岩川の弥五郎どん、国の無形重文に答申 曽於の大人形行事、県内13件目 文化審

 2025/01/25 10:30
国の重要無形民俗文化財に指定するよう答申された「岩川の弥五郎人形行事」=2024年11月3日、曽於市大隅町岩川
国の重要無形民俗文化財に指定するよう答申された「岩川の弥五郎人形行事」=2024年11月3日、曽於市大隅町岩川
 国の文化審議会(島谷弘幸会長)は24日、「岩川の弥五郎人形行事」(曽於市)を重要無形民俗文化財に指定するよう文部科学大臣に答申した。答申通りに指定されれば、県内の重要無形民俗文化財は昨年の川内大綱引(薩摩川内市)などに続き13件となる。

 毎年11月3日、岩川八幡神社の秋季例祭で行われる。身の丈4.85メートルの武人姿をした弥五郎人形が、浜下りと呼ばれる神幸行列の先払い役として地域の男性たちの引く台車に載せられ、町内を練り歩く。五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するとされる。

 曽於市教育委員会の調査報告書によると、行事の開始時期は不明な点が多いが、江戸時代の1795年に編さんされた記録で「大人弥五郎の人形」が登場する。弥五郎は朝廷に対抗した古代の隼人伝説にまつわるとの説があり、都城市の的野正八幡宮(はちまんぐう)、日南市の田ノ上八幡神社にも伝わる。

 文化審は「南九州地方における大人形(おおにんぎょう)の出る行事の典型」と指摘。同地方の「大人形を用いた神幸行事の地域的展開や、国内の祭礼行事の変遷を理解する上で重要」と評価した。

 文化審はこのほか、重要無形民俗文化財に「白鳥の拝殿踊」(岐阜県)など3件、重要有形民俗文化財に「長崎のかくれキリシタン信仰用具」(長崎県)を答申した。