【デジタル一眼レフの選び方】1.デジタル一眼レフとは?「子どもが生まれたので、きちんとした写真を撮りたい」 「旅行に行くのでカメラを買い替えたい」 カメラを購入する理由は様々だと思います。あとで後悔をしないようにしっかりと記録を残したいと考えたとき、候補の一つに上がるのが「デジタル一眼レフカメラ」だと思います。 「なんとなくレンズが交換できて、コンパクトカメラよりもきれいな写真が撮れそうなことはわかるけど、買って使いこなせるだろうか?」 「むしろ最近人気のあるミラーレスカメラや、高価格帯のコンパクトカメラの方がふさわしいのかも?」 「デジタル一眼レフといっても、ニコンやキヤノン、ペンタックスなどからたくさんの機種が出ていて、どう選んだらよいのか? 予算はどのくらい必要なの?」 「そもそもデジタル一眼レフってどんなカメラ? コンパクトカメラやミラーレスとはどう違うの?」 ここでは、こんな質問に対してお答えをしていきたいと思います。少々長くなりますが、お時間のある時に目を通していただければ幸いです。 関連記事:「初心者がデジタル一眼レフを購入するとき注意すべき7つのポイント」 関連記事:「ミラーレスとデジタル一眼で迷った時の8つのポイント」 関連記事:「ミラーレスカメラとは?」 関連記事:「お勧めのデジタル一眼レフカメラ」 関連記事:「交換レンズの選び方について」 <デジタル一眼レフとは?> フィルム一眼レフをデジタル化したカメラデジタルカメラが登場する前は、フィルムを使うカメラが使われていました。おもに使われていたのは35mmサイズのフィルムでしたが、これ以外にも中判や大判サイズのものがあります。また、インスタントカメラ用のフィルム(富士フイルムのチェキなどで現在も使われています)や、現在では製造されていませんがAPS用のカートリッジフィルムもありました。フィルムカメラにも、コンパクトタイプや高倍率ズーム機などとともに一眼レフがあります。現在、フィルムカメラは、一部のものを除いて事実上市場から淘汰されています(業界団体CIPAが最後に発表した数値では、2008年1月のフィルムカメラ生産台数は1580台)が、フィルム一眼レフのフィルム部分をイメージセンサーに置き換えたものが、デジタル一眼レフです。
ニコンのフィルム・一眼レフ F5。イメージセンサーではなく35mmフィルムを使用しました。
(※)デジタル一眼レフが登場する前は、フィルム一眼レフは単に「一眼レフ」と呼ばれていました。 <デジタル一眼レフとは?> 被写体や撮影シーンにあわせてレンズを交換できるカメラもし仮に「5mm-5000mm相当F1.4で描写性能にすぐれたコンパクトなズームレンズ」が実現できれば、レンズ交換式カメラのニーズはほとんどなくなるでしょう。しかし、残念ながら現在の光学技術では、そうした万能レンズをつくることはできません。描写性能を重視すれば、どうしても大きく・重くなりますし、高倍率ズームレンズの描写力は単焦点レンズには及びません。つまり、被写体や撮影するシーン、表現イメージに合わせるには、それに適したレンズに交換することが必要です。デジタル一眼レフの一番の魅力は「レンズ交換ができるカメラ」という点であると言えます。
キヤノンのEFレンズは、2014年4月までに累計で1億本が生産されました。
なお、レンズ交換ができるデジタルカメラには、デジタル一眼レフの他にミラーレスカメラもあります。両者の特徴と違いについては後ほど詳しく説明しますが、デジタル一眼レフとミラーレスとは兄弟関係にあると言えます。 <デジタル一眼レフとは?> レンズからの光をミラーを使ってファインダーとセンサーに切替これはデジタル一眼レフカメラの構造上の特徴となります。写真を撮るためには、被写体から来た光をレンズを通じてイメージセンサーに当てる必要があります。ミラーレスカメラやコンパクトカメラでは、イメージセンサーに当たった光を電気信号に変えて、液晶モニターや電子ビューファインダーに表示させます。 これに対し、デジタル一眼レフでは、レンズから来た光の光路をミラー(正式には「レフレックス:反射」と言います。)を使って、光学ファインダーとイメージセンサーに切り替える構造となっています。
被写体からの光は、カメラ内のミラー(図のグレーの部分)で反射され、光学ファインダーに届きます。この状態で、構図やピント合わせを行います。この時、イメージセンサーには光は届いていません。
シャッターボタンが押されると、瞬時にミラーが上に跳ね上がります。光学ファインダーには光が届かなくなるため暗転しますが、イメージセンサーに光が当たりますので記録ができます。記録が終わった段階で、またミラーが下に降り、光学ファインダー側に光が届くようになります。
この動作を、レンズマウント口から見たのが次の一連写真です。一番左側ではミラーが下がっており、シャッターボタンを押すとミラーが上がって撮像部に光が当たるようになります。この時、光学ファインダーには光が届きませんので暗転しています。記録後、再度ミラーが下がり、今度は光学ファインダーに光が届くようになります。
一眼レフのミラーアップ。左側から右に遷移していきます。ミラーが上がって撮像部が露出し、再びミラーが下がります。
以上を整理すると、デジタル一眼レフとは次のようなカメラです。
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1.デジタル一眼レフとは? 2.デジタル一眼レフの特徴と仕組み 3.デジタル一眼レフとミラーレスとの違い 4.デジタル一眼レフの種類と選び方 5.キヤノンのデジタル一眼レフの特徴と選び方 6.ニコンのデジタル一眼レフの特徴と選び方 7.ソニーのデジタル一眼レフの特徴と選び方 8.リコー(ペンタックス)のデジタル一眼レフの特徴と選び方 9.シグマのデジタル一眼レフの特徴と選び方 |
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2.デジタル一眼レフの特徴と仕組みそれではデジタル一眼レフについて、さらに掘り下げて特徴と仕組みを見てみます。少々むずかしい言葉も出てくるかもしれませんが、できるだけわかりやすく表現しますので、しばしの間、お付き合いください。 デジタル一眼レフの特徴現在のデジカメの祖ともいうべきカシオQV-10が登場したのは1995年3月。総画素数25万画素1/5型CCDに1.8型液晶モニターと、最近のトイデジカメの足元にも及ばない仕様ですが、液晶モニターを内蔵したQV-10の登場は、その後のデジカメの爆発的な発展を生み出した原点でした。初めてのデジタル一眼レフが登場したのは、QV-10と同じ1995年です。7月にキヤノンからEOS DCS3が、9月にはニコンからE2/E2sが発売されています。とはいえ、これらの機種は100万円を優に超える業務用カメラであり、一般ユーザーが購入するようなカメラではありませんでした。
キヤノン EOS DSC3。フィルム一眼レフEOS-1Nをベースに開発されたもので、価格は198万円でした。イメージセンサーはAPS-Cサイズよりも一回り小さく、有効130万画素CCDを搭載していました。なお、液晶モニターは内蔵されていません。
一般市場向けに投入された初のデジタル一眼レフは、1999年9月に発売となったニコンD1です。このカメラの一番の特徴は、65万円(税別)の価格であり、プロカメラマンがフィルムからデジタルへと移行するキッカケとなったカメラでした。D1は有効266万画素APS-CサイズCCDセンサーに、2型11.4万ドットの液晶モニターを搭載しており、完全に新開発の専用ボディであったこともポイントでした。 ニコン D1。このカメラがAPS-Cサイズのセンサーを採用したことで、APS-Cサイズがデジタル一眼レフのデファクト・センサーとなりました。
現在に連なるデジタルカメラの祖がカシオQV-10とすれば、デジタル一眼レフの祖はニコン D1であると言えます。 まだ、ミラーレスカメラが影も形もない頃、デジタル一眼レフの一番の特徴は、「フィルム一眼レフと同じように使えるデジタルカメラ」でした。当時、こうしたニーズがいかに高かったかは、フィルムカートリッジ型デジタルアダプター「IMAGEK EFS-1」などが発表されたことにも表れています。レンズ交換式カメラの完成形とも言ってよいフィルム一眼レフをベースにデジタル化したことで、フィルム時代と同じように撮影をすることができるようになったのです。 フィルムカートリッジ型デジタルユニット IMAGEK EFS-1。バッテリーも内蔵されており、フィルムの代わりにカメラに挿入すると、デジタル画像が得られるというコンセプトでしたが、結局発売されませんでした。
このように、スタート時点では、「フィルム一眼レフと同じように使えるデジカメ」がデジタル一眼レフの一番の特徴でしたが、各社から続々とデジタル一眼レフが登場し、フィルムからデジタルへの切換えが急速に進むと、デジタル一眼レフの特徴も徐々に変わりました。とりわけ2008年10月にミラーレスカメラが登場し、レンズ交換式カメラはデジタル一眼レフだけのものではなくなると、ミラーレスカメラやコンパクトカメラに対して、デジタル一眼レフはどういう特徴があるのかが改めて問われたようになったと思います。 現時点におけるデジタル一眼レフの特徴は、次のように整理できます。
デジタル一眼レフの仕組み現在販売されているデジタル一眼レフは、当初の「フィルム一眼レフをデジタル化したカメラ」から、さらに進化しています。こうした基本部分をベースに、コンパクトデジカメやビデオカメラの特長や機能も取り込んだレンズ交換式カメラ、となっています。<静止画撮影の仕組み:1>光学ファインダー撮影デジタル一眼レフ本来の構造を使った撮影の仕組みです。フィルム一眼レフと同様に、光学ファインダーを覗いて構図やピントを調整し、撮影するスタイルです。この方式の一番のメリットは、リアルタイムで被写体を直接視認することができる点にあります。最近は電子ビューファインダーの表示も大幅に向上しましたが、見え方や追従性の点では、フラグシップのデジタル一眼レフの光学ファインダーに一歩譲ります。 オートフォーカスは専用モジュールを使った位相差方式となりますので、高速なAF動作となります。 また、液晶モニターを消灯して撮影することも可能ですので、バッテリー持続性の点でも有利です。
光学ファインダーで構図とピントを調整し(左図)、シャッターを切るとミラーがアップしてイメージセンサーに光が届き記録されます(右図)。
<静止画撮影の仕組み:2>ライブビュー撮影ミラーレスカメラと同じ撮影の仕組みです。最初からミラーをアップした状態(前図の右側)での撮影です。レンズからの光はイメージセンサーに当たり、電気信号に変換した内容を液晶モニターに表示します。光学ファインダーは暗転していますので使用できません。 この時は、色味や明るさなど実際に記録される状態を確認しながら撮影できるというメリットがあります。また、撮影の瞬間にミラーアップしませんので、比較的手ぶれが起きにくくなります。 逆に、レンズからの光を直接見るわけではありませんので、原理的にタイムラグが発生します(実際にはほとんど影響ないレベルですが)し、動きの激しい被写体への追従性にも課題がある場合もあります。液晶モニターは晴天時の屋外では視認しにくい傾向があります。 オートフォーカスはイメージセンサーを使って行います。主にコントラスト方式ですので、速度面では位相差方式よりも遅くなりがちですが、精度の点では有利です。最近では、イメージセンサー上に位相差方式のAF素子を配するものも出てきています。 デジタル一眼レフでミラーアップした状態。イメージセンサーが露出するため、レンズからの光は常時センサーに当たります。(ニコン Df)
<動画撮影の仕組み>これも、ミラーレスカメラと同じ撮影の仕組みです。動画撮影時には、レンズからの光は常時イメージセンサーに当てる必要がありますので、基本的には前記<ライブビュー撮影>と同じ方式での撮影となります。常時ミラーアップした状態での撮影となりますので、動画撮影時にも光学ファインダーは使用できません。 デジタル一眼レフの「長所」
デジタル一眼レフの「短所」
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3.デジタル一眼レフとミラーレスの違いデジタル一眼レフとミラーレスの違いデジタル一眼レフとミラーレスの違いを改めて整理すると、次のようになります。
デジタル一眼レフ EOS Kiss X6i(左側)とミラーレスカメラ EOS M2(右側)。
デジタル一眼レフの方がミラーレスより適している7つのケース
ミラーレスの方がデジタル一眼レフより適している7つのケース
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4.デジタル一眼レフの種類と選び方最近はミラーレスカメラも増えてきましたが、デジタル一眼レフでも精力的に新製品が投入されています。現行機に限っても、キヤノンから8機種、ニコンから7機種、リコーからはペンタックスブランドで3機種、シグマからは1機種、計19機種がリリースされています。また、厳密にはデジタル一眼レフではありませんが、構造が似たソニーAマウント機を加えるとさらに4機種が増えることになります。 ※「ソニーのα77やα65、α57等は一眼レフではないのですか?」 これら23機種にのぼるデジタル一眼レフの選択の視点は次の通りです。
ボディ上面の液晶パネルの有無も、選択のポイントです。(ペンタックス K-3。)
これらの選択ポイントをご覧になって、「よし、わかった! これで最適なデジタル一眼レフを選べる!」と感じられたとしたら、これから先を読まれる必要はありません。 実際には、多くの方が「それではいったい何を選べばいいんだ?」と思われたのではないでしょうか。 そういう方には、次の3ステップで選ばれることをお勧めします。 ステップ1:予算を明確にする。なにはともあれ、デジタル一眼レフの購入にどこまで投資できるのかが重要です。あまり予算面での制約はないのであれば、それが一番ですが、そうでない方の方が多いと思います。注意する必要があるのは、カメラ本体だけでなくレンズやメモリーカードなどにもお金がかかりますので、それらを含めて考えなければなりません。 お勧めは、「絶対に超えられない上限」と「できれば超えたくない上限」の2つを設定することです。そして、まずは「できれば超えたくない上限」の範囲内で収まるように機材選択をされると良いと思います。 ステップ2:メーカーにこだわりはあるか。現在、デジタル一眼レフをリリースしているのは、ソニーを含めれば5社になります。このうち、シグマのSD1 Merrillはやや特徴のあるカメラですので、最初の1台として選ぶのであれば、キヤノン、ソニー、ニコン、ペンタックスの4社からの選択となります。もし、家族や友人にデジタル一眼レフを持っている方がいるのであれば、同じメーカーを第一候補にされると良いと思います。同じメーカーであれば、カメラ操作は似ていますので、わからないことがあった時に教えてもらいやすくなります。また、場合によってはレンズやフラッシュなどを借りることができるかもしれません。 逆に、そうしたことがなければ、むしろメーカーにはこだわらず、機種選択を優先されることをお勧めします。 ステップ3:フルサイズかAPS-Cサイズか。最初の1台目であれば、APS-Cサイズの方が無難ですが、場合によっては最初からフルサイズ機を選ぶのも「アリ」です。フルサイズの場合、レンズを含めたシステムが大きく重くなることや、価格面での負担が大きくなるといったデメリットはありますが、描写性能の点での優位性も決して無視できません。また、もしフラグシップ機ということであれば、現状では自動的にフルサイズ機からの選択となります。お勧めとしては、たとえば最初からAPS-Cサイズと決め打ちをするのではなく、他の要素を先に考えていくと良いと思います。 どうでしょうか。 これらを踏まえたうえで、ズバリお勧めは「できれば上級機の中から、予算面が厳しければ中級機の中から選択」するということです。 カメラのクラス分けは明確な基準がある訳ではありませんが、仮に「フラグシップ機」「上級機」「中級機」「エントリー機」の4つに分類すると、現行23機種は次のように分類されます。もちろん、この分け方が絶対ではありませんし、メーカーによっては違うクラスに位置付けているものもあります。
「※」はフルサイズ機。
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5.キヤノンのデジタル一眼レフの特徴と選び方キヤノンのデジタル一眼レフの特徴キヤノンは1933年に光学メーカーとして創立された企業で、翌1934年には日本初のフォーカルプレーンシャッターカメラの試作も行っています。こうした精密機械技術を基盤に、高度成長期には事務機器分野にも本格的に事業を拡げ、現在は総合精密機器メーカーとして多角的に事業を展開している企業です。事業分野が広がるにつれ、カメラなどの映像機器の売り上げ割合は低下し続けていましたが、デジタルカメラの市場拡大に伴って流れが逆転しました。昨年度決算数値を見ると、グループ全体で約3兆7千億円の売り上げのうち、約4割がデジタルカメラやビデオによるものとなっています。 いうまでもなく、レンズ交換式デジタルカメラの分野において、キヤノンはニコンと1、2を争う実力企業です。累計生産本数が1億本を超えるEFレンズや、7000万台を超えるEOSシリーズなど、システム全体の幅と奥行きも間違いなくトップレベルであり、プロ市場もニコンとの間でほぼ二分しています。 キヤノンのカタログには、11機種のデジタル一眼レフが掲載されています。このうち、後継機種が出ていない現行機種は、次の8機種となります。
キヤノンのデジタル一眼レフの特徴1:エントリーからプロ機までキヤノンのデジタル一眼レフの第一の特徴は、エントリーからプロ機までのすべてのニーズに対応できる幅を持っているということです。デジタル一眼レフを求めているのであれば、キヤノンのラインアップの中から希望のものを見つけることができるはずです。製品ラインアップの世代交代も順調に進んでおり、あとは上級機となるEOS7D(2009年12月発売)の後継機を残すのみとなっています。 キヤノンのデジタル一眼レフの特徴2:イメージセンサーのサイズは2種類現行機のイメージセンサーは、APS-Cサイズとともに35mmフルサイズ版も用意されています。以前はこの他に、APS-Hサイズを搭載したEOS-1D MarkIVもありましたが、現行EOSシリーズはすべて2種類に集約されました。EF-Sレンズなど、一部にASP-C専用レンズがあるものの、基本的には一つのシステムの中で35mmフルサイズとAPS-Cサイズの両方を楽しむことができるのは、キヤノンの強みだと思います。現在、フルサイズ版のレンズ交換式カメラを展開しているのは、キヤノン、ニコン、ソニーの3社となりますが、今後ミラーレス分野では他社の参入も噂されています。 キヤノンのデジタル一眼レフの特徴3:デジタル一眼レフを補完するミラーレスカメラも展開キヤノンも2012年にミラーレスカメラ市場に参入しました。今のところ、EOS MとEOS M2の2機種に留まっていますが、キヤノンの場合、デジタル一眼レフシステムを補完するという性格付けが強くされています。レンズマウントこそ異なりますが、純正マウントアダプターを介することで既存EFレンズのすべての機能をEOS M2/EOS Mでも活用することができるなど、EOSデジタル一眼レフと一緒に使うことも想定したミラーレス・システムであると思います。具体的には、EOSデジタル一眼レフのコンパクト版サブカメラとしての使い方や、コンパクトカメラユーザーのステップアップ(将来的には、さらにEOSデジタル一眼レフへと橋渡しも)用入門機として、ミラーレスカメラを展開していると言えます。 キヤノンのEOS M2。EOS KissX7と同じAPS-Cサイズのセンサーを搭載しています。
キヤノンのデジタル一眼レフの特徴4:レンズは1.5種類キヤノンのデジタル一眼レフは、EFマウント、EF-Sマウントの2つがあり、この他にミラーレスカメラ用のEF-Mマウントもあります。EFマウントとEF-Sマウントは上位互換性を持っており、EFマウントに装着できるレンズはEF-Sマウントにも装着可能です。APS-Cサイズのデジタル一眼レフは、イメージセンサーが小型のため、ミラーの小型可も可能です。EF-Sマウントレンズは、このことを活用し、レンズ後端を突出させることでレンズを小型化(マウントの前に出ている部分を小型化)しています。なお、EF-Sレンズを通常のEFマウント・カメラに装着するとカメラ側のミラーを破損してしまう危険性があるため、物理的に装着できないようなプロテクターがEF-Sレンズ後端につけられています。 このあたりの関係は、ニコンのFXレンズとDXレンズ、ソニーのαレンズとDTレンズの関係に似ていますが、ニコンやソニーの場合はAPS-C用レンズもフルサイズボディに装着可能である(この時、自動的に中央部分をクロップさせることも可能です)のに対し、EF-Sレンズはそもそも装着できないという違いがあります。これは、DXレンズやDTレンズは基本的にはカバーするイメージサークルだけが異なるのに対し、EF-Sではレンズ構成を変えることでさらにコンパクト化を図っているためです。 EF-Sマウント(左側)には誤装着防止用のゴムが装着されています。
キヤノンのデジタル一眼レフの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で対応最近のデジタルカメラは高感度性能が向上したため、比較的高速シャッターを使えるシーンが増えています。それでも、手振れ補正機能は必須に近いといえるかもしれません。手ぶれ補正機能の実現にあたっては、カメラ本体側で対応する場合と、交換レンズ側で行う場合があります。キヤノンの場合は後者で、カメラ本体内に手振れ補正機能は搭載されていません。そのため、手振れ補正機能を活用するには、手振れ補正機能搭載レンズを使う必要があり、キヤノン純正レンズでは、名称に「IS(IMAGE STABILIZER)」の文字が入ったものを選ぶことになります。 レンズ側に手振れ補正機能を持たせるメリットは、レンズごとに最適化された手振れ機能を実装できることや、イメージセンサーをカメラボディに固定できるため大型センサーであっても搭載しやすいこと、ボディ本体の価格を低廉化できること、等があげられます。また、光学的に手振れ補正がされるため、光学ファインダーでも手振れ補正の状況を確認できる点も、撮影時のメリットとなります。 逆にデメリットとしては、レンズごとに手振れ補正ユニットを搭載するため、比較的レンズが高価で大きくなりやすいことがあります。手振れ補正技術はまだ進化途上という面もあり、一般的にカメラ本体より長期間使われるレンズに手振れ補正機能が搭載されていることで、旧世代の手振れ補正技術を使わなければならないといったことも起こりやすいと言えます。 →「手振れ補正機能はボディ内の方が有利?」もご参照ください。
キヤノンのデジタル一眼レフの選び方今まで、キヤノン製品の特徴、キヤノンのデジタル一眼レフの特徴について記載してきました。これからは具体的な選択の視点ごとに、整理をしてみたいと思います。<フルサイズ・デジタル一眼レフ> <上級クラス・デジタル一眼レフ> <中級・エントリークラス・デジタル一眼レフ> の順に、見ていきます。 <フルサイズ・デジタル一眼レフから選ぶ>フルサイズの大型ミラー(Canon EOS6D) ●キヤノン EOS-1DX 2012年に登場した新世代フラグシップ機です。前世代までは、高速タイプのEOS-1Dと高画素タイプのEOS-1Dsの2機種がありましたが、1DXになって統合されました。 ●キヤノン EOS5DMarkIII EOS5DMark3はMark2の後継機種ですが、カメラとしての中身はワンランクレベルアップされています。位置づけ的には、EOS-1DXに近い機種と言えます。 → EOS5DMark3詳細レビュー記事もご参照ください。 ●キヤノン EOS6D EOS6Dは、キヤノンのフルサイズ機におけるローエンドモデルとなります。フルサイズ機の中では一番の小型軽量機であり、ボディサイズはAPS-Cサイズ中級機のEOS70Dとほぼ同等レベルとなっています。 → EOS6D詳細レビュー記事もご参照ください。 <上級クラス・デジタル一眼レフから選ぶ> 次に、上級クラスからの選び方について見てみます。 EOS7DとEOS70Dとでは、型番からもわかるようにEOS7Dの方が上級機となります。しかし、さすがに発売時期に4年の差がありますので、基本的にはEOS70Dの選択をお勧めします。 ●キヤノン EOS7D EOS7Dは発売開始から4年以上が経過していますが、APS-Cサイズの最上級機として、フラグシップに準じた実力を備えています。特に、ボディ単体で8コマ/秒の連写性能、14bitRAWで25コマの連写性能、キヤノンAPS-Cモデルで唯一の100%視野率光学ファインダーは、他のカメラとは一線を画する特長と言えます。シャッタースピードも1/8000秒まで対応しているだけでなく、1/250秒までシンクロ同期も可能となっています。 ●キヤノン EOS70D 2013年7月に発売開始となったデジタル一眼レフです。有効2020万画素のセンサーを搭載しているにもかかわらず、高い高感度性能を兼ね備えています。1/8000秒対応の高速シャッター速度や視野率98%の光学ファインダーなど、必要十分なレベルとなっています。 → EOS70D詳細レビュー記事もご参照ください。 ●キヤノン EOS60D キヤノンのベストセラーモデルの一つです。発売から4年近く経過する中で、価格的にはEOS Kiss X7iと同等レベルとなっていますが、カメラとしてのつくりには小さくない差があります。ボディ上面の液晶パネルの有無や高速シャッタースピード、ペンタプリズムの光学ファインダー、RAWで16コマまでの連続撮影枚数など、やはりエントリークラスのカメラとは基礎力の違いを感じます。 <中級・エントリークラス・デジタル一眼レフから選ぶ> 最後に、キヤノンのデジタル一眼レフカメラのうち、中級・エントリークラスからの選択について見てみましょう。 ●EOS Kiss X7iとEOS Kiss X7の仕様上の違い両機種の仕様を比べると、主な違いは次の点となります。
●EOS Kiss X7iとEOS Kiss X7の金額上の違い現時点での実売価格を比べると、
となっています。 ●両機種の選択の考え方〜参考まで 両機種ともコストパフォーマンスにすぐれた素晴らしいデジタル一眼レフであり、カメラとしての基本性能もほぼ同等レベルとなっています。結果的にどちらを選んだとしても、後悔することはないでしょう。 ●キヤノン EOS Kiss X7i EOS Kiss X7iは前機種となるEOS KissX6iのブラッシュアップモデルで、キヤノンのKissシリーズの中ではフラグシップ機となります。EOS70Dとほぼ同等レベルのボディサイズですが、むしろこちらの方がホールドしやすく感じる方も少なくないと思います。また、Kissシリーズ現行機では唯一のバリアングル液晶搭載機ですので、液晶モニターを使った撮影を多用される方にとってはポイントです。連写性能やシャッタースピードなど、上位機種と比較すると差も小さくありませんが、逆に言えばそうした点が気にならないのであれば、コストパフォーマンスに優れたKissシリーズを積極的に選択されることをお勧めします。 → EOS Kiss X6i詳細レビュー記事もご参照ください。 ●キヤノン EOS Kiss X7 EOS Kiss X7は、APS-Cサイズのデジタル一眼レフとしては世界最小最軽量となります。EOS KissX7iと同等の性能をコンパクトなボディに実装している点が一番の魅力であり、ある意味で「一番Kissらしいカメラ」と言えるかもしれません。 → EOS Kiss X7詳細レビュー記事もご参照ください。 ●キヤノン EOS Kiss X70 EOS Kiss X70は、2014年3月に登場した最新機種です。とはいえ、EOS KissX50の後継機となりますので、基本的にはコスト面を特に重視するユーザー向けの製品となります。 ●キヤノン EOS Kiss X50 EOS Kiss X50は、Kissシリーズの正統進化モデルと言えるカメラです。登場から3年が経過し後継機も登場していますが、コンパクトカメラとは違う描写性能をもったカメラとして、現在もなおボリュームゾーンに位置するカメラです。 |
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5.ニコンのデジタル一眼レフの特徴と選び方ニコンのデジタル一眼レフの特徴フィルム時代からカメラ業界をリードしてきたメーカーを語るとき、必ず触れなければならない一社がニコンです。1917年に三菱の資本によって日本光学工業株式会社が設立され、戦前から光学メーカーとして歩んできました。現在はカメラやレンズ等の光学機器メーカーであるだけでなく、世界第二位の半導体製造装置メーカーでもあります。ニコンの特徴●ブランド力この点については、あらためて説明する必要もないかもしれません。ニコンの企業理念は「信頼と創造」であり、ニコンのロゴから高い品質と性能をイメージする方も多いと思います。ニコンのブランドは、カメラに詳しくない方にも浸透しており、たとえエントリークラスのカメラであっても「Nikonのロゴ=高級機」として認識される傾向にあるのではないでしょうか。●総合力「ブランド力」は、当然ながら単にイメージ戦略で勝ち取られたものではありません。ニコンによって築かれてきたカメラやレンズ等の「総合力」があってのこそです。とくにレンズ類の品揃えは、キヤノンと並びトップクラスと言えます。ニコンのデジタル一眼レフは、D3シリーズが登場するまではAPS-Cサイズのセンサー搭載機だけでしたので、このフォーマットに最適化されたDXシリーズレンズのラインアップも豊富です。●サポート力ニコンは、プロだけでなく一般ユーザーに対するサポートも、トップクラスのサービスレベルとなっています。以前と比べると整理されているものの、それでも全国に6か所のサービスセンターが開設されており、内容によっては即日サービスを受けることも可能です。また、有償とはなりますがユーザー会としての「ニッコールクラブ」の活動にも定評があり、会員向けサービスの一環として、修理費値引きサービスも提供されています。都内のサポート拠点の一つ、ニコンプラザ銀座。 現在、ニコンのデジタル一眼レフの現行機種は、
の7機種です。 ニコンのデジタル一眼レフの特徴1:手振れ補正機能はレンズ側で対応最近のデジタルカメラは高感度性能が向上したため、比較的高速シャッターを使えるシーンが増えています。それでも、手振れ補正機能は必須に近いといえるかもしれません。手ぶれ補正機能の実現にあたっては、カメラ本体側で対応する場合と、交換レンズ側で行う場合があります。ニコンはキャノンと同様に後者で、カメラ本体内に手振れ補正機能は搭載されていません。そのため、手振れ補正機能を活用するには、手振れ補正機能搭載レンズを使う必要があり、ニコン純正レンズでは、名称に「VR(Vibration Reduction)」の文字が入ったものを選ぶことになります。 レンズ側に手振れ補正機能を持たせるメリットは、レンズごとに最適化された手振れ機能を実装できることや、イメージセンサーをカメラボディに固定できるため大型センサーであっても搭載しやすいこと、ボディ本体の価格を低廉化できること、等があげられます。また、光学的に手振れ補正がされるため、光学ファインダーでも手振れ補正の状況を確認できる点も、撮影時のメリットとなります。 逆にデメリットとしては、レンズごとに手振れ補正ユニットを搭載するため、比較的レンズが高価で大きくなりやすいことがあります。手振れ補正技術はまだ進化途上という面もあり、一般的にカメラ本体より長期間使われるレンズに手振れ補正機能が搭載されていることで、旧世代の手振れ補正技術を使わなければならないといったことも起こりやすいと言えます。 →「手振れ補正機能はボディ内の方が有利?」もご参照ください。 ニコンのデジタル一眼レフの特徴2:イメージセンサーのサイズは2種類ニコンの現行機種は7機種であり、4機種がフルサイズセンサー、3機種がAPS-Cサイズセンサーを搭載しています。フルサイズのメリットは、APS-Cの約2倍のセンサーサイズとなるため、高画質の画像を得やすいこと、35mmフィルムカメラと同じ画角で撮影できること、といった点があげられます。 APS-Cサイズのメリットとしては、APS-C用DXレンズだけでなくフルサイズ用を含めたすべてのレンズを使用できること、デジタルカメラに最適化された新しい設計のレンズが多くあること、同一仕様のレンズであれば比較的安価なレンズを使用できること、といった点があります。なお、APS-Cサイズのセンサーでは画角が狭くなり、35mm換算では約1.5倍の焦点距離のレンズと同等になります。 現在、フルサイズ版のレンズ交換式カメラを展開しているのは、ニコン、キヤノン、ソニーの3社となりますが、今後ミラーレス分野では他社の参入も噂されています。 ニコンのデジタル一眼レフの特徴3:オートフォーカス方式は2種類ニコンでは、マウント上に設けられたAF連動軸によって機械的にオートフォーカスを働かせるタイプと、マウント内の電子接点によってレンズ内のモーターでオートフォーカスを機能させるタイプの2種類があります。D3300とD5300はボディ内にオートフォーカス用モーターを持っていないため、AF-Sなどのモーター内蔵レンズでないとオートフォーカス機能を使うことができません。とはいっても、最近のオートフォーカスレンズのほとんどすべてはモーターを内蔵していますので、フィルムカメラ時代のDタイプなど比較的古いレンズを使わないのであれば、あまり気にする必要はないと思います。なお、ニコンのミラーレスカメラ「1シリーズ」もボディ内にはオートフォーカス用のモーターはありません。ニコン1用のレンズであれば問題ないものの、マウントアダプター経由でデジタル一眼レフ用レンズを装着する場合には注意が必要となります。 D3300とD5300以外のデジタル一眼レフは、両方のオートフォーカス方式に対応しているため、基本的にすべてのAFレンズでオートフォーカスを利用できます。 ニコン D3300。レンズマウント上にAF連動軸はありません。
ニコンのデジタル一眼レフの選び方今まで、ニコン製品の特徴、ニコンのデジタル一眼レフの特徴について記載してきました。これからは具体的な選択の視点ごとに、整理をしてみたいと思います。<フルサイズ・デジタル一眼レフ> <上級クラス・デジタル一眼レフ> <中級・エントリークラス・デジタル一眼レフ> の順に、見ていきます。 <フルサイズ・デジタル一眼レフから選ぶ>フルサイズの大型イメージセンサー(Nikon D600) ●ニコン D4S ニコンとキヤノンのフラグシップ機は、フィルム時代からオリンピック開催年にリリースされてきました。オリンピックの報道で使われるカメラ機材は、両社のものでほぼ100%を占めており、開催期間中は現地にサポート窓口も開設されるほどです。 ●ニコン D810 D810は、D800/D800Eの後継機種としての位置づけをもった製品で、カメラとしての中身はD4Sに近いものを持っています。有効3630万画素のイメージセンサーは、フルサイズ機の中でもトップクラスの高画素センサーであり、肉眼で見える以上に高精細な画像を生み出します。また、連写性能やオートフォーカス、高感度性能なども強化されており、位置づけ的には「D4X」に極めて近いカメラであると言えます。 → D810詳細レビュー記事もご参照ください。 → D800詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ニコン Df Dfは2013年11月に登場したフルサイズ機で、ニコンD4をベースとした描写性能を、クラシカルなボディに搭載したカメラです。フィルム時代のマニュアルフォーカス一眼レフを想起させるデザインだけでなく、しっかりとした基本性能が実装されている点が注目されました。なお、動画撮影機能はあえて省略した静止画専門カメラとなっている点からも、開発陣の強いメッセージを感じます。 → Df詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ニコン D610 D610はD600のブラッシュアップモデルで、フルサイズ機のローエンドモデルとなります。ニコンのフルサイズ機の中では一番の小型軽量機ですが、視野率100%の光学ファインダー、マグネシウム製防塵防滴ボディ、D4やD800/D800Eと同じ画像処理エンジンの搭載など、上位機を踏襲する基本性能を持っています。 → D600詳細レビュー記事もご参照ください。 <中・上級クラス・デジタル一眼レフから選ぶ> 次に、中・上級クラス、ミドル・ハイエンドクラスからの選び方について取り上げます。 D810とD610はフルサイズのセンサーを持つモデルであり、D5300は価格的にはエントリークラスとして位置付けることも可能なモデルです。この4機種とも、デジタル一眼レフの中・上級クラスとしての力を備えており、ユーザーの期待に応える働きをしてくれます。 ●主な使用目的を具体的に想定している場合 この場合には、選択は比較的容易です。たとえば、子どもの記録を主に考えているのであれば、一般的にできるだけシャッタースピードを稼ぐ必要があります。また、運動会等であれば、連写速度もそれなりに早いことが望ましいと言えます。 ●コストパフォーマンスを重視する場合 一定の性能を持った機種を中長期的に使い続けたい、という観点で中・上級クラスから選択するケースも少なくありません。その場合、コストパフォーマンスをどの程度考慮するか、ということが重要なポイントとなります。もし、コストパフォーマンスを重視するのであれば、現時点ではエントリークラスの側面もあるD5300がベストな選択となります。その上で、逆にD5300の機能・性能面での特徴を検討し、想定している使用目的をカバーできるかどうかを確認する、というアプローチになります。 ●ニコン D810 「フルサイズからの選択」でも取り上げた機種です。フラグシップ機に準じた実力と、36メガ画素イメージセンサーが生み出す圧倒的な解像感が魅力的です。カメラとしての基本性能はこのクラスの中でもトップレベルとなりますので、あらゆるシーンに対応できる基礎力を持っています。 → D810詳細レビュー記事もご参照ください。 → D800詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ニコン D610 ニコン最新のフルサイズ機です。D800と同様に「フルサイズからの選択」でも取り上げましたが、単に小型軽量というだけでなく、視野率100%の光学ファインダーやマグネシウム製防塵防滴ボディ、D4やD800/D800Eと同じ画像処理エンジンの搭載など、上位機を踏襲する基本性能を持ったカメラです。 → D600詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ニコン D7100 現行のAPS-Cサイズ機の中では最上級機となります。視野率100%の光学ファインダーやボディ上面の液晶パネル、1/8000秒に対応したシャッター、防塵防滴ボディなど、上級機に求められる伝統的な条件をきちんとクリアーしています。 → D7100詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ニコン D5300 D5300は2013年11月登場と、比較的新しい製品です。ボディ単体で7万円前後、標準ズームレンズキットで8万円弱、ダブルズームキットおよび18-140mm高倍率ズームキットで10万円前後で入手可能です。 → D5300詳細レビュー記事もご参照ください。 <中級・エントリークラス・デジタル一眼レフから選ぶ>最後に、ニコンのレンズ交換式デジタルカメラのラインアップのうち、エントリークラスからの選択について見てみましょう。 最初に整理する必要があるのは、そもそもエントリークラスとはなにか、ということです。フィルムカメラの時代には、概ね次のような性格付けがされていました。 ●エントリークラスとは? ラインアップの中で一番廉価な価格帯 「エントリークラス」の一番の特徴は、製品の中身ではなく、価格帯が安い、ということでした。コンパクトカメラからのステップアップとして、あるいは、はじめての一眼レフということでは、コンパクトカメラから極端に値段が乖離してしまうことは避ける必要がありました。 ●エントリークラスとは? 機能や耐用性はワンランク下がるたとえば、シャッタースピードは最速1/2000秒まで、連写速度も1〜2コマ/秒程度、といった機能制限に加え、ファインダーがペンタプリズムではなくペンタミラー(ダハミラー)であったり、レンズマウントやフィルムレールが金属からプラスティック化されたりと、中級機以上と比べ機能面や耐用性でワンランク下となっていました。 ●エントリークラスとは? 初心者向けの機能が付加ユーザー層に一眼レフ初心者が多いことを踏まえ、容易に撮影できるような付加機能が加えられた機種も多く見られました。いわゆるシーンモードなど、当初はエントリークラスに搭載されていたものが、その後中・上級機にも広がったものも少なくありません。フィルムが入っていることに気付かず裏蓋を開けてしまうミスに対応するための、プリワインディング機能などもエントリークラス特有の機能でした。 ●デジタルカメラの「エントリークラス」ならではの特徴 上記の「エントリークラス」の特徴は、レンズ交換式デジタルカメラにおいても、基本的には共通しています。しかし、デジタルの時代になって大きく変わったのは、フィルムカメラ時代よりも上中級機との機能面や性能面での差が小さくなっているということです。 ●D3300とD5300の仕様上の違い両機種の仕様を比べると、主な違いは次の点となります。
その他、ボディサイズやファインダー、ユーザーインターフェース、モーター内蔵レンズのみオートフォーカス対応などの点は、D5300もD3300も概ね同等です。 ●D3300とD5300の金額上の違い現時点での実売価格を比べると、
となっています。 ●両機種の選択の考え方〜参考まで 繰り返しとなりますが、両機種ともコストパフォーマンスにすぐれた素晴らしいデジタル一眼レフです。結果的にどちらを選んだとしても、後悔することはないでしょう。 ●ニコン D5300 D5300は上級・中級クラスでも取り上げた機種です。カメラとしての機能を考えると、どちらかといえばそちらで比較した方がふさわしいかもしれません。 → D5300詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ニコン D3300 D3300はD3200の後継機ですが、イメージセンサーがローパスフィルターレスになるとともに画像処理エンジンも進化するなど、描写性能の点ではさらに強化されています。 → D3300詳細レビュー記事もご参照ください。 |
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7.ソニーのデジタル一眼の特徴と選び方ソニーのデジタル一眼の特徴あまり知られていませんが、初めての実用デジタルカメラを作ったのはソニーです。1981年に登場したマビカ試作機がそれで、当時は電子スチルビデオカメラと呼ばれていました。マビカ試作機は画像をVGAで撮影でき、記録には2インチのフロッピーディスクを使用しました。その後、電子スチルカメラ市場には、キヤノンやニコンをはじめ各社が参入しました。現像時間が不要で、伝送もしやすいことから報道分野では用いられましたが、結局一般家庭に拡がるのは、1995年のカシオQV-10からでした。 電子スチルビデオカメラが普及しなかった原因は、画像を見るためにテレビ装置が必要であったこと、記録自体はアナログ方式であったこと、当時普及機に入りつつあった家庭用ビデオカメラと競合したこと、等が指摘されています。つまり、要素技術や時代のニーズから見て、少々登場が早かったと言えるかもしれません。 ソニーが本格的にデジタルカメラ市場に参入したのは1996年で、サイバーショットDSC-F1が初号機となります。その後、コンパクトデジタルカメラやネオ一眼を中心に精力的に製品を展開してきましたが、レンズ交換式デジタルカメラ市場への参入は、2006年にコニカミノルタから一眼レフカメラ事業の譲渡を受けてからです。 ソニーのDSC-F1。1/3型35万画素CCDセンサーに1.8型液晶モニターを搭載。
ソニーのカタログには、4機種のデジタル一眼カメラが掲載されています。 ソニーのデジタル一眼カメラの特徴1:トランスルーセントミラーを採用2010年に発売されたα33/α55以降、Aマウントシステムのカメラはすべてトランスルーセントミラーを採用しています。これは従来のクイックリターンミラーを透過型の固定ミラーに交換したもので、可動部分が少なくなることによるコスト削減と、連写速度の向上がメリットとなります。また、ライブビュー時や動画撮影時にもミラーアップが必要ないため、シームレスな撮影モードの切り替えも可能です。当然、高速連写中であっても同じようにオートフォーカスが動き続けるので、その点もメリットです。同様の仕組みを採用したフィルムカメラにキヤノンEOS-RTがありました。しかし、EOS-RTは受光した光をファインダー側と映像記録側(フィルム)に分けたのに対し、ソニーはAFシステム側と映像記録側(イメージセンサー)に分離しています。これは、ファインダーをEVF化することによって可能となったもので、EOS-RTとは異なり、受光した光の大部分が映像記録側に振り向けられています。 このように、ソニーのトランスルーセントミラー採用機にはクイックリターンミラーが内蔵されていませんので、厳密にはデジタル一眼レフではありません。しかし、カメラとしての構造やレンズシステムは、従来のα900等のデジタル一眼レフと極めて近いため、ここでは「デジタル一眼カメラ」と記載しています。 ※「ソニーのα77やα65、α57等は一眼レフではないのですか?」 ソニーのデジタル一眼カメラの特徴2:イメージセンサーのサイズは2種類現行機のイメージセンサーは、APS-Cサイズとともに35mmフルサイズ版も用意されています。現行機でフルサイズを採用しているのはα99で、残りの3機種はAPS-Cサイズのイメージセンサーとなります。一つのシステムの中で35mmフルサイズとAPS-Cサイズの両方を楽しむことができるのは、ソニーの強みだと思います。現在、フルサイズ版のレンズ交換式カメラを展開しているのは、キヤノン、ニコン、ソニーの3社となりますが、今後ミラーレス分野では他社の参入も噂されています。 なお、ソニーは自社でイメージセンサーの開発・製造を行っている数少ないメーカーの一つで、他社に対しても積極的に提供しています。 ソニーのデジタル一眼カメラの特徴3:ミラーレスカメラも同列に重視ソニーはEマウントを採用したミラーレスカメラも積極的に展開しています。Aマウントのデジタル一眼カメラと同じようにリソースを投入しており、現時点ではほぼ同等の扱いと言ってよいと思います。このあたりは、キヤノンやニコンとも異なるスタンスであり、3社の中では一番ミラーレスカメラに力を入れているメーカーであると言えます。 ソニーのα7。ミラーレスカメラとしては初となる35mmフルサイズのセンサーを搭載。
ソニーのデジタル一眼カメラの特徴4:手振れ補正機能はカメラ側で対応最近のデジタルカメラは高感度性能が向上したため、比較的高速シャッターを使えるシーンが増えています。それでも、手振れ補正機能は必須に近いといえるかもしれません。手ぶれ補正機能の実現にあたっては、カメラ本体側で対応する場合と、交換レンズ側で行う場合があります。ソニーAマウントの場合は前者で、カメラ本体内に手振れ補正機能を搭載しています。そのため、すべての交換レンズで手振れ補正機能の活用が可能です。 ただし、同じソニーでもミラーレスカメラのEマウントでは、レンズ側で手ぶれ補正を機能させています。AマウントレンズをマウントアダプターでEマウントカメラに装着しても、手ぶれ補正機能は使えない点に注意が必要です。 →「手振れ補正機能はボディ内の方が有利?」もご参照ください。
ソニーのデジタル一眼カメラの選び方●ソニー α99 2012年10月に登場したソニーのフラグシップ機です。前機種であるα900は光学ファインダーを搭載していましたが、α99ではトランスルーセントミラーテクノロジーを活用した電子ビューファインダーを採用しています。 → α99詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ソニー α77II 2014年6月に発売開始となったAPS-Cサイズの最上位機です。2011年11月に発売開始となったα77の後継機であり、描写性能と機能面が全面的にブラッシュアップされています。とくにオートフォーカスや連写性能など、α77でやや弱かった部分がきちんと強化されており、APS-Cクラスの最上位機種として十分な実力を備えています。 → α77II詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ソニー α65 当初はα77と一緒に発売の予定でしたが、タイにおける洪水の影響で、2012年1月に発売開始となりました。位置づけ的には、α77の下位機種でありミドルクラスの製品と言えます。 ●ソニー α58 2013年8月に発売開始となったAPS-Cサイズのエントリー機です。昨年2月に、まず海外で発表された機種で、動画性能など一部機能を強化したうえで国内市場に投入されました。 |
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7.リコー(ペンタックス)のデジタル一眼の特徴と選び方リコー(ペンタックス)のデジタル一眼の特徴リコー(理研感光紙株式会社、1936年設立)もペンタックス(旭光学工業合資会社、1919年設立)も、戦前からカメラをはじめとする光学製品を製造・販売していたメーカーです。リコーは戦前から中判カメラを中心に35mm版カメラも製造・販売していましたが、とくに1970年代以降はXRシリーズとして一眼レフカメラを精力的に展開しており、1994年には太陽電池を内蔵した一眼レフ、XRソーラーなども発売しています。また、コンパクトカメラの分野では1994年に発売したリコーR1(30mmF3.5単焦点レンズを搭載した薄型カメラ)のヒットにより、デジタルカメラGRシリーズの祖ともいうべきR/GRシリーズも展開していました。 ペンタ部に太陽電池を内蔵したリコー XR ソーラー。
ペンタックスは1952年に、日本初の一眼レフカメラを開発しました。1957年には、世界で初めてクイックリターンミラーとペンタプリズムを搭載した一眼レフをリリースしており、この構造が現在のデジタル一眼レフでも引き継がれています。 2007年にTOBによりHOYA株式会社の子会社となり、2011年にはイメージング・システム事業がリコーに譲渡され、最終的にはリコーとペンタックスのコンシュマー向けカメラ事業は2012年に「ペンタックスリコーイメージング株式会社」(2013年にリコーイメージングに変更)として集約されました。 リコーイメージング株式会社自体は、資本金1億円、従業員数約1900名(含子会社)の会社ですが、リコーグループ全体では売上高2兆2千億円、連結従業員数10万8千人の巨大企業であり、ソニー(売上高7兆円)やキヤノン(同3兆5千億円)には及ばないものの、ニコン(同1兆円)を超える規模となっています。 デジタル一眼レフとしては、現時点ではペンタックスブランドでのみ展開しており、先日発表されたばかりの645Zを含めると次の3種類となります。 リコー(ペンタックス)のデジタル一眼カメラの特徴1:幅広いフォーマットを提供リコーは35mm版ではAPS-Cサイズのデジタル一眼レフだけを展開していますが、フィルム時代から力を入れていた中判システムのデジタル版として、645Dを2011年10月にリリースしています。2014年6月には、後継機となる645Zの発売も予定されており、35mmフルサイズ版の1.7倍となる大型イメージセンサーは他社にない魅力となっています。また、レンズ交換式カメラとして考えれば、Q10やQ(製品レビュー)の1/2.3型やQ7(製品レビュー)の1/1.7型など、コンパクトカメラと同等サイズのシステムも提供しています。こうした、センサーフォーマットのサイズにとらわれない製品展開が、リコーデジタル一眼レフの大きな特徴です。 Q7の1/1.7型サイズイメージセンサー
リコー(ペンタックス)のデジタル一眼カメラの特徴2:フィルム時代を引き継ぐ豊富なレンズ資産フィルム時代、一眼レフカメラがマニュアルフォーカスからオートフォーカスへと切り替わったとき、ペンタックスはレンズマウントの物理的形状を変更しませんでした。大型マウントに変えなかったことは、レンズ設計上の制約ではありましたが、バヨネット形式のKマウントレンズであれば、基本的にすべてのレンズが装着可能であることは、大きなメリットとなっています。645Z/645Dについても同じことが言えます。2002年には最後のフィルム中判カメラ645N IIも発売されており、過去から綿々と続いてきた645用レンズがまがりなりにも使えるということは、やはり645D/645Zの実用価値を大きく高めています。 リコー(ペンタックス)のデジタル一眼カメラの特徴3:35mmシステムのミラーレスカメラは同じマウントペンタックスブランドのミラーレスカメラは、上記のQシリーズの他にもK-01(製品レビュー)があります。2012年3月に発売されてから2年が経過し、今のところ後継機種はリリースされていませんので、今後の展開については若干不安な部分もあります。K-01の特徴は、ペンタックスKシリーズと同じレンズマウントを採用したということです。イメージ的には、デジタル一眼レフをライブビューモード専用にしたものと言え、ミラーボックス内のミラーと光学ファインダーが省略されています。K-01専用レンズも参考出品されましたが、デジタル一眼レフとミラーレスとで同じレンズをそのまま使用できる点は、他社にない特長です。 PENTAX K-01。ミラーボックス内は空洞になっています。
リコー(ペンタックス)のデジタル一眼カメラの特徴4:手振れ補正機能はカメラ側で対応最近のデジタルカメラは高感度性能が向上したため、比較的高速シャッターを使えるシーンが増えています。それでも、手振れ補正機能は必須に近いといえるかもしれません。手ぶれ補正機能の実現にあたっては、カメラ本体側で対応する場合と、交換レンズ側で行う場合があります。リコー(ペンタックス)の場合は前者で、カメラ本体内に手振れ補正機能を搭載しています。そのため、すべての交換レンズで手振れ補正機能の活用が可能です。 Kシリーズで面白いのは、手ぶれ補正機構を単に手ぶれ補正のためだけに使っていないということです。GPSユニットを装着すると、イメージセンサーの動作機能と連動して簡易的な天体追尾撮影が行えたり、K-3ではイメージセンサーを微振動させることでローパスフィルター機能を実現したりと、別目的でも活用しています。 なお、ペンタックスのミラーレスカメラ、Qシリーズもカメラ側で手ぶれ補正が実現されていますので、どのレンズを装着しても手ぶれ補正を効かせることができます。 →「手振れ補正機能はボディ内の方が有利?」もご参照ください。
リコーのデジタル一眼カメラの選び方●ペンタックス 645Z 2010年6月に登場した645Dの実質的な後継機で、有効5140万画素のCMOSセンサーが搭載されています。前機種では、ライブビュー撮影や動画撮影はできませんでしたが、最新のデジタル一眼レフらしく、ライブビュー撮影はもちろんのこと、フルHD(60i)での動画撮影も可能になっています。 ●ペンタックス K-3 2013年11月に登場したAPS-Cサイズのフラグシップ機です。前機種であるK-5II(製品レビュー)と比べると、イメージセンサーが高画素化されるとともに画像処理エンジンも新世代のものに進化するなど、描写性能が大幅に強化されています。また、イメージセンサーを微振動させることで、ローパスフィルターの効果を切り替えることも可能で、これはK-3だけの機能です。 → K-3詳細レビュー記事もご参照ください。 ●ペンタックス K-50 2013年7月に登場した中級デジタル一眼レフです。K-50は、2012年6月に発売開始となったK-30(製品レビュー)の後継機であり、ボディデザインをはじめとするブラッシュアップが施されています。 → K-50詳細レビュー記事もご参照ください。 |
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7.シグマのデジタル一眼の特徴と選び方シグマのデジタル一眼の特徴シグマは神奈川県川崎市に本社を置く光学メーカーで、1961年に創業された比較的若い会社です。もともと主力製品は、他社カメラ用の交換レンズですが、自社でカメラ本体も製造販売しています。当初はリコーのOEM製品と思われますが、1993年に発売開始となったフィルム一眼レフSA-300以降は完全に自社で開発製造を行っています。また、ほとんどの製品を福島県にある会津工場で製造している点も注目されます。シグマ初のデジタル一眼レフは2002年のSD9ですが、一般的なベイヤー方式のイメージセンサーではなく、Foveonダイレクトセンサーを搭載しました。これは、個々の画素1つ1つで3原色の色情報を取り込むことができるセンサーで、このセンサーを採用していることがシグマのデジタルカメラの一番の特徴と言えます。 シグマ初のデジタル一眼レフ、SD9。
これまでにシグマは6機種のデジタル一眼レフをリリースしてきました。発売順に整理すると、次の通りとなります。
●シグマ SD1 Merrill 上記に記載しました通り、2012年3月に発売開始となりました。前年6月に発売となったSD1は発売時点の実売価格は60万円を超えていましたが、製造プロセスの見直しにより20万円前後まで価格を下げて再スタートとなったものです。なお、大幅に価格が下がったため、旧モデルSD1購入者に対しては40万円相当のポイントが付与されるなど、思い切った販売政策も行っており、ユーザーに対する温かさを感じます。 ( 改訂: Inaba Kunio)
( 編集: Inaba Kunio)
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