日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)が主催するワークショップ「Web活!知らなきゃもう遅い! 今日から使える次世代コミュニケーションのカタチ」が8月21日、東京・西新宿のアスキー・メディアワークスで開催された。
Webを使った新しいコミュニケーションツールとしていま注目されているのが、AR(Augmented Reality:拡張現実)だ。ARとは、Webカメラなどを使って取り込んだリアルの映像の上に、バーチャルな物体(3D CG)を合成して表示する技術。使い古された例えで恐縮だが、アニメ「電脳コイル」のような世界を身近に体験できる技術――といえば通りがいいだろうか。
もともとは医療分野での利用から始まったARは、「電脳フィギュア アリス」「セカイカメラ」などをきっかけに昨年、一気に知名度を上げた。Flasher(Flashクリエイター)の方なら、Flash(ActionsScript3)用のARフレームワーク「FLARToolKit」をご存じの方も少なくないだろう。とはいえ、ARで何がどこまでできるのか? 果たしてビジネスになるのか? というのがWeb・広告業界の人間なら気になるところ。今回のワークショップでは、会場に集まった30名のWebデザイナーやディレクターを前に、IN VOGUEのディレクター 薄井大輔氏が国内外の事例の紹介を通じてARの可能性について語った。
現状では話題作りのための、PCを使った短期的なキャンペーン利用が目立つARだが、可能性はそれだけではない。ワークショップの最後に薄井氏が紹介したのは、さまざまな分野における活用アイデアだ。たとえば、アパレル業界なら服やメガネと自分、カー用品メーカーならホイルやタイヤと自家用車、といった具合に、マーカーとカメラを使ってディスプレイ越しに“試着”できるようにすれば、強力なプロモーションツールとして使える。あるいは、宅配ピザやペットボトルなどの商品そのものにマーカーを刷り込み、小売店の店頭やイベント会場などに設置した端末でARを体験できるようにする、といったリアルと絡めたキャンペーン展開もおもしろい。
驚くことに、実はこれらはすでに海外で実施された事例の一部とのこと。国内ではまだまだ珍しいARだが、今後どのような新しい使い方が提案されていくか。ワークショップに参加したデザイナーやディレクターたちは、今後のプランニングにつながるヒントをつかんでいったようだ。