弧を描く磨り減った石壁には波が打ち寄せ、屋上は草で覆われている。「アレクサンドル砦(Fort Alexander)」はその外見からでも不気味な歴史が窺える、そんな場所だ。 ロシア、サンクトペテルブルク付近の人工島に築かれたマメのような形の砦(とりで)は、1899年から1917年まで、ペストの研究を行う施設であった。 科学者たちがペスト研究を続け、職員2名が命を落としたこともあるそこは、今や”ペストの砦”と呼ばれるようになっている。 Russia: Drone captures ghostly abandoned ‘Plague fortress’ from Tsar Alexander I era もともとは軍事拠点として建設されたアレクサンドル砦 砦は砂とコンクリートと花崗岩の上に建設され、完成まで7年を要した。本来、戦略的に重要なフィンランド湾の軍事防衛拠点として築かれたものであるが、