差別的な発言になるのでは無いかと今まで書く事を避けて来たのですが、これから犬連れでフランスに来られる方の為に。
犬と散歩していて分かる事。
それは、アラブ系とアフリカ系の人たちの犬に対する過剰なまでの怖がり方。
そして、犬への罵倒の仕方が半端じゃない!と以前から思っていました。
そんな折に、先日書いたブログ記事「シェルティ、道で殴られる」に対して、Makikoさんよりいただいたコメント
以前、アラブ系の方々と一緒にお仕事をした
経験があるのですが、
イスラム教では犬は不浄な動物として
扱われるので、好き嫌いにかかわらず「触れてはいけない」のだそうです。
目から鱗。
思い当たる節がありありなので、ネットで調べてみました。
フランス語で調べてみたのですが、次から次へと答えが出てくる!
多くのフランス人が「なんでイスラム教徒は犬が嫌いなの?」というキーワードでフォーラムやブログに書き込みをしていました、
その問いに対して、イスラム教徒達は
豚と並んで犬は不浄なもの
と答えています。
仮にあの日、ワシとニナが信号待ちしていて、アラブ系のおじさんがニナを棒で叩いたとしたら、おじさんにとっては「ニナは不浄なもの」だったのが理由だったのでしょうか。
って、不浄なものなら、杖でも触っても駄目じゃねぇ?
イスラム教徒の知人に電話で尋ねてみました。
その知人はアルジェリア系のフランス人女性でチワワを2匹飼っているのですが、両親はアルジェリア移民です。
知人 「確かにウチのおじいちゃん達は犬を触るってあり得ないね。ただ、今は少し減って来たけど、昔は野良犬が多くって、噛み付かれて病気になったり、触って何らかのヴィウルスの影響で死に至ったらしいから、そーゆー影響もあるんじゃないかなって思う」
なるほど。
確かイスラム教が設立したのが9世紀あたりだし、その時の環境とかに影響しているのかもしれない。
犬とイスラム教徒の件で色々調べていたら、イギリスの話も出てきました。
対テロ警備などでロンドンポリスは警察犬を連れて、駅などをパトロールしているのですが、それに対してイスラム教徒達は「警察犬を廃止しろ」と訴えているとの事。
調べるときに犬がクンクンするじゃないですか、あれが「不浄な犬に触る事は許されない」イスラム教の教えに反するそうです。
「駅などの公共の場所に犬連れとは何たる事か!ロンドンポリスの許すまじ行為に意義もうす!」という事で、訴えもおこったそうですが、ロンドンポリスは引き続き警察犬を伴ってパトロールを行うとの事。
無差別テロ行為の方がよっぽど許すまじ事だと思うのですが、それも何を正しいとするかの思想の違いなんですよね。
人はみな同じです。
痛い時は痛いといい、楽しい時は微笑みます。
ただ、理由付けが、思想が違うんですよね。
思想が違うで思い出した。
ワシがパリの大学に行っていたときに、こんな事がありました。
その日の授業の内容は「啓蒙主義」。
啓蒙主義というのは、ヨーロッパで特に18世紀におこった大きな思想運動で、それまで何でもかんでも「神様の~」で済ませていた事を、きちんと理性的に考え、科学的に分析しようというものです。
例えば「地震=神の怒り」ではなく、それは大陸プレートの摩擦である、の様に。
で、話を進めて行く間に、誰かがダーウィンの進化論(19世紀)について触れました。
すると、忘れもしない、突然一人の20歳くらいの若い女性が席を立ちあがり
「先生、それ以上神を侮辱することは許されません!」
と行って、教室を出ていきました。
その当時は気がつかなかったのですが、今思えば彼女アラブ系のフランス人だったのではイスラム教徒だったと思います。
日本にいた時はこんな経験をした事が無かったので、うわぁ、ワシ、海外にいるんだなぁ、って言葉の違い以上に感じました。
こんな事もありました。
2年ほど前に、フレンチレストランで研修をしていたとき、同じレストランで研修をウケていたアルジェリア系の青年がイスラム教徒でした。
そのため、豚肉及び、豚から取られたゼラチンを触る事を拒否していました。
研修先のレストランのシェフも「扱いづらい・・・」とぼやいていました。
調理師免許取得の件でフランスの調理師学校の先生と話をしていたとき
「近年、どんどんイスラム教徒の子ども達の割合が増えているんだけど、豚系の調理の授業をボイコットするのよ。フランスでは豚肉料理も伝統料理の一つ。それを学ばずして、フランス料理の料理人は名乗れないわ。でも、子ども達の期限を損ねたくない先生達も、豚肉料理を避けたり、味見しない事を許可したり・・・味見なしで料理が出来る?!って思うんだけどね」
ワシはイスラム教徒を差別する訳でも否定する訳でもありません。
ワシの友達にもイスラム教徒はいますし、イスラム社会の目上を敬うなどの考えは日本の昔からの考えに似ているところもあるので、共感できる部分は沢山あるんです。
ただ違う。
本当に違う。
半端じゃなく違う。
ワシがフランスという国を選んで来たからでしょうか、その違いがもの凄く感じるんですよ。
これが、ワシがイスラム文化が好きで、イスラム文化諸国を選んでいたら、きっと話はべつなんでしょうね・・・。
でも、知ってよかった。
目に見える違いって、理解するのが比較的簡単なんです。
でも、こういう見えないもの、お互いにとって「常識」みたいなもの、想像もしなかった違いを知るって本当に難しい。
うむ、これからも色々な違いを学ぶぞ!!!