孫子の九変篇には、常識にとらわれずに変化に合わせて臨機応変に対応することが書かれています。


そのなかには、利害についても書かれています。


「是の故に、智者の慮は必らず利害に雑う。利に雑りて而ち務め信なるべきなり。害に雑りて而ち患い解くべきなり。


(こういうわけで、智者の考えというものは、一つの事を考えるのに必らず利と害とをまじえ合わせて考える。利益のある事には害になる面を合わせて考えるから、その仕事はきっと成功するし、害のある事には利点を合わせて考えるから、その心配ごとも無くなるのである。)


「是の故に、諸侯を屈する者は害を以てし、諸侯を役する者は業を以てし、諸侯をはしらす者は利を以てす。」


(こういうわけで、外国の諸侯を屈服させるにはその害になることをしむけ、外国の諸侯を使役するには手をつけずにはおれないような事業をしむけ、外国の諸侯を奔走させるにはその利益になることをしむける。)


敵が屈服させようとする時には害を示しますが、智者ならば屈服しない利もわかります。


また、敵が自分を奔走させようとする時には、利益をしむけますが、智者ならば、その害も理解しているため、敵が思うようには動きません。


孫子は智者は一つのことについても利害の両方を理解しているため、敵の思うようには動かないことを述べています。


大坂の陣の前に豊臣秀頼は莫大な財産があり、その財で兵士を雇われるのは德川家康には脅威でした。


そのため、德川家康は、豊臣秀頼に寺院を建立させたり再建させて、財産を減らそうとしました。


孫子の言うように豊臣秀頼に手につけずにはおられない事業をしむけて使役しました。

























図解 孫子兵法図解 孫子兵法
2,160円
Amazon