芝生にたたずむ潜水艇、歴史的価値と夢があった かごしま水族館の「はくよう」、活躍認められ「ふね遺産」に

 2025/01/24 17:10
日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」に認定された「はくよう」=鹿児島市のかごしま水族館芝生広場
日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」に認定された「はくよう」=鹿児島市のかごしま水族館芝生広場
 鹿児島市のかごしま水族館には、歴史的価値のある船と認定された「ふね遺産」がある。芝生広場にひっそりたたずむ有人の小型潜水艇「はくよう」だ。40年の歴史と8000回超の潜航記録を持つ海洋開発の“先駆者”で、昨年、日本船舶海洋工学会のふね遺産に認定された。佐々木章館長(58)は「鹿児島の海を直接見て、多様な生き物に出合ってきた船。古いが夢がある」と魅力を語る。

 1971(昭和46)年建造。2013年5月まで、国内外の海洋生物調査や海洋工事で42年間活躍した。水深300メートルまで潜ることができる。最大3人が乗れ、全方位に自由に動ける。

 鹿児島湾では、「たぎり」で知られる霧島市福山沖の海底火山(若尊(わかみこ)カルデラ)の観察や、サツマハオリムシらしき生物の撮影に使われた。運航を終えた13年、当時所有していた深田サルベージ建設が寄贈した。

 長い間活動し、8134回の潜航を無事故で終えた点などが評価され、24年9月、「ふね遺産」に認定された。同館は25年1月4日、船内に入る記念イベントを開催。大人から子どもまで20人がはくようが見てきた深海に思いをはせた。

 佐々木館長は「今後も船内の見学や運用していた人に話を聞くイベントを開き、はくようを知ってもらう機会を増やしたい」と話している。

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