この写真、なんだかわかりますか。
海洋生物とプラスチックごみの混成物です。北大西洋の藻類や無脊椎動物は、もう何十年も海を漂流しているプラスチックごみを食べていたというのです...。
北大西洋の『ゴミベルト』を分析したところ、過去20年間でプラスチックごみの量が増えていないことがわかりました。一見朗報のように聞こえますが、この写真を見ると何を意味するか、わかりますよね...。
これまでにも、体内にプラスチック片を残したまま餓死した鳥類や魚類は数多く発見されていますが、北大西洋の『ゴミベルト』一帯でも、捨てられたプラスチックなどのごみが海面を漂流していて、海洋生物はごみをプランクトンや植物と間違えて食べてしまっているというのです。
海洋学者カラ・ラベンダー・ロー氏と研究チームは、1986年から2008年にかけて海面を曳航しプラスチック片を収集し、ゴミベルトの研究を進め、地道にプラスチック片の数を数え、ゴミの量が増えているかどうか調査を続けてきました。
2010年8月19日に「Science」誌で公開された研究結果によると、
過去20年間で全体としてのゴミの量は実質的に増えていないことが明らかになった。また、分析結果を海洋循環の計算モデルと照らし合わせると、大陸から遠く離れたとある外洋エリアに風による海面上の流れが集まりやすく、その特定のエリアにプラスチックごみが密集しやすい、ということがわかった。
しかしなぜ、プラスチックごみは年々増えているはずなのに北大西洋のゴミベルトはなぜ拡がっていないのか?
それは、プラスチックが小さな破片に分解されすぎて、網では収集しきれないプラスチック片が存在するかもしれないし、もしくは、海面下に沈んだことも考えられる。さらに、海洋生物が食べてしまった可能性も高いだろう、と推測している。
とのことで、それぞれの説を証明するにはさらなる調査が必要だそうです。
たとえ人類が地球上から絶滅したとしても、人類が吐き出した汚染物質から新たな生命体が台頭していくのかもしれません。
[via Science Express]
Annalee Newitz(原文/mayumine)