どちらも漫画家だ。 山上たつひこは、1965年に『秘密指令0』で貸本漫画家としてデビューしたのち、メジャー誌へ活動の場を移してからも『光る風』など、すぐれた劇画の傑作を発表している。ところが、1972年に連載を開始した『喜劇新思想体系』では下ネタ満載のギャグ漫画へと作風を変え、1974年から連載を始めた『がきデカ』が驚異的なヒットとなり、ギャグ漫画の大家としての地位を築いた。 ところが、そんな山上は1990年に一旦漫画家としての筆を折り、小説家へ転身している。 山上の書く小説は、漫画とは違って露骨なギャグ描写のない淡々としたものだったが、物語の隙間から登場人物たちの狂気が染み出してくるような、漫画以上に奇妙な味わいのものだった。 その後また漫画の世界に戻って来た山上だが、本作『羊の木』では作画をせず、原作を担当している。 そして、本作の作画を担当しているのは、いがらしみきお。 こちらは『ぼ