本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
WWDC 2013の基調講演で印象深かったことといえば、Mavericksで強化される「マルチディスプレー」だ。プライマリーやセカンダリーといった概念がなくなり、接続するディスプレーすべてがフラット化される。それぞれのディスプレーには独立したメニューバーが配置され、それぞれ異なるアプリをフルスクリーンモードで表示しておくことが可能になる。聴衆の拍手は、Finderの新機能が披露されたときより大きかったのではないだろうか。
その「マルチディスプレイ」は、外部ディスプレーへのワイヤレス出力もサポートする。もちろん利用するのは「AirPlay(ミラーリング)」、ディスプレーとHDMI接続したApple TVが受像機となる。現行のApple TV(第3世代)であれば1920×1080ピクセルを表示できるので、同じ解像度のiMac/21.5インチと組み合わせれば違和感なく利用できそうだ。
しかし、気になった点がひとつ。AirPlayは名称からしてワイヤレス(IEEE 802.11x)での利用を想像しがちだが、実のところ有線(Ethernet)でも接続できる。それに、1920×1080ピクセルの画面を30fpsあたりのレートで転送しようとすれば、目安として4Mbps以上の安定した帯域を確保せねばならず、是が非でもワイヤレスでという事情がないかぎり有線のほうがストレスはない。Mavericksのマルチディスプレー機能も、主なターゲットがデスクトップ機ユーザーである以上、有線接続をよしとする考えなのかもしれない。
もうひとつ、AirPlayにはインフラストラクチャーモードでの利用を前提とする仕様がある。たとえば、Apple TVとMacは1対1の排他的な関係で接続されるが、直接通信するわけではなく無線LANアクセスポイント/ルーターを経由する。だから、それらのネットワーク機器から離れた位置でAirPlay接続すると、帯域が不足してフレーム落ちを起こしたり音が途絶えたりしてしまうのだ。この点、(OS Xの)AirDropのように直接通信する仕組みがあれば、AirPlayを使ったマルチディスプレーもより使いやすくなるに違いない。
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