メモ帳、日記帳、ToDoアプリなど、文章を扱うアプリのほとんどにはタグ機能があります。この機能を使えば、情報を簡単に整理して必要な時にサッと見つけられるはずですが、そもそもタグというものがややわかりにくいため、うまく使いこなすのはなかなか困難です。

筆者も数年にわたって間違った使い方をしてきましたが、ようやく気に入った方法にたどり着いたので、ご紹介したいと思います。念のためにご説明しておくと、ここで言う「タグ」とは、Twitterのハッシュタグやブログのタグなどの「インターネットに関わるタグ」ではなく、「ファイルに関連したタグ」を指します。ファイルのタグは、探しているものを素早く見つけたり、似たようなアイテムにざっと目を通したりするためのものです。基本的には、デジタルデータをさまざまな項目ごとに分類し、いっぺんにまとめて検索するための手段です

例えば、Evernoteを使ってレシートを管理する場合は、レシートをすべてノートに取り込み、「税金控除」や「立て替え」などのタグを付けておけば、似たようなアイテムのなかから目的のものを簡単に探し出せます。こうしたタグは、1年分のレシートなどのデータの管理に適していますが、学校でとったノートや日記の管理にも役立ちます。タグを利用すれば、自分だけのシステムを作って、複数のアイテムを結び付けたり、管理したり、分類したりできるのです。

タグは以前からある機能ですが、筆者は使い方をよく理解できずにいました。そんな状態で何年も手当たり次第にタグ付けを続けてきた結果、いくつものファイルやタグ、ルールがごちゃごちゃになり、アイデアを整理するどころか、まったくまとまりのない状態になっていました。そうなった原因について、筆者はいつも、自分のタグの使い方に問題があると思っていたのですが、最近になってようやく、「間違った使い方」があるわけではないことがわかりました。筆者は現在、タグをうまく活用して、ごちゃごちゃとしたアイデアを整理できるようになり始めていますので、そのコツをご紹介しましょう。

始める前にルールを決めて、それを守り通す

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筆者がタグを実際に活用できるようになった理由は、まず自分のルールが安定したことです。筆者の場合、それまでのような行き当たりばったりの方法では、似たような言葉が多すぎたり、複数形と単数形が混在したり、必要なアイテムにタグを付け忘れてしまったりするため、ちょっとした秩序が必要でした。

今は、タグ機能を使うアプリを少しだけにしています。具体的には『Simplenote』、『Day One』、『Mavericks』です。

さらに、タグ付けシステムをシンプルにするために、3つの基本的な階層だけを使うことにしました。「コンテクスト」と「話題」と「場所」です。ノートやファイルにタグ付けするときには、その3つのタグをすべて付けるようにしています。

  • コンテクスト:コンテクストは、プロジェクトを種類ごとに分類するのに使います。これはタグ付けの第1階層で、筆者の場合、ここには、「ライフハッカー」、「フィクション」、「インタビュー用資料」、「スピーチ」などの言葉が入ります。これらのタグの目的は、「タグに関するライフハッカー用の記事」のようにプロジェクトを細かく分類するためのものではなく、作成したアイデアやメモが最終的に活用される場所を示すことです。そのため、使用するコンテクストの数はできるだけ減らしています。例えば、「スピーチ」のタグで検索した場合、講演で話す内容のメモや、友達の結婚式のスピーチ原稿がヒットします。
  • 話題:「コンテクスト」を大まかな分類用のタグとするなら、「話題」は、細かい管理用のタグです。ここではコンテクストよりも詳しい情報を追加しますが、検索した時に複数のアイテムが見つかるよう、あまり細かくなりすぎないようにしています。たとえばライフハッカー用の記事の場合、筆者は「機能」、「ハウツーもの」、「心理学」、「テスト」といったタグも加えています。このタグの主な目的は、複数のコンテクストをまたいで相互参照できるようにすることと、自分の書く文章や考え方の傾向をチェックすることです。そのため、このタグはかなり大雑把に付けています。また、ほかのところでも活用できそうな時にだけ、話題タグを追加しています。
  • 場所:筆者の場合、記憶は場所と密接に結び付いているため、何かを思い出そうとする時には、たいていはその考えが最初に浮かんだ場所を再訪する必要があります。少し変わっていますが、この記憶の傾向を自分の強みとして活用するために、メモやアイデアを書き留める時には、「デスク」、「車」、「喫茶店」、「シャワー」のように、場所をタグとして追加することにしています。そうすれば、最初にひらめいた内容をより詳しく思い出すのに役立つからです。

もちろん、上記のルールだけでなく、使える時にはシンプルな但し書きも使っています。例えば、「税金控除」だけで意味が通じるなら、いくつかのアイテムにまとめてそのタグを付けることもあります。もっとも、筆者はその種のデータをほとんど扱わないので、そうしたタグを使うことはめったにありません。自分なりのタグのルールを設定する際には、まず「あとでこの情報を思い出すためには、何が必要だろうか?」と考えてみましょう。

タグの使い方は人それぞれですが、最初にルールを設定しておけば、活用するのも簡単になります。筆者が自分のルールを決めようとしていた時には、ほかの人たちが考案したいくつかの素敵なルールに出会いました。例えば、SF作家Jamie Rubin氏のタグ付けルール(執筆とリサーチに適しています)、学校のノートに使えるAllan Johnson助教授のタグ付けルール『Day One』の提案するタググループの活用法などです。それらのルールを少しずつ取り入れ、自分に合った形に修正しました。

すべてにタグを付ける必要はない

筆者も気付くまでにかなりの時間を要しましたが、すべてのアイテムにタグを付ける必要はありません。ファイルやメモ、日記、ToDoリストのなかには、タグがいらないものもあります。すべてにタグ付けをしていたら、作業が一向に進まなくなります。

この「タグを付けないもの」の定義も人それぞれですが、筆者の場合は、一時的なファイル、プロジェクトごとにすでに整理されているもの、それほど意味のない日記、説明書きが見出しになっているメモなどが含まれます。基本的に、1度しか使わないようなタグや、ほかの考えとつながりのないものにはタグを付けていません。

タグの使い方は人によって少しずつ異なりますが、うまく活用できないとあきらめている人や、タグ付けに時間を取られすぎていると感じる人には、もう1度タグの使い方をきちんと見直してみることをおすすめします。筆者も、古いファイルやメモにさかのぼってタグを付けることまではしませんが、今後は今までよりも整理された状態を保てそうです――少なくとも、ソフトウェアの世界では。

Thorin Klosowski(原文/訳:兵藤説子/ガリレオ)