梅蘭国劇団の規則を破って劇団外で歌っていた事がばれてしまい、ソボク団長(ラ・ミラン)の逆鱗に触れて団をクビになったジョンニョン(キム・テリ)は、その日のうちに劇団の建物からも追い出されてしまいました。
そのあと、ひとりで街角を歩いていたジョンニョンを、自動車を運転していた劇団スターのムン・オッキョン(チョン・ウンチェ)が見つけてくれて、自分とお姫様スターのソ·ヘラン(キム·ユンヘ)が一緒に暮らしている邸宅に連れて帰り、食事をとらせてくれたのでした。
もとはと言えば、木浦の港町でユン・ジョンニョンの才能を見出して梅蘭国劇団へと連れて来たオッキョンは、「自分がソボク団長を説得してみるから、梅蘭へ戻る方法を思いつくまではここに居ていいから」と言い置いて、ソボク団長と会うために外へ出て行きます。
しかし、もともとオッキョンがジョンニョンを劇団へと引き入れた時から気に入らなかったソ・ヘランは、オッキョンが居なくなると秘密裡に「あなたがここに居ることが、ソボク団長に対するオッキョンの立場を悪くする」と言ってジョンニョンにプレッシャーをかけ、彼女が二人の住まいから出て行かざるを得ないように仕向けるのでした。
その頃、オッキョンは国劇団の団長室を訪れて、ソボク団長に「ユン・ジョンニョンを手放すことのデメリット」を伝えて、彼女を許すように…と進言しますが、ソボク団長は
「外で歌った理由が何であれ、国劇の芸人を見下す人は大勢いる。今回のことを許せば皆が同じようなことをすることになる。そうなれば梅蘭の威信は地に落ちる」と言って、オッキョンの進言を受け入れる事はありませんでした。
画面には再び行く当てもなく、日が暮れた街角を歩いているジョンニョンの姿が映ります。そのとき偶然に、蒸したあんまんを買い求めている母子の姿を見た彼女は、空腹だったこともあって露店の客用長椅子に腰掛けてあんまんを注文することにしました。
ジョンニョンが手荷物の中にある巾着の持金額を確認していると、あんまんを6つも乗せた皿が運ばれてきました。(やっぱりジョンニョンはあんまん好きだった!)
最初の一つ目を手に取ってパクつき始めたジョンニョンですが、向かいの離れた椅子に座っている3人の女学生たちが、仲良く笑いながら温かいあんまんを食べている様子を見ているうちに、美蘭国劇団の自分の部屋で親友のホン・ジュランと一緒にあんまんを食べた時の事が懐かしく思い出されて、目から涙をぽろぽろ落としてしまうジョンニョンでした。
涙をこらえきれずにあんまんを食べ続けるジョンニョンでしたが、そんな彼女の近くの席には、彼女が椅子の上に置いている手荷物の中のお金が入った巾着を狙っている悪い男たちも座っていたのでした。
…時が過ぎて、泣きながらもジョンニョンが皿の上の6個のあんまんを全部平らげた時、お勘定を受け取りに店主がやってきますが、ジョンニョンが手荷物の中をいくら探してもお金が見つかりません。
店主は「最初から無銭飲食をするつもりだったんだな」と怒ってジョンニョンを近くの警察署に連れて行きました。
警察官と向かい合わせに座らされて問い詰められるジョンニョンでしたが、「自分は無銭飲食なんかするつもりはない。でも どこで盗まれたのか、お金が消えたんです。本当に一銭も無いんです」と、まだ自分の荷物の中を探しながら主張しますが、謝罪もしないその態度に「謝るどころか、大声を上げるとは何事だ!」と警察官に一喝される始末です。警察官は、
「黙って銭を工面しろ」と命じますが、ジョンニョンにはどうすることもできません。「支払えないなら牢に入るか?」と言われた彼女は、頼み込んで警察署の電話を借りて劇団に電話をかけますが、運悪く事務所には誰もおらず電話は繋がりません。 いよいよジョンニョンを怪しんだ警察官は、とうとう彼女を拘束するように部下に指示を出すのでした。
近づいてきた別の警察官に手を取られて、部屋の隅に拵えてある隔離用の拘束柵の中に入れられてしまうジョンニョン。
柵の中には酔っぱらいや怪しい風体の男たち、そして別に仕切られた隅っこの柵内には街娼らしき二人の女たちが座って化粧を直しています。
ジョンニョンもその角っこに座って、ソウルに頼る人も居ない心細さを感じながら時間を過ごしていましたが、ふと、ついこの間パステル・ティールームでの仕事帰りに、自分に声をかけてくれたテレビ局で働いているという男性から名刺を貰っていたことを思い出します。
手荷物の中を探ったジョンニョンでしたが、すぐに「HLAL TV・プロデューサー パク・ジョングク」という名前と、住所・電話番号が書かれた名刺を見つけ出すことができました。
一方、梅蘭国劇団の中では別の問題が持ち上がっていました。ソ·ヘランの紹介で団の経理を引き受けて事業部で働いていたコ部長という人物が国劇団の資金を横領して賭け事につぎ込んでおり、それが原因で研究生たちに渡される小遣いが少なくなっていることに気づいたペク・ドエン(イ・セヨン)が、そのことをソ・ヘランに打ち明けて相談をしていたのです。
実はコ部長を国劇団で雇われるように紹介したソ・ヘラン自身が、以前から彼の悪行を知りながら周囲には黙っていたことから、「このことを団長に言います」と言うペク・ドエンにはひとまず、
「団長には自分がおりを見て話すので、黙っておくように」と指示を出すソ・ヘランでした。
その後の彼女は、周囲に人が居ない時に事業部のコ部長と会うと「横領に気づいた者が居るから、しばらく賭け事は謹んで、研究生の小遣いも少し増やすように」と指示を出すのでした。
次の場面は、未明の警察署の建物前に変わります。
署の扉を警察官が開くと、中から現れたのはテレビ局のパク・ジョングクPDとジョンニョンでした。(どうやら警察署からパク・ジョングクPDの電話番号に連絡して、彼女の身元引受人になってもらったようです)
警察官が署の中に戻ると、ジョンニョンはパクPDに向かって深く頭を下げて、
「こんなことで連絡して、すみません。あんまん代は近いうちに返します」と謝ります。するとパクPDは、
「お金はいいよ。これから どうするんだ。追い出されたなら、今夜の寝床も無いだろ。言いたいことがあれば言え」と彼女からの言葉を促します。するとジョンニョンはあらたまった顔になって、
「あの…、私を育てて下さるという話は…まだ有効ですか?」と尋ねます。パクPDは軽い笑顔を見せると、
「ああ、考えは変わっていない」と答えました。その言葉を聞いたジョンニョンは、
「じゃあ、私を歌手にしてくれますか?」と真剣な顔で聞きます。そんな彼女にパクPDが、
「嬉しい申し出だ。(でも)なぜ、心変わりを?」と本心を確かめると、
「木浦に戻らず、ソウルに残る方法が他にないんです。こんな姿じゃ…死んでも帰れません」とジョンニョンは正直な気持ちを答えました。
「いい志だ。夢は実現させないとな」と満足したようなパクPD.
「でも条件が有ります。梅蘭の名前を出すつもりはありません」と言い出したジョンニョンに、
「望むところだ。今から君は、僕が発掘して育てた…ただの新人歌手だ」と自分の考えを伝えるパクPDでした。
「はい」とジョンニョンが答えると、パクPDは彼女に向かって右掌を差し出します。
ジョンニョンがその掌をしっかりと握り返したとき、ソウルの空がまた明るくなってきたようでした。
つづく~
第4話も先が長そうやな~
筆者への愛のムチを
頂けましたら幸甚です