プレゼンは大きな責任を伴う行為です。聴衆をPowerPointによる退屈死から救えるのはあなたしかいません。今回は、PowerPointを使って、プロフェッショナルで魅力的なスライドショーを作る方法を紹介します。もちろんほかのプレゼンツールにも応用できます。
基本的な間違いを避ける
スライドの作り方を解説する前に、退屈なプレゼンの根本原因を見て行きます。
準備不足、すなわち情熱の欠如。失敗するプレゼンの主な原因は、練習不足のせいで、プレゼンの意図を伝えきれないことです。情熱を持って主題となるメッセージを訴えれば、聴衆も耳を傾けてくれます。そのためには、十分な練習が不可欠。すばらしいスライドを作っても、練習不足では伝わりません。 スライドが複雑すぎる、箇条書きが多すぎる、焦点が絞れていない、使う画像がイマイチ。悪いプレゼンをツールのせいにするのは簡単です。しかし、本当の原因はあなたの使い方にあります。スライドは、ただ聴衆の前で読み上げる台本でもなければ、データを詰め込んでおく資料集でもありません。視覚的に訴えて、重要なポイントをうまく伝えるためのツールなのです。以前紹介した「良いプレゼンを作る5つのポイント」や「スティーブ・ジョブスに学ぶプレゼンの7つのコツ」にもある通り、すべてのスライドが、「簡潔」で、「明瞭で意味のあるメッセージ」があり、「質の高いビジュアル」である必要があります。下の画像は最悪なスライドの見本です。セス・ゴーディン氏は「最悪のPowerPointにしないための5つのルール(英文)」で次のようにアドバイスしています。
- 1枚のスライドに6つ以上のワードを入れないこと。どんな複雑なプレゼンも6語で十分です。
- 陳腐な画像は使わない。プロ品質の写真を使うこと。
- ディゾルブ、スピンなどのトランジション効果は使わない。
- 効果音は1回のプレゼンにつき数回までは使ってもいいが、プレゼンツールにビルトインされている効果音は絶対使わないこと。代わりに、CDから効果音や楽曲を採取して、プルースト効果を利用する。グレイトフル・デッドのイントロで聴衆をノリノリにさせれば、眠気もふっとび、今から始まるのは退屈なプレゼンなんかじゃないぞと期待感を高められる。
- スライドのプリントアウトは配布しない。それはプレゼンター抜きでは役に立たない。
同様に、コミュニケーションの専門家、ナンシー・デュアルテ氏が「良いプレゼンを作る5つのポイント」を教えてくれています。
Simplify(簡潔にする) Lose the cliches(ありきたりな表現をなくす) Information needs emphasis(情報には重点が必要) Designate elements(要素は意図的に使う) Empathy for the audience(聴衆に共感をもつ)プレゼンは「Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)」なのです。「10/20/30 ルール」によると、スライドは10枚以内、プレゼン時間は20分以内、フォントサイズは30ポイント以上が良いそうです。
以上がスライド作成の基本原則です。基本をしっかり押さえたら、スライドをより素晴らしくする方法を学びましょう。
プレゼンに磨きをかける
PowerPointなどのプレゼンツールは、視覚に訴えるツールです。スライドのビジュアルと伝えたいメッセージをうまく関連づけてください。ゴーディン氏は、記憶に残るプレゼンをするには「ビジュアルのホームラン」を放つべきだと言います。
「ホームラン」の定義は簡単です。スクリーンにスライドが表示されたとたん、聴衆はドキリとして目が離せなくなります。そして、その写真で何を伝えたいのか、あなたの言葉に耳を傾けます。メッセージとビジュアルの関連付けがうまくいけば、人々はあなたの言葉を思い出すたびに、スライドの映像を頭に浮かべます。もちろん、その逆もしかりです。
プレゼンを視覚的に際立たせるためには、スライドの各要素を慎重に選んでください。
フォント:PCのデフォルトのフォントではなく、オリジナルなフォントを使うこと。「Smashing Magazine」は質の高いフリーフォントを紹介しています。ほかにも、さまざまなタイポグラフィーのリソースがあります。ゴーディン氏によると、「身なりをきちんとして、品のいい名刺を持つのと同じ。小さなことだが効果は大きい」そうです。 写真や画像:ありきたりなクリップアートではなく、プロ品質の写真を使ってください。「Getty Images」などのサイトで写真を買ってもいいし、「Everystockphoto.com」で無料の写真もゲットできます。 ダイアグラムや図形:シンプルな図形やダイアグラムを使えば、より効果的にメッセージを伝えられます。使い方は多少コツがいります。「デザイナーじゃない人のためのダイアグラムガイド」(英文)によると、ダイアグラムは一貫性の確保や適切なサイズが重要だとのこと。同じく、「わかりやすいチャートの使い方」(英文)も参考に。 テンプレート:ありきたりなプレゼンにしたくないなら、テンプレートも厳選しましょう。MicrosoftからたくさんのPowerPointテンプレートが提供されており、どれもプロ品質のデザインです。さらに、グラフィックやアニメーションを使ったクールなテンプレート集(こちらも参考に)も用意されています。「VisualBee」は、PowerPointの無料テンプレートを公開しているほかに、デザインの自動作成ツールも提供しています。また、「Slidevana」は150以上の非常に美しいテンプレートを提供してます。79USドルですが、PowerPointでよくプレゼンをする人には価値ある投資です。 アドイン:サードパーティのアドインを利用してPowerPointのプレゼンをパワーアップしましょう。「PPTools」はズームイン、ズームアウトが簡単にできるツールや、写真をすばやくインポートできるツールを提供しています。便利なスターターセットもあります。以前紹介した『pptPlex』は今ではMicrosoft Office Labの1つです。任意のスライドにジャンプしたり、ズームイン、ズームアウトも可能。「TechRepublic」も便利なアドインを公開しています。 ショートカットキーなど:PowerPointのショートカットキーを覚えるとプロっぽいプレゼンができます。聴衆の注目をスライドからあなた自身に向けるためには、Bキーを押して一時的にスクリーンをブラックアウトするのもあり。ほかにも、記憶に残るプレゼンをするためのツールがいくつかあります。その他のリソース
ほかにも、プレゼンをブラッシュアップするためのリソースがネット上にたくさんあります。
その他のプレゼンツール:PowerPointは最も普及しているプレゼンツールですが、多少やり過ぎだったり、リニアなフォーマットに限界を感じることも。そのほかにも、プレゼンをより創造的にしてくれるさまざまなプレゼンツールがあります。『Prezi』は、ズームインターフェースが特徴的。『Haiku Deck』は、ゴージャスなプレゼンがiPadで簡単に作れます。素晴らしいプレゼンサンプルも参考になるでしょう。 プレゼンデザインのマスター達から学ぶ。さらに上を目指すなら、「 Presentations Zen」、「Beyond Bullets」、「Duarte」といったプレゼン関連サイトをチェックしてください。それでは、しっかり準備して、聴衆を魅了するプレゼンをしてください!
ライフハッカーより愛をこめて
Melanie Pinola(原文/訳:伊藤貴之)
Photos by Tobias Toft, @tmiket/InFocus, Brandon George/Haiku Deck.