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CES 2025
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■ 幻想としての東京オリンピック 2020年の東京オリンピックがもう目前に迫ってきているが、最近出てくるオリンピック関連の報道には目を疑うものが多い。私自身は、多少なりとも沈滞する日本のムードを変えるきっかけになるのなら、オリンピックというお祭りも悪くないと思ってきたし、そういう意味では、どちらかと言えば『賛成派』のつもりでいた。だが、その私も、次々に出てくる驚くべき報道に、さすがに認識をあらためずにはいられない。そして、ここにも、というより、ここにこそ、日本の抱える構造問題が典型例として表出している。 このオリンピックの開催地については、最終段階では、東京とマドリードおよびイスタンブールで争われていたが、その当時懸念されていた候補地としての東京の最大の障壁は、日本国内での『熱気不足』(および夏場の電力不足)で、国際オリンピック委員会(IOC)が2012年5月の1次選考の際、独自に実施した
■ 大きな転換点としての平成 平成が終了する時期が近づていることもあり、昨今では、平成を総括する著作や記事が増えて来ている。昭和と比較すると、長さも半分以下で、300万人以上の戦死者を出して国が滅びてしまうほどの戦争のような大きな出来事があったわけではないとはいえ、平成という時代には、阪神大震災、東日本大震災とそれに伴う原発事故、あるいは世界初の都市型毒ガステロ(オウム真理教事件)、さらにはインターネットの急速な普及等、過去に例のない、そして、時代を一変させてしまうような出来事が凝縮して詰まっており、つぶさに振り返ってみると実に大きな転換点であったことがわかる。 しかも、日本だけではなく、この間、日本を囲む世界も激変した。そもそも平成が始まった1989年というのは、世界的な激動の年で、6月に中国で天安門事件が起こり、11月にはベルリンの壁が崩壊し、12月にはブッシュ大統領とゴルバチョフ書記
■ 現在の生活に満足している若者が83.2%? 内閣府が行なった『国民生活に関する世論調査』で、現在の生活に満足していると答えた人は、74.7%で2年連続で過去最高を更新したという。これを18歳から29歳までに限定すると83.2%というから、どのような背景があるにしても(あるいは質問の仕方に多少問題があったとしても)、これは本当に驚くべき数値だ。*1 数々のスキャンダルに見舞われながらも自民党の安倍政権の支持率が(特に若者の支持率が)下がらない理由の一端がここにあることを感じた人は少なくないはずだ。確かに、前政権の民主党の経済運営があまりに拙劣だったとの印象が若者の間にも強く残る中、彼らが現状維持が最善と考えるのも無理はないように思える。ただし、この調査結果に安堵できる人は最早それほど多いようには思えない。どう考えても違和感がある。この違和感の正体をあらためて現時点で明らかにしておく必要が
先日(8/6)、国際大学GLOCOMに於いて『平成30年版情報通信白書読書会』が開催されたので出席してきた。 イベントの概要 www.glocom.ac.jp 概観(感想) ◼︎ 明らかになってきた大変な現状 本年のこのイベントは、ここ数年と比較して異例といっていいタイミングおよび環境下で行われた。というのも、白書が例年より早い段階でリリースされ、しかも、アマゾンで無料公開されたこともあり、一足早くそのデータの分析に着手してコメントを述べたブログが非常に大きな話題となり、そのこともあって、情報通信白書自体が『話題の書』となって、大量にアマゾンからダウンロードされることになった。 そのブログ(永江一石のITマーケティング日記)の記事とその後に飛び交った議論、および今回の説明をあらためて聞いた上で、見えてくる日本のICTに関わる『現況』を一言でまとめれば、次のように言い表せるように思う。 『迫
■ 燎原の火の如く広がる批判 自民党の杉田水脈衆院議員による『新潮45』への寄稿文「『LGBT』支援の度が過ぎる」が多くの批判を集めている問題で、私も言いたいことは山ほどあるので、すぐに何か書いておこうと思ったのだが、少し自制して、どのような意見が出てくるかまずできるだけ見てみることから始めようと考え直した。というのも、この発言を巡る反応が『批判と擁護の複雑な諸相』となるであろうことはあらかじめ予想できたし、その『諸相』は来るべき近未来に、社会を大きく揺りうごかす問題への対応能力をはかる指標となると考えたからだ。また、それが私が最近非常に気にしている問題について述べるきっかけになるようにも思えた。 本件は、先ず、名指しされた形の『LGBT』の怒りが燃え上がり、早速に大規模(5,000人!)なデモ隊となって、自民党本部前に押し寄せた。加えて、寄稿文を読むと、子供を産んで国家に貢献できるかどう
◾️ 薄れゆくリアルタイムの感情 スマホのポップアップに突然、『オウム麻原処刑』のニュース記事が出て以来、久々にオウム真理教関連の情報がメディアに溢れて来て、かつて本件について考えていたことを次々に思い出すことになった。処刑については、一つの区切りであることは確かだが、これは第一幕の終わりではあっても、続く第二幕が始まってしまうのではとの懸念が咄嗟によぎった。同様の懸念を表明する人は多い。よく気をつけていないと、当事者(旧信者や後継団体)とは関係のないところからでさえ『歴史が繰り返す』恐れは多分にあるように思える。 1995年にあの事件が起きてから、本年で23年目ということになる。リアルタイムにあの事件を見ていた私たちには、何らかの報道があるたびに、当時感じた何とも形容しようのない戦慄、怒り、嫌悪、悲しみ等の入り混じった、濁った絵の具のような『感情』が蘇って来る。もちろん、直接の被害者や関
■ W杯で世界から賞賛された日本人のマナー サッカーのW杯はいよいよ佳境に入ろうとしている。日本は直前で監督が交代する等の混乱もあり、下馬評では一次リーグで全敗する可能性が高いと酷評されたものだが、それを見事に跳ね返して決勝トーナメントに進出したばかりか、有力な優勝候補とされたベルギー(同じ優勝候補のブラジルも撃破した!)を相手に堂々と渡り合って、後一歩のところまで追い詰め、世界の賞賛を浴びた。 賞賛と言えば、日本選手やサポーター(掃除をしてからスタジアムを後にする等)のマナーの良さは、試合での健闘とあいまって、今回も世界から高い評価を受けることになった。*1やはり日本は世界に誇れる『礼節』の国であると誇らしく感じた人も多かったと思う。世界に、『日本、ここにあり』との強烈なメッセージを届けてくれた選手や関係者、現地で応援していたサポーターにあらためて感謝したい気持ちだ。 ただ、この日本人の
■ 大量の書評が書かれている新井紀子氏の新著 発売からだいぶん時間が経ってしまったが、数学者の新井紀子氏の新著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』*1 は非常に評判が良く、この種の書籍としては異例の販売実績を誇り、版を重ねているという。私も発売と同時に読ませていただき、何か書いておこうと思いながら、ついタイミングを失してしまった。だが、どうやらこのタイミングの遅れには思わぬ効用もあったと言えそうだ。というのも、多くの人に注目された本書には非常に多くの書評が書かれていて、それが第三者視点として大変参考になる。 書評の中には、多くの批判も含まれ、それこそ新井氏が本書で述べる、日本人の読解力の低下の証左と言えそうなものも多いが、それでも、それなりの論拠を持つ『断固たる批判者』も少なくない。断固たる批判者とは一体誰のことなのか。どうしてそのような断固たる批判者が出て来るのか。今回は主として
■ 暴力志向は日本人の国民性? 前回、日大アメフト事件に言及するにあたり、これが主として今だに残存する『昭和的価値/意識』に起因する問題であることを指摘しておいた。ここでは、昭和といっても、戦後の高度成長期以降の後期~末期の昭和を想定していた。では、その『昭和的価値/意識』は一過性で、ある時期に特徴的なものなのなのかと言えば、そうではない。少なくとも、先の戦争(太平洋戦争/日中戦争)における帝國陸海軍には、いたるところに同様の類型を見つけることができる。そのあたりの事情は、経営学者の野中郁次郎氏らの共著である『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』*1 や評論家の山本七平氏の一連の著作に非常にわかりやすくまとめてあるので、是非ご自分であたってみていただきたいし、私のブログでも何度となく取り上げてきたトピックでもあるから興味があれば読んでみて欲しい。 実のところこれは今では比較的よく知られた論点
■ 経済やビジネスの明るい話題が少ない日本 最近、巷では政治的な話題がものすごく賑やかだ。モリカケ問題のようなスキャンダルで騒がしいということもあるにせよ、長く蔑ろにされていた未解決の問題がこの時とばかりに次から次へと暗い穴の底から這い出して来ている感じだ。長い間の日本人の政治無関心のつけが一気に出て来ているように見えてしまう。やはり日本は長い間、「経済一流、政治は二流」の国だったのだなとあらためて思う。 ところがその経済、あるいはビジネスに関わる話題も、ウキウキするような明るい話題は昨今本当に少なくなった。もちろん、人工知能等、技術に関わる話題は毎日溢れるように出て来るし、そういう意味ではその関連のビジネスに関わる情報も山のようにあるとも言えるのだが、よく注意して見ていると、それで日本企業が、これならやっていけるという確信を持てるような話題はほとんど含まれていない。その逆に、このままでは
■ 創業時のソニーこそ今後の日本の道標? 書店でふと、元ソニー社員でGoogleの日本法人の社長も務めた、辻野晃一郎氏の名前を見つけたので、思わず手に取ってみた。なんと、評論家の佐高信氏との対談本である。*1 両者の個別の意見については、他所でもずいぶん読んできたこともあり、それぞれどのようなお話しが出てくるのかある程度想像できるのだが、この異色の組み合わせとなると、どのように議論が展開するのか予想できない。その点に興味を感じて読み始めてみることにした。 辻野氏と言えば、創業時代のソニーの遺伝子を受け継ぎ、それをGoogleという場でも見事に開花して見せた、今や日本では貴重かつ希少な存在となっている、世界に通用するビジネスマンの一人だ。一方、佐高信氏と言えば、歯に衣を着せないバリバリの左派の論客で、言及しただけで、右翼系のアンチ佐高が殺到してきて、炎上してしまいかねない強面の人、というイメ
◾️構造的な政治無知/音痴の大量生産 今の日本人の多くは(誰よりも私がそうなのだが)政治に関心が薄く、知識も乏しいから、国家運営や民主主義が健全に機能するために期待されるレベルに達しているとは到底思えない。もちろん日本にも政治に高い関心を持って真摯に取組む人たちが少なからずいることを否定するものではないが、問題は政治への無関心や無知が個人の性向とか趣味嗜好ではなく「構造」として再生産されてきたと考えられることだ。 例えば私のような昭和生まれの中でも、学生運動が実質的に消滅してしまった後に大学時代を過ごした年代は、政治に関わることのメリットより無力感、さらにはデメリットの方を感じて育ってきたと言える。(それどころか、「連合赤軍の総括」*1を例に挙げて露骨に嫌悪感を口にする者さえ少なくなかった)。多少は興味が持てる政治的なトピックがあっても、それを人前で語ったりすると、それ自体、周囲から浮き上
◾️激変する中国のイメージ 昨今では、経済であれ政治であれ、何がしかを議論する場では、中国の最新事情を勘案せずにはすまないことが多くなって来ている。私自身、何かを語ったり、こうしてブログを書くににあたっても(特に私の場合、経済やビジネスをトピックとすることが多いわけだが)、中国の動向を常に把握しておく必要があると感じることが非常に多くなって来ている。この数年特に、中国の情報に驚かされる頻度が激増しているが、表面的で脈絡のない賑やかしのような情報だけではなく、一つ一つが非常に大きな構造変化(あるいはこれから起きて来るであろう構造変化)を示唆するものであることも多くなってきており、受け入れる自分の方もその都度、根本的に自分の理解の体系全体を見直し、更新せざるをえなくなっている。そうしているうちに、わずか数年前に持っていた中国のイメージが、今ではすっかり変質してしまった。 先日、あるイベントに参
■ 2025年くらいまでをどう予測するのか 2018年が明けた。昨年後半は特に、ブログを描くペースを落としたこともあり、恒例にしていた年末のその年の総括も書かなかった。言い訳がましくなるが、この1〜2年というもの、変化のあまりの速さにショートレンジの予想の難しさを痛感することしきりで、2017年に起きたことを列記するのはいいが、それに対するコメントを書くことに戸惑いがあった。それは今も変わらないのだが、せっかくの年初なので、それでも何か書いてみようと思う。 将来の見通しを聞かれたとき、最近いつも答えているのは、「2030年くらいの未来については、シンギュラリティとは言わないまでも、テクノロジーの影響がかなり浸透して、否応なく、世界は大きく変わっていることは間違いないと考えている」、ということだ。だが、本当に予測が難しいのは、テクノロジーの過激なほどのスピードと、短期間に変化を迫られる社会や
先日(9/8)に国際大学GLOCOMに於いて「『平成29年版情報通信白書』読書会」が開催されたので出席してきた。少々遅くなったがレポートしておこうと思う。 概要は、以下の通り。 日時 2017年9月8日(金)14:30~16:30 講師 高田義久(総務省情報通信国際戦略局情報通信経済室長) コメンテータ 庄司昌彦(国際大学GLOCOM主任研究員/『情報通信白書』アドバイザリーボード) 会場 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 概要 国際大学GLOCOMは公開コロキウム『平成29年版情報通信白書』(総務省発行)読書会を開催します。編集を担当した総務省情報通信経済室の室長の高田義久氏にポイントを解説いただき、参加者と議論を深めます。 今年の白書の特集テーマは「データ主導経済と社会変革」です。データ主導経済下での社会経済活動の再設計・課題の解決等の展望をしています。第1章「スマート
◾️ 経済人の立場 思想家/ 批評家の東浩紀氏の新刊、『ゲンロン0』*1については、発売からおよそ一ヶ月が経過していくつか書評も出てきているが、予想通り総じて評価が高い。私も遅れじと書評を書こうと思っていたのだが、自分の書こうとしている文章に自分で納得できず、ついリリースを躊躇してしまっていた。 ただ、自分の感じたことを他者も同じように感じるのか、あるいは、全く反対されてしまうのか、確かめてみたい誘惑にかられてしまう。よって、全体の書評というのではなく、ポイントを絞って、私の思うところを少しずつ書いていこうと考えるに至った。取り敢えずその第一弾として(第二弾がいつになるかはわからないが)、リリースしておきたい。今回は、本書をビジネスマン、経済人の立場で読むとどういう感想が出てくるのか、という観点で書いたことをまず最初に述べておきたい。 ◾️ 二層構造 東氏は環境認識として、今の世界は、かつ
◾️ 進む格差社会化 貧困と不正を根絶するための持続的な支援/活動を100カ国以上で展開している、オックスファム・インターナショナルは『99%のための経済(An Economy for the 99%)』という最新の報告書で、富める者と貧しい者の間の格差は、これまで考えられていたよりも大きく、世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有していること(以前の試算では62人)、1988年から2011年にかけて、世界人口の最も貧しい1割の人々の収入増は、わずか65ドルだったが、同時期に、最も豊かな1割の人々の収入増は、11,800ドル、彼らのおおよそ182倍も増加していること等を報告している。 格差に関する2017年版報告書を発表「99%のための経済」 | カテゴリー | プレスリリース | オックスファム・ジャパン 前作の『超・格差社会アメリカの真実』*1により米国の格
◾️ 首位をうかがうネット広告 4月7日付の日経新聞が報じているが、世界の広告費は、2017年にはとうとう首位のテレビを抑えて、ネット広告が首位になる見込みのようだ。きっとそういう時代が来ることには確信があったものの、それはいつのことになるのか、ほんの数年前でさえ、無限に時間がかかるように思えたものだ。雑誌や新聞は目に見えて部数を落とし、今でも凋落が続いているが、一方テレビ広告は、様々な問題もありながら、依然強く、雑誌や新聞の凋落を尻目に増加の趨勢にさえあった。だが、近年、特にソーシャルメディアが普及すると、ネット広告がテレビを急追、とうとう2017年には追い抜くであろうことが予想されている。(ただ、日本に目を向けるとまだネット広告が首位になるには時間がかかりそうに見えるが、それでも隔世の感があることは確かだ。遠からずネット広告が首位になる日が来ると予測しても、今ではそれを笑う人はいないだ
◾️ 評判の悪いUber タクシー配車のUberと言えば、操業開始わずか4年で世界200カ国に進出し、企業価値も180億ドルを上回る、世界を驚かせたベンチャー企業であり、昨今その非現実的とも思える成功ぶりで『ユニコーン企業』(企業としての評価額が10億ドル以上かつ非上場のベンチャー企業。 巨額の利益を生む可能性のある非常にレアな価値のある企業として“ユニコーン”という想像上の生き物の名前が冠される)の代表格とされる。一方、その成功が既存のビジネスモデルを破壊して急成長している企業を『創造的破壊企業』と呼ぶことも多くなってきているが、こちらの方でも、代表格そのものだ。各国のタクシー会社のビジネスモデルはUber影響でまさに破壊され、存亡の危機に立たされているが、既存のタクシー会社のサービスでは満たされなかったユーザーのニーズを満たし、ユーザーの利便性は格段に上がり、そのためユーザーの強い支持
◾️ 人工知能は人間を超えるとの信念 脳の解明が進み、人工知能の能力が拡大していけば、人間を超える存在となる、というシナリオがある(かなり広範に流布している)。日本ではそのまま賛同する人は少数派だと思うが(そう私が思っているだけなのかもしれないが)、欧米での議論を時々見ていると、時期は別として、そのようになることを信じきっている人が意外なほど多いことに驚く。それは何も、人工知能の明るい未来を語り、シンギュラリティを好意的に唱導する人ばかりではなく、逆に、人工知能により人類が滅びる恐れがあると語る人たち(ホーキング、ビル・ゲイツ、イーロン・マスク等)の暗黙の前提にこそ、ゆくゆくは人間を超える存在になるという信念があるように思える。 ◾️ 人間と動物/人工知能の違いは? この問題は、議論の前提を合わせるのが結構厄介で、そもそも『人間を超える』という概念自体が曖昧だ。現代のコンピュータはもちろん
◾️ 予想以上に面白かった『ゲンロン4』 年末年初の休日を利用して、思想家の東浩紀氏が主宰するゲンロン社が出版する『ゲンロン4』*1を読んだ。一連の『現代日本の批評』の連載の最終回としても、2001年以降の平成の批評史としても大変読み応えがあり面白かった。また、昨今、このような内容をまとめ上げることのできる個人も、出版社も、メディアも他にはどこにも存在しないと言わざるを得ず、このような企画自体が待望久しいものであり、そういう意味でも楽しませていただいた。 しかも、私個人が面白かっただけではなく、大変よく売れているというから実に喜ばしい。東氏自身が述べているように、昨今特にこのような批評とか思想系の読物はジャンルとして売れなくなってきているため、この種の企画が商業的に成立しないとなると、日本からこのジャンル自体が消失してしまう危惧がある。それでは困る。 ◾️ 東浩紀氏一人勝ちが続いている 特
先日(10/19)、WIRED JAPANが企画したコンファランス『FUTURE DAYS』に参加した。 10/19(水)開催! WIRED CONFERENCE 2016「FUTURE DAYS:未来は『オルタナティヴ』でなければならない」|WIRED.jp このコンファランスは、『テクノロジーの進化によって近未来の社会の様相が劇的に変化する』という環境認識を共通のベースとしながらも、そのテクノロジーの進化が指し示す未来像に満足しきれず、オルタナティヴ(代案)を渇望している編集者の飢餓感が伝わってくるようなテーマが設定されているとの印象があり、その意味で非常に興味深く感じたので、早々と参加を決めてこの日を心待ちにしていた。 『INTRODUCTION』には次のようにある。 未来は「オルタナティヴ」でなければならない 「未来に価値があるのは、それがいまと違っているからだ」。あるヴェンチャー
◾ 自動運転に関する公開セミナー 先日( 9月20日 )、弁護士会主催の自動運転に関する公開セミナーが行われたため出席した。内容そのものは、ほぼ旧知と言ってよく、自分にとってそれほど目新しい発見があったわけではないのだが、Q&Aセッションで少々気になる論点が出てきて、それがずっと気になっていた。今になって振り返ってみると、意外に本質的で重要な概念/思想の一端が氷山の一角のように顔を出していたのではと思えてくる。折角なので多少なりとも整理して、書き残しておこうと思う。 ◾法律の完全執行社会の到来 人間が運転に関与しない自動運転車は、法律を完全に遵守することを前提として設計されるだろうから、スピード違反はしないと考えられる。これは人間だけがドライバーである現状とは非常に大きな違いだ。実際に運転経験のあるドライバーなら同意していただけると思うが、スピード違反をまったくしたことがないドライバーは限
◾ ブロックチェーンのイベント 先日(9月8日)に開催されたブロックチェーン・イノベーション2016(GLOCOM View of The World シンポジウム)*1に参加してきた。このイベントは昨今非常に話題になってきているフィンテック関連の中でもとりわけ注目度が高いブロックチェーンがテーマであり、しかも、登壇者も、ブロックチェーン関連では錚々たるメンバーでもあり、非常に楽しみにしていた。 加えて、今回は特に、ブロックチェーンの関係者を震撼させることになった事件、いわゆる『The DAO事件』後に開かれる本格的なブロックチェーンのイベントということもあり、ともすればこれまでどちらかというと楽観的な空気が支配していたこの業界の界隈でどのような変化が起きているのか大変気にかかっていたこともあり、その意味でも開催が待ち遠しかった。 ◾ ブロックチェーンに関連した詐欺事件 『The DAO』
■ 最も差し迫った分野は? 昨今の先進テクノロジーの進化とその影響が破壊的であることはこのブログでも繰り返し述べてきたし、最近では同種の情報が急増して、私が多少の発信をしたところですっかり埋もれてしまうようになった。しかも、どの分野のテクノロジーも、破天荒ともいうべきポテンシャルを持ち、それこそSFの世界を凌駕しかねない話が目白押しだ。人工知能が人類を滅ぼすかもしれないという懸念などはまさにその代表的な一例といえる。しかも、そう長く待つ必要もない。2020年前後には、その人工知能を使った自動運転車が続々と市場に投入される見通しだ。 では、そんな中でも、今最も進化し人類社会に差し迫った回答を求めて来そうなのはどの分野なのだろうか。少々意外に聞こえるかもしれないが、『遺伝子工学』、もうすこし広めに言えば『生命科学』だと今私はかなりの確信を持ってそう言い切ることができる。 ■ 意外に注目度が低い
◾ 進む東京への人口の一極集中 総務省発表による今年1月1日時点の人口動態調査によると日本の人口は7年続けて減少し、特に今年は、前年から27万1834人減り、調査を始めた1968年以降で最大の減少数だった。 一方で、東京を中心とする首都圏の人口は前年比11万人近く増加しており、特に東京はそのうち8.6万人を占め、初の1,300万人台を目前にしている。しかも、東京圏の人口の増加ペースはこの数年上がってきている。関西圏、名古屋圏ではともに減少傾向が続いているというから、東京一極集中に拍車がかかっているということになる。日経新聞では、この理由について、『都市部に人が集まる傾向は年々強まっている。働く場や商業施設が多く、住みやすい環境を求めて人が集まってくるためだ』と述べている。 東京圏への人口集中加速 13年、9万6000人流入 :日本経済新聞 ◾ 理由がうまく説明できない? だが、一方で若者た
◾ 日本人皆にとって誇らしい年 本年は驚くような、そして、どちらかというと陰鬱な事件が相次ぐ一年だが、日本人にとって誇らしく喜ばしい出来事もある。メジャーリーグで活躍するイチロー選手の安打数世界一更新(日米合計)とメジャーリーグ史上30人目の3,000本安打達成がそれだ。シーズン開始前には今期中の達成を危ぶむ声もあったものだが、蓋を開けてみると今年のイチローは近年の不振を吹き飛ばすような目覚ましい活躍を続けており、『世界一』の方はすでに達成してしまったし、3,000本安打のほうも、7月10日現在わずか10本を残すのみとなっている。 ◾ 少なくとも50才まで現役? 記録もさることながら、42才というプロ野球選手としては限界域といっていい年齢でありながら、いまだに走攻守ともトップレベルを維持する姿には、すでに生きる伝説の域に達しているこの天才のさらなる飛躍さえ予感させるものがある。周囲の熱狂に
◾ ブロックチェーン 先日(5月18日)、国際大学GLOCOM主催で、ブロックチェーンについてのイベントがあったので、日中の忙しい時期ではあったが出席してお話しを聞いてきた。 GLOCOMブロックチェーン経済研究ラボ 第3回セミナー「通貨としてのビットコインを考える」【公開コロキウム】 | 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター このイベントの内容については、後日、資料がアップされるとのお話しもあったため、詳細はそちらでご確認いただきたい。3人のお話しのほとんどは技術的な成り立ちや、技術的な発展可能性、あるいは現状の問題点等、技術に関わる内容だったこともあり、エンジニアではない私には、自分が理解するのにもかなりの困難が伴ったし、まして人に説明することはとても出来そうにない。 ただ、そんな私であってもどうしてもこのイベントに出席したかった理由は、ブロックチェーンの可能性やポテンシャ
◾ いまだに課題は山積み 先日(3月11日)は、東日本大震災から5年目ということで、メディアでは特集番組や特集記事等も組まれて、震災の記憶を取り戻す機会となった。関東に住む私たちにとっては、報道も減り、ともすれば忘れがちにもなるあの大震災の記憶だが、少なくとも福島第一原発の状況を見る限りでは、まだ復興が進んでいるとは言い難い。やはり、あの震災の(原発事故を含めた)爪痕は深く、いまだに課題は山積みだ。 ◾ 本当に教訓を学んだか? ただ、日本人は本当にあの震災から教訓を十分に引き出し、ちゃんと学んだのだろうか。『ともすれば忘れがちになる』と言っているお前が言うなとお叱りを受けそうな気もするが、そんな私を含め、どうも今回も、あれほどの規模の震災と事故が起きたにもかかわらず、しかも、今に至るまで大きな問題が残されているというのに、すでに遠い過去の記憶の領域に押しやろうとしているのが大方の人の現実で
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