米Appleは6月10日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコにおいて開発者会議「WorldWide Developers Conference 2013」(WWDC 2013)をスタートした。開催初日には同社CEOのティム・クック(Tim Cook)氏らAppleエグゼティブによる基調講演が行なわれ、主にソフトウェアを中心にした同社新製品の紹介された。新しいユーザーインターフェイスを採用した「iOS 7」に、新型MacBookなどさまざまな噂があったが、実際にWWDCではどのような最新情報が紹介されたのだろうか? 基調講演での発表内容を追いかけていく。
10年の節目を経た「OS X」、次の10年を見据えた「OS X Mavericks」
英語で10年のことを「ディケイド」(Decade)という。時代の節目節目を表現するのによく使われるこのディケイドという言葉だが、OS Xの最初のバージョンである「Mac OS X 10.0 Cheetah」がリリースされたのが2001年、それからおよそ12年が経過したことになる。現在リリースされているのは「OS X 10.8 Mountain Lion」で、Cheetahから数えて9世代目にあたる。つまり、次のOS Xのメジャーリリースがちょうど10世代目ということになる。
基調講演の壇上に上がったソフトウェアエンジニアリング担当SVPのクレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)氏は、このちょうど10世代目にあたるOS Xの新バージョンは新たな時代の節目となり、今後10年先のAppleならびにMacを担う製品の礎(いしずえ)となっていくことを強調している。
さて、OS Xといえば、バージョン番号とともにネコ科の大型動物の開発コード名が付与されており、後にバージョン番号よりも開発コード名のほうがメインとなったことは記憶に新しい。しかも、OS X 10.5 Leopard以降はこの開発コード名自体がが製品名として直接アピールされるようになった。
OS Xの名は「ネコ科の動物」と切っては切り離せない関係となっているが、壇上のFederighi氏は「何か大物をひとつ忘れていないか?」と聴衆に問いかけた。おそらく会場にいた参加者や中継を見ていた人たちの多くは「ネコしかないだろう」と思ったに違いないが、同氏がスライドで示したのは「Sea Lion」(アシカ)。ちなみに、Sea Lionはサンフランシスコのシンボル的存在で、同湾を含め、付近の太平洋岸に大量に生息しており、少し海岸沿いを散歩しているとどこでも見かけることができる。
「Mavericks」という名の由来
もちろんネコ科でもなんでもないSea Lionはジョーク。ただし、ネコ科の名称は採用されなくなり、次のOS Xの開発コード名の正式名称は「Mavericks」(マーベリックス、もしくはメイベリックス)となった。
めでたく採用されたコード名「Mavericks」だが、その由来はサンフランシスコの郊外の太平洋沿いの街「ハーフムーンベイ」の近くにあるサーフィングスポットの名称だ。もともとは同スポットを開拓した3人の人物のペット(犬)の名前らしく、北カリフォルニアではかなり著名なスポットだ。
Federighi氏によれば、「OS XはAppleのあるここカリフォルニアで開発されたもの。ならばOS Xの名称もまたカリフォルニアに回帰すべきなのでは?」との考えから、次の10年を担うOSの開発コード名として「Mavericks」というカリフォルニアの地名が採用されたという。なお、この「Designed by Apple in California」に対するこだわりは後のプレゼンテーションでも改めて強調されることになる。