日

書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏


本書は、現在進行中の Yahoo! JAPAN(ヤフー・ジャパン)における「組織変革」の最初の500日とその前夜の舞台裏をドキュメントとして描いたビジネス・ノンフィクション作品です。

ヤフーが変わってきた、そう感じているのはわたしだけではないと思います。その変化をもたらしたのは40歳代を中心にした新経営チームが推進している「組織変革」です。組織変革を必要としたのは、劇的では」ないが根源的な経営環境変化でした。

その環境変化とは、ヤフーが成功してきたPCにおけるポータル戦略が、顧客がスマートフォンにシフトするにつれて機能しなくなりつつあるのではないかという前の経営者が抱いた危機感。これは劇的な変化ではあっても一気に顕在化することのない、静かに潜行する根源的な変化であったというべきでしょう。

わたしはこの本を読んでいて、インテルの創業メンバーの一人でCEOをつとめていたアンディー・グローブの『インテル戦略転換』を思い出していましたが、あるいは本書に何度も引用されているクリステンセン教授の『イノベーションのジレンマ』を地で行く事例といってもいいかもしれません。『イノベーションのジレンマ』はスティーブ・ジョブズも愛読していた本でした。

オーナー企業ではありませんが、スタート時から17年間にわたって経営を担ってた天才経営者を承継するというミッション。しかも、外部からのスカウトではなく、組織内部からの抜擢によって40歳代の新経営者が抜擢され、彼を中心に経営チームが組成されます。

新経営チームによる「組織変革」がなによりも困難に直面していたのは、変革の起爆剤と推進剤になる危機感がかならずしも見える形で顕在化していたわけではなかったということ。ヤフー・ジャパンは、優良企業として17期連続で利益を出し続けていたということです。

そのような状況のなかでは、なぜ変革しなければならないかという気持ちを従業員にもたせるのは容易ではありません。いままでどおり現状維持したいし変わりたくないという「慣性の法則」が人間には働くためです。

すでに5,000人規模にまで拡大した上場企業をつくりなおすというミッションが、いかなる状況のもと、いかなる考えにもとづいておこなわれたか、そしてどのように進行しているか、それを密着取材によって読者は追っていくことができます。

「まず、登る山を決め」、経営チームという「異業種タッグが既成概念を壊」し、「爆速」などのキーワードにこめた"言霊"が組織を動か」し、「組織変革」を具体的な形に落とし込んでいくプロセス。まずは枠組みをつくって、組織全体がむかうべき方向性を示し、それから個々の従業員にとって自分の問題として、つまり当事者意識をもたせていくプロセス。

このプロセスはきわめて常識的で定石を踏んだもの。けっして奇をてらったものではありません。

しかし、「組織変革」というものは、むしろ持続的にやりぬいていくことこそがむずかしいわけです。

とりわけわたしが感心しながら読んだのが、「組織変革」の実際のフェーズに入ってから、「見ること」を徹底させているということ。

「見る」とは、わたしの表現では「観察」と言い変えたいところですが、徹底的に観察することによって、はじめて組織内コミュニケーションの基盤ができるわけです。上司と部下のあいだはもちろん、「斜め上」からの観察もきわめて重要。この基盤があってこそ信頼感が生まれ、人材育成が実現されていくわけです。人は見られていることを意識することで変わるのです。

このように、従業員一人一人のやる気を引き出し、組織としての活力を個々人どうしの掛け算として実現していく組織変革。これはぜひ一つのモデルとして、生きたケーススタディとして大いに学ぶべきものがあるといっていいでしょう。

著者もなんども書いていますが、この組織変革プロセスはあくまでも進行中のものであり、結果がどうなるかはわかりません。

しかし、変革に踏み出さなければ明日はないのです。成功モデルを後追いで振り返るのではなく、変化をどうマネジメントしていくかという「組織変革」の渦中を追体験する読み方をしたいものです。

ぜひ読むことをおすすめします。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。




目 次

まえがき
Chapter 1 革命前夜-ヤフーが一番つまらない!
Chapter 2 電撃指名-53番目の社員に託された命運
Chapter 3 改革始動-まず、登る山を決める
Chapter 4 前例破壊-異業種タッグが既成概念を壊す
Chapter 5 爆速誕生-"言霊"が組織を動かす
Chapter 6 再活性化-見られるからこそ社員は輝く
Chapter 7 試行錯誤-「!」を生み続ける組織へ
あとがき
参考図書・ヤフーの経営陣がオススメする書籍一覧
新生ヤフーの改革プロセス
新生ヤフーを率いる12人

著者プロフィール

蛯谷 敏(えびたに・さとし)
日経ビジネスDigital編集長。2000年慶應義塾大学総合政策学部卒業、日経BP社入社。入社後は通信業界誌「日経コミュニケーション」の記者として通信業界を担当し、2006年から「日経ビジネス」に所属。2012年9月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

<参考>

本書にでてくる「組織改革」のキーワードとワンフレーズ

「脱皮できない蛇は死ぬ」
「10倍挑戦して、5倍失敗して、2倍成功する」
「大切なのは、誰をバスに乗せるか」
「経営は軍議長くすべからず」
「経営者が自分の判断に迷うのは、目標が明確ではないからだ」
「まず、登るべき山を決める」
「改革とは、組織の中で浮くこと」
「組織は原理原則で動かす」
「見られるからこそ社員は輝く」 
「アサインよりもチョイスを増やす」
「イノベーションには会議より会話」







<関連サイト>

「コラム 爆速経営 新生ヤフーの500日」(日経ビジネスオンライン 2013年11月)

ヤフー宮坂社長に聞く“爆速経営”の手応え--2014年は「×10倍」 (CNET JAPAN  2014年1月1日)



<ブログ内関連記事>

スティーブ・ジョブズの「読書リスト」-ジョブズの「引き出し」の中身をのぞいてみよう!

「痛み」から学び、イマジネーションによって組織で共有する「組織学習」が重要だ!

「組織変革」について-『国をつくるという仕事』の著者・西水美恵子さんよりフィードバックいただきました

コトダマ(きょうのコトバ)-言霊には良い面もあれば悪い面もある

「自然エネルギー財団」設立に際して示した、ソフトバンク孫正義氏の 「使命」、「ビジョン」、「バリュー」・・・

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり

書評 『あんぽん 孫正義伝』(佐野眞一、小学館、2012) -孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ

「ハーバード リーダーシップ白熱教室」 (NHK・Eテレ)でリーダーシップの真髄に開眼せよ!-ケネディースクール(行政大学院)のハイフェッツ教授の真剣授業

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ


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2013年11月5日火曜日

【セミナー開催のお知らせ】 「成熟市場で勝ち残れる「営業チーム」の作り方」(2013年11月27日 日本橋)-経営者向けセミナーを開催



来る2013年11月27日(水)に経営者向けセミナーを開催します。概要は以下のとおりです。


【経営者/幹部10名様限定有料セミナー】 

成熟市場で勝ち残れる「営業チーム」の作り方
-本気で営業を変えたい中小企業経営者の皆様へ!-
⇒ http://www.seminars.jp/s/92793

【セミナー概要】

日程: 2013年11月27日(水)
時間: 15時00分 ~ 17時00分
会場: ビジョンセンター日本橋 502号室
講師: 高田 稔(たかだ・みのる)/佐藤けんいち(さとう・けんいち)
⇒ http://www.seminars.jp/s/92793


【セミナー内容】

中小企業経営者の皆様!

-若手の営業担当者の育成がうまくいかない
-営業マネージャーが部下を育成しない
-営業担当者をセミナーに派遣しても成長が見えてこない
-営業チームの雰囲気が悪い
-営業チーム内の連携が悪い

そんなお悩みをお持ちではありませんか?

成熟して縮小傾向にある日本市場ですが持続可能に勝ち残っていくことは十分に可能です。そういう会社は多数あります。

持続可能な成長とは、自社の既存の市場をベースにしながらも営業のチカラによって成長軌道を維持していくこと。「現状維持」するためには「成長」を続けていかなければなりません。

そのためのカギがなにか御存じでしょうか?

カギはずばりいって「営業チーム」全体の営業力にあります。特定の個人の営業力がいくらパワフルでも「営業チーム」全体の営業力があるとはいえません。

では、どうしたら「営業チーム」全体の営業力をつけることができるのでしょうか?

その答えは、ぜひセミナー当日お伝えさせていただきたいと考えております。

⇒ http://www.seminars.jp/s/92793


【受講対象】

本気で営業を変えたい中小企業経営者の皆様


【期待できる効果】

成熟市場となった日本で勝ち残るための「一番化戦略」の概要、強化すべき「営業チーム」とはなにか、そしてチームとしての総合力を養成するにはなにをすべきか、小手先のテクニックではない本質論に基づいた方法論を知ることができます。


【セミナー概要】

一握りの優秀な営業パーソンがいても、けっして会社は強くなりません。「営業チーム」全体の能力アップが成熟市場での生き残り続けるカギなのです。そして、営業が変われば会社全体もかならず良い方向に変わります。今回のセミナーでは「一番化戦略」を指南する営業コンサルタントと「自律型組織人育成」を支援する組織コンサルタントが、本気で営業を変えたい中小企業経営者の皆様に向けて、成熟市場で勝ち残れる「営業チーム」の作り方をお伝えいたします。「営業が変われば 会社は変わる」のです!


【講師紹介】 

高田 稔(たかだ・みのる)
MBAコンサルタント(一番化戦略・営業コンサルタント)

米系外資企業にて日本国内及びグアム、マイクロネシアにて営業、及び営業のマネジメントを行う。社長賞(1位)を含め3位以内、10位以内の受賞経歴を持つ。2005年より独立し、営業を主体としたコンサルティングを中小企業を中心に行い、営業マンの育成、営業戦略の立案から実施までを手がけ飛躍的な売り上げのアップを図り現在に至る。

1969年、東京生まれ。1993年、立命館大学卒業(京都)。2005年、英国ハル大学(University of Hull)にてMBA取得(専攻:マーケティング)。著書に、『20代で身につけたい 営業の基本』(中経出版、2011)、『小さなことでいいから、まずは一番になりなさい。』(中経出版、2012)がある。


佐藤けんいち(さとう・けんいち)
MBAコンサルタント(自律型組織人育成支援・組織変革コンサルタント)

組織人事からビジネスキャリアをスタート。金融系コンサルティグファーム、広告代理店系コンサルティングファームを経て、中小の機械部品メーカーの取締役として「ナンバー2」のポストに就任、営業チーム力強化からはじまる経営改革を責任者として主導、売り上げと利益を倍増させ持続可能な経営体制をつくりあげることに貢献。その間、タイ王国のバンコクで同社の現地法人を立ち上げ社長を歴任。2010年に独立して現在に至る。

1962年、京都府生まれ、1985年、一橋大学卒業(東京)。1992年、米国レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI)にてMBA取得(専攻:技術経営)。著書に、『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房、2012)、『一個人的策展年代:串聯社群,你需要雜學資料庫』(世茂出版社、台湾、2013)がある。



【セミナー詳細】

日程: 2013年11月27日(水)
時間: 15時00分 ~ 17時00分
受付開始: 14時40分
定員: 10 名
申込期限 2013年11月26日
会場 ビジョンセンター日本橋 502号室
会場住所 中央区日本橋室町1-5-3 福島ビル5F
アクセス 日本橋三越店向かい(徒歩1分)。1Fに島根県物産店「島根館」があるビルの5F
持参物 名刺、筆記用具
主催・共催 株式会社ケン・マネジメント
当日の連絡先 080-8410-1101
⇒ http://www.seminars.jp/s/92793





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2013年5月20日月曜日

【セミナー開催のお知らせ】 「営業が変われば会社は変わる!-縮小する成熟市場・日本で持続可能に勝ち残るために考えるべきこと-」(2013年6月7日 日本橋) 


■セミナーの概要

中堅中小企業経営者のための営業力強化の基本を、一番化戦略の営業コンサルタントと組織変革コンサルタントという、経営を熟知している二人の専門家による中身の濃い「対話」からヒントをゲットしてください!

■セミナーの内容

中堅中小企業の経営者の皆様!

-若手の営業担当者の育成がうまくいかない
-営業マネージャーが部下を育成しない
-営業担当者をセミナーに派遣しても成長が見えてこない
-営業チームの雰囲気が悪い
-営業チーム内の連携が悪い

そんなお悩みをお持ちではありませんか?

「アベノミクス」で明るい兆しのでてきた日本経済ですが、構造的に市場は成熟し縮小傾向にあることは否定できません。現実はシッカリと見つめなくては足をすくわれてしまいます。

とはいっても、日本で上手くいかないから海外でチャレンジすればいいというものでもありません。日本で上手くいかなければ海外に出てもなかなか上手くいかないのが現状です。海外は本質的に異なる市場ですから、日本と同じやり方では成功できないからです。

そんな縮小傾向にある成熟市場・日本ですが、サステイナブル(持続可能)に勝ち残ることは可能です。実際に勝ち残っている会社も少なくありません。

サステイナブル(持続可能)な成長とは、自社の既存の市場をベースにしながらも営業のチカラによって成長軌道を維持していくことです。これは現状維持とは根本的に異なる考え方です。現状維持するためにも成長を続けていかなければならないのです。

売上が上がって利益が上がれば、営業は元気になります。
営業が元気になれば、会社全体が元気になります。
成長軌道に乗ってくると、いい製品やサービスが出るようになります。
「営業力×開発力」で、さらに会社が元気になっていきます。

一言でいえば、営業が変われば、会社も変わるのです。

営業をテコにして会社を変えることにもつながるのです。
従業員がハッピーになれば、会社もハッピーになるのです。

「営業が変われば会社は変わる!」というテーマで、経営のわかる営業のプロと人材育成のプロが、そんなお悩みをお持ちの中堅中小企業経営者の皆さまのヒントになるよう、「対話形式」で本質論についてお話しさせていただきたいと考えています。

営業力強化とは、分解すれば「個人と組織」の問題です。
営業とはつまるところ営業マン個人の問題であり、かつ営業組織全体の問題でもあるのです。

「営業マンの個人能力アップ ⇒ 組織営業の能力アップ ⇒ 会社の組織力アップ」で、サステイナブルに勝ち残っていきましょう!

では、2013年6月7日、日本橋でお会いしましょう!



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セミナー開催概要

タイトル: 「営業が変われば 会社は変わる」
日時: 2013年6月7日(金) 15:00~17:00 (受付開始14:40)
会場: 東京・日本橋 (詳細は申し込みされた方に個別にお知らせいたします
参加対象者: 中堅中小企業の経営者(営業担当役員、人事担当役員、経営企画担当役員等も含む
募集人員: 10名限定
申し込みとお問い合わせ:  https://www.facebook.com/events/263384643807407/
 047-498-9016 または ken@kensatoken.com  まで(コピー&ペーストでお願いします)。


■講師プロフィール

●高田 稔(たかだ・みのる)MBA

一番化戦略、営業コンサルタント。
米系外資企業にて日本国内及びグアム、マイクロネシアにて営業、及び営業のマネジメントを行う。社長賞(1位)を含め3位以内、10位以内の受賞経歴を持つ。2005年より独立し、営業を主体としたコンサルティングを中小企業を中心に行い、営業マンの育成、営業戦略の立案から実施までを手がけ飛躍的な売り上げのアップを図り現在に至る。
1969年、東京生まれ。1993年、立命館大学卒業(京都)。2005年、英国ハル大学(University of Hull)にてMBA取得(専攻:マーケティング)。著書に、『20代で身につけたい 営業の基本』(中経出版)、『小さなことでいいから、まずは一番になりなさい。』(中経出版)
 ウェブサイト: http://www.takadaminoru.com/

佐藤けんいち(さとう・けんいち)MBA

マネジメント国際化、組織変革コンサルタント。
組織人事からビジネスキャリアをスタート、金融系コンサルティグファーム、広告代理店系コンサルティングファームを経て、中小の機械部品メーカーの取締役として「ナンバー2」のポストに就任、営業マンの人材強化からはじまる社内変革を責任者として主導し、売り上げと利益を倍増させサステイナブル(持続可能)な経営体制をつくりあげることに貢献。その間、タイ王国のバンコクで同社の現地法人を立ち上げ社長を歴任。2010年に独立して現在に至る。
1962年、京都府生まれ、1985年、一橋大学卒業(東京)。1992年、米国レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI)にてMBA取得(専攻:技術経営)。著書に、『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房)。
  ウェブサイト:  http://kensatoken.com/
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2012年12月11日火曜日

書評 『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)-「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か?



『No.2理論-最も大切な成功法則-』(西田文郎、現代書林、2012)という本が出版されています。

「ナンバー2」というタイトルに目をひかれました。なぜなら、わたし自身がある中小企業で7年間にわたって「ナンバー2」を務めたらからです。

「ナンバー1」ばかりがもてはやされるなか、なぜいま「ナンバー2」なのか?

「ナンバー2」とは、企業など組織での重要な機能のことを指しています。経営トップが「ナンバー1」であれば、その補佐役が「ナンバー2」。もっとも有名な例でいえば、ホンダの創業者である本田宗一郎を支え続けた藤澤武夫をあげることができるでしょう。

本書は、「ナンバー2」がなぜ発展期の企業には必要か述べています。「ナンバー2」は、日本においては、大番頭、女房役、補佐役、相談役といった役割になります。

会社経営では「ナンバー2」がカギを握っているという著者の主張には全面的に賛成です。つぶれる会社、伸び悩む会社の共通点は「ナンバー2」を欠いていることというのはその通りです。

著者が言うように、優秀な「ナンバー2」をもつ「ナンバー1」は最強といっていいでしょう。その関係は足し算ではなく掛け算だからです。

そして、「ナンバー2」のなんたるかを知り、「ナンバー2」を体験した者は、「ナンバー1」になってから成功する可能性が高いとは言って問題ない。

でも実際には優秀な「ナンバー2」はきわめて少ない。それは「ナンバー2」の能力不足の問題でもあり、また「ナンバー1」の器量の大きさの問題でもあります。

本書が、「ナンバー2」について注意を促した点は評価すべきです。なぜなら、ここのところ「ナンバー2」を正面切って論じた本がまったくなかったからです。かつては少なくなかったのですが、冒頭にも書いたように「ナンバー1」を目指すことばかりが強調されるきらいがあったからです。

ただ、わたしとしては本書に不満が多々あるのは、書かれていることはややキレイごとが多いのではないかという点です。

また、「MBAでは教えないが・・」というフレーズがでてきますが、ピントはずれなものの少なくないという印象をうけます。グーグルのシェリル・サンドバーグのような「ナンバー2」をどう説明するのか、本書からはまったくわかりません。

経営トップという「ナンバー1」がきわめて孤独なポジションであるとすれば、「ナンバー2」というのは、体験者であるわたしの理解においては、きわめて危険なポジションです。「ナンバー1」と一般従業員のあいだに挟まれるポジションであるからです。

しかも、あくまでも補佐役に徹しなくてはならないのに、求められる要件はきわめて大きくかつ多い。最終責任を負うのは「ナンバー1」ですが、「ナンバー1」以外のすべての執行責任は「ナンバー2」にあるのです。

欲望、誘惑、権力。こういった人間の根源的なものにかんする考察を抜きに「ナンバー2」を語るのは危険ではないかとわたしは思います。なぜなら、この世には聖人君子といえるような人は、きわめてまれにしか存在しないから。それは「ナンバー1」も「ナンバー2」も同じです。

わたしは、「ナンバー2」は目指すべきものだとは思いません。目指すのではなく、求められてなるもの、巡り合わせでなるものです。

しかし、求められてその立場にたったとき、「ナンバー2」に求められるものを理解し、その「覚悟」を決めることこそが本質的に必要であると考えています。それが「ナンバー1」と「ナンバー2」のあいだに「信頼」を生み出すのです。「信頼」は「なれあい」ではありません。

なによりもまず、「ナンバー2」は組織における機能であり、「ナンバー2」とは組織内における人間の生き方でもあるのです。しかも、きわめて厳しいものが求められる困難な生き方です。これは中国近現代史であれば、毛澤東と周恩来の関係を考えてみればすぐにわかることです。

「ナンバー2」論は、精神論に終わらせず、経営理論として鍛え上げる必要があるのではないかと思うのは、わたしが「ナンバー2」を7年間にわたって経験しているからです。

組織「外」の立場と組織「内」の立場とでは、180度まったく違うのです。これは身をもって体験しない限り、よほどのイメジネーション能力の持ち主でない限り、理解困難なことでしょう。

とはいえ、『No.2理論』という形で「ナンバー2」論を執筆した著者と、それを可能にした出版社には敬意を表します。ここ数年、「ナンバー2」というタイトルでは、まったく出版がなくなっていたからです。これを機会に、企業組織において「ナンバー2」の役割が見直されることを願います。

わたしもいずれ、自分自身の体験というフィールドワークをベースにした、自分自身の「ナンバー2」論を執筆したいと考えております。


PS 都知事選の結果について

「ナンバー2」を体験したトップはつよい。その意味では東京都知事に当選した猪瀬氏への期待は大きい。石原慎太郎前都知事の下で5年半のあいだ「ナンバー2」をつとめた実績は多いに評価すべきであろう。(2012年12月17日 記す)





目 次

まえがき
第1章 会社も組織もチームもナンバー2が伸ばす
第2章 会社の実態はナンバー2を見ればつかめる
第3章 戦う集団にこそナンバー2が不可欠である
第4章 七つの心得がナンバー2のレベルを決める
第5章 間違いない人選でナンバー2を育て上げる
第6章 優秀なナンバー2が優秀なトップをつくる
あとがき

著者プロフィール

西田文郎(にしだ・ふみお)
株式会社サンリ代表取締役会長。株式会社キャリティ取締役会長。西田塾塾長。西田会会長。1949年生まれ。日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニア。1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(S・B・T)』を構築。日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に多数携わり、驚異的なトップビジネスマンを数多く育成している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

最高の「ナンバー2」とは?-もう一人のホンダ創業者・藤沢武夫に学ぶ

シェリル・サンドバーグという 「ナンバー2」 としての生き方-今週の Bloomberg BusinessWeek (ビジネスウィーク) のカバーストーリーから

「長靴をはいた猫」 は 「ナンバー2」なのだった!-シャルル・ペローの 「大人の童話」 の一つの読み方

官房長官は実質的に政権「ナンバー2」-政治と企業経営の共通点について考えてみる

「世襲」という 「事業承継」 はけっして容易ではない-それは「権力」をめぐる「覚悟」と「納得」と「信頼」の問題だ!

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)

(2014年11月3日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)









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2012年4月5日木曜日

書評 『模倣の経営学-偉大なる会社はマネから生まれる-』(井上達彦、日経BP社、2012)-「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと


「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?

本書は、すぐれた会社はすぐれた模倣を行っていることについて書かれた一般向けの経営書です。

クロネコヤマト、スターバックスとドトールコーヒー、ジョンソン&ジョンソン、グラミン銀行などの具体的な事例をつかいながら、すぐれた会社が、何をどう模倣しているのか、あるいは反面教師として経営戦略をつくりあげたかを分析したものです。

模倣というと上品な響きだが、英語でいえばイミテーション、本質的には真似(まね)と同じです。

日本語では「学(まな)ぶとは真似(まね)ぶなり」という表現があるように、「模倣すなわち学習」のことです。

子どもが大人を真似るように、何事もお手本となるモデルがなければ、独自性も創造性もあったものではありません。いや、真似して自分のあったものを取捨選択して身につけることじたいが、じつはきわめてクリエイティブな行為なのです。

模倣は基本的には個人レベルで行われるものであるが、会社レベルでも行われます。

もちろん、会社を動かしているのは経営者や個々の従業員である以上、模倣のプロセスはそれほど簡単ではありません。本書で行われているのは、基本的には経営戦略をつくって実行させる立場にある経営者レベルのものです。著者は、本書において、経営者がみずから書いた本を材料にして事例分析を行っています。

本書は経営書ではありますが、経営者が書いたビジネス書などを読む際のガイドにもなっています。経営者が書いた回想録や経営書を読むことじたい、じつはビジネスパーソンにとっては、ある種のすぐれた模倣となるべきなのです。読者は、自分に必要なもの本から読み取って模倣するための手引としても活用すべきでしょう。

ただし、実務家である経営者や経営コンサルタントとは違うなと思う記述もすくなくありません。分析して見せるまではいいのですが、ではどう取り組むかまではあまり書かれていないためです。その点はあまり期待せず、割り引いて読むことをすすめたいと思います。

マネジメント専門書を読むのはハードルが高いと、ためらっている若手ビジネスパーソンにはぜひ手にとって通読してみるといいと思います。


<初出情報>

■bk1書評「「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?」投稿掲載(2012年4月4日)
■amazon書評「「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?」投稿掲載(2012年4月4日)

*再録にあたって一部加筆修正した




目 次

まえがき 模倣のパラドクス
第1章 「天才のなぞかけ」-メタファーとイノベーション
第2章 「インドの露天商」-模倣すべき本質をモデリングする
第3章 「クロネコの革命」-4つの要素と5つのステップ
第4章 「2つのカフェ」-模倣の創造性
第5章 「4人の教師」-誰をどのように模倣するのか
第6章 「守破離」-手本と現実のギャップを越える
第7章 「わな」-模倣できそうで模倣できない会社
第8章 「反転」-逆発想のモデリング
第9章 「作法」-倣い方を倣う
あとがき 経営書を「消費財」で終わらせないために

著者プロフィール

井上達彦(いのうえ・たつひこ)

早稲田大学商学学術院教授。1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授、早稲田大学商学部助教授(大学院商学研究科夜間MBAコース兼務)などを経て、2008年より現職。2011年9月より独立行政法人経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、2012年4月よりペンシルベニア大学ウォートンスクール・シニア・リサーチフェローを兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの


<書評への付記>

お手本の模倣(=真似)はすべての出発点

社会人になる前のことですが、大学の卒論を書く際に言われたことをいまも思い出します。

ゼロからオリジナルな論文など書けるわけがないので、自分が設定したテーマにもっとも適合した論文を探し出してきて、それを徹底的に読みむこ真似ること。そのうえで、卒論を書き始めてみるように、と。

すべてはお手本を真似るということから始まるのです。真似するのです。

著者も一章をさいて説明していますが、日本の武道や芸事には、「守破離」という「型」を身につけるためのモデルが古くから確立しています。まずは師匠を徹底的に真似てから、あえてその教えを破り、最終的には独り立ちして自分の型をつくりあげるというモデルです。

本書で面白いと思ったのは、西洋の弁証法モデルもまた「正反合」と三段階で物事を説明していること。「守破離」よりもアンチテーゼ的な要素が濃いですが、構造としてはよく似ています。

著者のいう「正転模倣」が「守破離」であれば、「反転模倣」は「正反合」に対応しています。

著者は、遠いところからポジティブな模倣をすることを「正転模倣」近いところから反面教師として模倣することを「反転模倣」と、聞き慣れないコトバをつかって説明していますが、意味したことは理解できる。「反面教師」とは「人の振り見て我が振り直せ」ということです。

なにごとも自分で体験できればそれに越したことはありませんが、じっさいには時間の関係からそれは不可能です。実体験からの学びを「経験学習」といいますが、「代理学習」(観察学習、間接経験学習)もまた必要なのはそのためです。


さらに必要なのは「組織変革」の視点

ひじょうに面白いポイントから書かれていますが、組織というものは経営者の意向に従って動くものだという単純なモデルに基づいているような印象を受けます。

経営者は会社を自分の考える方向に引っ張っていくことができますが、じっさいに組織内で起こっていることは、それほど単純ではありません。

じっさいは、それぞれべつの思惑をもつ個人が、同じ方向性(=経営戦略)というワクのなかで、一人一人のメンバーの行動が、複雑系のなかで交差しながら、前進したり後退しながら前に進んでいるというのが会社組織の実態です。

模倣というのはまず何といっても個人レベルの問題であり、個人レベルの模倣がヨコ展開や反面教師をつうじて拡散、伝播していくという視点を忘れてはいけません。

一人の人間の脳内で起こっているプロセスと、複数の人間のあいだで起こるプロセスが違うことについて、深く考えておかねばならないのです。これは、経営者がおうおうにして間違いやすいポイントです。

学者の分析は分析どまりでプラクティカルではないという感想をもつのは、そういう理由です。とはいっっても、学者の役割を否定しているわけではありません。要は、学者もハサミも使いようだ、ということです。



<ブログ内関連記事>

書評 『プロフェッショナルを演じる仕事術』(若林計志、PHPビジネス新書、2011)-「学ぶとは真似ぶなり」という先人の知恵を現代風にアレンジした本・・「守破離」のポイントは同じ

書評 『絶対の自信をつくる 3分間トレーニング』(松尾昭仁、あさ出版、2011)・・カタチから入る誰でもできる方法について書かれたもの。この本は初級者向け

What if ~ ? から始まる論理的思考の「型」を身につけ、そして自分なりの「型」をつくること-『慧眼-問題を解決する思考-』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2010)
・・「守破離」についてわたしのコメントが書いてある。あわせてお読みいただきたい

「学(まな)ぶとは真似(まね)ぶなり」-ノラネコ母子に学ぶ「学び」の本質について

カラダで覚えるということ-「型」の習得は創造プロセスの第一フェーズである

「三日・三月・三年」(みっか・みつき・さんねん)

「地頭」(ぢあたま)について考える (1) 「地頭が良い」とはどういうことか?

「地頭」(ぢあたま)について考える (2) 「地頭の良さ」は勉強では鍛えられない

書評 『ヒクソン・グレイシー 無敗の法則』(ヒクソン・グレイシー、ダイヤモンド社、2010)-「地頭」(ぢあたま)の良さは「自分」を強く意識することから生まれてくる

世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる
・・本書でも取り上げられている藤田田(ふじた・でん)について






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2012年3月8日木曜日

「痛み」から学び、イマジネーションによって組織で共有する「組織学習」が重要だ!


「人は、手痛い失敗経験を通じて初めて学ぶ」

「人は、手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ」、ということは誰でも経験があることだと思います。

自分で腕をつねれば痛いし、足指を机の角にぶつけたりすると耐えがたい痛みを感じる。指を切ったりすると、痛みだけでなく、血が出るのでビジュアル的にも痛みが増幅されるものです。

物理的に怪我をしたときだけでなく、比喩的な意味でも怪我をすると、人間は同じ失敗をしないように学ぶものです。なぜなら、痛い思いは何度もしたくないからですね。

このことは、Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ という記事に書きましたので、そちらも参照いただけると幸いです。


組織のメンバー全体で「痛み」を共有する組織学習

「人は、手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ」ものですが、痛い思いを何度も繰り返したくないのは、それは個人だけでなく、企業や社会もまた同じでしょう。

ちょっと古い話ですが、いまから12年前、ブランド論がさかんだった2000年のことですが、雪印乳業で発生した食中毒事件が発生し、消費者の信頼を失った結果、雪印(スノーブランド)が毀損(きそん)してしまうということがありました。

ブランドの根幹は顧客からの信頼ですが、いったん信頼を失ったブランドは、あっという間に崩壊してしまうものです。

雪印はその手痛い経験から大いに学び、現在では、まだまだ完全ではありませんがブランドも回復過程にあるといえましょう。2009年には、雪印メグミルク株式会社として統合されています。

「人の噂も七十五日」とうコトワザがありますが、おそらく顧客である消費者よりも、現在でも企業内部のおられる方々のほうが真剣に受け止め、誠実に取り組んでおられるのではないかと思います。

ここまで企業を主語にしいて語ってきましたが、重要なことは、企業はあくまでも「法人」であって「自然人」ではありません。法人というのは、あくまでもバーチャルな存在ですから、企業そのものが痛みを感じるわけでも、反省するわけでもありません

企業であれ、社会であれ組織体です。組織というものは基本的に人間の集合体ですから、痛い思いをするのは、あくまでもその組織に所属する個々の人間なのです。

痛い思いをした本人は当然のこと、当事者ではなくても、その痛みを多くの人で共有することができれば、手痛い失敗経験からの学びは、かならずつぎのアクションにつながるものです。

売り上げが減少してボーナスがカットされる、顧客からクレームの嵐になる、自分の子どもが学校でいじめられるといったことをつうじて、組織に所属する個々人が痛みを直接的あるいは間接的に感じるのですが、多くの人にとては、あくまでもイマジネーションによるしかないのです。

組織に所属するメンバーがどれだけ真剣に受け止め、組織としてその痛みをずっと感じ続けることができるかが「組織学習」のカギなのです。


しかし、人間は忘却する生き物である。組織もまた・・・

とはいえ、痛い思いをした事件が発生してから時間がたつと、人間というものはその痛みを忘れてしまいがちです。

昨年2011年の3月11日に発生した大津波で亡くなった方のなかには、津波慣れしているのでかえって高をくくってしまい逃げおくれた人も少なくないと聞いています。人間は、過去に痛い経験をしていても、時間がたつとその痛みを忘却し、不感症になってしまうものです。

22歳前後で入社した従業員が60歳定年まで在籍していたとしても、在籍している期間は38年に過ぎません。一人の人間においても時間による忘却から逃れることはできないのに、どんな組織でもメンバーの入れ替わりがある以上、痛い思いを感じ続けるのは、かなり困難であるといっても言い過ぎではないでしょう。

JAL(日本航空)も1985年の御巣鷹山(おすたかやま)の事故当時からすでに26年以上たっています。組織のメンバーもだいぶ入れ替わってしまっているので、「痛み」がいまでも全社員に共有されているのかどうか。

JALは再建に成功し、今年中に、再上場する予定だと報道されていますが、くれぐれも事故のことは組織全体で繰り返し想起し、安全第一の姿勢は絶対に崩さないでいることを願いたいと思います。

「痛み ⇒ 学び ⇒ イマジネーションによって組織で共有 ⇒ アクション ⇒繰り返し想起」の流れも、時間の経過とともに忘却されてしまいがちであす。べつの表現をつかえば風化されがちです。

ひとりの人間のなかでも、痛みの経験は時間の経過とともに忘却されがちです。ときに、フラッシュバック現象のように、あるキッカケで突然思い出すこともありますが、それはあくまでも個人の内部でのできごとです。

直接に「痛み」を体験していない従業員が増えるにつれて、組織全体の痛みに対する不感症の度合いが高まっていきます。

ぜひ、みなさんの組織でも、過去に経験した痛みがあれば、組織全体で定期的に想起してその痛みを共有する機会を制度として定着させてほしいものだと思う次第です。

「痛み」の記憶とそれにまつわるストーリーが、その「学び」の成果を組織として次世代にまで継承していくための重要なのです。







<ブログ内関連記事>

Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける

「誇り」と「頑張り」の源泉は、「ミッション」(使命感)が明確だから

慶応大学ビジネススクール 高木晴夫教授の「白熱教室」(NHK・ETV)

「組織変革」について-『国をつくるという仕事』の著者・西水美恵子さんよりフィードバックいただきました





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2011年8月24日水曜日

ミッション(使命)が明確でなくなった組織に存在意義はあるか?-「週刊 ダイヤモンド 2011年 8月27日号 特集:経産省解体!」


 組織というものは、ミッション(使命)が明確であると存在意義も社会から認めてもらえます

 存在意義(=レゾンデートル)のなくなった組織がもたらす弊害として、経済産業省も挙げることができるのではないでしょうか。

 だいぶ以前から「通産省(=経産省)無用論」がありました。もともと、通産省は敗戦後に白洲次郎によって「通商」と「産業」が合体してあたらしく再編されたもので、その使命はすでに終えて久しいといっても言い過ぎではないようです

 今週(2011年8月27日号)の「週刊ダイヤモンド」の特集は「経産省解体!」。刺激的なタイトルですね。

 民間企業は、つねに競争にさらされているので、ある程度まで自浄作用や自然淘汰が働きますが、役所の場合はミッションを喪失しても存続してしまうのが大きな問題。

 官僚組織は、組織のミッション(使命)を全面的に見直すか、そうでなければ再編されるのも仕方ないというべきでしょう。  

 みなさんはどう思われますか?


目 次

特集 「経産省」解体!

Part 1 組織編 経産省解体への序曲
 保安院分離で蠢く解体シナリオ
 新・中央省庁再編案
 天下り先増殖のあきれたカラクリ
 経済産業省の組織
 Interview 古賀茂明●経済産業省大臣官房付
 Interview 海江田万里●経済産業大臣

Part 2 政策編 産業政策の無為無策
 出だしからつまずくインフラ輸出
 競争力向上目指す産業政策の愚
 死屍累々の大プロジェクト政策
 経済産業省の歴史
 経産省が電力会社に屈した日
 Interview 松永和夫●前経済産業事務次官

Part 3 人材編 経産官僚の本質
 有能な若手の流出で小粒化
 血で血を洗う派閥抗争の内幕
 経済産業省 出世スゴロク
 組織にはびこる根深い体質
 経産官僚と財務官僚の気質の差








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2011年4月27日水曜日

NHKのアニメ 『もしドラ』 の第2回放送(4月26日)のおさらい-「組織変革」 と 「インターナル・マーケティング」のドラマなのだ


 昨夜、NHKのアニメ「もしドラ」の第2回放送みましたか?

 さて、昨日(4月26日)の放送は、「みなみはマーケティングに取り組んだ」というタイトル。

 ドラッカー経営学のエッセンスは、「顧客創造」。そのための方法論は、「マーケティング」と「イノベーション」の二つしかない、というものですが、今回はその「マーケティング」がテーマ。

 「マーケティング」(marketing)とは「セリング」(selling:販売)をなくすことである、というのがドラッカーの有名なテーゼですが、今回の番組を見ている限りでは、どうもその意味では使っていないようですね。一般で使っている「マーケティング」とはちょっと違うニュアンスのようです。

 むしろ、みなみが取り組もうとしたのは、組織内のメンバーを「顧客」ととらえた、組織内のメンバーに向けた「インターナル・マーケティング」のことだと考えたほうがいいでしょう。
 
 「インターナル・マーケティング」(internal marketing)というコトバはあまり聞いたことがないかもしれませんが、一言でいってしまえば、組織内のメンバーとの双方向のコミュニケーションのことです。別の言い方をすれば「対話」(ダイアローグ)をつうじて、組織を目標達成にむけて行うものと言っていいかもしれません。

 みなみが、「マネージャー」の役割は「専門家」の言うことを「翻訳」してメンバーに伝えることであると解釈していたようですが、つまるところは、専門家が言うことをそのまま伝言ゲームでメンバーに伝えるのではなく、自分のコトバでかみ砕いて伝えるということですね。しかも一方方向の伝達ではなく、双方向のコミュニケーション。

 ですから、わたしからみると、このドラマは一般的な意味の「マーケティング」というよりも、「組織変革」のドラマといったほうが適切です。

 このドラマを「組織変革」ととらえると、まず取り組んだのがメンバーの一人一人との面談調査であるということは、きわめてセオリーどおりの手順を踏んだことになります。一般にヒアリングというコトバを日本ではつかっているようですが、正確にいうとインタビュー調査ですね。

 病室のなかという、比較的リラックスできる(?)空間のなかで、話を「引き出し」やすいように、工夫していることろは見事なものです。また、コミュニケーション・スキルの高さがうかがわれます。

 実は、今回の放送で扱っていた内容は、組織変革コンサルタントが実際に行っている方法論そのものなのです。

 実際には、聴き取った内容をどう整理して解釈するか、そのフェースが難しいのですが、問題解決のヒントは「つねに現場にある」。これはもっとも重要なことです。

 主人公の みなみは、プレイイング・マネージャーではありませんね。組織のメンバーだが、プレイヤーそのものではない。この立ち位置は、会社組織のなかでは、プロフィット部門ではなく、コスト部門である間接部門のスタッフという位置づけです。

 ドラッカーの『マネジメント』をすべて読み込んで、それを現実にあてはめたというよりも、「知らないからみんなの意見をきかせて!」というスタンスが重要なことを示しているといってもいいでしょう。



 本日(4月27日)の放送では、「みなみは人の強みをいかそうとした」が取り上げられます。

 個人が集まっただけではたんなる集団に過ぎません。その集団を同じ一つの目的を共有した「組織」にどう変身させるのか、その一つの方法論が「個人個人の強み」を引き出し、活かすということ。

 さて、これからドラマの展開はどうなるのでしょうか? 楽しみですね。







<関連サイト>

『もしドラ』(NHKアニメワールド)


<ブログ内関連記事>

レビュー 『これを見ればドラッカーが60分で分かるDVD』(アップリンク、2010)

書評 『知の巨人ドラッカー自伝』(ピーター・F.ドラッカー、牧野 洋訳・解説、日経ビジネス人文庫、2009 単行本初版 2005)




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