2024/06/28 - 2024/06/28
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kojikojiさん
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京都5日目はあいにくの天気で、朝から雨が降っています。我が家の旅行ではほとんど雨が降ることが無いので少々面喰います。この日は嵐山の「天龍寺」の塔頭の「松巌寺」にある祖父母のお墓参りを考えていたので、ホテル近くのJR丹波口駅から嵯峨嵐山駅まで電車で移動します。高架駅なので吹きっ晒しで風も強く先が思いやられます。嵯峨嵐山駅に着くと構内には「保津川下り運航中止」の看板も立っています。JRの嵯峨嵐山駅は俗にいう嵐山からは離れているので小雨の中を桂川に向かって歩きます。雨模様なのは残念でしたが観光客の姿が少なく、かえって良かったかなとも感じました。お墓参りに向かいながらも、今まで行ったことのない「福田美術館」の案内に「君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~」とあったので予定変更して観に行くことにしました。美術館の中であれば雨にも風にも寒さにも困ることはありません。ちょっとよこしまな考えでしたが、展覧会は非常に充実していて面白かったです。そんなことをしていると予約した鳥居本の「平野屋」で食事する時間が近づいてしまい、お墓参りはタクシーの車内から「天龍寺」の総門に向かって合掌するだけになってしまいました。「平野屋」は外祖母を連れて何度か着たことがあるのと、法事の際に母を連れてきたことがありました。2人とも亡くなってしまっているので、元気なうちに妻を連れてこなければと思っていました。これで一安心することが出来ました。この店は鮎が有名な料理屋さんなので楽しみにしていました。6月ということもあり、個人的には鮎が一番おいしい季節だと思っていたので冷酒も進んで大満足の料理が続きました。タクシーでJR嵯峨嵐山駅まで戻り、丹波口駅からホテルに帰ってしばらくお昼寝です。今回ホテルの市に合わせていろいろ行き先を決めましたが、移動に便利な立地でした。夕方になると雨も上がり、再びタクシーで祇園花見小路まで出て叔父と待ち合わせです。清水で陶芸を営んでいる叔父は10歳くらいしか変わらないのですが、今回晩御飯をごちそうになりました。連れて行ってもらったお店は「割烹 八寸」で、カウンターの中央の焼き場の前の席が3つだけ空いていました。我々が座ったところで料理が始まり、叔父が作った器に料理が盛られて出てくると、器は同じでもやっぱり自宅で食べるのとは違うなと感心します。美味しい料理をいただいて、叔父の小学校の後輩だという板前さんと楽しい会話もできました。叔父とも話し足りなく近くにある「VESPA]というバーで山崎の水割りをいただきながら祇園の夜は更けました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- タクシー スカイマーク JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
- 利用旅行会社
- 阪急交通社
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京都5日目になりました。この日はあいにくの天気ですが、嵐山方面へ行くので、ホテルから徒歩数分のJR山陰線の「丹波口駅」に向かいます。
エスペリアホテル京都 宿・ホテル
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長年京都に通っていても山陰線を使うことはほとんど無いので、この駅を利用するのも初めてでした。
丹波口駅 駅
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「JR嵯峨嵐山駅」に着きました。保津川下りは増水のために運航中止になっていましたが、予約してあった方は気の毒です。何年か前の事故から運行には神経質になっているのかもしれません。
嵯峨嵐山駅 駅
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「雲水」とは「行雲流水」の略で、雲が定めなく行き、水が流れてやまないように一所にとどまらない自由な人やそのような境涯を指します。また、 行方を定めないで諸国を行脚する修行の僧のこともこう呼びます。3月にラオスのルアンパバーンで托鉢をしたことを思い出しました。
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JR山陰線は使わなくとも京福嵐山線はよく使いました。四条大宮駅から祖父の生家の「二条陣屋」は近いですし、祖父母の隠居宅もこの沿線になりました。
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踏切を渡ると嵐山の山並みが見えてきましたが、霞が掛かって幽玄な雰囲気が感じられます。早く渡月橋辺りまで出たいところですが、まだまだ歩かなければなりません。
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こんな茅葺き屋根の民家が残っているとは知りませんでした。
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「いけず石」とは主に京都市内で見られる車避けのために住宅の敷地の角や端に設置される石のことです。京都市内には数千個のいけず石があるとされ、トラブルのきっかけを撲滅する目的と、婉曲表現で他者をあしらう手段が京都の流儀に適ったのだと思います。
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ようやく罧原堤まで出たので、桂川の流れが見えます。駅で見た保津川下り運航中止の看板を思い出し舞いsたが、それほど水量が増えているようには見えません。
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「渡月橋」の向こうの岩田山辺りは霞が掛かって、山頂の辺りは見えなくなっています。モンキーパークにも50年は行っていませんが、サルたちは元気にしているのでしょうか。
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この辺りは川の流れの中に段差があるので水量が増えているように見えます。天気が悪いせいなのか観光客の姿も少ないです。
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普段は立ち止まることも出来ないであろう「渡月橋」の橋の袂でも記念写真が撮れます。この程度の雨でこれだけ空いているのであれば結果的には良かったかもしれません。
渡月橋 名所・史跡
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本来の目的は「天龍寺」の塔頭の中にある祖父母の墓参りだったのですが、天気も良くないので掃除のし甲斐も無いので「福田美術館」に入ってみることにします。
福田美術館 美術館・博物館
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嵐山のこの辺りもずいぶんと変わってしまって、この美術館に入るのもこの日が初めてです。雨が降ったり止んだりなので、外を歩くよりはいいと思います。「君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画」という展覧会が開かれていました。館内も空いていたのが良かったのと、一部を除いて写真撮影できるので楽しい時間が過ごせました。
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「花のさかづき」上村松園
「両兵庫」という蝶のように結った日本髪に斑の無い上質の鼈甲の櫛や簪で飾り、前に帯を結ぶ姿は位の高い遊女の証です。朱の杯を持って少し酒に酔って桜に目をやる姿には品があります。 -
「四季婦女」上村松園
春夏秋冬になぞらえて年齢の異なる4人の女性を描き分けています。1つの部屋に四季折々の装いをこらした女性が集うという現実にはあり得ない構図です。 -
上村津禰(つね)は1875年の明治8年に下京区四条通御幸町の葉茶屋「ちきり屋」の次女として生まれます。1887年の明治20年に京都府画学校(現:京都市立芸術大学)に入学、北宋担当の鈴木松年に師事し、1888年の明治21年に雅号として「松園」を用いるようになります。
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1890年の明治23年の第3回内国勧業博覧会に「四季美人図」を出品すると、一等褒状受賞します。この絵を来日中のヴィクトリア女王の三男アーサー王子が購入し話題となったそうです。
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この絵も同じ頃に描かれているので同じような構図だったのかもしれません。
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古くから古典的な美人とされたうりざね顔の女性の顔はほぼ同じなので、1人の女性の生涯が描かれているようです。松園の生涯をモデルとした宮尾登美子の小説を映画化した「序の舞」を思い出しました。
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「静御前」上村松園
源義経の妾で京の白拍子だった静御前は義経と共に逃亡するも捕まり、源頼朝夫婦に命じられ舞を披露させられました。その際には堂々と逃亡中の義経への想いを舞って見せます。松園は歴史や物語に登場する美人を「心の友」と呼んだそうです。東京国立近代美術館に収蔵されている「静」が思い出されます。 -
「人形遣之図」上村松園
描かれているのは近松門左衛門の浄瑠璃「冥途の飛脚」の主人公の男女が一つの傘で雪の中を逃避行する名場面です。喜多川歌麿の大判錦絵に発想を得ていながら写実味を加えています。画中で2つの物語が進行しているように見えます。 -
「美人観月」上村松園
蚊帳を吊っている最中に空を見上げて美しい月を眺めている一瞬を描いています。単衣の着物と共に夏の夜の爽やかな雰囲気が伝わってきます。子供の頃に京都の祖父母の家に泊まると、叔母が蚊帳を吊ってくれて、その部屋の中のさらに小さな空間にいるのが楽しかったことを思い出します。 -
「姉妹之図」上村松園
1冊の謡本に顔を寄せ合って、能の稽古のおさらいをする仲睦まじい姉妹たちの姿です。本をめくっている年長の姉は丸髷風の髪形からすでに嫁いでいると分かります。桃割れに結い上げた髪に薔薇の簪を飾っているのは末の妹のようです。 -
「初雪」上村松園
蛇の目笠に雪が積もる中で女性はかじかんだ右手を袖の中に入れ、左手では着物の褄をとり、転ばないように歩みを進めています。着物の裾模様の白梅は春が近いことを感じさせます。 -
京の伝統文化に育まれた松園は明治・大正・昭和を通して自らの言葉で「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵」、「真・善・美の極致に達した本格的な美人画」を念願として女性を描き続けました。
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「小楠公之図」林杏華
東西を代表する美人画家の上村松園と鏑木清方から学んだ林杏華(はやしきょうか)は南朝方の武将である楠木正成の妻の久子と息子の正行(まさつら)です。戦死した父の後を追おうとした正行を、久子は武士として正しくないと教え諭した場面です。 -
夫の死を悼みながら愛する息子を死なせまいと懐剣を奪って胸に抱く彼女の覚悟と決意が感じられます。
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「四季美人図」大林千萬樹(ちまき)
大正時代から昭和時代の日本画家で、主に再興院展にて活動し、江戸期の歴史風俗に取材した温和な美人画を多く描きました。 -
豪華な装い腰元は春を表しています。腰元は身分の高い人のそばに仕えて雑用をする侍女のことです。やがてチリ行く桜のはかなさを感じさせます。
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日本画の桜を見ると思い出すことがあります。祖父の生家は部屋数が多かったことから宿屋のようなことをしていた時代があり、多くの画家の方が逗留していたそうです。祖母によると土田麦僊夫妻が泊まられたときに桜の花を褒めたら奥様が絵の具を溶くのは私の仕事で、指紋がなくなるほど大変だったという話を聞いたことがあります。
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虫籠に入った蛍の光に心を寄せるのは夏の町娘の姿です。数日で死んでしまう蛍にも憐れみとはかなさを感じさせます。
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贔屓のお客を物悲しい表情で待つ秋の遊女の姿です。今回の旅では父の遺した写真から島原の「角屋」にも足を運びましたが、白黒写真の太夫の意匠はこんなだったのだろうかと想像しました。
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川の畔で冷たい風を受けて頭巾を抑える冬の町娘の着物は奢侈禁止令(しゃしきんしれい)の時代を感じさせます。
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「愛愛語」川端龍子
「愛愛語」とは「鳥の愛らしい言葉を愛する」という意味で、美しい声に聴き入っているウイグル族など西方の美しい民族衣装を着た女性です。 -
妻と2人で中国の貴州省を巡り、少数民族の村で本物の民族衣装を着させてもらった旅が懐かしいです。「長角苗族」「布依族」「季刀苗族」「短裾苗族」の皆さんはみんな親切で、今でも楽しい思い出です。
貴州省の旅:https://4travel.jp/travelogue/10354383 -
「紅葉美人」菊池契月
紅葉した楓の下に立つ美しい女性は、安土桃山時代の姿をしています。着物の模様は桜や牡丹、桔梗に撫子など春や秋の花々で飾られているので一念を通して使えたことでしょう。 -
髪の毛の流れが美しい垂髪が繊細に描かれ、日本髪には無い華やかさを感じます。
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「ものをもい」尾竹竹坡
褐色の肌の美しい東南アジア系の少女は口もとに手を寄せて物思いにふけっているようです。タイトルからも恋の相手を想っているのでしょう。 -
この作品はポール・ゴーギャンのタヒチの絵画に触発されたようですが、民族衣装の模様が日本画らしい丁寧な点描で描かれています。
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「龍田姫」木村武山
和歌にも詠まれたように奈良の龍田山は紅葉の名所として知られています。山を紅葉色に染める神として信仰されたのが龍田姫です。 -
龍田姫は秋を司る女神で、この作品では侍女から差し出された絵皿の朱を絵筆に含ませ、まさに紅葉を彩る瞬間を描いています。
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1階の見学を終えて2階に上がります。この美術館のコレクションは京都の実業家でアイフルの創業者である福田吉孝が美術館を設立する目的で約20年にわたって収集した日本絵画を中心とした作品約2,000点だそうです。江戸時代の琳派や円山派や四条派や近代の京都画壇の作品を多く所蔵しているそうです。
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建築設計は東京工業大学教授の安田幸一が担当しており、美術館のデザインコンセプトは京町屋の要素を取り入れた和モダンで、展示室は蔵をイメージしているそうです。
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「初音」栗原玉葉
鶯の雄が雌を求めて泣き始めることを「初音」と呼び、春を知らせる音色として喜ばれました。着物の裾には金の「鶯」と「初音」の文字が読み取れます。女性は鶯の鳴き声を聴いたのか口元を袂で押さえて驚いているようです。 -
「吹雪」小早川清
和傘は現代の洋傘に比べてずっと弱いもので、竹の骨に糊で紙を張り、防水のために桐油を塗っただけのものです。 -
雪になると想定して傘をさして出たものの、思ったよりも強い吹雪に困惑する様子が顔の表情からも読み取れます。
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「初春」山川秀峰
振袖の長い袂を左手でつまみ、落ちてくる羽を見上げて打ち返すタイミングを計っています。肩揚げのに着物と高く結い上げられた髪と花簪は、女性がもう大人に近づいていると分かります。 -
次の正月には嫁いでいて実家を離れているかもしれない自分の将来を見据えたような表情が美しいです。
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「江戸時代春秋町家婦女之図」伊藤小坡
右叟では花見を楽しむ美人姉妹が描かれています。 -
足元に菫を見つけた姉が妹に語り掛けているようです。子供の頃に母が庭先に菫を植えていたのを思い出しました。その庭は我々兄弟が小学生になると全部掘り起こして朝顔やおしろい花やホウセンカを植えてしまいました。
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2人ともまだ結婚はしていないようで、姉は袂が汚れないように端を帯に挟んでいます。妹は立ったまま振り返った瞬間をとらえています。
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左叟では舞い散る紅葉の美しさに魅かれている母と子が描かれています。
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落ちてくる葉受け止めようと夢中になっている少女の姿が愛らしいです。
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それを見守る母親のまなざしが優しいです。
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「ほほえみ」松村梅叟
灯篭の明かりの下でにかみながら短冊の文字を目で追う年若い娘が描かれています。この時代に相手に想いを伝える手段は手紙や和歌しかありませんでした。ドレスデン美術館のアルテ・マイスター絵画館が所蔵するフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が思い出されました。 -
「花うり」松村梅叟
北白川から洛中へ四季折々の切り花を携えて行商に訪れていたのが白川女(しらかわめ)でした。手甲に脚絆に紺絣の前掛けがユニフォームでした。 -
実際に「花いりまへんかぁ」と売り歩く姿は見たことはありませんが、秋の「時代祭り」ではその姿を今でも見ることが出来ます。
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「朝凪」梥本一洋(まつもといちよう)
瀬戸内海を行くフェリーと思われる船上で旅を楽しむ女性たちの姿です。画家のことは初めて知りましたが、とても印象に残る絵でした。 -
白を基調にコーディネートされたワンピースの女性は赤いストライプの襟元がおしゃれです。多分ボタンも同じ生地で包んでいるのでしょう。アール・デコを感じさせるデザインが現代に見ても斬新です。
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モーヴ色の透け感のあるワンピースの女性は紺の細いベルトを締め、莨を嗜む姿は昭和初期のモダンガールといった雰囲気です。
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スタンドタイプの真鍮の灰皿にはボックスマッチのスタンドまで付いています。昔はこのマッチが広告としてどこに行っても置いてありました。このマッチも神戸の異人館で見てきたカッサンドルのノルマンディ号を思わせる船が描かれています。
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「キリシタンの娘」喜多川玲明
首にロザリオを架けた女性の着物の裾にはキリスト教徒を象徴するモチーフとしての南蛮船が描かれています。 -
ロザリオを胸元に充てて目を伏せる女性の表情は神への深い敬意と信頼に溢れているようです。「法悦」という言葉の意味は信仰から得る喜びのことですが、思い出されるのはバロック期の彫刻家のベルニーニの「聖テレジアの法悦」だったり、カラバッジョの「法悦のマグダラのマリア」です。
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英語にすると単にEcstasyとなってしまうのでちょっと違和感を感じてしまいますが、法悦という言葉はしっくりきます。明治後期から大正期にはこのようなキリシタンを題材にした画題が描かれたようです。明朝や清朝の時代のマンダリンスクエア(補子)のようなデザインの帯が素晴らしいです。
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「追羽根」岡本神草
一見羽子板を楽しむ町娘のようですが、履いている「おぼこ」からこの娘が遊女だということが分かります。だらりの帯を締めた艶やかな装いでありながら、童心に返って遊ぶアンバランスさが印象に残ります。 -
「娘道成寺」甲斐荘楠音(かいのしょうただおと)
若い僧の安珍が清姫という宿の娘の懸想(恋心)から逃れ、道成寺の梵鐘に隠れたところ、娘は蛇体になって鐘に巻き付け執念の炎で安珍を焼き殺したという歌舞伎の演目です。清姫が立烏帽子の白拍子の姿で舞い、見返ったところで鐘を見つけた瞬間を描いています。小学生の低学年の頃に父に連れられて歌舞伎座へよく通って、「娘道成寺」もよく覚えています。歌舞伎座は華やかで子供心にも楽しかったですが、文楽などは地味で面白くなかったことを思い出します。 -
「雙六」中村大三郎
江戸時代前期に大流行した兵庫髷を結った女性は緊張感のある表情をしています。雙六の駒を進めるためのサイコロの入った賽筒を右手に持っています。盤面は白黒の駒で埋められていて、勝負も最終版で緊張した雰囲気が伝わってきます。 -
これまで美人画というジャンルにはあまり興味を持っていませんでしたが、これだけ集中して観賞するとなかなかいいものだと思えてきました。女性の美しさもさることながら、着物などの意匠のデザインも素晴らしいです。曾祖母はこういったデザインを取り入れて陶器のデザインとするのが上手な人でした。その曾祖母が唯一お食い初めの陶器を誂えてくれた因縁なのか、代々の造った陶器を集め続けています。
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「鼓」島成園(しませいえん)
京都の上村松園と東京の池田蕉園と大阪の島成園は「三都三園」と並び称された同時代の女性画家です。同じような題材でも成園の描く女性は大阪らしい凄艶を感じます。大阪画壇というと初代の陶哉の陶器に絵を描いてくれた須磨対水(須磨対水)が思い出され、いつか作品を手に入れたいと思いながら叶っていません。 -
「銀扇」伊藤成錦
背景の屏風は桜の吉野山で、女性の着ている着物も襦袢も桜色で、開いた扇の模様も満開の桜です。本来なら華やかなはずの画面ですが沈痛な面持ちです。「銀扇」の銀箔は金箔と違って年数を経ると黒く変色してしまいます。開いた扇の変色に自身の若さが永遠ではないと感じ取ったようです。 -
「美人図」木谷千種
手鞠は元々は着物をほどいたときの抜き糸や仕付け糸を丸めて大きくしていくもののようです。女の子が生まれて花嫁になるまでにできる手鞠はいくつも出来なかったことでしょう。完成に近づいて金糸で飾る段階になっている喜びが感じられます。 -
「春粧」中村定以
矢絣模様の着物から覗く絞りの襦袢に豪華な帯を締めていることからも大切に育てられた裕福な家庭の娘だと分かります。手に鋏を持ち、生け終えた花を見る表情は少し微笑んでいます。 -
「蛇皮線」中村定以
「蛇皮線」を奏でているのは茶色無地の縮緬の着物にベルベットの羽織をまとった女性です。羽織は元々男性の装束でしたが、音や花などの技を誇る芸事の師匠などが好んだようです。 -
「三味線」中村定以
「三味線」を奏でているのはまだ10代半ばの少女のようです。髪を下ろしたままなので練習風景のようです。まだ慣れない手つきも初々しいです。姪が小学生の頃のウクレレの発表会で感じた心配が思い出されました。 -
最後の部屋にはこのような投票場があり、気に入った美人画にシールを貼るようになっていました。シールを貼る段になって地震がなくなり、もう一度展示室を周ることになりました。
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小雨の嵐山来るのは初めてのことでしたが、なかなか風情があります。
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保津川下りも運航中止ですが、屋形船も休みのようで、人の気配は感じられません。もちろん手漕ぎボートの姿も見えません。
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子供の頃に川が氾濫したことがあり、その時は道路の上に鮎などの川魚が上がって、手づかみで捕まえられたことがありました。
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叔母のお茶会で来て以来「吉兆 嵐山本店」にもしばらく来ていません。最初に来たのは24歳くらいのことで、現金支給された夏のボーナスを持って祖母と叔母と連れてきたのはいい思い出です。
京都 吉兆 嵐山本店 グルメ・レストラン
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「琴聞き茶屋」の辺りでお客を卸したタクシーに乗って「平野屋」に向かいました。結局時間が無くなってしまい、祖父母の墓参りに入絵kませんでした。「天龍寺」の総門の前で手を合わせて勘弁してもらいます。
平野屋 グルメ・レストラン
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「お伊勢七たび、熊野へ三たび、愛宕さんへは月詣り」と歌われた愛宕山の麓の一の鳥居の袂に店を構えて400年を越える「平野屋」でお昼をいただきます。この店にも祖母や叔母を連れて食事に来たことがあります。
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母と2人での最後の京都への法事の旅でもこの店を予約して一緒に食事をした思い出もあります。妻を連れてくるのは初めてのことなので、また新しい思い出が作られます。
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いつもはこの右の座敷で食事をしていましたが、座卓だったテーブルは椅子席になっていました。
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通されたのはその右側の部屋でした。小さい部屋ですが、2人であればちょうどよい広さです。妻が外の雨が土砂降りになったというので窓を開けて説明します。
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障子を開けると池の間に引き込まれている清流の音が部屋の中にあふれて、話し声が聞こえないほどです。妻が雨の音だと思ったのは生簀に引き込む水の音です。
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平野屋に来る鮎は硯石(すずりいし)でできた生簀に愛宕山の湧水を引き込み、そこで一晩休ませます。そうすることにより鮎は腹の砂を吐いて生気を取り戻して食べごろとなります。
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少し分かりにくいですが、湯飲み茶わんには愛宕山とこの店の前の一の鳥居が描かれています。
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お茶をいただきながらもお酒が来るのを待っています。最初は喉が渇いているのでビールをお願いしました。
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八寸は山菜尽くしで、蕗の茎の煮たもの、ゼンマイを煮たもの、つくしを煮たもの、山芋にはもろみが乗っています。近江の赤こんにゃくには蕗味噌が添えてあります。25年ほど前に近江八幡で買った赤こんにゃくを大津の「琵琶湖ホテル」の冷蔵庫に忘れてしまったことを2人で思い出します。
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いつもは「年魚よろし」とかかれてあり、年魚とは1年で死んでしまう鮎の別名です。今回は「ぼたんよろし」の方でした。「平野屋」は鮎で有名ですが、牡丹鍋も美味しいです。
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乙区rはもちろんシーズンの鮎です。これは生姜を乗せて醤油でいただきます。
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ビールから冷酒へ移りました。これは伏見にある「玉乃光」の生酒です。
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冷酒で乾杯です。天然鮎は最高に美味しいので、お酒がどんどん進んでしまいます。
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そして彫塑いい大きさの焼き鮎が1人2匹づつ届きます。もちろん焼き立ての熱々です。香ばしい香りが部屋の中に充満します。
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しばし沈黙の時間が過ぎていきます。無言のままお酒を注ぎ合います。ヒレを取って箸で身を押した後はするりと頭と背骨を抜き取ります。そして三口くらいで1匹を平らげます。
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大きめのお椀には白粥が盛られ、上には木の芽が乗っています。
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安心してください、鮎は下に隠れています。この鮎粥も絶品でした。
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炊き合わせは冬瓜と森嘉のひろうすです。出汁加減も塩梅良くてとても美味しいです。
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揚げ物は加茂茄子と鹿ケ谷かぼちゃと万願寺唐辛子とトウモロコシで、塩でいただきます。
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冷酒の2合を3本くらい空けてしまいました。このガラスの瓶はなかなか美しいです。
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最後に生姜の炊き込みご飯と漬物と赤だしの味噌汁。ちょうどお腹もいっぱいになりました。
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「志んこ」は昔より参拝者に親しまれてきた愛宕山の名物です。米の粉で手造りしただんご(志んこ)はニッキ・と抹茶と白の三色で愛宕山の九十九折(つづらおり)の坂道を現しています。枝先を削っただけの楊枝に野趣を感じます。
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昔からのお竈(おくど)を覗かせてもらいます。ここは愛宕神社の古いお札がそのまま残っているのが好きです。
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店先で記念写真はこの店に来たときのお約束です。ちょうど通りがかったタクシーがあったので、そのまま乗り込んで「JR嵯峨嵐山駅」まで送ってもらいます。
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「JR嵯峨嵐山駅」から「丹波口駅」まで参院選で戻って、ホテルでしばらく昼寝しました。昼からちょっと飲み過ぎました。
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夕方になって清水で陶器を造っている叔父と待ち合わせしていました。「壹銭洋食」の前で待つことにします。
壹銭洋食 本店 グルメ・レストラン
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「割烹八寸」は京都と大津の境の追分にかつてあった名料亭「八新(はちしん)」で腕を磨いたご主人が50年ほど前に開店したお店です。店先でご主人とあいさつしていて写真を撮れませんでした。現在は叔父の小学校の後輩でもある息子さんが板場に立っています。
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店に入ると真ん中あたりの3席だけが開いていて、我々が座ると料理が始まります。八寸の器は叔父の造った手つきの器で、うちにも同じものがあります。さすがにこの料理は家では再現できません。つぼつぼにはジュンサイ、八幡巻きにサーモンの手鞠寿司、タコの煮付け、枝豆とさつまいも、鱧の骨揚げ、二色玉子、そして6月末なので水無月。
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鱧の湯引きは出汁醤油にネギとモミジおろしでいただきます。錦市場で魚屋を営んでいた伯父に教わった叩いた梅と本わさびで食べるのが好きでしたが、この食べ方も気に入りました。今回伯母にも鱧料理はごちそうになり舞いsたが、何度食べても京都の鱧は美味しいです。
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土物の片口には藁焼きのカツオの大きな切り身が盛られています。薬味にはいろいろな香味野菜がみじん切りになっています。モチモチしてとても美味しいカツオでした。8月の中旬には昨年に続いて高知に行くので、美味しいカツオが食べられそうです。
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お造りは柔らかいイカとハタのような白身魚でした。白磁の輪花の杯も叔父の造ったものでした。同じデザインの蕎麦猪口の揃いと尺三寸の大鉢が家にもあります。
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お椀は葛を打った牡丹鱧と少し焼いた丸餅のお吸い物でした。鱧も美味しいですが、お出汁が体に沁みわたります。
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お昼に「平野屋」で鮎を食べてきたばかりですが、目の前で串を打って焼き上げる上桂の天然鮎は最高に美味しかったです。子供の頃は桂川で舟遊びと称して川舟を仕立てて鮎を獲ったり、灰谷川で鮎を獲ったのも楽しい思い出です。
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煮物は琵琶湖の陸封の鱒を揚げたものと鴨茄子とパプリカの素揚げに大根おろしと生姜が乗っています。これも美味しい逸品です。
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は蒲で炊いた白ご飯とうなぎの白焼きとお漬物。関西のうなぎは蒸さずに焼くために香ばしい風味と食感が特徴です。どれも美味しい料理で、息子さんとの楽しい会話もあり大満足でした。食事の後は近くのバーでウイスキーの水割りをいただいて、花見小路で叔父とはお別れしました。
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2024/06/29~
京都駅周辺
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旅行記グループ 2024神戸・大阪・京都の旅
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