連日のTPPで開国すべし、TTPで自由化すべしの偏見報道が凄まじい。
日本の国益を考えず、日本が貿易を自由化することこそ正義、日本が自由貿易を先導することこそ国益と、訳の分からない屁理屈を並べて正当化させている。
例外なき関税撤廃のTPP参加によって日本の終末論を考えたことがないのか。
今回東アジアサミットでTPP参加国が交渉妥結を来年末まで延期させたことは、日本をTPP交渉参加させるために来年まで猶予期間を設けたに過ぎない。
このことは、日本が参加しなければ、TPP構想自体が破綻することを意味する。
もっと言えば、日本のいないTPPは米国の国益が損なわれることを意味する。
この結果、既存メディアのTPPが正しい、自由化が正しい、開国が正しいの偏向報道は、米国のTPP構想を破綻させないために国民を洗脳しているのである。
ここまでくれば、既存メディアは米国を助けるため日本を裏切っているのである。
これから理解できることは、日本のTPP参加は米国の国益のために不可欠であり、逆にいえば日本のTPP参加は日本の国益を損ねることが確実ということだ。
ようやく交渉開始した日中韓FTAと東アジアRCEPがはるかに国益に資する。
[23日 日本経済新聞]東アジア経済統合に原動力TPPが要る
東アジア首脳会議(サミット)で、日中韓など16カ国の首脳が、東アジアのほぼ全域を覆う「地域包括的経済連携(RCEP)」の交渉開始を宣言した。欧州連合(EU)をしのぐ巨大な自由貿易圏をつくる意欲的な合意だ。
狙い通りに広い範囲で市場統合が実現すれば、域内の経済効率は高まり、東アジア地域の成長力は一段と高まるだろう。内需に期待できない日本にとって、貿易と投資が拡大する恩恵は大きい。
課題は、実際に中身が濃い協定をつくれるかどうかだ。経済事情が異なる国々が集まる交渉は、自由化の深掘りが難しい。互いの弱点に切り込むことなく、最大公約数を追い求めれば、国ごとに細かく自由化の例外分野を設けるなど不完全な統合になってしまう。
RCEPの枠組みだけで、自然に東アジア経済統合が進むと考えるべきではない。より高い自由化に向けてアジア各国の背中を押す強力なエンジンが必要だ。
関税の完全撤廃を目標に掲げ、国有企業の改革、政府調達、技術規格の統一など広範なルールづくりを目指す環太平洋経済連携協定(TPP)にこそ、その推進力がある。日本はTPP交渉に早く参加し、国内で必要な改革を実行しながら、東アジア全体の自由貿易を先導する役割を担うべきだ。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の大半の国々は、現時点では背伸びしてもTPPの高い目標についていけない。相対的に甘い交渉になりそうなRCEPなら参加できるとの判断があるだろう。
中国の姿勢はさらに政治色が強い。RCEPと日中韓3カ国の自由貿易協定(FTA)の交渉に応じたのは、その経済効果でなく、米国が加わらない枠組みを重視したためだ。米国主導のTPPに対抗する意味合いが大きい。
こうした各国のさまざまな思惑が前面に出れば、自由貿易圏を築くという大局を見失い、RCEP交渉は漂流する恐れがある。そうさせないために日本がとるべき道は、TPPとRCEPの両方に加わり、率先して高い目標を追求しながら、同時にアジア各国に着実な自由化を促すことだ。
12月の衆院選後に誕生する新政権には、日本経済を再生させる成長戦略が問われる。並行して走るTPP、RCEP、日中韓FTAの3つの枠組みから、成長につながる相乗効果を生み出せるか。戦略的な通商政策が重要になる。
上記の日本経済新聞の理論をざっと説明すれば下記のようになると考えられる。
東アジア16カ国の自由貿易連携となるRCEPは日本の国益に資する。しかし、自由化の部分で不十分であり東アジア経済統合が進むとは考え難い。一方、関税の完全撤廃を目標に掲げるTPPに参加すれば自由化の推進力があるから参加すれば、東アジア経済統合も進むだろう。また、RCEPも日中韓FTAも米国に対抗する中国の思惑があるから東アジア経済統合とならない可能性もあるので、TPPも、RCEPも、日中韓FTAも同時並行で進めるべきである。
つまり、日本経済新聞が社説で述べたいことは、TPP参加が東アジアを経済統合するための手段であって、日本の国益に資するための手段ではないのである。
TPP参加をすべしとする既存メディアや政党の理論はほとんどがこれである。
「TPP=自由化=開国=正しい」の捏造による国民への刷り込みである。
これについては、TPP自体の枠組みが日本の国益を損ねることを下記で述べた。
参考記事:嘘つき野田総理が分裂覚悟のTPP解散を画策か、TPP自体が日本の国益を損ねる枠組み
つまり、TPP参加国のほとんどの国と経済連携協定であるEPAを結んでいること、協定を結んでいないのが米国くらいしかないこと、米国でも個別で自由化が進んでいることが理由となり日本に薄利厚損と言える枠組みとなっているのである。
さらに、ここにきて考えなければならないことは、今年中の妥結を目指したTPP交渉が、来年中の妥結を目指すとして目標期限が延期されたことである。
既存メディアでは、原則として例外なき関税撤廃を目指すため、例外品目の取り扱いで各国の主張が隔たり、時間が必要となったためと説明している。
しかし、TPPは発効してから10年後に関税を完全撤廃ということが決まっており、品目毎に段階的な関税引き下げ時期を決めるだけのはずである。
つまり、交渉参加を表明した時点で10年後に関税を完全撤廃を国家として認めたことであり、その間の調整など個別に議論すれば良いだけである。
しかも、参加国を見れば米国だけ経済力が突出しており、米国が参加国に多少の配慮を見せれば、互いの主張も隔たることなく妥結できそうなものである。
それを実行しないと言うことは、現状の枠組みに満足できていないのだろう。
つまり、現状の米国一強の枠組みで自由化を進めれば、米国にとって市場開拓できる地域が乏しく、米国市場を開放しただけで国益を損ねるのである。
その結果、是が非でも経済力のある日本をTPP参加させることによって、日本市場を自由化により開放させて、そこに米国の国益を見出したいのである。
つまり、日本がTPPに参加しなければTPP自体が破綻同然となるのである。
これにより、今回のTPP交渉の妥結延期は日本の交渉参加待ちが理由となる。
おそらく、来年も日本が交渉参加か不参加で先延ばしすれば妥結延期となろう。
このことから、日本がTPPに不参加なら東アジアの自由貿易は、交渉開始した日中韓FTAと東アジアRCEPが中心となり米国がいないというだけである。
これにインドが加われば市場規模30億人となり日本の国益に大きく寄与する。
つまり、現在TPP参加を訴える既存メディアや政党は、高々3億人規模の米国から国益を見出そうとして、後々の米国の10倍の30億人規模の中国とインドから国益を見出そうという考えが浮かばないのである。
どれほど自由化が進むのかということが日本の国益にならず、どれほど市場規模の大きい経済連携で囲い込みができるかが日本の国益となるのである。
TPPでなく日中韓FTAと東アジアRCEPで自由貿易を進めるべきである。
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