2009年はARが世界にビックバンをもたらした年だった
ASCII.jp読者の方なら「AR(拡張現実)」という言葉をすでにご存知の方も多いだろう。たとえARという言葉自体を知らなくとも、iPhoneアプリ「セカイカメラ」を使って街を眺めてみた人は多いはずだ。GPSと電子コンパスで、位置や方位を取得する機能を用いたセカイカメラでは、起動してiPhoneの画面をのぞくと、カメラの中の現実世界に文字や画像の情報がついた「エアタグ」が表示され、現実世界に情報がプラスアルファされたオモシロさや充実感が味わえる。これがARによってもたらされる感覚の一端だ。
去年、2009年は「セカイカメラ」をはじめ、スマートフォンや携帯で様々なARアプリが登場した年だった。渋谷の街に情報を書き込んでシェアできる「pin@clip」(ピナクリ)。ユーザーが自分のいた場所に情報を残し、後から来る人が残された情報を取得できる「Memory Tree」。オランダで開発された現実世界の映像に施設情報を重ねる「Layar」。ほかにも拡張現実の技術を用いたアプリやエンターテイメントが続々と登場し、現実化されている。
2009年はARという存在がビックバンを起こし、急速に人々の間に浸透していった年と言えるだろう。その理由としては、iPhoneをはじめとする高性能スマートフォンや携帯の登場によるところが大きい。これまで技術の研究は進められていたものの、現在になって拡張現実の技術が実用化できるフォーマットが整ったのだ。
現在、ARはエンターテイメントの場においてもビジネスの場においても、圧倒的な速さで浸透し、様々なコンテンツを生み出している。決して、特殊なテクノロジーではなく身近な存在なのだ。短期連載の第1回は、エンターテイメントの分野において、ARがどのような形で開花しているのか見てみよう。
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