2025年3月8日(土)19:00
【「殿と犬」4人の殿インタビュー】武内駿輔が抱いた“4人1役”への期待 「個人的に気になった」存在とは?
放送中のテレビアニメ「殿と犬」のメインキャラクター・殿を演じるキャスト4人のインタビュー、最後は武内駿輔が登場!
殿役のキャストが4人いることを「うれしかった」と振り返る武内。「いろんな解釈のお芝居が見られますし、キャラクターについて考える時間が長くなるような気がします」と嬉々として話す姿は、芝居への意欲や探求心、好奇心にあふれていた。そんな武内が感じた“それぞれの殿”の魅力とは? そして「個人的に気にしたのは(杉田)智和さん」とも明かしていたが、そこには意外な理由があった。
もちろん“犬トーク”も盛りだくさん! プライベートでは愛犬と一緒に暮らす武内に、本作の犬のかわいいところや好きなシーン、愛犬との思い出を存分に語ってもらった。(取材・文/編集部)
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■4人1役を通して「お三方とコミュニケーションを取れたような感覚」

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――本作への出演が決まり、殿役が4人いると知った際の率直な気持ちはいかがしたか?
うれしかったですし、やりがいがありそうだなと思いました。4人いると、その分いろんな解釈のお芝居が見られますし、キャラクターについて考える時間が長くなるような気がします。
また、昔は同じ映画でも放送局が違うと吹き替え声優が違うことがありましたし、同じ作品でもアニメやゲームなどのコンテンツごとにキャストが違うこともありましたが、今は「このキャラクターの声はこの人」というようになってきているのが個人的にはさみしいなと感じていました。そういった意味でも、「殿と犬」の企画を聞いた時にはうれしかったです。
――実際に出演してみて“4人1役”はどうでしたか?
それぞれにキャラクターの解釈があって、でも共通するところもありました。違いを感じつつ「やっぱりここはそういう風に思いますよね」と共感したりするなかで、お三方とコミュニケーションを取れたような感覚があって、すごく楽しかったです。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――大塚明夫さん、杉田智和さん、相葉雅紀さん、それぞれの殿の印象はいかがでしたか?
(大塚)明夫さんは、みんなが漫画を読んだ時にイメージした殿の人物像をぴったり当てにくる感じが、本当に見事だなと思いました。
そして、それに近いものを感じたのが相葉さんでした。声質は明夫さんとは違いますが、漫画を読んだ時に感じた殿の不器用さや男臭さ、そのあたりの表現や解釈の方向性が近いのかなと感じました。
また、個人的に気になったのは(杉田)智和さんでした。智和さんは、声優として影響を受けていますし、公私ともにお世話になっている方でもあるので、自然と解釈が似ることがこれまでにもあったので。
――杉田さんとは、声質も通じる部分があるのでしょうか?
以前、別作品にキャスティングしていただいた際に「“若い杉田さん”の雰囲気を持っていた」と言われたことがあります。それはすごくうれしいことでしたが、今回はまったく同じキャラクターを演じるので、智和さんはどのパターンでくるかなとは意識しました。例えばツッコミの雰囲気や、ボケた時の感じ。そういったところも智和さんはバリエーションの多い方なので。
――杉田さんとアプローチの方向性が同じになってしまうことを懸念されたんですね。実際に見た杉田さんの殿はいかがでしたか?
智和さんは、犬に対して真面目で、実直さが現れているような(犬への)言葉のかけ方をしていました。僕はもうちょっとラフで、より肩の力が抜けている殿と言いますか。結果的にうまく分けることができたように思います。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――武内さんの「殿像」はどのような解釈で作り上げていったのでしょうか?
「武将だった時と今の日常を明確に分けた人物像」を演じてみようかなと考えました。武士なので、常に気を張っている人ではあると思いますが、そこから少し肩の荷を下ろしたような、戦いから離れたような雰囲気を意識しました。それが結果的に違うアプローチにつながったんじゃないかなと、智和さんの殿を聞いた時に思いました。
――出演決定時の話題に戻りますが、20代の若手声優である武内さんとしては、大ベテランの大塚さん、そして影響を受けた先輩である杉田さんと同じ役を演じるということにプレッシャーはなかったのでしょうか。
プレッシャーというよりは、試行錯誤して臨まないといけないと思いました。お話をいただいた時は、なんとなく「僕は2人の中間くらいかな。明夫さんと智和さんを足して2で割った感じが僕になりそうだな」と感じたので、逆にその印象になるのを避けたいなという思いがありました。
「おふたりの中間」というと、良く言えばバランスの良いものになりますが、「はっきりした解釈がほしい」と思われた場合は僕の立ち位置が揺らいでしまうので、キャスト全員を横並びで楽しんでもらえるようにするにはどうしたらいいかなと考えました。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――お話しをうかがっていて、演じることへの意欲や探求心にあふれている、ポジティブな姿勢が伝わってきました。それと近しいところで、相葉さんには「自分以外のキャストが本業声優であることにプレッシャーはなかったのか」と質問したのですが、相葉さんの考え方もとてもポジティブで「名だたる声優さんたちの中で、同じ役に挑戦させてもらえるという機会は滅多にない。この挑戦は厳しさもあるだろうけど、きっと自分にとってすごく貴重な経験になるだろう」とおっしゃっていました。
相葉さんの考え方、素敵ですね。みんな役者なので、今回の“4人1役”のようなこういう企画自体が好きなのだと思います。
■殿にとって犬は「大切な人生の一部になった」 犬の好きなポーズは “ゴロン”

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――前半エピソードの頃から比べて、演じるなかで殿と犬の関係性に変化は感じますか?
最初は殿と犬が2人きりの時間のなかで親睦を深めていきましたが、他の登場人物とのやり取りが増えるにつれて関係性が変化していったような印象があります。わかりやすく言うと、「部下」から「日常を一緒に生活しているもの」になった、殿の日常の中に犬がなじんできたというか。後半になるにつれて、大切な人生の一部になった。そういった存在に変化していく様子が描かれているんじゃないかなと解釈しています
――いち視聴者としては、回を重ねるごとに犬への愛着がわいてきて、より表情豊かに見えてくるような感覚がありました。武内さんは、収録を重ねるなかで犬の見え方に何か変化はありましたか?
アニメーションの表現力が素晴らしいので、確かに最初の頃よりも殿のことをより信頼しているような表情になってきた、非常に温かみが出てきたように感じました。アフレコの時には絵が出来上がっていたので、犬のそういった変化をより感じやすく、犬に対する声のかけ方も自然と変わっていったような感覚はありました。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――実際に犬を飼われている武内さんから見て、本作の犬の印象はいかがでしたか?
うちのワンちゃんも賢い方ですが、本作のワンちゃんもとても賢いと感じました。うちのワンちゃんの場合は、例えば餌をあげた後に(餌皿を)カランカランと鳴らして「いやいや、今日はまだもらってないですけど」みたいな顔をするのがすごくうまかったり。
――本作の犬もやりそうですね(笑)
ワンちゃんって飼い主のことをよく見ているんです。こちらの行動パターンや挙動をよく見ていて、仕事に出かけるために着替えている時と、散歩に行くために着替えている時の違いもわかります。本作はそういった犬の特徴が、細かいところまで描かれてるなと思いました。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――そんななかでも、特にお気に入りの「犬がかわいかった場面や仕草」はありますか?
お腹を見せるポーズが好きです。コーギーはお尻がもこっとしているから、お尻が横に揺れる感じもすごくかわいいですが、僕は犬が「ゴロン」をするのが好きで。「甘えてきてるのかな?」みたいな。うちの犬の場合だと、ゴロンは「なでろ」というアピールです(笑)
■愛犬との生活で気づいたこと そして忘れがたい“出会いの瞬間”

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――武内さんご自身は、犬と生活するなかで、気づきや学び、得たことはありますか。
僕がワンちゃんを迎えて最初に感じたことは「育てる」ということに対する意識です。この子はひとりでは生きられないだろうなというくらいに、僕がすべてをしてあげなければならない。お水や餌の用意、トイレの掃除、散歩もしなきゃいけない。そういったなかで、自分も同じようにしてもらったんだな、人が人として生活していけるようになるまでにもたくさんのプロセスがあったんだなと気づきました。
そして、そういう風に生活していると、親が言っていたことの意味もわかるようになりました。例えば「こういう場所に行く時は気をつけなさい」と言われても、当時の僕は「危ない道とかいうけど別に全然大丈夫だよ」という意識でしたが、ワンちゃんと歩いていると吸い殻のポイ捨てが気になったり、危険もたくさんあります。

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会

(C)西田理英・COMICポラリス/殿と犬製作委員会
――親の気持ちがわかる場面が増えたんですね。「この子はひとりでは生きていけない」という言葉からも溺愛ぶりが伝わってきますが、ワンちゃんとの出会いはどのようなものだったのでしょうか。
友達と一緒にワンちゃんを見に行ったのですが、その時に友達が自然と抱っこしていたワンちゃんが、今のうちの子です。友達からそのワンちゃんをぱっと渡されて、その時にすごく感じるものがありました。自然と自分の体に入ってきたような感覚あって、あの出会いの感覚は忘れることはないだろうなと思いますね。
だんだんと成長して、ぬいぐるみで遊ぶようになってきて……今はもうただの同居人みたいな感覚です(笑)
――まさに「殿と犬」の関係性ですね(笑)。大切な家族であるワンちゃんとの思い出を教えていただきありがとうございました!
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