TDK MA-XG Fermo
ものすごく久しぶりのテーマ、「カセット 」からのエントリになります^^;
(テーマの一覧は、右側のカラムにあります)
TDKからの紹介が続いていますが、今回は、TDKの頂点モデル MA-XG Fermo を紹介。
「Fermo」(フェルモ)とは、イタリア語で「不動の」という意味らしいですね。
もっともカセット文化が爛熟していたころの、TDKの最高品位の製品です。
(それって何年ごろ? とか、訊かないように!)
MA-X系の製品には、まだ紹介していない製品がいくつかありますが、それは追々。
TDKのこのグレードのもので、もっとも後期に出た製品です。
maxellのMetal Vertex 、SONYのMetal Master にあたるクラスになります。
そういえば、これで、3大メーカーの一番上のグレードの製品を、ひとつづつ紹介したことになります。
まだ、SONYとTDKに関して、手持ち分はいつくか紹介しきれていませんけれども。
あ、あと、That'sの、ジウジアーロ氏デザインのアレも忘れてはならない!
それらについては、また、別の機会に。
とにかく、非常に凝った作りになっています。
おそらく、パーツの複雑さだけで言えば、すべてのメーカーの、すべての製品中でトップだと思います。
まず、ネジ止めが特殊。
通常のカセットは、上下2つのパーツを四隅と中央のネジで止めて組み立てるのですが、この製品は、基本的にすべて側面から止めています。
これだけでも、通常の生産ラインには乗せられませんので、コストがかかることになります。
上側のネジ。
下側のネジ。
非常に精密感のある組み立てになっています。
そして、パーツ数と分割の仕方も特殊。
通常のカセットのように、上下2枚、というものではなく、中央の板状のパーツの周囲を、側面から囲い込むようにパーツで「固めて」います。
色が違う部分で、すべて別パーツになっています。
ネジの取り付け方もあわせて、どうしてこういう設計になったのか正確なところは記憶が定かではありませんが、狙いのひとつとして、A-B面での特性の違いを無くす、という意図もあったと思います。
カセットをカセットデッキに挿入したように「立てた」場合、上から見て、中央の金色のネジ以外はA-B面でほぼ完全な対称形になっています。
たとえば、中央下部の出っ張った部分(磁気テープがカセットデッキと接して送られる部分)ですが、ここも、よく見ると、中央のパーツを上下からサンドイッチするようになっています。
通常は、テープがこすれる部分のパーツは、A面かB面か、どちらかのパーツと一体に形成されているものなのですが、パーツをわざわざ別にしています。
そのことにより、プラスチック形成の精度を、別の次元で追求できるようになります。
と同時に、A-B面の差を根本的に無くすこともできる。
その点は、Metal Master
に見られる手法と同じ。
ネジの組み付け等も含めて、それをもっと徹底的にした感じです。
つまり、
中央の、黒い板(上下2枚)
上側のグリーンのパーツ
両サイドの、グレーのパーツ(左右2つ)
中央のカセットガイドの部分(上下2枚と、中央部、計3つ)
と、(透明窓などを除いた)主なものだけで、合計8つのパーツから筐体が形作られています。
追記)
検索をしましたら、分解写真を載せてらっしゃるブロガーさんがいました。
http://purassi.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/fermo.html
自分も、昔、ひとつ分解した経験が、いちおうあるのですが・・・「そーか、そういえば、両サイドのパーツの中にも細かいビス止めがあったんだな!」 と思い出しました(というか、すっかり忘れていました)
それよりなにより、記憶していたハーフのパーツ分割が、まったく違ってた!
は、恥ずかしい!
写真があると、やっぱり説得力が違いますし、なにより分かりやすいです。
ありがとうございます。
こういう「凝った」製品があったことが、カセットの面白さだったなぁ、と、しみじみ思います。
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