講演と著作権について知っておきたいこと | 英語テープ起こしクリプトンのブログ

講演と著作権について知っておきたいこと

クリプトンをご利用されるお客様の中には、講演会やシンポジウム、セミナーを主催し、ゲストに講演依頼をされている方も多いと思います。講演者の方々のスピーチを当日会場にて録音し、それを書き起こした内容を出版・放送・配布するには、そのコンテンツの著作権の帰属について知っておくことが必要になります。講演者との事後のトラブルを防ぎ、またお互いにプラスとなる成果物を残すためにも、著作権の帰属と各コンテンツ・各媒体への二次利用方法については契約という形で書面上で明確にしておくのが最も望ましいといえます。

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それではまず、そもそも講演した内容って一体誰のものなんでしょう?
(以下、文化庁ウェブサイト より抜粋)


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講演は講演者の著作物です。


講演することの承諾と講演の利用の承諾は違います。
講演することを承諾しても、その講演を録音・録画したり、講演要旨を作成・利用したり、講演を放送することまで承諾したことにはなりません。講演を利用する場合には、別途、講演者の承諾を得ることが必要です。


講演要旨の作成などの際は講演者に内容を確認してもらう必要があります。
著作物は著作者の意に反して改変してはいけないことになっています。そのため、講演要旨を作成したり、録画物を編集したりする場合は、講演者に内容を確認してもらうことが必要です。
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講演者への報酬を支払ったとしても、それはあくまで講演したことへの報酬であって、その著作権を講演主催者に帰属させるための報酬ではありません。また講演の録音内容を何らかの形で二次利用(放送、テープ起こし原稿のWeb/印刷物分配)する場合、それが営利目的でなかったとしても無断で行えば著作権を濫用したことになってしまいます。それは、講演者名(=著作元)を明記したとしても同じです。


クリプトンでは、講演を行った方本人からのテープ起こし依頼よりも、講演などのイベントを主催した方(法人団体)からの依頼の方が圧倒的に多いです。その依頼主から最も多い二次利用の例としては、英語の講演内容を日本語文章化し(正確には、英語に書き起こした原稿を日本語訳する)、印刷物として分配することでしょう。また、しゃべった内容を忠実に文章化した場合、冗長で読みにくいものになってしまうため、文法チェックや要旨の作成といったリライト作業が必要となります。要旨作成に当たっては、特に著作者の意図を汲んだ文章に仕上げることが必須となるため著作者本人が執筆することもあると思いますが、クリプトンではリライト代行サービス も行っています。


クリプトンはあくまで、講演の文章化と二次利用に関しての当事者間の取り決めに関しては一切関与しませんが、お客様である講演主催団体である皆様には、トラブルを防ぐためにも著作権に関する取り決めを契約書の形で明記しておくことをお勧めします。明記事項としては、主に以下のことが挙げられます。


(1)講演録音の有無(=音声記録の許可をとる)
(2)テープ起こしの有無(=文章化の許可を取る)
(3)テープ起こし原稿のリライト加工の有無(翻訳・要旨作成の許可を取る)
(4)テープ起こし原稿またはリライト原稿の掲載の有無(印刷物掲載やWeb掲載の許可を取る)


文化庁のホームページでは、「著作権契約書作成システム 」という非常に便利なツールが一般に公開されています。フォームに必要事項を記入するだけで、契約書書面を作成することができます。是非試してみて下さい。



次回ブログは、12月10日に更新したテーマ「テープ起こしに必要なものは?(1) 」の続編(2)ソフトウェア編をお届けします。前回は特にアクセス数が高い人気記事となりました。金曜日をお楽しみに!アップ



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記事参考資料



文化庁 (http://www.bunka.go.jp/
著作権契約書作成システム (http://www.bunka.go.jp/chosakuken/c-system/index.asp
誰でもできる著作権契約マニュアル(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/keiyaku_manual/index.html

(社)著作権情報センタ-(http://www.cric.or.jp/index.html ) 著作権データベースや主要各国の著作権法リンク集、著作権に関する月刊誌の発行などを行う団体。研修セミナーも企画しています。


日本著作権教育研究会 (http://www.jcea.info/koen.html ) 毎年、著作権教育に関するセミナーやシンポジウムを開催すると共に先生方の教科別研究会や学校単位での研究会に講師を派遣し、著作権への理解に努めています。