こんにちは
とても長い文を書きました。
急いでいる方はスクロールして最後の数行だけ読んでください。
それでは始まります。
皆様は
Shiggy Jr. というバンドをご存知だろうか。
2015年にメジャーデビューした4人組バンドだ。
ポップな音楽性をそのままに、ロック、ファンク、ソウルまで乗りこなし自分たちの色に染め上げる、彩度高め、ノリ感強めなバンドである。
何を隠そう私はこのShiggy Jr.の大ファンなのだ。
そう2017年ごろの事である。
本格的なソロ活動を始めた私は、もう少しちゃんと音楽のことを知らねばと勉強を始めたのだが、その時に出会ったのがShiggy Jr.だった。
ちょうど「フワリ、コロリ、カラン、コロン」の制作をしていた時である。
Voの池田智子 氏
(以降、氏の事を氏の愛称である“いけもこ” さんと呼ぶことと、場合によって敬称を省くことをご容赦いただきたい)
いけもこ さんの歌にイチコロされちゃったのである。
「ぼくもこんなふうに歌えたらいいな」
……思うだけはタダである。
Shiggy Jr.の曲を聴き、Shiggy Jr.のMVを観て、いけもこ さんの歌を真似る日々。
人が密集している場所が苦手かつクソ雑魚の夏川が「ライブ、行く!!」と不退転の決意をしたのが、2019年のことだった。
そう、2019年、2019年なのである。
Shiggy Jr.は2019年、多くのファンに惜しまれつつも解散してしまったのだ。
ライブに一度も参加できないまま、推しのバンドが解散してしまったのは、カラスは真っ白に続いて2度目であった。
「推しは推せる時に推せ」はガチである。
勇気を出すのが一歩遅かったクソ雑魚は、後悔に苛まれつつ、Shiggy Jr.の残した曲を聴く日々だったのだが……
2024年、Shiggy Jr. 再結集。
いぇーーーい!!ぱふぱふーーーうーれしーーーーーー!!!🤩🤩🤩🤩🤩
今度こそ機会を逃すまいと、スケジュールとのにらめっこを始めた夏川なのであった。
(2024年は中々予定が合わず、ヤキモキしていた)
そして
そしてついに先日、夏川は!!!
Shiggy Jr. のライブに行くという実績を解除するに至ったのである!!!!!
Billboard Live という場所を、皆様はご存知だろうか。
かくいう私も、今回のことで初めて存在を認知したのであるが、簡単に言えば「アーティストのライブを観ながら、むっちゃ美味しいディナーが食べられる施設」なのである。
調べてもらえればわかると思うが、ライブハウスというよりはちょっとリッチなレストランといった方が近い。
中央に大きなステージがあり、6人1卓のテーブルがいくつか並んだホールと、その周りをぐるっと囲むカウンター席、さらに後方のソファー席やロフト部分にもカウンター席がある。
それぞれの席はゆとりがあり、全席着席でのライブ鑑賞となる。
かなり本格的なお料理も提供していて、それらに舌鼓を打ちながら、音楽を楽しめる場所というわけだ。
雰囲気、値段 共に、少々“大人”っぽい。
1月19日、Shiggy Jr. はこの場所でワンマンライブを開催した。
大阪・横浜を周るBillboard Live ツアーの最終公演である。
日程はクリア。
席もまだある。
値段は最早気にしていなかった。
こういう時のために貯金はある。
何より、人混みの苦手な夏川にとって、Billboard Live は音楽を聴くのに理想的な空間であった。
こうして、チケットをゲットした夏川は初のShiggy Jr. 現場にソロ凸を試みるのであった。
前提が長くなって申し訳ない。
これはその記録である。
ライブ当日、
会場はBillboard Live YOKOHAMA
開場は17:00。
時間ギリギリ到着のチキンレースを常とする夏川にしては珍しく、開場15分前に最寄の馬車道駅に降り立った。
普段降りない駅。
地下のため微妙に現在地のわからないGoogleマップ。
オシャレすぎる街。
夏川は駅徒歩3分のその場所に到着するのに、
10分をかけた。
しかしそれでもまだ開場の5分前。
受付の前に立ち、事前に決済を済ませておいた電子チケットを……スマホ画面に……あれ、ログインIDなんだっけ、パスワードは……あ、ちょっとパケが死んでて読み込みがおそ、あ、出ました、はいすいませんどうも
開場1分前である。
座席の書いた伝票を受け取ると、クロークに案内された。
え、クロークあんのすげえ。
めちゃめちゃ丁寧な対応に面食らいながら、なんとか荷物を預け、4番の札をもらう。
絶対に失くすのでスマホと同じポケットに入れておく。
あと絶対クロークに預けたことを忘れて会場を出るので、スマホのメモに「クローク」と書いておく。
そして多分、これを見るのも忘れる。
28年も自分という生き物と付き合っていると、こういう、石橋をあらかじめ叩いておく系作業は、お手のものである。
夏川という人間は、アラームのためのアラームを認識するためのアラームの10分前のアラームを掛けておかないと、時間を守れないくらい、いい加減な生き物だ。
さて、そんなこんなで開場の時間となり自分の席に向かう。
席には、分厚い使い捨ておしぼりと美しく製本されたメニュー表が置いてあった。
まるで高級レストランである。
隣の席との感覚も充分に開けられていたし、荷物をクロークに預けたのもあって、かなりゆとりのあるパーソナルスペースだった。
着席するとすぐに、飲み物の注文を取られ、注文したマサラチャイと共に、事前に注文していたワンコインミールなるものが運ばれてきた。
(この日は3種の飲茶が入った蒸籠だった。500円とは思えない高クオリティで美味しかった)
開場と同時に席についてしまったため、開演までは少々時間がある。
しっかりと香りのついたマサラチャイを啜りながら、なんの気無しにメニューを見る。
むちゃくちゃ美味しそうである。
夕飯どき、先ほどの飲茶は秒でペロリ。
流石に食べ足りない。
熟考の結果
彩り豊かな前菜とティラミスがついたステーキコースを頼むことにする。
いやむっちゃ食うやん。
こちらのステーキコース、7500という数字がついていたのだが、この時の夏川の脳内はこうである。
「推しのライブ観ながらステーキのコースが食べられて7500はほぼタダ!!」
バカなのである。
ライブチケットはすでに決済済みなのである。
こいつはライブチケット代+7500であるという事実を、すっかり認識できていなかったのである。
翌月のクレカ請求に泣け、バカ。
ちなみにこのステーキ、なんかいい感じの名前の牛のランプ肉(尻肉)が使われているそうだ。
「ソースなしで食べても甘くて美味しいお肉なんですよー」と、丁寧に説明してくれたお姉さんに後押しされ、えいやと注文した。
さて件のステーキコースは、開演直前に前菜が振る舞われ、メインのステーキはM1の直前に出てきた。
先ほどのお姉さんが給仕してくれて、その際ライブ演出を妨げない小声で「すいません少しタイミング早いのですが…」とわざわざ謝ってくれた。
いやむしろベストタイミングやろ、と夏川は思っていた。
ステージ左後方の客席から、いけもこさんがゆっくりと登壇してくる。
ステージ横の段差を上がる いけもこ
テンションの上がる夏川
湯気の上がるランプ肉
これほどまでに興奮する戦いは今まであっただろうか。
派手なドラムの音共に、戦いの火蓋は切って落とされる。
いけもこさんがマイクを口に近づけると、5年間待ち侘びたあの歌声が、まさに今リアルタイムで生成されていく!!
はぁああああうはあああ
感無量である。
今目の前で生成されていく歌声は、自分の耳に確かに届き、自分の内側に無限に広がっていく。
いけもこさんの宇宙が、直接脳内に注がれていく、感覚!!
……はたと気づく。
視界の端で、情けない狼煙が上がっている。
なんだこの弱々しい狼煙は。
ランプ肉である
いけもこさんの宇宙に圧倒されていた私は、視界の端で燻っているランプ肉に気付けなかった……!
あ、そっか、これ食べなければ
思い至って皿を近くに寄せ、ナイフを握る。
しかし、目の前のいけもこさんは今も宇宙を生成し続けている!!!!
目の前で、推しが歌っているのに!!
なぜ私は、知らん牛の尻肉をみている!?
歌う いけもこ
冷める 尻肉
歌う いけもこ
冷める 尻肉
むずい!!!!!!!
歌聴きながら肉食うの、
むずい!!!!!!!
一瞬たりとも目を離せないライブが進行する中、間奏やちょっとした間を掴んで、なんとか一切れ作り出した夏川は、ようやくランプ肉をひとかじりする。
うまい!!!!!
なんだこれ、うまい!!!!!
もうなんかよくわからない!!!
耳からは宇宙が流れ込んでくるし、視界には憧れの推しがいるし、口には知らん牛の尻肉脂が広がってる!!!!!
ここはどこなの!!!!!
ありとあらゆる方面からの幸せの濁流。
忙しなく視線を上下させながら、なんとか、いけもこの宇宙と尻肉の脂を両立させる。
ダブルワーカーってこんな感じか……(違う)
ライブは順調に進行していき、短いMCの後、次のブロックへと移る。
この頃には、夏川はこのダブルワークのコツを掴み始めていた。
単純なことである。
イントロや間奏、曲と曲の短い間を使って尻肉を切り分け、いけもこさんが歌い始めると同時にそれを口に放り込むのである。
肉の位置、口の位置、フォークの角度、放り込むタイミング、微調整は必要だったが、さほど難しい作業でもない。
しかしである
その作業も安定して行えるようになってきた頃、夏川は次なる試練にぶつかる。
たしかM5くらいのことだったの思う。
ノリやすいビートが刻まれ、次の曲が始まる。
夏川はナイフとフォークを手に取り、尻肉をまた一つ切り分け……
られなかった。
クラップである
いけもこさんはこの曲のイントロ中、客席に向かい、クラップをしていたのである。
「推しがクラップをするならば、夏川もクラップをするもの」
そう刷り込まれた夏川の全神経が、いけもこさんのクラップに応えろと命令を出す。
最早、ナイフとフォークは握れない。
手を叩くいけもこ
手を叩くわたくし
冷めていく尻肉
手を叩くいけもこ
手を叩くわたくし
冷めていく尻肉
かくして
いけもこ VS 知らん牛尻肉 VS 夏川
の全面戦争は、いけもこさんの完全勝利にて幕を閉じた。
しかしこれだけは伝えておきたい。
知らん牛の尻肉は、冷めても美味しかった。
これで終わりだと思うじゃん?
実はこれまだ第1章である。
それもそのはず。
私はまだこのBillboard Live の感想において
尻肉の話しかしていないのである。
ライブの日は、風が強く吹き付ける寒い冬の夜だった。
途中、いけもこさんの「今日も寒いので、冬の曲を歌います(意訳)」というMCから始まった曲があった。
その瞬間、夏川の胸は少なからずザワついてしまった。
桃の表皮を不用心に撫でてしまった時のような、ちくっとしたイヤな予感だ。
もしかして、あの曲は歌われないのではないか。
考えれば考えるほど、予感は肥大していき、確かな質量を持ち始めた。
「サマータイムラブ」という曲がある。
Shiggy Jr. のメジャーデビューシングルで、ファンからも人気の曲だ。
普通のライブであれば、セトリ入りはほぼ確実……と言って差し支えないと思うのだが、今回は事情が違う。
Billboard Live は前述した通り、少々“大人”な雰囲気の施設であり、客も着席状態でライブを楽しむ。
であるならば、アーティスト側をそこに合わせたセットリストを持ってくるのが必定というもの。
現にこの日のShiggy Jr.は自身の曲を少々ジャジーにアレンジしたり、カバー曲を披露したりしていた。
あり得る、大いに。
「サマータイムラブ」のセトリ落ち条件はほぼ整ったと言ってよい。
もちろん、聴けなかったからといって満足度が下がるということは決してない。
憧れのいけもこさんの宇宙を取り込めたのだから、これ以上はもう求めまい。
今日ここで聴けなくとも、次の機会を探せばよいのだ。
そうそれだけなのだ。
Shiggy Jr.の次なるライブは5月2日。
@Zepp Shinjuku (TOKYO)
残念ながら既に仕事が入っているので夏川はいけないのだが、ああこの日はきっと歌うだろうな、サマータイムラブ。
そうだから私はさらに次の機会を待てばいいだけなのだきっと彼らはまたライブをしてくれるのだから待つだけ、機会を待つだけなのだ、待つ、待つ、待つ
そう自分に言い聞かせる体内声がやかましい。
ステージ上では、ライブもラストスパートだという旨のMCがなされている。
おそらく歌われるのは あと数曲。
次いつ聞けるかわからないいけもこさんの歌声を、今はただ浴びるのみ、それのみに集中するのみ、のみ、のみ
次曲のイントロが流れる。
いや、イントロというより、数拍のシンセ的な音が鳴る。
いけもこさんがマイクに口を近づける。
放たれた第一声は
第一声は
「サマータイムラブ」
嗚呼あああああいやああああああああ
むり
なく
てかないた、ふつうに
おしぼりでなみだをふいた
えーん
すきぃ、、、
……イントロで崩れ落ち、ワンコーラス終わりまで戻って来られないオタクを、
ステージ上から観測することが、実は結構ある。
私はこれまで、そのようなオタク達を
そんなに好きでいてくれてありがとう
という気持ちと
そんなに好きなら、早く戻っておいで!焼き付けて!もったいないよ!!
という気持ちで
温かく見守ることしかできなかったのだが
この時の私は、彼らに完全にシンクロした
彼らの気持ちを、本当の意味で理解していた
推しの推し曲を推しが歌っている状況で
涙が流れないハズがなく
心臓が高ならないハズがなく
身体が戦慄かないハズがなく
記憶がトバないバズがなく
それでも曲は進行していくわけで
好きな歌詞とか、歌い方とか、コード進行とかが、次々とぶつけられるわけで
それは立っていられるハズもなく
(いやこの時の私は座っていたけれども)
終始、目の前の幸せを受け止めることに精一杯で
浮かんでくる言葉といえば「ありがとう」しかないわけで
溢れてくる涙によって熱をもち、おそらく充血している目元
よだれが決壊しないように、キツく結んだために、への字に曲がった口元
見方によっては不機嫌なのかと思われかねないこの顔が、間違ってもメンバーの皆さんの視界に入ってはいけない、と必死におしぼりで隠す。
そんな事をしていたら、いつの間にか曲が終わっていて、ライブが終わっていて、アンコールも終わっていて
私の手元には私の涙を全て受け止めてくれた、クッタクタのおしぼりと
いけもこさんの宇宙によってもたらされた幸せだけが、確かにあったのです。
夏川的オタク文学 第2章
これにて終了です。
(恐ろしいことにもう一波乱あります)
さて
全ての歌を歌い上げたいけもこさんは
最後の挨拶において、こんな事を言いました。
「出口付近に、物販あります」
さあ、オタクの仕事はここからです。
物販。
それを買うために、オタクは今日も仕事を頑張るのです。
この素晴らしい日の思い出を何か物質として残しておくためにも、物販は欠かせません。
私はどれだけ並ぶことになろうとも、物販へ行く事を決意しました。
その次の瞬間。
「今日は、メンバーも物販に立ちたいと思います」
あ、おわった
私は、物販と決別することにいたしました。
今日はもう、物販に並んではいけない、とキツく自分に言い渡しました。
この泣き腫らした目で、ぐずぐずの鼻声で、ご本人を前にいったい、どんな醜態を晒すことになるのか知れません。
そうと決まれば、私のやることはただ一つ。
いち早く会場を出ることでした。
料理の会計は、既に席でリモート決済を済ませておりましたので、私は、他の多くの観客より先に会場を後にすることが可能でした。
スマホのメモに「クローク」とあるのを見て
荷物を預けた事を無事に思い出しました。
スマホを入れたポケットの中から、4の札を取り出して、足早にクロークへ向かいます。
全てスムーズに事が運び、あとはもう出口を潜るのみ。
出口横には、件の物販が既に設えてあり、数人のスタッフが、チラホラと出てきた客へ向かって案内をしていました。
物販列にはまだ数人しか並んでいません。
メンバーの皆さんは、恐らく準備中なのでしょう、まだ来る気配がありません。
来る気配が、ない。
お、もしかしてこれは……
……いける、か?
いまなら、いける……か??
一瞬迷って、すぐに列の最後尾に並ぶことにしました。
ただそれだけのことなのに、私は、何かものすごく悪い事をしてしまったかのような、焦りを感じ、ああ、列よ早く進んでくれと祈りました。
グッズのラインナップは自分の順番が来ないとまともに見られないような位置にあり、予習ができませんでしたので「とりあえずTシャツとステッカー」と繰り返し頭の中で唱えていました。
列からは一人、また一人と抜けていき、グッズを購入し出口に向かっていきます。
閉演してから、まだ10分も経っていません。
いける……いけるぞ!!!
いよいよ私の番が次に迫った時、私は勝利を確信し、この完璧な休日の最後に相応しい買い物を楽しむために、財布を取り出しました。
その時です。
「すいません、後ろから失礼しますー」
物販列の横をすり抜けるようにして、何やら煌びやかな人たちがあるいててててあるらあふある
だばばばばぱばばひわばば
ご本人、到着
「お次の方どうぞー」
あっ
っっすーーー
あっあっ
物販卓の前に立つと、綺麗にラミネートされたグッズのラインナップが差し示され「何になさいますか?」的な事を言われたような、そんなような記憶が、あったような、なかったような
目が滑るって多分こういう事を言うんだなと、写真とサイズと値段が丁寧に書かれているそのラミネートの上を、私の視線がツルツルと上下左右に忙しなく移動するもんですから、
一体何がなんやら、どれがどうやら、どうしたらいいのやら本当にわからず
しかし私がこうしてグズグズしていたら後ろの方に迷惑ですし、何より物販卓の左側でお見送りの準備をしてくださっているメンバーの方々を待たせているのも申し訳なく、スタッフの方々に「コイツ、グッズ迷ってるフリして少しでも長く近距離にいてやろうとかおもってないだろうな、ジロリ」みたいな、無駄な警戒をさせてしまうのも申し訳なく
ああ、僕が億万長者であるならば、ここで「とりあえず全部で!」と言うだけで解決した話ですのに、なんで僕は億万長者でないのでしょう。
ひとまず、目についたTシャツらしきものとステッカーらしきものを震えた指先で指し示しました。
会計をして頂いている間、私の脳内は数秒後に迫った突発的な接近戦へ向けた作戦会議で、全てのリソースをフル稼働させていました。
……どうやら剥がしのスタッフさんはいないようなので、恐らく2〜30秒の常識的な範囲内での会話が可能、その時間があれば、ある程度具体的な曲名とその感想を伝えることも充分できる……自分を信じろ、何年ラジオやってるんだ、タイムキープはお手のもの……いや、そうでもなかったわ
本日はお疲れ様でした、サマータイムラブずっと聴きたかったので聴くことができて感動でした、これからもずっと応援してますありがとうございました!
これだ、よし、これだ
いける!!!いける!!!!!
「…っす、あーす、オツカレサマデシタタノシカッタデス」
眼前のいけもこさんが、煌びやかな笑顔をコチラに向けて、なにかを言っている。
あぁ、どうして、どうして何も聴こえないのだろう。
絶対に聴かなきゃ、聴かなきゃいけないのに
耳の穴はどうして左にも空いているのだろう
右から入ってきた言葉達が、抜けていってしまうではないか
あばば
あばばばばばば
ぶくぶくぶく
……
……
私が正気を取り戻したのは、帰りの電車の中だった。
手にはグッズが入った紙袋が握られていた。
何が入っているのか、もはや定かではない。
ようやく静かになった胸に手を当てて、深呼吸をする。
最後に見送ってくれたいけもこさんの顔を思い出そうとする。
なんかすっごい素敵な笑顔で私の目を見てめちゃめちゃ嬉しいことを言ってくれてた気がするけどこれは多分捏造された記憶である。
サマータイムラブのことを思い出そうとする。
また涙が溢れてくる、これはしばらくまともに聴けないかもしれない。
あの冷めたステーキの味を思い出そうとする。
ステーキが冷めていたのは、推しが歌い始めたからである。
ステーキが冷めていたのは、推しがクラップしたからである。
ステーキが冷めていたのは、私が推しを愛していたからである。
Shiggy Jr.の皆様、最高の思い出をありがとうございました。
■要約
Shiggy Jr.のライブにいったら
泣きました!!!!!!
ばいなーんす!