真魚八重子(映画文筆業。「映画秘宝」「キネマ旬報」「TRASH UP」ほかで執筆多数) 第3回のメンヘル系女子でとりあげた映画『17歳のカルテ』で、境界性人格障害と診断されたウィノナ・ライダーは、症状として「淫乱性」をあげられていた。前回ふれた映画では、それぞれのキャラでやけっぱちな性衝動が目立っていたが、実際のところ、そんな画一的ではなくて、誰しもが当てはまるわけではない。メンヘルでも、リスカする人もいればしない人もいる。同様に、性衝動で同じ傾向が出るものではない。 世間には「性嫌悪症」が激しい人も多い。もちろんセックスへの恐怖が心の病気という意味ではなく、あまりにこじらせて病に発展してしまう場合があるということで、特に映画表現は過剰になるから、レアケースを描くことになる。性嫌悪症自体も色々原因があり、不潔感を覚えるという根源的な感覚だったり、親の潔癖なしつけや、小さい頃不快な経験があっ
数日前、20年来お世話になっている某メーカーAV監督の作品を見ている最中、 たまたまボリュームを大きくしたところ、女優が喘ぎ声とともにこんな話をしているのがうっすらと聞こえてきた。 「監督が優しい言葉をかけてくれるから安心して体を任せられる」 「彼氏に帰ったらまた殴られるかもしれない。どうしよう?」 「気持よすぎて余計なことを話しちゃった。気持ちよくなることに集中します。ごめんなさい」 「私の家が貧乏だって話しちゃったから、もう1本撮影するって言ってくれた。ありがとうございます」 これらは女優の「セリフ」ではなく、男優と絡んだり愛撫の快感に身を捩らせているとき、喘ぎ声とともに発せられる「本当の声」なのだった。 監督はそういった女優たちのリアルな悩み、撮影時の不安を取り除きながら撮影を進めているのである。 ところがこの監督はさすがにベテランだけあって、かなりボリュームを上げてもボソボソとしか
人は証拠や論理よりも、自分の信じたいことだけ信じる、という話の別例。 宮崎駿の『千と千尋の神隠し』に関しては柳下毅一郎の対談本『映画欠席裁判』その他で書いてきたとおり、娼館を舞台にした物語である。 しかし、そう指摘されると怒る人が多いんだ、これがまた。 主人公は「湯女」として働かされるのだが、国語辞典でも百科事典でも何でもいい。「湯女」という言葉を引いて欲しい。 たとえば『日本大百科全書』にはこうある。 「温泉場や風呂屋にいて浴客の世話をした女性のこと。一部は私娼(ししよう)化して売春した」 『大辞林』にはこうある。 「江戸時代、市中の湯屋にいた遊女」、 『岩波古語辞典』だと「風呂屋に奉公し、客の身体を洗い、また色を売った女」。 「そういう見方もある」だの「そういう解釈もある」だのというレベルではなく、「湯女」とは「娼婦」を意味する名詞なのだ。 ただし、昔から風俗においては初潮前の少女は見
内藤瑛亮監督の自主映画『先生を流産させる会』の一般公開が決まった。剣呑としたタイトルから公開は危ぶまれていたが何とかがんばってくれたようだ。私は昨年のカナザワ映画祭で大畑創監督の『へんげ』(こちらも公開が決定。大のつく傑作です。)と2本立てで見て、このブログにも書いた。『先生を〜』は昨年の極私的な映画ベスト10の中に唯一ランクインした日本映画である。よくできているとおもうし面白いので万人受けはともかく興味を持った人にはおすすめです。 公開決定とほぼ同時にネットでは批判の声が。予想通りというべきかタイトルが一人歩きするという現象が起こってしまった。 マジキチすぎる映画 『先生を流産させる会』劇場公開決定:キニ速 http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3317891.html 「まともな神経してたらこんなタイトルの映画みようと思わないよな」「こんな
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く