このブログでも数回取り上げている、ロッテ「Fit's ダンスコンテスト」という動画キャンペーン。
130万回再生という(日本の企業提供の動画としては)異様な再生回数が、一部広告ギークの中で話題になっているわけなんだけれども、これについてPLUG氏がこんな記事を書いていた。
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■ロッテ・Fit'sのキャンペーンへの2つの疑問
http://d.hatena.ne.jp/simplife/20090412/p1
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この中の一つ目の疑問なんだけど、以下軽く引用すると・・・
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このCMはそれほど大量な出稿を行っていないんじゃないかな、と思います(調べてないので完全なる感覚値ですが)。相対的に。確かに佐々木希、佐藤健という今をときめくエース2人(と、踊れるデブ・渡辺直美)を要し、狼少年ケンの楽曲を使ったものすごくキャッチーな表現にはなっていると思うものの、新商品、それもガムという低単価な商品のCMにそこまでコストが掛けられるとは考えづらく、結果としてコンビニ各チェーンでも、良くてポップが付けられている程度で、取り立てて目立つ展開は行われていません。にもかかわらず、YouTubeでの動画キャンペーンとしてのパフォーマンスは極めて高いものに(今のところ)なっており、何となくですが、テレビCMを含めたキャンペーン全体を通じて、非常に投資対効果の良い結果になりそうです。
最初から「テレビ控えめ、WEBで勝負」と思ってキャンペーン内容やメディアポートフォリオを組んでいるとしたらそこに非常に価値があると思っていて、 KPIの設計や実際の販促までをどのように考えているのか、とても興味があります。
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ということで、じゃあ実際どうなんだろうということで、僕が出来うる範囲で調べてみる。再生回数の多い動画にはいくつか特徴があるので、それを本キャンペーンの仮説として立ててみると・・・
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1.異様なほどのネット広告大量出稿を行なった
2.異様なほどテレビ出稿を行なった、あるいはCMクリエイティブが刺さった
⇒ホットペッパーのCMのように、テレビでCMを見る→YouTubeで検索するという流れ。
3.CGM上で異様なほど取り上げられた
⇒いわゆるシーディングってやつも含む。
4.その他
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1に関してはちゃんと調べてないけど、確認している限り大きな出稿はYouTubeトップでのYVA(YouTube Video Ads)だけだと思います。それ以上の出稿は、多分行なっていない。
YVAで稼げる動画再生回数は十数万程度が肌感覚なので、それだけで130万再生という数字には達成していないといえる。
では2と3の場合はどうか。試みに「Fit's」というキーワードでココ1ヶ月間くらいをブログ分析にかけてみると・・・下記のような結果になる。
1ヶ月間の記事書き込み件数が3000以上で、ティップ(傾き)しているタイミングが3/23-3/24の間なので、コレはテレビCMのスタート&YVAでの展開と時期が重なる。ということは、それなりに広告出稿はこの動画再生回数に寄与しているとは言えそうだ。
特にテレビCMに関しては、21日前後に佐藤健氏がCM発表会とかでファンに対してアピールしていたことが当時取り上げていたブロガーの記事を読んでみるとわかるんだけど、「Fit's」の共起語の中でも最も「CM」が多いし、そこそこ以上にインパクトは与えていると考えられる。
でもそれだけでこの再生回数まで達するのか、と。ということで4のその他の可能性を考えてみるわけですが、注目すべきところは「この動画にリンクしているサイト」と「コメント欄」である。「コメント欄」は日本語以外の言葉が多く、「この動画にリンクしているサイト」を見てみると・・・上位は海外サイト、しかも英語圏ですらない。
一番再生されているのはこちらのサイトなんだけど、最早何語かすらわからない一方で、このサイトだけで2万回以上の再生回数を持っている。インサイトレポートを見て「埋め込み型」での再生回数も考慮すれば、もっと数は行くだろう。確かに海外動画サイトに波及すると、一気に爆裂することは多々あるが、企業が提供するPR動画では珍しいこと。特に日本発のものは。
ここで海外サイトで取り上げられる⇒再生回数が爆裂⇒YouTubeのピックアップ動画に選ばれる⇒各種ブログや動画紹介サイトで取り上げられる⇒再生回数の純増・・・っていうスパイラルを描けたという可能性が高く、したがって、この海外サイトの活用(あるいは海外サイトによる自発的な採用)で成功した可能性が非常に高いといえる。
ココで生まれてくる疑問は2つ。すなわち・・・――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1.海外サイトまでの波及をプランニング時から考慮に入れていたのか。
2.考慮に入れていたとしたら、どういう波及経路を組んでいったのか。
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上記2点である。
1をもし考慮して設計しているのであれば、2を意図的に組んでいるとすれば、手をついて教えを請いに行きたい。逆に1が事前設計できていないとすれば、再現性が著しく低くなるため、組織のノウハウとしては蓄積しづらいと思う。
とはいえ、今回ロッテさん&電通さんは、日本の動画キャンペーンにおいては有数の再生回数と盛り上がりを見せているキャンペーンのYouTubeインサイトレポートをもてたことは事実。ここはどう考えてみても強みだと思います。
ちなみに14日から投稿動画が公開されるということですが、ニコ動ではガンガンユーザーが投稿&公開を始めています(笑)。
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