「そんなことはするべきではない」-。省庁や国の補助金を受ける団体に対して、ムダ遣いを厳しく指摘する会計検査院。しかし、逆に検査院が疑問視したのは、東京電力がやろうとしたコストカット策だった。ほめられるはずの節約なのに、なぜ…。それは、東電が当初、サポートの終了したコンピューターの基本ソフト(OS、オペレーションシステム)を使い続けようというプランを立てていたからだった。検査院はテロの脅威なども挙げながら、苦言を呈した。
「XP」のままでもいける
会計検査院は国会や内閣、裁判所から独立し、税金などが正しく使われているかどうかをチェックする機関。検査対象は各省庁や国が出資する政府関係機関、独立行政法人などの法人、国が補助金や貸付金など、財政援助を与えている都道府県、市町村、各種団体。検査院の職員が実際に足を運んだり、書類の提出を受けたりして、検査にあたっている。
そんな検査院が今年3月下旬に取りまとめた報告書が、「東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況に関する会計検査の結果について」。A4サイズの冊子は200ページを優に超えた。
そのなかで、言及されたのが、OS更新時期の繰り延べ問題だった。東電が延長しようとしたのは、マイクロソフト(MS)が提供していたウィンドウズXP。平成26年4月に、サポートが終了されたが、その後、29年度まで更新を延ばし、36億円を削減しようとしていたのだ。