スピーカーの音質がよく取り沙汰されるスマートスピーカーだが、よほど音楽再生に重点を置かない限り、音質よりもさらに重視すべきポイントがある。それはマイクの聞き取り性能だ。
なぜなら、マイクの聞き取り性能が低いと、そもそも音楽再生を行うにしても、目当ての曲を呼び出せなかったり、音量調整やスキップなどの操作が受け付けられなかったりする可能性があるからだ。どれだけスピーカーとしての音質が良くても、こうした点に不備があれば、徐々に使われなくなっていくことが予想されるだけに、重要なポイントと言える。
本連載では以前、現在国内で入手可能なスマートスピーカーを対象に、聞き取り性能のテストを実施している。今回はそれらを踏まえて、10月に新たに発売されたAmazonの第3世代「Echo Dot」について、従来機と比べて聞き取り性能がどの程度向上したかを確かめよう。
テスト方法の詳細は以前の記事を確認していただきたい。簡単にまとめると、スマートスピーカーの設置場所から「垂直方向に1.5m」「水平方向に2.5m」の範囲を対象に、0.25mずつ移動しながらスマートスピーカーに呼びかけ、応答するかどうかを確かめるという内容だ。
具体的には、それぞれの地点から3回呼びかけたうち2回反応すれば○、1回だけ反応すれば△とし、どれだけ広い範囲から聞き取れるかをチェックする。呼びかけに当たっては、あらかじめ録音した声をiPhoneから再生することで、発音および声のトーンが均一になるよう配慮している。これを音量「大」「中」「小」の3段階に渡って行う。
本題に入る前に、従来の第2世代Echo Dotの結果をおさらいしておこう。以下、音量「大」「中」「小」の順で紹介する。濃い色の円は聞き取り=○(問題なし)、薄い色の円は聞き取り=△(聞き取れない場合あり)を表している。
以上のように、音量「大」であればほぼ全域にわたって聞き取れるが、「中」になると垂直方向を中心に聞き取り性能が低下し、さらに「小」になると本体から水平方向に1メートルの範囲で反応するかしないかといったレベルになる。
ちなみにEcho Dotではなく通常のEchoは、音量「中」でも十分に聞き取れるので、「中」以下の聞き取り性能が低く、この第2世代Echo Dotの特徴ということになる。ある意味、コンパクトモデルの限界を感じさせる測定結果だ。
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