第8回 眠気に打ち克つ力 その2 ―米国学会が若者に“寝坊のススメ”

 今回は「眠気に打ち克つ力」の第2回目として、学生さんの睡眠不足を取り上げてみたい。「毎晩夜更かしして、遅刻して、授業中は居眠りだ? たるんどる!(怒)」いやいやお父さん、「マズイと分かっているが、眠れない」そんな若者も多いことを知っていますか? その拳を振り下ろす前に、とりあえず最後までお付き合いのほどを。

 最近公開された「健康づくりのための睡眠指針2014」では若者の夜型生活と睡眠不足が取り上げられ、夜中のスマホ(ブルーライト)を自粛するようにアドバイスしている。夕方から深夜にかけて浴びる光、特に青色波長の光は体内時計に働きかけて翌日の睡眠リズムを遅らせるため、スマホ悪玉論には理がないわけではない。

 実は筆者はスマホのブルーライトは大騒ぎするほどのものではないと考えているのだがその話は別の機会に譲るとして、じゃあスマホを取り上げれば若者の夜更かしが解決するかというとそんなことは決して無い。スマホの無い時代でも暗がりでオールナイトニッポンを夜な夜な聞いていた自身の体験から筆者は強く確信している。「若者は眠くないから起きているのだ」と。

 睡眠時間帯は年代によって変動するが、高校生から大学生にかけての思春期に最も夜型傾向が強まること分かっている。その正確なメカニズムは不明だが、性ホルモンなどが関与しているらしい。だからといって若者の夜更かし、夜遊びを正当化しようと言うのではなく、早い時間帯に寝つきにくい若者特有の体質が早寝を邪魔しているという科学的なお話しなので、まま、その拳をちょっと緩めて。

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